Sonny Rollins ソニー・ロリンズ 主要作品CDディスクガイド:リーダー作編  6 (後期2)1982年から2012年まで

マイルストーン・レーベルから精力的にアルバムを出し続けてきたロリンズも、2001年の「ウィズアウト・ア・ソング」を最後にマイルストーンを離れます。マイルストーンでは30年間に24枚ものアルバムを出しました。その後、自己のレーベル・ドキシ―から2005年に「ソニー、プリーズ」を出したのみで、2017年に引退宣言し、現在はドキシーから過去のライブ録音を「ロード・ショーズ」シリーズとして4枚出しています。後期後半は、フュージョン熱から覚め、ストレート・アヘッドなジャズに回帰し始めますが、hand氏によれば、エレベの多用からは戻らなかったようです。


REEL LIFE/Sonny Rollins  リール・ライフ/ソニー・ロリンズ

1982.8.17-22

Milestone

おすすめ度

hand   ★★★☆

Sonny Rollins(ts), Bobby Broom, Yoshiaki Masuo(gr), Bob Cranshaw(el-b), Jack DeJohnette(ds,perc), Lucille Rollins(perc)

久々の増尾との共演。フュージョンの雰囲気が漂う盤

増尾が久々に参加し、似たようなボビー・ブルームとの2ギター。ディジョネットも戻ってきたが、やはり雰囲気はフュージョン。増尾という人はナベサダのジャズ時代に「アット・ジャンク」などいい仕事をしているが、やはり「セイリング・ワンダー」のようなフュージョンが好きなのだろう。ロリンズに50年代的なジャズをやってほしいという訳ではないが、ウィントン・マルサリスのような日本で当時、新伝承派と呼ばれた若手も台頭したのが80年代なので、この辺のメンバーを活用してみて欲しかった。ディジョネットはもちろん対応可能だ。新伝承派のカリプソというのも想像しにくいが、やってみる価値はあったと思う。ブレイキーやハンコックはその辺の感性が鋭いのだろう。ラストのソロ録音⑦は短いが魅力的だ。(hand)



Live Under The Sky ’83/Sonny Rollins

1983.7.31

Equinox

おすすめ度

hand   ★★★★

Sonny Rollins(ts), Pat Metheny(gr), Alphonso Johnson(el-b), Jack DeJohnette(ds)

ライブ・アンダー・ザ・スカイでのロリンズとメセニー

海賊レーベルEquinoxから「ライブ・アンダー・ザ・スカイ, 1983/ソニー・ロリンズ・カルテット・フィーチャリング・パット・メセニー」という盤が2021年秋に出る。私自身は既に出ている「ドリーム・チーム/パット・メセニー・ウィズ・ソニー・ロリンズ」(Bugsy)という2枚組の海賊盤でこの同じライブを聞いた。メセニーがリーダーのようなタイトルだがDisc1は完全にロリンズ・プラス・メセニーだ(Disc2はメセニーの86年のトリオ演奏)。今は閉鎖された、よみうりランド内のオープン・シアター・イーストでのライブ・アンダー・ザ・スカイでの録音だ。日本の大観衆に迎えられ、ロリンズのサックスが鳴り響いている。メセニーも比較的ジャジーなプレイに終始しているのは好感だ。アルフォンソ・ジョンソンとディジョネットも元気だ。Equinox盤とBugsy盤とは1曲目が違うので、全て揃えるには完全海賊盤のサウンドボード盤2枚組が必要なようだ。(hand)



SUNNY DAYS STARRY NIGHTS/Sonny Rollins

1984.1.23-27

Milestone

おすすめ度

hand   ★★★

Sonny Rollins(ts), Clifton Anderson(tb), Mark Soskin(p,el-p,syn), Russell Blake(el-b), Tommy Campbell(ds), Lucille Rollins(cowbell)

甥のトロンボーン、クリフトン・アンダーソンがこの盤から参加し、以降2管に

定番となっているオリジナルのカリプソから入る盤構成。甥のトロンボーン、クリフトン・アンダーソンがこの盤から参加する。マーク・ソスキンが戻り、ベース&ドラムは初めてのラッセル・ブレイクと、その後、日本で活動するトミー・キャンベルだ。パーカッションも一部入る。②オールドファッションはジャズ曲なので期待するが崩し過ぎて騒がしい感じがする。③ウィントンはケリーなのかマルサリスかわからないがロリンズの曲。④⑥もカリプソ。エレピとエレベがアコースティックになれば、かなりジャジーな盤だったと思えるし、4ビートも増え、近いうちにいい盤が生まれるかもしれないとも思わせる。(hand)



THE SOLO ALBUM/Sonny Rollins

1985.7.19

Milestone

おすすめ度

hand      ★★★★

Sonny Rollins(ts)

盤全体ソロ録音はこの盤のみ。近代美術館でのライブ

過去にも録音がある近代美術館でのテナー1本でのライブ録音。過去盤にソロ曲はあるが、1枚丸々ソロ盤はこの盤だけ。 82年の「リール・ライフ」のラストに短いソロ曲が入っていて、とても好印象だったので、期待する。要はフュージョンのバックなしに、ロリンズの魅力だけを堪能できるのだ。発売から既に35年以上経っているが、これまで全く聞く気になれず、今回、初めて聞いた。結果は、大正解盤だった。純粋にサックスだけを楽しむということは、ある意味、スタイルを超えている。モダンもフュージョンもフリーもない。いや、私にはモダンに近く感じる。ソロ盤ばかりでも悲しいが、昔から曲のカデンツァで長いソロを吹いていたロリンズなので、この盤はそれが長〜くなったと思えば違和感もない。1枚この盤を作ってくれて良かったと思う。(hand)



JUST ONCE/Sonny Rollins(bootleg)

1985

Jazz Door

おすすめ度

hand      ★★★★

Sonny Rollins(ts), Clifton Anderson(tb), Mark Soskin(p,el-p), Jerome Harris(el-b), Tommy Campbell(ds)

1985年と思われる海賊ライブ。ライブではジャズらしい演奏が聞かれる。

海賊盤で、盤自体には1993年アメリカ録音と書いてあるが、私が割と信頼しているホームページの''ジャズ・ディスコグラフィ・プロジェクト"では1985年頃と整理されている。メンバー的にはその頃だと思うが、ジャスト・ワンス、アリソンなどの選曲も考えると1987年の「ダンシング・イン・ザ・ダーク」のレコ発ライブではないかとも思える。「ダンシング」はポップな内容で落胆したが、この盤はエレベながらもストレートアヘッドなジャズでなかなかというより、かなりいい。冒頭のタイトル曲ジャスト・ワンスは、「ダンシング」ではあまりいいと思わなかったのだが、この盤で聞くととてもいい曲だ。調べてみると、バリー・マン&シンシア・ワイルという夫妻の作った曲で、クインシー・ジョーンズが「ザ・デュード(愛のコリーダ)」(1981年)でヒットさせていた。 アイム・オールド・ファッションは17分超の長尺で、ロリンズのソロが止まらない歓迎すべき状況になっている。セント・トーマスもいい。ドラムのトミー・キャンベルに関するホームページにディスコグラフィが載っていて、この盤の次に「テナー・マッドネス」という何ともややこしいタイトルの海賊盤があった。ジャズ・ファイルというレーベルで、1985105日のスイス、ベルン録音となっている。メンバーは、ロリンズ 、ソスキン、ビクター・ベイリーにトミーのカルテットだ。いつか聞いてみたい。ただ、そのディスコに「ダンシング」がないので信憑性はちょい気になる。トミーは日本に13年間も住んでいたので、その間に色々調べられたらよかったと思う。(hand)



G-MAN/Sonny Rollins

1986.8.16

Milestone

おすすめ度

hand      ★★★★

Sonny Rollins(ts), Clifton Anderson(tb), Mark Soskin(p), Bob Cranshaw(el-b), Marvin "Smitty" Smith(ds)

ジャズ度がかなり高い映像用ライブ音源

冒頭のタイトル曲①G-マンが素晴らしい。前作の「ソロ・アルバム」で勘を取り戻したかのように感じる。元々はロリンズのドキュメンタリー映像「サキソフォン・コロッサス」(DVDあり、未見)用の音源らしい。ニューヨークの屋外ライブだ。メンバーは、クリフトン・アンダーソンにソスキン、クランショウ、新ドラムにマービン“スミッティ“スミスが入っている。新しいタイプのドラマーだが、ここではライブのせいかバタつき感が強い。悪い意味ではない。これでクランショウがアコベならかなりのジャズ度の高い盤になっていたと思う。ともあれ④テナーマッドネスなど4ビートがメインになったことを歓迎したい。(hand)



DANCING IN THE DARK/Sonny Rollins

1987.9.15-25

Milestone

おすすめ度

hand   ★★

Sonny Rollins(ts), Clifton Anderson(tb), Mark Soskin(p,el-p), Jerome Harris(el-b), Marvin "Smitty" Smith(ds)

ポップ化したロリンズに落胆

正直、ガッカリした。前作「G-マン」で4ビートジャズが戻ってきたので、冒頭のフュージョンサウンドに落胆だ。レーベルもメンバーもほとんど変わらないのに、なぜなのだろう。「G-マン」が映像用のライブなので、回顧的な内容だっただけなのだろうか。世間ではウィントンなどがストレートアヘッドなジャズを演奏し、フュージョンは飽きられ始めた時期なのに残念だ。スタンダードのタイトル曲⑤に期待したが、これも落ち着いたジャズではなかった。前作でエレベのクランショウを嫌った私だが、クランショウがいなくなりよりポップになってしまった…。(hand)



FALLING IN LOVE WITH JAZZ/Sonny Rollins ジャズに恋して/ソニー・ロリンズ

①⑤1989.6.3

②-④⑥⑦:1989.8.5 & 9.9

Milestone

おすすめ度

hand      ★★★★

Sonny Rollins(ts), 

①⑤:Branford Marsalis(ts), Tommy Flanagan(p), Jerome Harris(el-b), Jeff Watts(ds)

②-④⑥⑦:Clifton Anderson(tb), Mark Soskin(p,el-p), Jerome Harris(gr), Bob Cranshaw(el-b), Jack DeJohnette(ds)

ブランフォード・マルサリス、トミフラの参加などジャズ度の高い盤

ブランフォード・マルサリス、ジェフ・ワッツ、そして「サキコロ」以来のトミフラとの共演曲が2曲①⑤入った。ベースがエレベでなく、ボブ・ハーストのアコベを入れて欲しかった。そして、なぜこのメンバーだけで1枚録音しなかったのだろう。残念としか言いようがない。ただ、このセッション、雰囲気はいいが、2人のテナーのコラボ感は弱い。もっと曲数を増やして、熱く語り合って欲しかった。他はいつものメンバーだが、ジャズ度が高く好感だ。クリフトン・アンダーソンも自信が出てきたのか、ソロが良くなってきている。(hand)



HERE'S TO THE PEOPLE/Sonny Rollins

1991.8.10,17,24 & 27

Milestone

おすすめ度

hand      ★★★★

Sonny Rollins(ts), Clifton Anderson(tb:3,4 & 7), Roy Hargrove(tp:2 & 6),Mark Soskin(p), Jerome Harris(gr:1,3-5,7 & 8), Bob Cranshaw(el-b), Jack DeJohnette(ds:1,4,5 & 8), Steve Jordan(ds:3 & 7), Al Foster(ds:2 & 6)

ロイ・ハーグローヴの参加などにより後期では最もジャジーな盤

かなりジャジーな盤で喜ばしい。4種のメンバーによる録音だが、特徴的なのは、ロイ・ハーグローヴのトランペットが2曲②⑥に入っていることだ。他の3組は基本的にいつものメンバーだ。唯一の不満は、全てがボブ・クランショウのエレベということだ。これさえアコベなら私の満足度はかなり高まった盤だ。誰かロリンズに、日本ではストレートアヘッドなジャズではアコベが人気なんですよ、と言えなかったのだろうか、残念なことだ。(hand)



OLD FLAME/Sonny Rollins 薔薇の肖像

1993.7-8

Milestone

おすすめ度

hand      ★★★★

Sonny Rollins(ts), Clifton Anderson(tb), Tommy Flanagan(p), Bob Cranshaw(el-b), Jack DeJohnette(ds),

①⑦:Jon Faddis, Byron Stripling(flh), Alex Brofsky(French horn),Bob Stewart(tuba), Jimmy Heath(arr,cond)

ジャズに回帰したと思われるロリンズ

日本語タイトルがなぜか「薔薇の肖像」、意味がわからない。多分、ロリンズ本人もこんなタイトルがついているとは知らないのだろう。「フォーリン・ラブ」に続きトミフラとの共演のジャズ盤。最初①と最後⑦の2曲にジミー・ヒースがアレンジしたというホーン陣がついている。やや甘口だが、2曲のみクランショウがアコベなのは嬉しい。他曲はやはりエレベで②ではソロまである。ともあれ、ロリンズのストレートアヘッド盤を喜びたい。(hand)



PLUS 3/Sonny Rollins

1995.8.30 & 10.7

Milestone

おすすめ度

hand      ★★★★

Sonny Rollins(ts), Bob Cranshaw(el-b), 

①②④⑥⑦:Tommy Flanagan(p), Al Foster(ds),

③⑤:Stephen Scott(p), Jack DeJohnette(ds)

久々のピアノトリオだけのワンホーンのジャズ盤

ローチ=ブラウン時代の「プラス4」にちなんだのかもしれないこの盤。久々のピアノトリオだけのワンホーンのジャズ盤だ。ピアノがトミフラと若手ステファン・スコット③⑤、ドラムもフォスターとディジョネット③⑤の2組になっている。理由は特段感じないので、単なるスケジュールが理由かもしれない。いつもの残念なエレベは変わらない。ジャコのような音楽にはエレベが不可欠だが、この内容はどう考えてもアコベ向きだ。せめてベースも2組にして、1組でもアコベを入れて欲しかった。(hand)



GLOBAL WARMING/Sonny Rollins

1998.1.7 & 2.28

Milestone

おすすめ度

hand   ★★★☆

Sonny Rollins(ts), Stephen Scott(p,kalimba), Bob Cranshaw(el-b), Idris Muhammad(ds:②④⑤),

①③⑥:Clifton Anderson(tb), Perry Wilson(ds), Victor See Yuen(perc) 

ジャズ盤だが比較的ポップな印象の盤

全体として盤自体の内容はジャジーでいいのだが、冒頭に久々の旧曲①アイランド・レディをなぜ置くのかは理解不能だ。ポップなカリプソを冒頭に置く主義なのだろうか。他は新曲ばかりなのでもったいないと思う。唯一のスタンダード⑤チェンジ・パートナーズはジャジーでとてもいい感じだ。ただ、このまま最終作までクランショウのエレベで行くのかと思うと、暗い気持ちになる。ペリー・ウィルソンというドラマーは初めて聞いたが、やや単調だ。この後、レギュラーになったようだ。(hand)



THIS IS WHAT I DO/Sonny Rollins

2000.5.8,9 & 7.29

Milestone

おすすめ度

hand   ★★★☆

Sonny Rollins(ts), Clifton Anderson(tb), Stephen Scott(p) Bob Cranshaw(el-b), Jack DeJohnette(ds), Perry Wilson(ds:3 & 5)

ロリンズ70歳の気負いないジャズ作品

ロリンズ70歳の作品。ロリンズ盤に多いカリプソ曲①からスタートするパターン。基本的にネアカな音楽だと思うが、ロリンズ自身がネアカかどうかはわからない。この時期の盤はベースがエレベということもあり、1曲目を聞いただけでは、フュージョン的な盤かジャズ的な盤かはわからないことが多い。この盤は、ジャズ系の盤。いつものメンバーで1枚吹き込んでみましたというか、あまり気負いは感じない。(hand)



WITHOUT A SONG The 9.11 Concert/Sonny Rollins

2001.9.15

Milestone

おすすめ度

hand      ★★★★

Sonny Rollins(ts), Clifton Anderson(tb), Stephen Scott(p) Bob Cranshaw(el-b), Perry Wilson(ds), Kimati Dinizulu(perc)

マイルストーンからの最終盤は9.11追悼盤

この盤は20年前の2001.9.11テロの4日後にボストンで録音されたライブ音源で、マイルストーンからの最終盤になる。9.11追悼ライブとされている。選曲された曲のタイトルには意味がありそうに思えるが、ほとんどが元気な演奏で、演奏自体に追悼カラーは感じない。ただ、ロリンズ自身もニューヨークで被災し、音楽の必要性を訴えるために予定どおりライブを実行したらしい。テロの4日後に、日本だったら自粛ムードで、歌舞音曲はしばらくはなしになっていたはずだ。普通にライブができたのはアメリカだからだと思う。内容はいつものメンバーのいつものライブという感じで、少々ラフな感じがジャズ度を高めている。(hand)



SONNY, PLEASE/Sonny Rollins

2005.12.20 & 21,  2006.1.13, 2.9 &10

Doxy

おすすめ度

hand      ★★★★

Sonny Rollins(ts), Clifton Anderson(tb), Bobby Broom(gr) Bob Cranshaw(b,el-b), Steve Jordan(ds), Joe Corsello(ds:6), Kimati Dinizulu(perc)

75歳のスタジオ最新作は、想像を裏切るハードさを持つ

自己のレーベル・ドキシーからの初盤で、現時点では75歳のスタジオ最新作。この後出ている盤は、同じドキシーからの過去ライブを寄せ集めた「ロード・ショーズ」シリーズだけとなっている。この盤、想像を裏切るハードなロリンズ作のタイトル曲①から始まる。16ビートでコンガが激しく、70年代マイルスとまでは言わないが、ロリンズらしからぬぶっ飛んだ雰囲気に驚く。75歳とは思えない新しさを感じた。パーカッションのキマチ・ディニズルがいい働きをしているのだと思う。2曲目以降はいつもの雰囲気に近づきはするが、気合いは感じる。ピアノレスでギターが戻っている。得意のカリプソ曲をいつもの冒頭でなくラスト⑦に持ってきたのもいいと思う。(hand)



ROAD SHAWS VOL.1/Sonny Rollins

1980.10.23 &25

1986.5.25

2000.6.8

2006.5.15

2007.6.24 & 9.18

Doxy

おすすめ度

hand      ★★★★

Sonny Rollins(ts), Clifton Anderson(tb), Mark Soskin, Stephen Scott(p) Bobby Broom(gr), Christian McBride(b), Bob Cranshaw, Jerome Harris(el-b), Perry Wilson, Victor Lewis, Al Foster, Steve Jordan, Roy Haynes(ds), Kimati Dinizulu, Victor See-Yuen(perc)

1980〜2007年までの7曲の熱演集

1980〜2007年までの7曲のライブを集めた盤。埋もれさせてはもったいない演奏を自己レーベルのドキシーから発売したものと思われる。それだけに熱演揃いだ。スタジオ録音ではエレピだった曲がピアノで演奏されるなど、ジャズ度が高いのは好感だ。(hand)



ROAD SHAWS VOL.2/Sonny Rollins

2010.9.10,10.1 & 7

Doxy

おすすめ度

hand      ★★★★

Sonny Rollins(ts), Roy Hargrove(tp), Ornette Coleman(as), Jim Hall, Russell Malone(gr), Christian McBride(b), Bob Cranshaw(el-b), Kobie Watkins, Roy Haynes(ds), Sammy Figueroa(perc)

ゲストも素晴らしい80歳の誕生日記念ライブ

現時点で盤単位では最新2010年録音で、80歳の誕生日記念ライブだ。①ゼイ・セイ・イッツ・ワンダフル、エレベは仕方ないにしても、「橋」(1962年)のジム・ホール以来、久しぶりにジャズを感じるギタリストが採用されている。ラッセル・マローンだ。やはりジャズ・ギターはいい。そして②センチメンタル・ムードでは何とジム・ホール本人がロリンズのMCで登場して驚く。が、しかし、残念なことにこの曲でロリンズが吹かないのだ。ホールの参加はこの曲だけなのに、ありえない残念さだ。ロリンズ盤でホールのトリオ演奏を聞いてもしょうがない。③ソニー・ムーンは、オーネット・コールマン、クリスチャン・マクブライド、ロイ・ヘインズがゲスト。すごいゲストだ。ピアノレス、ギターレスのこのメンバーで20分超の演奏。マクブライド以外は高齢者なのに素晴らしく迫力もある。この曲だけでも価値ある盤だと思う。④⑤に参加のロイ・ハーグローヴの余裕のプレイもいい。(hand)



ROAD SHAWS VOL.3/Sonny Rollins

2001.11.11

2006.5.15

2007.8.11

2009.9.19

2012.7.25

Doxy

おすすめ度

hand   ★★★☆

Sonny Rollins(ts), Clifton Anderson(tb), Stephen Scott(p), Bobby Broom, Peter Bernstein(gr) Bob Cranshaw(b,el-b), Perry Wilson, Steve Jordan, Victor Lewis, Kobie Watkins(ds), Joe Corsello(ds:6), Kimati Dinizulu(perc)

2001〜2012年までの6曲の熱演集

2001〜2012年までの6曲のライブ。③⑥が曲単位では最新年の2012年録音だ。新曲③パタンジャリでは、ドラムのコビー・ワトキンスの熱いプレイがロリンズを燃えさせている。ピアノは①のみでステファン・スコット。②〜⑤はギターで、ボビー・ブルーム3曲とピーター・バーンスタイン2曲となっている。(hand)



ROAD SHAWS VOL.4:HOLDING THE STAGE/Sonny Rollins

1979.7.13

1996.10.23

2001.9.15

2006.5.15

2007.11.24

2012.7.25 & 10.30

Doxy

おすすめ度

hand   ★★★☆

Sonny Rollins(ts), Clifton Anderson(tb), Mark Soskin, Stephen Scott(p) Bobby Broom, Peter Bernstein(gr), Bob Cranshaw, Jerome Harris(el-b), Jerome Jennings, Kobie Watkins,  Al Foster, Victor Lewis, Harold Summey Jr., Perry Wilson(ds), Kimati Dinizulu, Sammy Figueroa, Victor See Yuen(perc)

1979〜2012年までの10曲の熱演集

このシリーズで初めてサブタイトルがついた盤。1979〜2012年までの10曲のライブ。「ロード・ショーズVol.2」でロリンズ抜きで演奏された①センチメンタル・ムードがロリンズ中心に演奏される。②プロフェッサー・ポールと③ミックスド・エモーションズが最新年2012年の録音で、特に③が10月30日の最新日録音。全体にいつものメンバーで、ロリンズは楽しそうに伸びやかなソロを吹き続ける。(hand)



ロリンズ後期の感想としては、前期・中期にはなかなか及ばないが、それでもロリンズ自身のプレイに不調や老いはあまり感じなかった。要はエレクトリックな音楽が好きかどうかという好き嫌いのレベルの問題だと思う。私自身、フュージョンは嫌いではないが、ロリンズのフュージョンはあまり好きになれない。時代的に仕方なかった時期はあるにしても、ストレートアヘッドなジャズが復活した後もボブ・クランショウのエレベを使い続けたのが一番残念な点だ。ストレートなコンボジャズ盤にエレベを使っているだけで☆0.5は低くなってしまう。クランショウはアコベも弾けるのだから、せめてジャジーな曲ではもっとアコベを弾かせて欲しかった。後期を全部聞きしている間に、ロリンズの91歳の誕生日(1930.9.7生)があった。音楽活動からは引退しているが、元気なようで何よりだ。ロリンズは、近年、自己レーベルのドキシーから後期の発掘ライブ盤を「ロード・ショーズ」シリーズとして公式発表している。各国各会場での拍手と歓声がものすごく、人気が衰えていなかったことがわかる。そしてまた、どの盤もなかなかの高水準で喜ばしいことと思う。(hand)