Miles Davis  マイルス・デイビス CDレビュー  リーダー作①


マイルスの最初期は、パーカーのサイドマンとしてスタートします。ここではパーカー時代は割愛し、記念すべき1945年の初録音と1947年の初リーダー録音からスタートします。この時期は、「クールの誕生」、モダンジャズの夜明けとも言えるプレステッジの「ディグ」、ブルーノートの「Vol.1」、「Vol.2」などがあり、最初期から重要作が含まれています。




First Miles/Miles Davis  ファースト・マイルス/マイルス・デイビス

1945年4月24日

1947年8月14日

おすすめ度

hand       ★★★

しげどん  ★☆

1945年4月24日  Herbie Fields(ts,cl),Miles Davis(tp),Teddy Brannon(p),Leonard Gaskin(b),Ed Nicholson(ds)Rubberlegs Williams(vo)

1947年8月14日  Miles Davis(tp),Charlie Parker(ts),John Lewis(p),Nelson Boyd(b),Max Roach(ds)

前半はバップボーカル入りのマイルスの初録音。後半はパーカーがテナーを吹いたクインテットでの初リーダー録音で内容もいいビバップ

別テイクが多数なので、マスターテイク8曲を中心に聞いたほうがいい。前半は1945年4月24日ブルース的な男声ボーカル入りのセッション4曲でマイルスの初録音らしいが、ジャズファンにはつらい。後半4曲は1947年8月14日の初リーダー録音。クインテットでのビバップでパーカーがテナーを吹いている。1958年の「マイルストーンズ」収録のマイルストーンズとは同名別曲のマイルストーンズやハーフネルソンも聞かれる貴重なセッションで演奏もなかなかいい。(hand)

前半がマイルスの初録音とされるボーカルのバックをつとめたもので、ハービー・フィールズというホンクテナーみたいな人の演奏が耳につき、マイルスの演奏は弱弱しい。マイルスファンにとっては初期の演奏を確認できる資料と言え、いちおうデリカシーある演奏という意味ではマイルスらしさの萌芽は感じられるが、あくまでも資料的な記録であり、テナーとボーカルは鑑賞に耐える作品ではない。後半のチャーリー・パーカー入りのセットは、従来からパーカー・オン・サボイVol.3で全曲紹介されていたセッションで、マイルスはともかくパーカーのテナーとしては普通に良い演奏だ。パーカー・オン・サボイを持ってる人にはダブリになる。(しげどん)



Boppin’ The Blues/Miles Davis バッピン・ザ・ブルース/マイルス・デイビス

1946年10月18日

おすすめ度

hand   ★★

しげどん ★★

Miles Davis(tp),Gene Ammons(ts),Connie Wainwright(g),Linton Garner(p),Tommy Potter(b),Art Blakey(ds),

Earl Coleman(vo),Ann Baker(vo)

マイルス最初期の歌伴盤

男女ボーカル(アール・コールマン、アン・ベイカー)の歌伴盤。12曲入ってはいるが、4曲の別テイクが多数。途中ソロはあるが、私にはつらい盤。(hand)

初録音に続きこれも歌伴だ。マイルスの録音が別テイク含めてよく残っていたものだ。ここでもボーカルには魅力は感じないが、テナーはジーン・アモンズなので、初録音に比べれば聴くに堪えるレベルだし、マイルスも多くはないもののオープンで元気なソロが挿入されている。でもマイルスの初期の演奏としては興味があるが、あくまでも資料としては聴けるが、作品として何度も聴くような演奏ではない。(しげどん)



Quintet With Lee Konitz & Sextet With Jackie Mclean/Miles Davis

1948年9月25日

1952年5月2日~3日

Fresh Sound

おすすめ度

hand  ★★★

1948年9月25日:Lee Konitz(as),John Lewis(p),Curley Russell(b),Max Roach(ds),kenny Hagood(vo) 

1952年5月2日~3日:Jackie McLean(as),Don Elliot(vib),Gil Coggins(p), Connie Henry(b),Connie Kay(ds) 

コニッツ48年、マクリーン52年のビバップのエアチェック。コニッツもクールな音色でビバップをやっている。マクリーンのビバップはやはりパーカーとは違い温かみがあり、ドン・エリオットのバイブも活躍して意外と楽しめる。(hand)



The Birth of The Cool  クールの誕生/マイルス・デイビス

1949年1月21日

1949年4月22日

1950年3月9日

Capitol

おすすめ度

hand        ★★★☆

しげどん    ★★★★

1949年1月21日 Miles Davis(tp),Kai Winding(tb),Junior Collins(frh),Bill Barber(tu),Lee Konitz(as),Gerry Mulligan(brs),Al Haig(p),Joe Shulman(b),Max Roach(ds)

1949年4月22日 Miles Davis(tp),J.J. Johnson(tb),Sandy Siegelstein(frh),Bill Barber(tu),Lee Konitz(as),Gerry Mulligan(brs),John Lewis(p),Nelson Boyd(b),Kenny Clarke(ds)

1950年3月9日 Miles Davis(tp),Gunther Schuller(frh),Bill Barber(tu),Lee Konitz(as),Gerry Mulligan(brs),John Lewis(p),Al McKibbon(b),Max Roach(ds),Kenny Hagood(vo)

バッパーマイルスがクールなジャズに道を開いた歴史的な盤

「クールの誕生」というタイトルからクールジャズ、ウエストコーストジャズの端緒となったマイルスによる歴史的変革盤とされてきた盤。確かに、パーカーの弟分的な立場でビバップを推進してきたマイルスの初リーダー盤としては想定外の内容だと思う。しかし、①ムーブはビバップの曲であり、コニッツのソロはクールだが、大編成のビバップという感じがする。②以降はアレンジが多彩になって、ウエストの萌芽を感じる内容になる。歴史盤=あまり聞かれない盤、となりがちだが、聞いても楽しい盤だと思う。(hand)

歴史的な名盤という評価の一方で、ジャズファン目線からは面白くない作品として語られる事も多い作品だが、私は実はこの作品が好きである。もともとがSPフォーマット故の3分の制約の中でアレンジと短いソロが濃密に詰まっていて、トラディショナルなジャズが好きな私は勝手にスィングビッグバンド的な雰囲気のモダンジャズという受け止め方をして、かっこいいサウンドだと思ったものだ。LP時代の何コーラスにもわたるソロを楽しむようなモダンジャズに慣れている人にはわかりにくいのかも知れないが、曲もアレンジもよく決して退屈するような作品ではない。(しげどん)



In Paris Festival International de Jazz/The Miles Davis Tadd Dameron Quintet パリ・フェスティバル・インターナショナル/マイルス・ディビス

1949年5月8日~15日

Columbia

おすすめ度

hand        ★★★

しげどん    ★★★☆

Miles Davis(tp),Tadd Dameron(p),James Moody(ts),Barney Spieler(b),Kenny Clarke(ds)

マイルス=タッド・ダメロン・バンドの1949年パリ公演の記録

1949年のマイルス=ダメロン・バンドのパリ公演の記録。大手コロンビアから正規発売されているが元は海賊録音で音は悪い。入門者が買うべきでない盤。ただ、内容は、良質なビバップだ。(hand)

音は悪く放送録音用のテープらしいアナウンスも入っていて、資料的な音源だ。実際はビバップ時代からのモダンジャズの立役者であったタッド・ダメロンがリーダーである。ソロイストというより作編曲とバンドリーダー型の人で名曲をたくさん書いた。この時期のマイルスとはウマがあったのかもしれない。クールの誕生的なイメージも散見されて、ビバップとクールは言葉の違いだけで、強い関連性があったと思う。ビバップ的な演奏だけでないクールサウンドのクインテット。ジェームス・ムーディもなかなかよい。(しげどん)



Birdland Sessions/Miles Davis

①-⑤:Feb 18, 1950

⑥-⑧:Jun 2, 1951

⑨-⑪:Sep 29, 1951

⑫⑬:May 2, 1952

Charly

おすすめ度

hand        ★★★

①-⑤:Miles Davis(tp),J.J. Johnson(tb),Stan Getz(ts),Tadd Dameron(p),Gene Ramey(b),Art Blakey(ds)

⑫⑬:Miles Davis(tp),Jackie McLean(as),Don Elliott(vib,mellophone),Gil Coggins(p),Connie Henry(b),Connie Kay(ds)

バードランドでのエアチェック盤

バードランドでの放送用録音3回分の海賊盤。ブルーノート盤「1951」と一部がカブる内容。ジャンキーだったマイルスは、この時期、バードランド以外は出演できなかったらしい。「ディグ」と同時期の演奏なので、ビバップ臭が徐々に弱まりハードバップに近づいている気がする。(hand)



Birdland 1951/Miles Davis   バードランド1951 /マイルス・ディビス

1951年2月17日,6月2日

1951年9月29日

Blue Note

おすすめ度

hand        ★★★

しげどん ★★★☆

1951年2月17日,6月2日:Miles Davis(tp),J.J. Johnson(tb),Sonny Rollins(ts),Kenny Drew(p),Tommy Potter(b),Art Blakey(ds)

1951年9月29日:Miles Davis(tp),Eddie "Lockjaw"Davis(ts),Big Nick Nicholas(ts),Billy Taylor(p),Charles Mingus(b),Art Blakey(ds)

海賊音源を発掘男マイケル・カスクーナがブルーノートからCD化

ボリス・ローズのオゾン、セッションなどの海賊アナログレーベルから出ていた放送用の音源プラスα。どういう経緯かわからないが2004年、発掘男マイケル・カクスーナがブルーノートからCD化した。3分の2は海賊CD「バードランド・セッションズ」としてチャーリーから出ていたもの。海賊としては音はまずまずで、ロリンズやJ.J.を従えたマイルスの元気のいいビバップ演奏が聞かれる。(hand)

ビバップ的なテイストながら、ブルーノート盤で印象深い「テンパス・フュージット」などは、その原型が聴ける。1951年という時点でのマイルスだけでなく、ソニー・ロリンズもビバップテイストな饒舌な感じで、プレスティジに初リーダーセッションを残した直後の若々しいスタイルだ。J.J.、ブレイキーともにブルーノート盤のメンバーなので、あのブルーノート名盤もこのような形で演奏されていたものの集大成だったのかもと思う。(しげどん)



Miles Davis and Horns マイルス・デイビス アンド ホーンズ

1951年1月17日

1953年2月19日

Prestige

おすすめ度

hand       ★★★

しげどん  ★★★☆

1951年1月17日:Miles Davis(tp),Bennie Green(tb),Sonny Rollins(ts),John Lewis(p),Percy Heath(b),Roy Haynes(ds)

1953年2月19日:Miles Davis(tp),Al Cohn,Zoot Sims(ts),Sonny Truitt(tb),John Lewis(p),Leonard Gaskin(b),Kenny Clarke(ds)

ロリンズやアル&ズートとの共演もおもしろい聴きどころが多い一枚。

前半53年録音①〜④は、カッコいい音楽を目標とするマイルスとリラックスした音楽を目標としたズートやアル、聞く前から合わなそうなメンバーで、聞いてみてもそのとおりの結果になっている。各メンバーの演奏が、悪いのではなく、目指す方向が違う人の共演が不幸な結果を招いているのだ。後半、ロリンズが出てくる51年録音⑤〜⑨では、不調期と言われるマイルスもそんなに悪いということはなく、曲の耳馴染みが急によくなる。バッタ型ロボットの大群のようなプレステッジでも抜群に最悪なジャケデザインは、全く購買意欲をそそらなく残念。(hand)

2つのセットからなっている。A面はアル・コーン&ズート・シムス参加のセプテットで、アル&ズートとの共演は珍しく興味がひかれる。アル・コーンのアレンジを主体にマイルスのソロを生かそうという意図だが、ズートはあくまでもマイペース。B面はマイルスのプレスティジ初セッションでロリンズが参加。ロリンズとの録音での顔合わせも初めて。もともとはSPフォーマットで発売された51年の録音。ややまとまりがないとも言えるがこの時期マイルスだけでなく各メンバー(アル&ズート,ロリンズ)の個性の表現を考えると面白い聴きどころが多い一枚だ。ジャケットデザインは後年のナンセンス漫画の大御所ドン・マーティンなので、モダン・アート的には価値があるが、彼のジャケットデザインは、ジャズ的には人気がないようだ。(しげどん)



Conceptions/Lee Konitz & Miles Davis  コンセプション

1951年3月8日

1951年10月5日

Prestige

おすすめ度

hand       ★★★

しげどん   ★★★☆

1951年3月8日:Miles Davis(tp),Lee Konitz(as),Sal Mosca(p),Billy Bauer(g),Arnold Fishkin(b), Max Roach(ds)

1951年10月5日:Miles Davis(tp),Jackie McLean(as),Sonny Rollins(ts),Walter Bishop Jr.(p),Tommy Potter(b),Art Blakey(ds)

「ディグ」の同日録音2曲を含むオムニバス盤

マイルス入りコニッツ4曲、マイルス2曲、ゲッツ2曲、マリガン入りチャビー・ジャクソン2曲の4種の録音10曲のオムニバス。コニッツの4曲は「エズセティック」にも収録され、マイルスの2曲は同時録音の「ディグ」におまけ収録されている盤もある。コニッツ4曲はクールジャズ的な内容でマイルスはあまり目立たない。マイルスの2曲は素晴らしく、特に⑤コンセプションがいい。「ディグ」に+2としてこの2曲が収録されているCDもある。(hand)

ディグと同日録音の2曲はかなりクールなイメージで、ほかの曲がハードバップ原型のような荒々しい感じとはかなり異なり興味深い。コニッツの4曲はいかにもコニッツらしいクールで抽象的な演奏だ。このころの音源は10インチ盤→12インチ化の際にわりとデタラメに振り分けられているものが多い。この盤のマイルス入りの6曲は10インチ盤The New Sounds/Lee Konitz(PRLP116)の4曲と、The New Sounds/Miles Davis(PRLP124)の中から12インチDigに収録されなかった2曲を収録したもの。アナログ盤では前者はEzz-Thetic/Lee Konitz(NJ8256)のA面に、後者はConception/Miles Davis(PRLP7744)に、Dig/Miles Davis(PRLP7012)の全曲とともに収録されていた。現在DigのCDにはこの2曲がボーナストラックとして収録されているが、もともとの収録状態に戻ったというわけだ。(しげどん)

 

Ezz-Thetic/Lee Konitz(NJ8256)

Conception/Miles Davis(PRLP7744)
Conception/Miles Davis(PRLP7744)


Dig/Miles Davis  ディグ/マイルス・デイビス

1951年10月5日

Prestige

おすすめ度

hand       ★★★☆

しげどん  ★★★☆

Miles Davis(tp),Jackie McLean(as),Sonny Rollins(ts),Walter Bishop Jr.(p),Tommy Potter(b),Art Blakey(ds)

マイルスに若手ロリンズと新人マクリーンが加わり、ビバップからハードバップへの転機となった重要な盤

ビバップからハードバップへの転機となった重要な録音であり、内容も素晴らしいのだが、録音が反響している感じがリマスター盤になってもなくならないのが残念。マイルスに若手ロリンズと新人マクリーンが加わったフロントは魅力的だ。パーカーが見に来ていて、マクリーンはビビっていたらしい。転換期なので、まだまだビバップ度は5割程度あると思う。とはいえ、マイルスに完全なるハードバップ盤はあるのか考えてみたい。というのもモード盤の代表とされる「カインド・オブ・ブルー」より前をハードバップ期とすると、直前の「マイルストーンズ」や編集盤であるが「1958マイルス」にもビバップ的な曲が入っており、100%ハードバップ盤はないとも言える。逆順にはなるが「カインド」後の「サムディ・マイ・プリンス」のほうがモード度が低く、ハードバップ盤らしい気がする。(hand)

LPを意識した企画としては最初期のものらしく、一曲の長さがSPの制約を離れて長くなっている(でもSPでもいくつかのパートに分けて出されていたが・・・)。ものすごく荒っぽい編集だ。というより録りっぱなしをそのままレコードにした感じで、Bluingではエンディングをミスったブレイキーをなじるマイルスの声が入ってたりして雑な感じが却って面白い。(このBluingという曲はSPではなんと3面に分割されていたそうだ。3面目の半端な一枚は商品としてどうかなと思うが・・・) マクリーンの新鮮な初録音もまだスタイル未完成な感じで、ロリンズはかなり不調。マイルスはB面のブルース曲などなかなか素晴らしいソロで聴きごたえがある。タイトル曲Digはマイルス作となっているが、ブルーノート盤でのマクリーン作のDonnaと同じ曲だ。アナログでは12インチ化された際に2曲がカットされたが、現在のCDでは再収録されている。(しげどん)



Live at The Barrel/Jimmy Forrest & Miles Davis   マイルス・イン・セントルイス/マイルス・デイビス

1952年 春

Prestige

おすすめ度

hand       ★★★☆

Jimmy Forrest(ts),Miles Davis(tp),Charles Fox(p),Johnny Mixon(b),Oscar Oldman(ds),Unknown(bongo)

マイルスのリーダー盤に見えるが、テナーのジミー・フォレストのバンドにマイルスがゲスト参加した盤

日本語タイトルは「マイルス・イン・セントルイス」。テナーのジミー・フォレストのバンドにマイルスがゲスト参加した盤。プレステッジから発売されてはいるが海賊音源なのか音は良くない。フォレストは日本ではワイルド系であまり人気がないが、ここではワイルドなだけでなく、元気な勢いのあるソロを聞かせている。マイルスは、高音も含めて頑張って吹いている。フォレストのプレイがメロディ重視なので、ビバップ曲は多いがハードバップ寄りの演奏になっている。ビバップがコード進行に合わせて8分音符を中心とした幾何学的な羅列によるソロを聞かせるのに対し、ハードバップでは技術の裏付けはあるもののコード進行の中で美しいメロディを即興で吹くことを重視しているのだと思う。アクロバット的な感動が音楽的な感動に変容するのだ。(hand)



Rare Unreleased Broadcasts/Miles Davis

①②Apr 25, 1952

③④Nov 17, 1955

⑤⑥Dec 8, 1956

⑦⑧Jul 13, 1957

⑨-⑪May 17, 1958

⑫-⑭Jul 13, 1957

Yadeon

おすすめ度

hand       ★★★☆

Miles Davis(tp),John Coltrane,Sonny Rollins(ts),Red Garland,Bill Evans(p),Paul Chambers(b),Philly Joe Jones(ds)e.t.c

マイルス、ロリンズ、コルトレーン、エバンスなどモノ凄いメンツの海賊盤

カナダのYadeon という聞いたこともないレーベルで、表ジャケがなく、裏ジャケだけの海賊盤らしい海賊盤。発売当時は、コルトレーン、ロリンズ、エバンスが入ったものすごい盤と評判になった記憶がある。88年頃の発売で、改めて見るとマスタード・ジャパンと書いてある不思議な盤だ。内容はエアチェックの寄せ集めで演奏の途中でもDJが入ってしまいフェイドアウトになったりするが演奏自体のクオリティは高い。(hand)



Miles Davis Vol.1    マイルス・デイビス 第一集

1952年5月9日

1953年4月20日

Blue Note

おすすめ度

hand       ★★★★

しげどん  ★★★★★

ショーン  ★★★★☆

1952年5月9日:Miles Davis(tp),J.J. Johnson(tb),Jackie Mclean(as),Gil Coggins(p),Oscar Pettiford(b),Kenny Clarke(ds)

1953年4月20日:Miles Davis(tp),J.J. Johnson(tb),Jimmy Heath(ts),Gil Coggins(p),Percy Heath(b),Art Blakey(ds)

ブルーノートの10インチ3枚が12インチ2枚に編集された1枚目。テンパスフュジット、CTA、懐かしのストックホルムが印象的

ブルーノートへの3回のセッションは、10インチ時代には3枚個別であったものが、12インチLP時代に編集されごちゃ混ぜのVol.1と2の2枚になった。セッション毎もいいが、この編集スタイルも意外と楽しめる。Vol.1は、テンパスフュジット、ジミー・ヒース作のCTA(2回)とストックホルムが印象に残る。(hand)

50年代前半のマイルスをとらえた作品の中では、もっとも充実したアルバム。ブルノートが誇る1500番台の最初の作品として12インチLP初の作品として発売されたものだが、オリジナルは10インチLPで、それを編集した盤である。さらに言えば一部の録音はSPで発売されていたもので一曲づつの完成度が高い。バド・パウエルの名曲テンパス・フュージットや、ディア・オールド・ストックホルムの決定的な名演が名高い。ふたつのセッションいずれもセクステットだが、共演者では若きマクリーンが前作Digの時に較べて自分の個性を発揮したソロが目立つ。(しげどん)

肩の力が抜けて心安らぐアルバム。特にバラードのenigma、how deep is the oceanでのマイルスのトランペットは感傷深く素晴らしい。ブルーノート1500番台スタートの歴史に残る名盤というところだろうが、約70年後の現在でも普通に心地良い世界に浸れる深淵な「凄さ」がある。(ショーン)



Miles Davis Vol.2  マイルス・デイビス 第二集

1952年5月9日

1953年4月20日

1954年3月6日

Blue Note

おすすめ度

hand       ★★★☆

しげどん  ★★★★★

ショーン  ★★★★★

1952年5月9日:Miles Davis(tp),J.J. Johnson(tb),Jackie Mclean(as),Gil Coggins(b),Oscar Pettiford(b),Kenny Clarke(ds)

1953年4月20日:Miles Davis(tp),J.J. Johnson(tb),Jimmy Heath(ts),Gil Coggins(b),Percy Heath(b),Art Blakey(ds)

1954年3月6日:Miles Davis(tp),Horace Silver(p),Percy Heath(b),Art Blakey(ds)

ワンホーンカルテットが聴きどころ。マラソンセッション「ワーキン」で有名なイット・ネバー・エンタード・マイ・マインドが聞かれる。

Vol.1と2で、似たような選曲なので、印象もあまり変わりようがないが、やはり名曲テンパスフュジット、イットネバーエンターが印象に残る。マイナーなピアニストのギル・コギンズの朴訥なプレイも好感が持てる。(hand)

Vol.2の最大の聴きどころはリリカルなワンホーンカルテットによる3回目のセッションだ。マイルスのブルーノート盤は3枚の10インチ盤として発売されていた3回のセッションを2枚の12インチ盤に編集したものなので、1回目2回目のセットは2枚に分散収録されているが、3回目の54年のワンホーンカルテット演奏はすべてVol.2だけに収録されているのだ。ビバップ的な実験的テイストが残っていた前回までのセッションに比べ、このワーンホーンによるマイルスはすでに洗練されたハードバップであり、特有のデリカシーある演奏が完成されつつあるようだ。ワーキンで再演した「It Never Entered・・・」も味わい深い。(しげどん)

Vol.1に比べ、より軽快なマイルスが聴けるアルバムだが、マイルス色はこちらの方が強く感じる。そんな中、weirdoや lazy susanにおけるホレス・シルバーのピアノはマイナーなテイストで存在感があり、曲の雰囲気をリードしており、素晴らしい。ラストのit never entered my mindのマイルスの哀愁を帯びたミュートな演奏は心を打つ。この曲で★★★★★に推したい。(ショーン)