Booker Little ブッカー・リトル おすすめCDレビュー  リーダー作&サイド作③ 1961年

1961年10月5日にリトルは亡くなってしまいます。このため半年分しか記録はありませんが、ここにはジャズ史の重要作「ファイブ・スポット」でのドルフィー=リトル盤が3枚半残されています。そして最後の録音はローチのバンドでの「パーカッション」盤になります。


OUT FRONT / BOOKER LITTLE

1961.3.17 & 4.4

Candid

おすすめ度

hand        ★★★★

しげどん   ★★★☆

ショーン   ★★★★☆

Booker Little(tp), Julian Priester(tb), Eric Dolphy(as,b-cl,fl), Don Friedman(p),  Art Davis(b), Max Roach(ds,tympani,vib)

リーダー第3作は、かなり漸進的なスタイルに変化

ドルフィー=リトル5のリトルをリーダーに、トロンボーンを加えた盤。ドルフィーは脇役に徹しているので、リトルのトランペットを十分に堪能できる。親分のローチもダイナミクスをきかせてはいるが脇役に徹している。演奏も曲も悪くはないのだが、全体的に暗いのでまた聞きたいとはなかなか思わない感じがする。「ファイブ・スポット」で演奏したビー・バンプやアグレッションのようなキラーチューンが入っていれば名盤と言われた可能性もあるのだが…(hand)

リーダー作三作目は、かなり漸進的なスタイルに変わってきた。アブストラクトな雰囲気が強く出てきている。リトル、ドルフィ、ともにソロはいい感じで冒頭曲の爆発するようなエネルギーが凄い。全曲オリジナルで、構成、アレンジも凝った、リトルにとっては力が入った作品だと思うが、耳に馴染みやすいとは言えない。(しげどん)

ブッカー・リトルとエリック・ドルフィーの2管の絡みが素晴らしい。それぞれ個性のある歌いっぷりのハーモニー、音だけでなく、映像をも映し出すような演奏。更にマックス・ローチがまた旅情のあるドラミングで支える。目をつぶって、遠い異国の地に想いを馳せてみるのもいいだろう。(ショーン)



COMPLETE AFRICA BRASS / JOHN COLTRANE

1961.5.23 & 6.7

Impulse!

おすすめ度

hand        ★★★★☆

John Coltrane(ts,ss), Freddie Hubbard, Booker Little(tp), Britt Woodman(tb), Jimmy Buffington, Donald Corrado, Bob Northern, Robert Swisshelm, Julius Watkins(French horn), Charles Greenlee, Julian Priester, Carl Bowman(euphonium), Bill Barber(tuba), Garvin Bushell(piccolo,reeds), Eric Dolphy(as,b-cl,fl),  Pat Patrick(bs), McCoy Tyner(p), Reggie Workman(b), Elvin Jones(ds)

コルトレーンの大編成盤にオーケストラの一員として参加

アナログ時代の元盤とVol.2がCD化で録音順?2枚組になっている。コンボ好きの日本ではあまり聞かれてこなかった大編成の「アフリカ・ブラス」。今、聞いてみると聞かず嫌いを反省するいい盤だが、リトルはオーケストラの一員として入っているだけなので、リトルのサイド盤として聞く価値はほとんどない。(hand)



BOOKER LITTLE AND FRIEND

1961.summer

Bethlehem

おすすめ度

hand        ★★★★☆

しげどん   ★★★★☆

ショーン   ★★★★☆

Booker Little(tp), Julian Priester(tb), George Coleman(ts), Don Freedman(p), Reggie Workman(b), Pete LaRoca(ds)

最終リーダー作は、親しみやすいハードバップ盤

リーダー第4作にして最終作は、前作「アウト・フロント」からドルフィーが抜け、ローチ時代の僚友ジョージ・コールマンが参加。プリースターはそのまま。ドルフィーとコールマンが変わっただけで、盤の雰囲気はかなり違う。普通の聞きやすいハードバップ盤になっている。正直なところ、こちらのほうが親しみやすい。スタンダード④イフ・アイ・シュド・ルーズ・ユー、のリトルのワンホーンのバラードは泣ける。リトルをルーズしたのは聞いている我らのほうだから。(hand)

最後のリーダー作も三管編成。曲調、アレンジはもちろんブッカー・リトルらしい凝ったものだが、前作のような凝りすぎな感じはなく、自然体の雰囲気が好ましい。ローチやドルフィといった先輩格ではなく、同格の友達に取り囲まれて伸び伸びとプレイしている感じがする。Looking Aheadのようなスピード感ある若々しいプレイも魅力的だし、If I Shouldのようなスタンダードで、素直な吹奏が素晴らしい。(しげどん)

ブッカー・リトルが、23歳の若さで亡くなる1年前の絶作と言われるアルバム。そのほとんどが彼のオリジナル曲で、その才能の素晴らしさを改めて感じることができる作品だ。3管の重厚さと軽快なリトルのトランペットの歌声は、独特の雰囲気があり、彼の「友だち」と共に生きている証ともいえ、感動と余韻に満ちている。(ショーン)



ERIC DOLPHY AT THE FIVE SPOT VOL.1

1961.7.16

New Jazz

おすすめ度

hand        ★★★★★

しげどん   ★★★★★

ショーン   ★★★★☆

Eric Dolphy(as,b-cl,fl), Booker Little(tp), Mal Waldron(p), Richard Davis(b), Ed Blackwell(ds)

ドルフィー=リトル5によるモダンジャズ史上最高のライブ作品の一枚

録音した61年にリリースされたドルフィー=リトルの人気盤。名曲①ファイヤー・ワルツのドルフィー、リトル、そしてマルも素晴らしい。②ビー・ヴァンプ、はリトル曲。ファイブ・スポットでの別テイクはあるが、他のリトルのリーダー盤でのスタジオ録音も残して欲しかった。(hand)

私にとってはドルフィの最高傑作はこれだと思うが、ブッカー・リトルに於ける最高作でもあると思う。全曲素晴らしいが、Bee Vampのブッカー・リトルの切れ味鋭い音の洪水は、いつ聴いても興奮させられるすばらしいものだ。オリジナル曲であっても、2管+リズムというシンプルな編成のライブなので、ストレートにソロイストの個性が発揮されていると思う。(しげどん)

エリック・ドルフィーの有名ライブ盤だが、ブッカー・リトルは、若々しく勢いのあるプレイで、曲を支えている。特にBEE VAMPでの演奏は攻撃的で、リーダーシップすら感じる。THE PROPHETは、途中、やや長く単調に感じる。曲全体にメリハリがもう少し欲しい。(ショーン)



ERIC DOLPHY AT THE FIVE SPOT VOL.2

1961.7.16

Prestige

おすすめ度

hand        ★★★★★

しげどん   ★★★★★

ショーン   ★★★★☆

Eric Dolphy(as,b-cl,fl), Booker Little(tp), Mal Waldron(p), Richard Davis(b), Ed Blackwell(ds)

ファイブ・スポットの第2集は、リトルの活躍が目立つ

63年リリースのファイブスポットの第二集。アナログ時代は片面1曲の長尺。①アグレッション、はリトル曲で本人の熱いソロが素晴らしい。マルも最高速のプレイで頑張っている。(hand)

ファイブ・スポットの第二集は、ブッカー・リトルとしては自身のオリジナルであるAggressionが、スピード感爆発のカッコいいシャープなソロが聴けて見せ場だ。スタンダードのLike Someoneは、ドルフィのフルートが印象的だが、自身の名義作でも演じているスタンダードを素直に歌い上げるリトルを味わう事ができる。(しげどん)

ブッカー・リトルはエリック・ドルフィーに後押しされて、スパイス感のあるノリのいいプローイングを展開しており、存在感をバッチリアピールしている。リトルのトランペットに関しては、vol.1よりこちらの方が良いかも知れない。ドルフィーのフルートもいい感じだ。全体を通してパワフルで前衛的な世界を感じさせるJAZZとして素晴らしいアルバムに仕上がっている。(ショーン)



MEMORIAL ALBUM / ERIC DOLPHY

1961.7.16

Prestige

おすすめ度

hand        ★★★★☆

Eric Dolphy(as,b-cl,fl), Booker Little(tp), Mal Waldron(p), Richard Davis(b), Ed Blackwell(ds)

ファイブ・スポットの第3集は、マルとブラックウェルが活躍

65年にリリースされたファイブスポットの事実上の第三集。AB面各1曲の長尺でどちらも別テイクではなく未発曲。 マルとブラックウェルが活躍するのだが、ドラムソロが長いので発表が遅くなった原因かと想像する。(hand)



HERE AND THERE / ERIC DOLPHY

1961.7.16

New Jazz

おすすめ度

hand        ★★★★★

しげどん   ★★★

ショーン   ★★★★☆

Eric Dolphy(as,b-cl,fl), Booker Little(tp), Mal Waldron(p), Richard Davis(b), Ed Blackwell(ds)

ファイブ・スポット第4集は、寄せ集めだが濃厚な内容

66年リリースの「ファイブ・スポット」の第四集。ファイブスポットの2曲だけでは不足したのか、ドルフィーのデビュー盤「アウトワード・バウンド」時の③④、「イン・ヨーロッパ」時の⑤を追加(④はCD化で追加)。なので、タイトルが、こっちもあっちもみたいになったのかもしれない。①ステータス・シーキング、はアウトテイクとは全く言えないこの日の録音の1、2を争う素晴らしさで、スピード感も勢いもある演奏。ドルフィーの切れ味のいいアルトに驚く。マルの全録音の中でも最高速ではないかと思う。 ②ゴッド・ブレス・ザ・チャイルド、はドルフィーのバスクラのソロバラードで、リトルの参加なし。③以降もなし。(hand)

ファイブ・スポットの落穂にほかのセッションからの寄せ集め盤。ブッカー・リトルは急速調の冒頭曲に参加しているが、ソロ的には第一集、第二集のほうがはるかに聴きごたえがある。(しげどん)

ドルフィーのソロは、曲によって激しく、力に溢れている。フルートも冴えていて、特にピアノとペースト絡みながら展開される世界観はとても心地良い。ブッカー・リトルの演奏の方はドルフィーとのハーモニーもキレイに決まって安定しているが、ややおとなしい。(ショーン)



PERCUSSION BITTER SWEET / MAX ROACH

1961.8.1,3,8 & 9

Impulse!

おすすめ度

hand        ★★★★

しげどん   ★★★☆

ショーン   ★★★☆

Max Roach(ds), Booker Little(tp), Julian Priester(tb), Eric Dolphy(as,b-cl,fl), Clifford Jordan(ts), Mal Waldron(p), Art Davis(b), Carlos "Patato" Valeler(conga), Carlos "Totico" Eugenio(cowbell), Abbey Lincoln(voice)

 

リトルの最後の録音もローチとの共演盤

リトルは、最初も最後もローチとの録音になった。ローチは単なるドラム&リーダーから総合音楽家に変貌をとげ始める。この盤はパーカッションの多用でラテン・アフロ感満載な①③⑥。残る②④⑤はカッコいいブラックジャズだ。私の苦手なアビー・リンカーンの活用が少なめ①⑤なのは私には聞きやすい。冒頭①グレイビーズ・ゴーストでのリトルのソロは強烈だ。ドルフィーのソロはラスト曲⑥マン・フロム・サウス・アフリカで聞かれる。今回気付いたのは、ミュージシャンにはローチ系とミンガス系がいるということだ。クリフォード・ブラウンやケニー・ドーハムらのクラスは別格で、それ以降のリトルらの若手に当てはまる。ローチ系は、リトル、ジョージ・コールマン、後任のタレンタイン兄弟、ジュリアン・プリースターなど、ミンガス系は、ドルフィー、アービン、ジョニー・コールズ 、ジャッキー・バイアード、次の代ではロニー・リヒヤー、クリフォード・ジョーダンなど。それぞれ交流はするが、親分であるローチとミンガスとは滅多に共演しないということだ。この盤はローチ盤にドルフィー参加の数少ないパターンの盤だ。(hand)

マックス・ローチらしいメッセージ性の強い作品で、戦士だの殉教者だのと言うタイトルを見ただけで敬遠しそうになる。演奏はコンガ奏者が鼓舞しているからか、シリアスながらも明るさを保っている印象で、それらのバックに乗って演奏するメンバー達のソロは実は悪くなくて、いつもの個性を発揮してくれている。というより、かなりいいソロをしていてジャズ的にかっこいい瞬間がかなりある。だからと言って高く評価する気になれず、いいメンバーなのに「ああ、もったいない」という気持ちだ。(しげどん)

1曲目の曲はパーカッションが煩く、曲の雰囲気を壊している。またヴォーカルも同じく、なぜここにこのタイミングで、いう感じに聞こえ残念だ。(ショーン)