Sonny Criss ソニー・クリス おすすめCD名盤&全リーダー・サイド作レビュー

ソニー・クリス(1927.10.23 - 1977.11.19)は、西海岸を中心に活動したパーカー派のアルト。作品数は少ないながら、今だに人気は衰えていません。西に拠点を置きながらも、東海岸的で、時に演歌的な粘り気も感じさせる熱い演奏が(特に日本では)支持されているのだと思います。今回は、何が名盤かについて、これまで意見の定まっていないクリスのオススメ盤について談義してみました。(しげどん)

これまで談義したミュージシャンの中で少ない作品数の4人目がクリス=35作品で、3位タイ。ちなみにクリフォード・ブラウン=35作品、フィニアス・ニューボーン=32作品、ブッカー・リトル=27作品であった。ビバップ期、ハードバップ期を経て、最後はフュージョン2作を遺して亡くなってしまったクリス。3人の意見は分かれたが、想像どおり1位は、後期から「サタデー・モーニング」。次は、幻の名盤に名盤なしと言われる中、中期から「クロスロード」が2位の座を勝ち取り。3位はやはり後期から「クリスクラフト」、4位は比較的初期のインペリアル3部作から「ゴー・マン」、5位は初期と後期のミックス盤「メモリアル・アルバム」が選ばれた。ギリギリまで健闘したのは、後期の「アウト・オブ・ノーホエア」、中期の「ジス・イズ・クリス」であった。(hand)

・新宿ジャズ談義の会 :ソニー・クリス  CDレビュー 目次

・Sonny Criss おすすめBest5

・Sonny Criss CDリーダー作①

・Sonny Criss CDリーダー作②

・Sonny Criss CDサイド作①

 


おすすめ盤1位:SATURDAY MORNING / SONNY CRISS

1975.3.1

Xanadu

おすすめ度

hand        ★★★★★

しげどん   ★★★★★

ショーン   ★★★★☆ 

Sonny Criss(as),

Barry Harris(p), Leroy Vinnegar(b), Lenny McBrowne(ds)

バリー・ハリスがサポートしたクリスの決定盤

冒頭のエンジェル・アイズからいきなりひきこまれてしまうソニー・クリスの決定作。どんなにテクニックが優れていても、単なる音符の羅列には感動できないが、ここでのソニー・クリスのソロの一音づつには感情がこもっており、素直に感動できる落涙ものの名演だと思う。バリー・ハリスの硬質なサポートも好ましい。ピアノトリオだけの演奏がボーナストラックも含めると二曲残されており、最後の追加曲は元気いっぱいでアルバム全体の雰囲気とは違和感はあるがこれも演奏としては悪くないと思う。(しげどん)

①エンジェル・アイズが始まった瞬間から、ただものならぬ名盤の格調を感じさせる。パワーのあるアンプとスピーカーを目一杯ではなく、余裕をもって鳴らしている感じだろうか。②ティン・ティン・デオも前年の「イタリー」よりも深みが増している。75年の3枚の違いを考えてみた。もしかしてミューズの2枚はLA録音で、このザナドゥ盤はNYあるいはNJ録音ではないかと思ったが、この盤もスタジオは違うもののLA録音であった。とすると、リズム隊の違いとプロデューサーの違いが魅力を作ったと考えられる。特に、約10年前にプレスティジで7枚の盤でクリスと付き合ったプロデューサーのドン・シュリッテンが自ら起こしたレーベル、ザナドゥから、ザナドゥ・リズム・セッションとでも言うべきバリー・ハリス・トリオとの絶妙の組合せ盤を自信を持って出したと考えたい(自信盤なのに続編がないのはつらいところ)。⑤がハリスのピアノトリオで、米盤CD追加の⑦もトリオなのはさびしい点とはいえ、盤の価値は下がらない。輸入盤のブックレットにあるレコーディング・データによれば、この日は9曲録音されたようで、まだ未発曲が2曲(夜千、ソニーズ・スペシャリティ)あるようだ。いずれも他盤にも入っていないので、貴重だ。ゼブ・フェルドマンのような人が是非、発掘してほしい。(hand)

まったりとしたジャジーな時間を堪能できる盤。気負いのない音に身を任せていると、些細なことなど忘れさせてくれるような、そんなパワーを感じることのできるアルバム、最後は明るい曲で元気を貰える。(ショーン)



おすすめ盤 2 位:AT THE CROSSROADS / SONNY CRISS

1959.1

Peacock

おすすめ度

hand        ★★★★☆

しげどん   ★★★★☆

ショーン   ★★★★★

Sonny Criss(as), 

Ole Hansen(tb:3,4,6,7), Wynton Kelly(p), Bob Cranshaw(b), Walter Perkins(ds)

クリス最高のプレイが聞かれる元「幻の名盤」

ゆったりとしたリズムとヴァイヴレーションの効いたアルトの響きが、寛ぎの時間を演出してれる。時に強く叫び、また時には咽び泣く様に感情移入されたソニー・クリス最高のプレイだ。オラ・ハンセンのトロンボーンが、とてもいい味付けとなって、アルトと絡むことで、より厚みのある演奏となった。(ショーン)

ピーコックという超マイナーレーベルなので、過去には幻の名盤扱いであったが、CD化されて本当に良かった。クリスの演奏には、寛ぎが聞こえるようになってきている。攻めてばかりだと、疲れた客が逃げてしまう。快調なケリーのピアノとも相俟って、好盤に仕上がっている。数曲の参加だが、トロンボーンのオラ・ハンセンもいい味わいを作り出している。本当に名盤だった数少ない幻の名盤だ。(hand)

変名参加のウィントン・ケリーの存在感が素晴らしく、そこに聞き入ってしまった一枚。ソニー・クリスはいつも通りの味わいだが、アルバムとしてはウィントン・ケリーによって名盤化しそうな作品。トロンボーンのOla Hansen という人は良く知らないが、一応ソツのないプレイをしている。(しげどん)



おすすめ盤 3 位:CRISSCRAFT / SONNY CRISS

1975.2.24

Muse

おすすめ度

hand        ★★★★☆

しげどん   ★★★★★

ショーン   ★★★★★

Sonny Criss(as),

Dolo Coker(p), Ray Crawford(gr), Larry Gales(b), Jimmie Smith(ds)

クリスのテクニックが冴え渡る味わい深いアルバム

ソニー・クリスのテクニックが冴え渡る素晴らしいアルバムだ。ピアノとギターもアルトの持つ澄んだ世界感を引き立てるようにしっかり支えている。ジミー・スミスのドラミングも軽快で、完成度が高く心地よく爽快に聴くことのできる演奏となっている。(ショーン)

ソニー・クリスの魅力が凝縮された冒頭曲The Isle of Celia からはじまる味わい深い一枚。50年代のクリスも個性全開の泣き節だったが、この時期は枯れた味わいが付加されて、それが却って感情が伝わる演奏になっていると思う。全曲に無駄がなく配置されたアルバムとしてもまとまった魅力のある傑作。(しげどん)

クリスは、残念ながら枚数が少ないので、全部聞きしても、すぐに晩年の3名盤に到達しまう。晩年の3名盤と書いたが、一般化されたものではなく、クリスを扱った音楽本や冊子でそのように扱われている気がしたのでそう書いてみた。同じ1975年に録音された3枚の初盤が2月24日のミューズ盤「クリスクラフト」、次が1週間も経たない3月1日のザナドゥ盤「サタデー・モーニング」、ラストが10月20日の再度ミューズの「アウト・オブ・ノーホエア」だ。3名盤と書いてはみたが、私自身は、ザナドゥ盤は超名盤と思っているが、ミューズの2枚はちょい名盤くらいにしか思えていない。同じ1975年に録音された3枚ではあるが、2枚には憂いというか、湿り気というかが不足していると思うからだ。「アウト・オブ」のジャケのようなカリフォルニアの青い空的な明るくカラッとした盤と思ってしまうのだ。調べてみると、やはりカリフォルニア(ロス)録音であった。この盤は、①③④などのカッコいい演奏と、それほどでもない演奏が半分くらいという気がする。いい演奏もギターの気合が今一つ感があると思う。オマケのオール・ザ・シングス・ユー・アーは、「アウト・オブ」時のもので、そちらに入れるべきだったと思う。(hand)



おすすめ盤 4 位:GO MAN / SONNY CRISS

1956.11.28

Imperial

おすすめ度

hand        ★★★★☆

しげどん   ★★★★

ショーン   ★★★★☆

Sonny Criss(as), 

Sonny Clark(p), Leroy Vinnegar(b), Lawrence Marable(ds)

ソニー・クラークが参加したインペリアル第2作

ソニー・クラークとの競演だが、1曲1曲が比較的短く、無駄な部分が無く、安心して聴ける曲ばかりだ。サラッとした聴き心地のライトな感覚と硬質感は、少しだけ物足りなさを感じるところがある。(ショーン)

前作「U.S.A.」から半年以上経ち、インペリアル2作目。今回は、こちらもまた西海岸に来ていたソニー・クラークが参加。クラークのピアノに湿り気があるなど、メンバーのせいかバンドに多少、「U.S.A.」に比べると落ち着きが出ているように感じるが、やはりクリスのアルトはグイグイ押してくる感じがする。この押し相撲のようなグイグイ感が好きな人には、スクータージャケのカッコよさもあり、人気があるのだと思う。⑪ハウ・ハイ・ザ・ムーンは、コード進行は同じだが、明らかにオーニソロジーだ。(hand)

サマータイムはクリスのコテコテ感にピッタリすぎややくどい気もするが、それも好き好きだと思う。完全なワンホーン作でクリスのアルトを充分味わえる。三部作には共通するが、やや曲が短いのでソニー・クラークの演奏ももっと聴きたいと思う気持ちが残る一枚だ。(しげどん)



おすすめ盤 5 位:THE SONNY CRISS MEMORIAL ALBUM

①-⑤:1947.10.17

⑥:1950.8.27

⑦:1952.9.4

⑧-⑫:1965.6.15

Xanadu

おすすめ度

hand        ★★★★☆

しげどん   ★★★★☆

ショーン   ★★★★☆

Sonny Criss(as,ss), 

Al Killian(tp:1-5), Clark Terry(tp:6), Wardell Gray(ts:1-6), Dexter Gordon(ts:6), Charles Fox(p:1-5), Jimmy Bunn(p:6), Gil Berrios(p:7),  Shifty Henry(b:1-5), Billy Hadnott(b:6), Dave Bryant(b:7), Tim Kennedy(ds:1-5), Chuck Thompson(ds:6), Billy Snyder(ds:7), Damita Jo(vo:6)

Hampton Hawes(p:8-12), Clarence Johnson(b:8-12), Frank Butler(ds:8-12)

初期のバッパー時代と後期の脂が乗った時期のどちらも素晴らしい演奏が収録された盤

録音状態が悪くやや聴きづらいが、演奏としてはとても良い。前半の滑らか且つメロディアスな若きソニー・クリスの演奏は、1940年後半の世界大戦後の当時の華やかで自由な雰囲気を伝えてくれる。またアルバムの後半の8~12曲目のバラードはピアノとの相性も良く、どれもとても優しく情緒的で素晴らしい。(ショーン)

A面はビバップ時代の貴重な記録で、ワーデル・グレイの演奏も興味をそそられるが、一般的には記録的な意味が大きいと思う。聴きどころはB面の1965年のハンプトン・ホーズが入ったワンホーン演奏で、インペリアル時代のウエットなイメージから、クールで清涼感ある味わいで、名演とされる「サタディ・モーニング」も、ザナドウ盤と全く違った趣きがあり、愛聴に耐える名演だと思う。録音時間の都合からか、やや唐突に尻切れトンボなアレンジだが、演奏は素晴らしく、B面はA評価に値するファン必聴の作品になっている。(しげどん)

ザナドゥによくあるアナログ起こしらしいあまり音の良くない演奏から始まる。前半①〜⑦は、「カリフォルニア・バッピン」や「バップランド」と変わらぬ初期のパサデナ等のビバップのコンサート録音。3〜5分程度の曲からなり、バンドリーダーというよりもセッションリーダー的な演奏で、素晴らしいビバップのアルトソロが聞かれる。「バップランド」のような長尺曲はない。後半⑧〜⑫の5曲は、クリス後期のスタート時期にあたる65年のとても素晴らしい演奏。「サタデー・モーニング」につながる内容だと思うが、この盤に収録されたことで初期のバップ録音と勘違いされ、結果的に後期好きに聞かれないことになってしまっていると思う。クリスもハンプトン・ホーズも後期の脂が乗った時期で、単独で発売すべき内容だと思うが、元テープがなくアナログ起こしでプチノイズがあり、トータル5曲20分程度と短いため、単独化は見送られたのだろう。であればせめて、アナログ時にA面の冒頭に入れておいてこちらから聞くようにして欲しかった。前半は★★★だが、後半は★★★★★だと思う。ジャズ・ファクトリー盤「メモリアル・アルバム」は、この盤とは違い、「カリフォルニア・バッピン」と同内容なので要注意。(hand)



・新宿ジャズ談義の会 :ソニー・クリス  CDレビュー 目次

・Sonny Criss おすすめBest5

・Sonny Criss CDリーダー作①

・Sonny Criss CDリーダー作②

・Sonny Criss CDサイド作①