クリフォード・ブラウン:1930年10月30日デラウエア州生まれ。1956年6月25日自動車事故で死去。享年26歳。
大学で数学を専攻する傍らフィラデルフィアでジャズプレイヤーとして頭角を現し、マイルス・デイビスやチャーリー・パーカーなどにも一目置かれる存在になっていた。プロ入りし、クリス・パウエル、タッド・ダメロンなどのバンドを経てアート・ブレイキーのクインテットに参加し、歴史的な名盤「バードランドの夜」を録音。その後マックス・ローチとのレギュラー・クインテットを結成し、数多くの名演を録音した。
短い生涯に残した録音はすべてコレクションに値する演奏といわれるが、ここではその中でもBest5を厳選した。
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タイトル下の日付は録音日です。パーソネルも記載しています。
8月:Clifford Brown(tp)、Harold Land(ts)、Richie Powell(p),Geroge Morrow(b),Max Roach(ds)
4月:Clifford Brown(tp), Teddy Edwards(ts),Carl Perkins(p),George Bledsoe(b),Max Roach(ds)
ブラウニーとローチのレギュラークインテットの第一作で、また同一メンバーによる唯一のライブ作品。B面のテディ・エドワーズ、カール・パーキンス参加のクインテットは数週間で終わりを告げた。この経緯は「クリフォード・ブラウン―天才トランペッターの生涯」「に詳しいが、あのエリック・ドルフィが絡んでいると知って驚いた。ハロルド・ランド、リッチー・パウエル、ジョージ・モロウのレギュラーメンバーの演奏はA面の4曲のみなのだが、それにもかかわらずこのレコードを彼らの最高作とする人は多い。理由はライブの熱気。あらかじめ作曲されているようと評されたブラウニーのソロが、ライブのノリノリ感に乗って完璧な優等生が少しだけ不良っぽくなることにより、この作品は完璧以上のジャズっぽい魅力が付加され永遠の名盤になった。ローチのソロも素晴らしく、彼にとってもベストの作品(しげどん)
ローチは、スタジオ録音では、かっきりした構成で、しかも自己主張した大音量の長いドラムソロ入りが好きなようだ。この盤はライブなので、かっきり感はいい具合に破壊され、ブラウンのソロが冴え渡り、ジャズとしての完成度が高まっている。ただ、MCが、マックス・ローチ・オールスターズ・ウィズ・クリフォード・ブラウンと言っているとおり、リーダーとして張り切ったローチのソロやバッキングは、スタジオ以上にうるさい(笑)。ロリンズは大好きだが、ローチ=ブラウンには、やはりハロルド・ランドが合っていて、いい演奏をしている。(hand)
1955年2月23日、24日 Emarcy
Clifford Brown(tp)、Harold Land(ts)、Richie Powell(p),Geroge Morrow(b),Max Roach(ds)
クリフォードブラウンが25歳という若さでこの世を去るおよそ1年程前にレコーディングされた作品集である。油が乗り始めた頃のブラウニーのプレイは、時に繊細、時に大胆なフレーズを惜しげもなく使って、曲に生き生きとしたエネルギーを与えている。特に3曲目の「SWINGIN'」は、マックスローチのスピードとパワーのあるドラミングに触発されたブラウニーの演奏が素晴らしい!(ショーン)
①チェロキーは、チェロキーインディアンをイメージしたイントロだが、好きかと聞かれれば、そうでもない、となってしまう(笑)。①とラスト曲⑨Aトレインのテーマイントロアレンジが凝りすぎなのが数少ない難点で、⑨Aトレインのアレンジはどうもリッチー・パウエル(バドの弟)らしい。ただし、①⑨ともに演奏そのものは素晴らしい。高速度で、彼らのハイテクも誇示される。④ランズ・エンド、⑤ジョージのジレンマ、⑥サンドゥ(LPのA4、B1、2)がこの盤の私のお気に入りだ。曲も演奏も雰囲気も全ていい。(hand)
※注:George's Dilemma は、昔の盤ではUlcer Departmentと表記されているものがあります。Ulcerとは潰瘍の事で、胃潰瘍だったジョージ・モローをネタにブラウニーが題名をつけましたが、後日変更されました。私の所有盤ではなぜか表面の表記はUlcer Department、裏面と盤面はGeorge's Dilemmaになっていました。
1953年6月11日(Atlantic)、9月15日(Stockholm) Prestige
6月11日 Clifford Brown,Idrees Sulieman(tp),Gigi Gryce(as),Benny Golson(ts),Tadd Dameron(p),Percy Hearth(b),Philly Joe Jones(ds),others
9月15日 Clifford Brown.Art Farmer(tp),others
隠れ名盤だ。メモリアルといえば、普通はBLUE NOTEの「メモリアル・アルバム」だが、クリフォード・ブラウンの諸作の中で、我がターンテーブル(CDトレー)に、乗ることが最も多いのがこの「メモリアル」だ。前半は、ブラウニーが、ライオネル・ハンプトン楽団のサイドメンとして、渡欧した際(1953.9)に、クインシーの監修下にストックホルムで吹き込んだ名作(メトロノーム原盤)。特に①ストックホルム・スウィートニン(クインシー作)は、心に沁みる名曲の名演だ。③恋に恋して、はメリル盤と聴き比べてみるのもオススメだ!後半は、渡欧直前(1953.6)に、吹き込んだタッド・ダメロン楽団の演奏。ブラウニーと同じく若死にした先輩トランぺッター、ファッツ・ナヴァロの活躍していたバンドでアトランティック(市の名)録音。ブラウニーだけでなく、若き日のフィリー・ジョー・ジョーンズやベニー・ゴルソンも大暴れする!前半後半ともに、ビッグコンボながら、前半はヨーロッパを感じる優雅な演奏。後半はビバップを感じる激しい演奏で、同時期のパリ録音よりも愛着が持てる。(hand)
B面のタッドダメロン楽団のブラウニーも歴史的に貴重だが、味わい深いのはA面のストックホルム録音の4曲。ブラウニーとアート・ファーマー以外は現地ミュージシャンだが、この2人のトランペッターの共演が素晴らしい。原文ライナーによると「恋人よ我に帰れ」だけがブラウニー先行で、あとの三曲は小節交換も含めアート・ファーマーが先発ソロとのこと。二人とも良く似た暖かい音色だ。輝かしく溌剌としたブラウニーも魅力だが、リリカルなファーマーの演奏も味わい深く、ブラウニーに引けをとらない素晴らしさ。(しげどん)
Clifford Brown(tp),Lou Donaldson(as),Horace Silver(p),Curley Russell(b),Art Blakey(ds)
ジャズライブの楽しさ、熱気、が無条件で味わえる傑作レコード。ブラウニー、ルウドナ、ホレスシルバーの最高のソロを記録した54年とは思えない良好な録音がライブ録音として最高の臨場感を作り出している。ぜひアナログで、大音量で聴いて 、ジャズに酔いしれてほしい。ピーウィーマーキットの司会とブレイキーの曲名紹介は、この夜のドラマを演出する ために意図的に記録され、この夜はa nightではなくジャズ史に残るthe nightになったのはご存知の通り。世界中のジャズファンはアルフレッドライオン様に感謝するしかありません。(しげどん)
ハードバップの夜明けを記録した1枚。ライブなのに、しかも夜明けからこんなに完成度の高いモダンジャズだ。特にルー・ドナルドソンをその後のブルージー&ファンキーなアルトと思って聞くと、あまりのバッパー振りに驚く。ブラウン以上にこの盤では主役級の活躍だ。アート・ブレイキーの扇動のおかげだと思う。
ただ、当然のごとく、ブラウンは素晴らしい。最近のCDは、頭のMCとの間に切れ目を入れ、スプリット・キックを2曲目にしてくれたので、繰り返して聞くためのハードルが下がってありがたい。メモリアルのストックホルム・スイートニンとこの曲が、私のブラウンの二大愛聴曲だからだ。(hand)
ヘレンメリルの出世作。ヘレンとブラウニーは同い年で、アルバム制作時はまだ2人とも24歳であった。スローなナンバーが多く、トランペットのソロは、相当の腕前でないとボロが出てしまいそうだが、ブラウニーのソロは完璧!ヘレンの魅力的なハスキーボイスと、夜空高く響き渡るブラウニーのペットの相性は抜群。特に2曲目のYou'd be soのブラウニーのソロは鋭くてゾクゾクする。情感に溢れて全く無駄が無い。あと特筆すべき点として、アルバム全体にクインシーのアレンジの素晴らしさが光る。若干21歳の時の仕事である。ブラウニーとクインシー、2人の天才がヘレンをスターダムに押し上げた瞬間を味わえる歴史的価値の高いアルバム。(ショーン)
ブラウニーの名演は素晴らしいが、それだけを目的に聴いていたら残念だ。Don't explain. Whats new.などでのニューヨークのため息=ヘレンメリルの味わいにうっとりできる一枚だから、ブラウニーのソロだけでなく、彼女の声を聴くためだけに一度ターンテーブルに乗せてほしいレコ―ドである。(しげどん)
ユビソのブラウンのソロはメロディをそらんじられるほどの親しみやすさ。この盤の2人のコラボに脱帽だ。私の持つアナログとCDの曲順の違いが、ちょっと悩ましい。ス・ワンダフルとドント・イクスプレインがなぜか入れ替わっていて、アナログでスワンダフルスタートに耳がなじんでしまっているのだ。発売者のオリジナルの順番変更は迷惑だ。(hand)
ウイリアム・クラクストン (William Claxton)による写真集。パシフィック・ジャズのアート・ディレクターや専属カメラマンを務めるかたわら多くのジャズミュージシャンと交流し、貴重な写真を数多く撮影した。