Zoot Sims  ズート・シムズ  CDレビュー  サイド作①

ここからはズート・シムズのサイド参加盤をご紹介します。ズートの出発点であるウディ・ハーマンのセカンドハードなどは特に重要です。 

彼のサイド参加盤は、400枚以上あるとも言われていますが、準主役級のものから、ビッグ・バンドの単なるアンサンブル要員のようなエキストラ参加のようなものまで様々で、あまり仕事を選ばなかった人のようです。すべてを確認する事はできないので、入手しやすいもの中心にご紹介していきます。



The Quintessence/Woody Herman  クインテセンス/ウディ ハーマン

おすすめ度

しげどん ★★★★★

ウディ・ハーマン時代の歴史的な演奏が聴ける初期作品集

ウディハーマンのファーストハード、セカンドハードは歴史的に重要な名演が多いが、セカンドハード途中でコロンビアからキャピトルに契約移行したため、名作を網羅的に入手するのは困難だ。ズートの演奏だと、47年12月のキーンアンドピーチー、フォアブラザーズ、キャピトル時代のザッツライト、キーパーオブザフレイムといった名作でソロが聴ける。すでに個性は感じられる堂々たるソロをとっているが、有名なサックスセクションで別格扱いなのはスタン・ゲッツの方だ。ズートのソロだけを目標に聴くと16小節ばかりのソロなのだが、この時期のウディ・ハーマン楽団の若々しいエネルギーは、今聴いても新鮮なのだ。(しげどん)



The Brothers  ザ・ブラザーズ

1949年4月8日

1952年9月8日

Prestige

おすすめ度

しげどん ★★★★☆

1949/4/8: Stan Getz,Al Cohn,Zoot Sims,Allen Eager, Brew Moore(ts),Walter Bishop Jr.(p),Gene Ramey(b),CharliePerry(ds) 

1952/9/8:Kai Winding(tb),Zoot Sims,Al Cohn(ts),George Wallington(p),Percy Heath(b),Art Blakey(ds)

アル・コーン,スタン・ゲッツとの初期の共演盤。アレン・イーガーの参加が貴重

プレスティジに吹き込んだズートを含む初期の演奏集。前半はスタンゲッツがリーダーになってはいるが、ウディ・ハーマンのメンバーにブリュー・ムーアとアレン・イーガーを加え、フォア ブラザーズサウンドを再現。5人のテナーソロが順番に聴ける面白い音源で、裏面にアイラ・ギトラー氏によるソロ順も記載がありわかりやすい。後半は完全なズートのセッションと言えるもので、トロンボーンのカイ・ウィンディングが参加しているが、アル&ズートのコンビによる最初期の作品。ズートのソロはもちろん完成品で、このスタイルは生涯変わらなかった。(しげどん)



Chubby Jackson Sextet and Big Band チャビー・ジャクソン・セクステット&ビッグバンド

1950年3月15日

Prestige

おすすめ度

しげどん ★★★☆

Don Ferrara,Haward McGhee,Al Porcino(tp),J.J.Johnson,Kai Winding(tb),Charlie Kennedy(as),Georgie Auld, Zoot Sims(ts),Gerry Mulligan(bs),Tony Aless(p),Chubby Jackson(b),Don Lamond(ds)

ウディ・ハーマンの名ベーシストチャービー・ジャクソンのビッグバンドに参加

PR7641のチャビー・ジャクソン盤はビッグバンドの方にズート・シムズが参加していて、このビッグバンドによる録音8曲中4曲でズートはソロをとっているが、その4曲はすべてGood Old Zoot(NJ8280)に収録されている。また、全8曲はGerry Mulligan Quartet(OJCCD7112-2)で入手可能。

チャビー・ジャクソンはファーストハードからのウディ・ハーマン楽団の名ベーシストで、一時バンドを離れたがセカンドハード時代もズートの名演に付き合った。ビッグバンドの中でジャクソンのベースはギシギシ響いていて存在感抜群なので、ハーマン時代の演奏もぜひ聴いてほしい。(しげどん)



Monnlight In Vermont/Johnny Smith ヴァーモントの月/ジョニー・スミス

1952年4月

Roost

おすすめ度

しげどん ★★★★☆

Johnny Smith(gr),Zoot Sims(ts),Sanford Gold(p),Eddie Safranski(b),Don Lamond(ds)

ジョニー・スミスの滋味深い名盤の一部に参加

1952年という古い音源なのだが、とても聴きやすく洗練されたジョニー・スミスのギターに脱力し、うっとりする。ジャズファンだけでなく、一般受けもしそうな名盤だと思う。ゲッツ、シムズ、ポール・クイニシェット と3人のテナーとの共演をまとめたLPだが、3人の中ではA面すべてで共演しているゲッツの存在感が大きい。ズートはB面2曲だけの参加で、ソロをとっているのは1曲だけ。ズートの役割は大きくないので、ズート作品としてはおすすめしないが、作品としてはぜひ聴いていただきたい愛聴に値する名盤だ。(しげどん)



Miles Davis and Horns マイルス デイビス アンド ホーンズ

1953年2月19日

Prestige

 

おすすめ度

しげどん ★★★☆

Miles Davis(tp),Al Cohn,Zoot Sims(ts),Sonny Truitt(tb),John Lewis(p),Leonard Gaskin(b),Kenny Clarke(ds)

クールなマイルスの意図とは別にマイペースを保つズート

もともとはPRLP154の10インチ盤4曲に、ロリンズなどが参加している別のセッションを抱き合わせた盤。企画としてはマイルスがアル・コーンの曲を演じるというもので、ズートはその4曲中2曲でソロをとる。あくまでマイルス主役のアレンジでクールな印象だが、ズートだけはマイペースを保っている。(しげどん)



The Jazz Gutarist/Chuck Wayne ザ ジャズ ギタリスト/チャック ウエィン

1954年6月10日

Savoy

おすすめ度

しげどん ★★★☆

Chuck Wayne(g),Zoot Sims(ts),Harvey Leonard(p),George Duvivier(b),Ed Shaughnessy(ds)

ジョージ・シアリングのオリジナルメンバーとして有名なチャック・ウエインのアルバムに参加

チャック・ウエインはジョージ・シアリングのオリジナル・クインテットのメンバーだったギタリストで、このアルバムもシアリングのサウンドを彷彿させる馴染みやすいクールサウンドだ。シアリングの音楽は現在では過去のものとして顧みられていない感があるが、その優しくてわかりやすい音楽は、現在でもCMなどで使ったらヒットしそうな要素を感じる。ズートはB面の4曲に参加しているが、すべての曲でズートのソロが先発なのでスター扱いなのではと思うほどでなかなか気合が入っている。(しげどん)



Chet Baker and Strings チェット ベイカー&ストリングス

1953年12月30日,31日

1954年2月20日

Columbia

おすすめ度

しげどん ★★★☆

Chet Baker(tp),Bud Shank(as),Zoot Sims(ts),Russ Freeman(p),Joe Mondragon(b),Shelly Manne(ds),and Strings

チェット・ベイカーのストリングス物に共演

ストリングス物は日本のジャズファンには人気がないが、アメリカでは人気なのか大手が必ずやる企画で、これも大手コロンビアの作品だ。この時期のチェット・ベイカーの人気ぶりがわかる。チェットにつきあう二番手ソロイストをバド・シャンクとズートが代わる代わる受け持っている。また、アレンジもジャック・モントローズ、マーティ・ペイチ、ショーティ・ロジャーズ、ジョニー・マンデルといった有名どころが代わる代わる担当していて、それがある為ただのイージーリスニングではないジャズ作品になっているのかもしれない。(しげどん)



Shorty Rogers Courts The Count ショーティ ロジャーズ コーツ ザ カウント

1954年2月,3月

RCA

おすすめ度

しげどん ★★★★

Shorty Rogers(tp, arr),

Pete Candoli,Harry Edison, Maynard Ferguson, Conrad Gozzo, Clyde Reasinger(tp),Milt Bernhart, Harry Betts(tb),Bob Enevoldsen (v tb),John Graas(fhn),Paul Sarmento(tuba),Jimmy Giuffre(cl, ts),Herb Geller, Bud Shank (as),Bob Cooper, Bill Holman, Zoot Sims,(ts),Bob Gordon(bs),Marty Paich(p),Curtis Counce(b),Shelly Manne(ds)

カウント・ベイシーをオマージュしたモダンビッグバンドの名作

昔から愛聴してきた作品で、モダンビッグバンドの名作だと思う。今見ると凄い顔ぶれのメンバーに驚くビッグバンドだ。収録された三回のセッションは微妙にメンバーも変わっていて、テナー奏者も複数参加しているが、ズートのソロはSand Man, Doggin’ Around, Tapps Miller で良く聴けて、いずれもロジャーズのtpの後に出てくる短いながら完成度の高いソロ。Tickle Toeではジミー・ジュフリー、ボブ・クーパー、ズートの3テナー&バド・シャンクのバリトンという豪華な共演も聴かれる。(しげどん)



West Coasting/Stan Levey ウエスト コースティング/スタン リービー

SideA 1954年11月20日

SideB 1954年12月6日

おすすめ度

しげどん ★★★★

Side A Conte Candoli Quartet Conte Candoli(tp),Claude Williamson(p),Max Bennett(b),Stan Levey(ds)

Side B Stan Levey Sextet Conte Candoli(tp),Zoot Sims(ts),Jimmy Giuffre(bs),Claude Williamson(p),Max Bennett(b),Stan Levey(ds)

コンテ・カンドリの初リーダー作とカップリングしたスタン・リービー盤に参加

ベツレヘムの10インチ盤BCP-1016(Sincerely Conte/Conte Candli)と、BCP-1017(Plays The Composition Of Bill Holman,BobCooper And Jimmy Giuffre)をカップリングした12インチLPで、あまり関係ない二枚を抱き合わせた感もあるが、B面にズートとジミー・ジュフリーが参加している以外は同じメンバーだ。ウエスト・コースト的なサウンドながらズートのソロは光る。A面のワンホーンによるコンテ・カンドリ盤もなかなかの快演だ。CDでも10インチの内容そのままでもそれぞれ発売されているが、このタイトルのCDを買えば両方の音源が入手できるので、わざわざ両方買う必要はない。アナログならともかくCDで10インチ仕様の復刻は理解できない。



Plays The Composition Of Bill Holman,BobCooper And Jimmy Giuffre

Sincerely Conte

West Coasting/Stan Leveyはこの二枚をカップリングしたもの。それぞれ10インチ盤仕様でのCD復刻もされている。



Pinky+12/Pinky Winters  ピンキー/ピンキー ウインターズ

1954年

Venus

しげどん

おすすめ度  ★★★

Pinky Winters(vo),Zoot Sims(ts), Marv Hale(tp), John Darman(tb), Ternig Inocencis(p), Jim Wolf (b), Gerry Hale(ds)

ピンキー・ウィンターズの歌声は素晴らしいが・・・

ピンキー・ウィンターズのデビュー盤10インチ(Pinky)全8曲に加えて、ズート参加の発掘音源を追加。さらにデビュー盤のリハーサルテイク7曲を加えた全20曲入り。ピンキーのデビュー盤はなかなか素晴らしいものだが、ズート参加の5曲は、ピンキーのボーカルは素晴らしいが、演奏全体としては難が多いリハーサル的な演奏で、私家版らしく音質もやや劣ので、Pinkyとしての評価は4ツ星だが、ズート参加の曲に対しては3星だと思う。(しげどん)



The Louis Bellson Quintet(Concert For Drums) ルイ ベルソンクインテット(コンチェルト フォー ドラムス)

1954年6月21日

Norgran

 

おすすめ度

しげどん ★★★☆

Charlie Shavers(tp),Zoot Sims(ts),Don Abney(p),George Duvivier(b),Louis Bellson(ds)

ビッグバンドドラムの大御所 ルイ・ベルソンのリーダー作に参加

ツーバスドラムの開祖であり、ビッグバンドドラムの巨匠であるルイ・ベルソンのリーダー作。保守的なメンバー構成でモダンジャズというより中間派的な親しめる演奏だ。アルバムとしての企画性があり、ベルソンのドラムソロからはじまり、各メンバーのフィチャリングナンバーを経てB面のクインテット演奏になる。ベルソンはグッドマン、エリントンを渡り歩いた神業的な凄腕の大御所だが、この1954年時点でまだ30歳で、ズートのわずか一歳年上。早熟の天才だったんだろう。(しげどん)