Kenny Burrell サイド作② 1960~1963年

この時期は、こんなに?と思うほど、ボサ盤へのサイド参加が多い時期です。アコギでのカッティングがメインの仕事となりもったいないバレルの使い方ですが、この後のリーダー盤でのアコギ活用のきかっけとなったのかもしれません。



MOTOR CITY SCENE/PEPPER ADAMS

1960

Bethlehem

おすすめ度

hand      ★★★☆

しげどん ★★★☆

Pepper Adams(bs), Donald Byrd(tp), Kenny Burrell(gr), Tommy Flanagan(p), Paul Chambers(b), Louis Hayes(ds)

デトロイト出身者のオールスター・ジャム盤

ペッパー・アダムス名義にはなってはいるが、デトロイト出身ミュージシャンによりオールスター・ジャム盤だ。サボイの「ジャズメン・デトロイト」の4年ぶりの再演とも言える。冒頭の①スターダストは、ドナルド・バードのワンホーンで10分超の長尺で、アダムス名義??という感じになる。②フィルソンと④リベッチオがアダムス曲なので、アダムス名義にしたのだと想像する。①以外は、メンバー全員がソロを回す、プレステッジ的なジャムとなる。悪い感じはしない。トミフラ盤「ザ・キャッツ」も似たような盤だったと思い出した。(hand)

冒頭からバードのワンホーンで、ケニー・バレルも入っていない。しかも超スタンダードだ。特段の名演とは思えないが、本人のリーダー作でもほとんどやらないのになぜだ~?これがA面の最初に来ているのは不思議。 二曲目以降は普通のハード・バップでペッパー・アダムスの存在感もいい。(しげどん)



THE HAWK RELAXES/COLEMAN HAWKINS

1961.2.28

Moodsville

おすすめ度

hand      ★★★★

Coleman Hawkins(ts), Ronnell Bright(p), Kenny Burrell(gr), Ron Carter(b), Andrew Cyrille(ds)

大御所ホークがリラックスした音色を聞かせる。

「ブルージー・バレル」のような盤かと思って聞くと、多少趣きが異なる。ホーキンス「ソウル」ともまた違う感じだ。バレルとピアノのロンネル・ブライトが、サイドマンとしてリーダーのホークを盛り立てている。ホークの音色が、この盤ではこの時期のイガイガした感じではなく、ベン・ウェブスター的な滑らかさがあるのが好ましい。ロン・カーターとアンドリュー・シリルの若き日の演奏もなかなかいい。(hand)



ILLINOIS JACQUET

1962.2.5, 3.28 & 5.21, 

Epic

おすすめ度

hand      ★★★

Illinois Jacquet(ts,as), Ernie Royal, Roy Eldridge(tp), Matthew Gee(tb), Cecil Payne, Charlie Davis, Leo Parker(bs),  Sir Charles Thompson(p), Barry Galbraith, Kenny Burrell(gr), George Duvivier, Jimmy Rowser(b), Jimmy Crawford, Jo Jones(ds)

バレル参加だがあまり聞こえないジャケ―盤

エピックは、メジャーのコロンビアの傍系レーベルで、元々はクラシック系らしく、ジャズはスイング〜中間派〜モダンまであるが、60年代初頭でジャズの録音が止まった?感じで、作品数は多くはない。なかでも、モダン盤の割合は少ないと思う。ジャケーのリーダー盤はスイングからモダンまであるが、この盤は基本的には本人が得意とするスイング系の内容だ。したがって、バレルの演奏に私の期待するような活躍は見られない。というか、ほとんどギター音が聞こえない(参加は①②③⑦⑧⑩)。ジャケーがアルトに持ち替えての⑤インディアナは、ジャケー流のビバップで面白い。ただし、この曲のギターは、バリー・ガルブレイスでバレルではない。(hand)



SUDDENLY THE BLUES/LEO WRIGHT

1962.4.23

Atlantic

おすすめ度

hand      ★★★★

Leo Wright(as,fl), Kenny Burrell(gr), Ron Carter(b), Rudy Collins(ds) 

アルト&フルートのレオ・ライトのリーダー盤

日本では(アメリカでも?)あまり知られぬアルト&フルートのレオ・ライトのリーダー盤。知名度の高いプレイヤーに比べると音色がラフでチープな感じがするが、それはそれで魅力を感じる。バレル、ロン・カーターにルディ・コリンズのドラムでのワンホーン盤。選曲がジャズのスタンダードからボサまであり、アルトとフルートの持ち替えもしているので意外と飽きさせない。バレルはソロにバッキングに活躍する。(hand)



BOSSA NOVA CARNIVAL/DAVE PIKE

1962.9.6 & 7

New Jazz

おすすめ度

hand      ★★★☆

Dave Pike(vib,marimba), Clark Terry(flh), Kenny Burrell(gr), Chris White(b), Rudy Collins(ds), Jose Paulo(cabasa,bandero)

バイブのデイブ・パイクのボサ盤

バイブのデイブ・パイクのボサ盤。パイクはエバンスやバリー・ハリスとストレート・アヘッドなジャズ盤を出した後、数枚ボサ盤を出し、この後はヨーロッパに渡り、ロック寄りのデイブ・パイク・セットで活躍する。このボサ盤では、バレルが準主役的な活躍を見せていて、ソロも十分にとっている。16年後にパイクの「タイムズ・アウト・オブ・マインド」 (Muse, 1976)にも参加している。(hand)



BAD! BOSSA NOVA/GENE AMMONS

1962.9.9

Prestige

おすすめ度

hand      ★★★

Gene Ammons(ts), Hank Jones(p), Kenny Burrell, Bucky Pizzarelli(gr), Norman Edge(b), Oliver Jackson(ds), Al Hayes(bongo)

元祖ボス・テナー、アモンズの珍しいボサ盤

元祖ボス・テナーの珍しいボサ盤。洗練されたボサ以前のサンバのネイティブな感じが残っている。アコギ参加のバレルは、⑤モイト・マト・グロッソにソロはあるものの、基本的にはサイド専念であまり目立たない。(hand)



BOSSA NOVA SOUL SAMBA/IKE QUEBEC

1962.10.5

Blue Note

おすすめ度

hand      ★★★☆

Ike Quebec(ts), Kenny Burrell(gr), Wendell Marshall(b), Willie Bobo(ds)

バレル作の名曲ロイエから始まるケベックのボサ盤

バレル作の名曲①ロイエからいい雰囲気で始まる。「ブルージー・バレル」の三つの言葉に近い雰囲気を持っている。アイク・ケベックの肩の力の抜けた吹き方は好きずきはあると思うが、ボサには合っている。バレルはアコギに徹することでジャズサイドからのボサ盤の成功の手助けをしている。大物として知られる一方で、ブルーノートのスカウト担当とも言われるアイク・ケベックにヒット盤をもたらすこととなってサポート冥利に尽きるのではないかと思う。しかし、ケベックは翌63年には病死している。(hand)



JUBILEE SHOUT/STANLEY TURRENTINE

1962.10.18

Blue Note

おすすめ度

hand      ★★★☆

しげどん ★★★☆

Stanley Turrentine(ts), Tommy Turrentine(tp), Sonny Clark(p), Kenny Burrell(gr), Butch Warren(b), Al Harewood(ds)

タレンタインの2管ハードバップ盤

バレルのサイド共演が最も多いのがこのスタンリー・タレンタイン。しかも、サイドに多いボサ盤ではなくストレート・アヘッドなジャズ盤ばかりというのが重要で、ボサ盤では、アコギでリズムだけという参加が意外と多いからだ。この盤は、62年録音だが、78年2枚組の一部として公表され、86年に単独でCD化された盤。バレルとタレンタインというと、名盤「ミッドナイト・ブルー」を期待するが、その面影はない。弟のトミー・タレンタインのトランペットも入ったいわゆる2管のハードバップ盤だ。マイルスを感じるブルース⑤コットン・ウォークと、ラストのバラード⑥リトル・ガール・ブルーでバレルの存在を感じる。BNのタレンタイン盤3枚の中ではギターソロが一番聞かれる。ソニー・クラークの最後の録音というのが泣ける。(hand)

時代をあらわすファンキー・テイストの曲調が多いオーソドックスなジャズ。トミー・タレンタインも加わったセクステットで、ケニー・バレルの出番はそう多くはない。ソニー・クラークもやや新時代的なクールな味わいを感じる。でもこれは彼の最終録音になってしまったので発展形は聴けなかったけど・・・(しげどん)



BOSSA NOVA PLUS(LP)/WILLIS JACKSON

1962.10.30

Prestige

おすすめ度

hand      ★★★☆

Willis Jackson(ts), Juan Amalbert(p), Kenny Burrell(gr), Eddie Calhoun(b), Roy Haynes(ds), Juan Amalbert(tconga,timbaras)

未CD化。ウィリス・ジャクソンのボサ盤

未CD化。ボサ名盤サポート請負人的な活躍を見せるバレル。ボサではないが②サンフランシスコがポップでいい感じに仕上がっている。別タイトル、別ジャケの「シャッキン」としても出たことがあるようだ。(hand)



BOSSA NOVA BACCHANAL/CHARLIE ROUSE

1962.11.26

Blue Note

おすすめ度

hand      ★★★★

Charlie Rouse(ts), Kenny Burrell, Chauncey "Lord" Westbrook(gr), Larry Gales(b), Willie Bobo(ds), Carlos "Patato" Valdes(conga), Garvin Masseaux(chekere)

ラウズはボサ盤で楽しげに演奏

多分、モンク4在籍中に録音したボサ盤。モンク盤ではあまり見せない楽しそうな明るいフレーズが連発される。バレルはボサ盤の名盤請負人として活躍する。アコギのソロはなかなかいい。最新CDには、65年1月22日録音のオマケ曲⑨ワン・フォー・ファイブが追加されているようだが、バレルは入っていない。(hand)



LOADS OF LOVE/SHIRLEY HORN

1962.9.13 & 15

Mercury

おすすめ度

hand      ★★★

Shirley Horn(vo), Jerome Richardson(fl,woodwind), Frank Wess(fl,ts), Al Cohn(ts), Gerry Mulligan(bs), Joe Newman, Ernie Royal(tp), Kenny Burrell(gr), Hank Jones(p), Jimmy Jones(p,arr.cond), Milt Hinton(b), Osie Johnson(ds), Gene Orloff(vln)

シャーリー・ホーンのデビュー盤

29歳のシャーリー・ホーンが多くの有名ゲストに囲まれて作ったデビュー盤。ゲストが多く、オーケストレーションまで施されているので、バレルの存在も希薄なものとなっている。(hand)



FRENCH COOKIN'/BUDD JOHNSON

1963.1.30

Argo

おすすめ度

hand      ★★★

Budd Johnson(ts), Everett Barksdale, Kenny Burrell(gr), Hank Jones(p), Milt Hinton(b), Osie Johnson(ds), Joe Venuto(marimba,vib), Willie Rodriguez(perc)

バド・ジョンソンの人気盤

バレルのサイド名盤との記事を読み入手。右側からバレルらしからぬボサのカッティングが聞こえ、調べてみるともう1人ギターで、エバレット・バークスデール?という人が入っていた。ということは、バレルはソロをとるために入っているのか?その割にはバド・ジョンソンのテナーばかりでバレルが出てこない。3曲目のブルースになり、ハンク・ジョーンズのピアノソロに続き、やっとギターソロが登場する。バド・ジョンソンは、イリノイ・ジャケー的なテキサステナーを想像したがここでは比較的ソフトな演奏に終始する。人気曲(らしい)⑤パリの空の下、は割といい感じで、ティンパニのドド〜ン音が面白い。ハンクのソロも面白く、バレルのソロを期待するがソロはなかった。ハンクは他にもソロはあるが、バレルはもう1曲、7曲目のボサにアコギのソロがあるのみ。(hand)



THE MESSAGE/ILLINOIS JACQUET

1963.5.7 & 8

Argo

おすすめ度

hand      ★★★☆

Illinois Jacquet(ts,bassoon), Kenny Burrell, Wallace Richardson(gr), Ralph Smith(org), Ben Tucker(b), Ray Lucas(ds), Willie Rodriguez(perc)

ジャケ―のポップ&アーシーな盤

保守派と思われるジャケ―の63年録音にしては、かなりポップな盤だと思った。アーゴ盤なので、8ビートでもジャズロックという感じはあまりせず、ラムゼイ・ルイスなどに感じるダウン・トゥー・アースな感じだろうか。ジャケーはノリのいい演奏をしている。バレルのソロも割と多めに入っている。(hand)



A LITTLE JUICY(LP)/BILLY MITCHELL

1963.8.1 & 6

Smash

おすすめ度

hand      ★★★☆

Billy Mitchell(ts), Thad Jones(tp), Kenny Burrell(gr), Richard Wyands(p), Herman Wright(b), Oliver Jackson Jr.(ds)

未CD化。ビリー・ミッチェルのストレート・アヘッドなジャズ盤

未CD化。バレルのサイド盤の多くがボサ盤である中で、数少ないストレート・アヘッド盤。ベイシー楽団にいたテナーのビリー・ミッチェルの数少ないリーダーだ。トランペットのサド・ジョーンズもいるので、ギターの活躍度は相対的に低くなっている。というか、特にサドは、タイトルにフィーチャリング・サド・ジョーンズとまで書かれており大活躍する。唯一のボサ曲A③ボサノバ・オバでもギターは聞こえない。B①ブラザー・ピーボディとB③キッズ・アー…で長めのソロがある。B②はテーマ時に多少ギターが聞こえる。もしかしたら、B面だけの参加なのかもしれない。(hand)



LITTLE BIG HORN/NAT ADDERLEY

1963.9.23 & 10.4

Riverside

おすすめ度

hand      ★★★☆

Nat Adderley(cor), Jim Hall, Kenny Burrell(gr), Junior Mance(p), Bob Cranshaw(b), Mickey Roker(ds)

バレル&ホールの名ギター2人が参加したナット盤

ナットのリバーサイド最終盤。ワンホーンで、ジュニア・マンスのトリオとギターでジム・ホール(①,⑤-⑦)とバレル(②-④,⑧)が4曲ずつ。マンスとは初期のクインテットで馴染みがある。ホールとバレルは珍しいが、アナログ両面のトップがホールというのはバレルファンには多少不満だが、2人のギターをどう使い分けているのかは、理解できなかった。単に日程が空いていたくらいの理由かもしれない。いっきさんのブログによれば、この盤の①エルチコと②フーフーがニッポン放送の「夜のドラマハウス」(1976~83年)というラジオドラマのテーマ曲とエンディングで使われていたとのこと。色々と知らないことがあるものだ。リバーサイド盤ながら入手困難になっている。「ナチュラル・ソウル」として、別ジャケで発売されたこともある。(hand)



HERE'S LOVE/HANK JONES

1963.10.19

Argo

おすすめ度

hand      ★★★★

Hank Jones(p), Kenny Burrell(gr), Milt Hinton(b), Elvin Jones(ds) 

弟エルビンが参加したハンクのミュージカル盤

末弟のエルビンが参加し、強力かつサトルなドラムを聞かせる。ハンクは初期とあまり変わらぬ優しいプレイだが、バレルはアタックが強まり好ましい感じになっている。曲はブロードウェイ・ミュージカルからのようだが、知らない曲ばかりだった。ハンクのプレイは、やはりバッパーというよりも中間派的だと感じた。(hand)



SOUL TALK/LEO WRIGHT

1963.11.1

Voltex

おすすめ度

hand      ★★★★

Leo Wright(as,fl), Gloria Coleman(org), Kenny Burrell(gr), Frankie Dunlop(ds)

レオ・ライトのオルガン共演盤

オルガンにジョージ・コールマンの奥さんグロリア・コールマンが参加。グロリアとバレルがともにいい感じで活躍する。クラシック的なキレイ過ぎる感じのないライトのフルートもいい。(hand)