和田誠さんとの共作=ポートレイト・イン・ジャズ
ここでは村上春樹さんのジャズに関する著作や文章を紹介し、そこで紹介されたジャズディスクについてレビューしています。
村上春樹さんの語り口は素晴らしく魅力的なので、その文章を読んで、音楽を聴きたくなってしまいます。
しかし、実際の著作の中で紹介されたジャズディスクはかなりマニアックで入手困難なものも紹介されていますので、そのような作品についてもわかりやすく説明し、入手可能なディスクについて紹介していきます。
ブルーノート盤のライナーノートで紹介されていた村上春樹氏の「ブルーノート私の10枚」は、別ページで紹介しています。→ブルーノート 私の10枚
村上春樹氏のエッセイと和田誠氏のイラストという豪華競作「ポートレイト・イン・ジャズ」は、現在文庫版で、第一集と第二集が合体した一冊になって買いやすくなりました。
この文庫版は、第一集&二集が合体したお得版
村上さんのジャズの造詣はかなりなものなので、この人の文章に取り上げられたジャズの作品を全部知っている方は、相当のジャズマニアでもあまりいないと思います。
現在は下記のような村上チョイスの音源をまとめたコンピレーション盤もあります。
私の好きなビックス・バイダーベックやジャック・ティーガーデンなど、モダンジャズ以外のジャズも紹介されているのもうれしいですが、このような視点からのジャズ入門も面白いかもしれません。
ここでは、ジャズ談義で取り上げた作品で、村上さんがコメントしているものを集めてみました。
村上春樹さんは、この「Portlait In Jazz」で語っています。「クリフォード・ブラウンくらい音楽的に密度の濃いジャズ・プレイヤーは他にいない。」
そしてこの「スタディ・イン・ブラウン」の思い出を語ってくれています。
3$99セントで、ボストンの中古レコード屋で買った思い出。
それを喜んでいる村上さんの語り口がうれしくて、あらためて「Study in Brown」をターン・テーブルに乗せたくなります。
下記にこの作品についての詳しい紹介記事を載せています。
村上春樹さんは、アート・ペッパーのファイバリット・トラックとして、このアルバムの「ストレート・ライフ」を選んでいます。
村上春樹氏の言葉をそのまま引用すると「3分58秒の中に自分のすべてを吹き込もうとしているみたいだ・・・」
それは、ペッパーが自分の伝記につけたタイトルそのもの・・
ペッパーの気持ち・・・その通りだったんですかね。
あらためて、ストレート・ライフを聴きたくなりますね・・・
この「アート・ペッパー・ミーツ・ザ・リズム・セクション」の録音に関しては面白いエピソードがいろいろあります。下記リンクよりぜひ記事を参照してください。
Portrait In Jazz の中の 村上春樹さんの文章は、一流の作家らしく詩的で、内容は内省的なものが多いです。
でも、このウエス・モンゴメリーのコメントは、モロにジャズ評論家村上春樹!という感じがして、私は大好きです。
作家村上春樹よりジャズファン村上春樹が前面に出てしまった文章。そしてその熱いコメントが寄せられたのが、この「フルハウス」というアルバムです。
村上春樹さん的にもおすすめなんですが、とにかく素晴らしいレコードです。
この項目は上記著作「ポートレイト・イン・ジャズ」からではありません。
アナログレコードのライナーに掲載されていた記事です。
ブルーノートの版権がキングから東芝EMIに再び戻り、1500番台を順番に発売し始めた時、ライナーノートはA4二つ折りのものがついていました。ご丁寧にパンチ穴の位置まで印刷されていて、「ファイルできる」というのが売りだったんですね。
その見開きの右側は、「Blue Note 私の10枚」というシリーズが掲載されていて、いろんな人が自分の好きなブルーノート盤を10枚選んでコメントしていました。
その第二回目(すなわち1502のMiles Davis Vo.2)は、村上春樹さんが掲載されていて、これがかなり面白く、村上さんらしいマニアックな10枚が選択されています。 →村上春樹氏 ブルーノート私の10枚はこちらで紹介しています。
その第3位に、なんとこのデクスター・ゴードンの「デクスター・コーリング」が選ばれています。しかもこのB面が好きだとか。 渋いです。
このレコードはデクスター・ゴードンのブルーノート諸作の中でも比較的地味な作品で、さらにそのB面に眼をつけるなんて渋いですね。
村上春樹さんの文章を読んで、改めてこのレコードを引っ張り出して聴いてみました。
確かにA面一曲目のデクスターゴードンのオリジナル曲は中々印象に残りにくい変拍子のテーマから始まるので、この曲を一曲目に聴かないほうがいいのでは?と感じます。
B面のほうがジャズっぽい、というかB面をA面にしたほうが名盤化したのでは?ピアノはケニー・ドリュー、ベースがポール・チェンバース、ドラムスがフィリー・ジョー・ジョーンズと役者も揃っていて、丁寧に聴けば愛聴盤になる作品だと思いました。
この「セロニアス・モンクのいた風景」には、他のモンク作品の村上さんレビューも掲載されていてたいへん興味深いものです。
この本では自身のエッセイだけでなく、リバーサイドレコードのオリン・キープニューズ氏はじめ、レナード・フェザー、ナット・ヘントフなど、モンクにかかわってきた人たちのエッセイを、村上春樹さん自身が翻訳したアンソロジーです。村上春樹さんのジャズに関する思いが良くわかります。
表紙のイラストは「Portrait in Jazz」でコンビを組んだ和田誠さんで、モンクにたばこを渡しているこのイラストに描かれた日本人は・・・
実は村上春樹さんでも和田誠さんでもありません。裏表紙を見たらわかってしまうんですが、これに関してのエピソードも巻末に掲載されています。
この「セロニアス・モンクのいた風景」では、巻末に村上さんのディスクレビューとして、お気に入りの5つのモンク作品を紹介してくれてます。
但し、マニアックな選盤な上、所有しているアナログ盤をもとに紹介しているので、10インチ盤や、ジャケ違いが多く、マニアの方でないとどの音源かわかりにくいと思います。下記に現在入手できるCDデザインとアマゾンリンクを貼り説明しましたので、参考にしてください。
村上本に記載されているジャケ写真は、入手困難なものが多く、画像をパクる訳にはいきませんので、オリジナル盤NOを記載しておきます。同じものを探す場合は中古店を探すかオークションなどで検索してみてください。
村上さんセレクションは以下の5作品です。画像から購入サイトにリンクします。
①Five by Monk by Five ファイブ バイ モンク バイ ファイブ/セロニアス・モンク
モンクのオリジナル集として、曲づくりの面白さが味わえます。
ポートレイト・イン・ジャズの中でも紹介されてい
②Underground アンダーグラウンド/セロニアス・モンク
ジャケットデザインとタイトルは挑発的ですが、モンクの作品としてはおとなしめの親しみやすい盤です。
ジャズのジャケットはお金をかけない手抜きのものが多いですが、これはかなり凝ったジャケットです。細部まで見ると面白い。ジャケ目的でアナログ盤が欲しくなるかも・・・
③We See = MONK/Thelonious Monk Quartetとおなじ
↑オリジナル7053のジャケット、現在のCDもこのデザイン
↑7245再発盤のデザイン
レコードNOは、Prestige7245 (村上本ではPrestige7425と記載されているが誤り)=オリジナルはPrestige7053 Thelonious Monk Quartet で、 We See は、その再発ジャケットで内容は同じ。
村上本では7245 We Seeのジャケット写真が掲載されている。
スタンダードの「煙が眼にしみる」が印象に残る。ジュリアス・ワトキンスのフレンチホーンが印象的。 →詳しいデータはこちら
④Thelonious Monk Solo
⑤Miles Davis All Stars Vol.1
オリジナル10インチ盤
Prestige196 (10インチLPで、A面にBags Groove B面にSwing Spring収録。12インチではBags GrooveとMiles Davis&Modern Jazz Giants に収録。)
クリスマスのケンカセッションとして有名な作品です。
別テイクも含めて、12インチの2枚を鑑賞したほうが、この日のセッションの全貌がわかります。CDの画像も12インチLPを復刻する形になっていますので、村上さん紹介の10インチ盤の形での入手はオリジナルに近いアナログ盤を探すしかありません。下記リンクよりウィキペディア記事参照ください。
→Miles Davis All Stars Vol.1 ウィキペディア記事へ
Bags Groove/Miles Davis
A面がクリスマスセッションとして有名なBags Groove。 12インチLP(またはCD)では2テイクが収録。おれのバックでピアノを弾くな!と伝えたマイルスにモンクが激怒したというエピソードは有名。その緊張感が大傑作を産んだ!?
The Man I Love が有名。モンクは怒りのあまり、途中でソロをやめてしまう。その様子が克明に記録されているが、演奏としての迫力も凄く、ジャズの面白さを味わえる傑作レコード。上記SWING SPRINGが収録されている。