セロニアス・モンク CDレビュー目次
・おすすめBEST5・・・このページ
①リーダー作 その1 初リーダー作からリバーサイド時代前半1957年まで
②リーダー作 その2 リバーサイ時代続き 1957年~1958年
④リーダー作 その4 後期 コロンビア移籍後 1962年~63年
Thelonious Monk:セロニアス・モンク:1920年10月10日~1982年2月17日
天才かつ奇人といわれるセロニアス・モンクは、スイング時代の末期の10代前半に独学でピアノを弾き始め、ジュリアード音楽院で正式な勉強もしている。
モダンジャズの夜明けを記録した歴史盤である「ミントンハウスのチャーリー・クリスチャン」(1941)にも参加している。モンクには、お坊さんの意味もあり、バップの高僧というキャッチフレーズで売り出されていた。
今回、モンクの、デビューからメジャー・レーベルであるコロンビアに移籍する前までの前期を対象に選考した。モンクに関しては、批評家さんたちは、「ブリリアント・コーナーズ」を最高名盤とし、「モンクス・ミュージック」を課題作と位置付ける人が多いが、愛聴するのはどちらかの視点も加え、従来の1、2位が入れ替わった選盤となった。(hand)
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タイトル下の日付は録音日です。パーソネルも記載しているので参考にしてください。
1957年6月26日 Riverside
おすすめ度
hand ★★★★★
しげどん★★★★★
ショーン★★★★☆
Ray Copeland(tp),Gigi Gryce(as),Coleman Hawkins,John Coltrane(ts),Thelonious Monk(p),Wilber Ware(b),Art Blakey(ds)
一般的には、「ブリリアント・コーナーズ」が評論家からは最高傑作とされるが、聴く気が起きるのはこちらのほうだ。世阿弥的な序破急と相通ずる世界かもしれない。真の最高傑作はこちらなのでは!?(hand)
破たんもありながらそれも作品の一部となっている不思議な魅力。冒頭の変な讃美歌も含め、アルバムとして奇妙な統一感がある。私の好みから言えば、完璧な「ブリリアント・コーナーズ」よりジャズらしくて好きだ。(しげどん)
モンクのピアノ、コールマン・ホーキンス、コルトレーンのテナーといったビッグネームに加えて、ドラムがブレイキーとなれば、駄作である訳がない。極めて安定した演奏で耳に心地良く、本物のJAZZにしっかりと浸れる秀作盤だ。(ショーン)
※破たんのある演奏として有名なのはWell you needn'tで、モンクが「コルトレーン!コルトレーン!」と連呼し、それに引きずられてブレイキーのドラムロールがずれてしまうところと、Epistrophyで、コールマン・ホーキンスがソロの出場所を二回間違って吹きはじめる音が聞こえるところ。二回目の出だしはブレイキーが間違ったまま続けているようにもとれます。
いずれにせよ、明らかに音に残っている破たんがありながら傑作だという稀なる作品です。
ホーキンスをミスキャストととらえる向きもありますが、モンクのディレクション下では、多くのミュージシャンが彼の個性に影響されてモンク化していきますが、さすがにホーキンスは、あくまでホーキンスらしいところが逆に面白い聴きどころといえるのではないでしょうか。モンクは尊敬するホーキンスを生かすためのアレンジを徹夜で考えて、本番録音時には途中で寝てしまい、取り直しの時間がなくなってしまったとも言われていますが、取り直しをしていたら、このような作品は生まれなかったと思います。
1956年10月9日、15日
Riverside
おすすめ度
hand ★★★★★
しげどん★★★★☆
ショーン★★★★★
Ernie Henry(as),Sonny Rollins(ts),Thelonious Monk(p),Oscar Pettiford(b),Max Roach(ds)
1曲目から「斬新」の一言に尽きる。何か大きな天変地異が起きる前触れのようなテーマに続き、ロリンズとアーニー・ヘンリーのソロも個性豊かで素晴らしく、モンクワールド全開。3曲目Panonica、捉えどころのない変化に富んだ有機体で、ショーン的にはとても興味深く聴いた。最後のBemsha Swingは、迫力あるローチのドラミングとロリンズのティンパニーがどことなく異国の雰囲気を奏でる。個性的な名盤だ。(ショーン)
モンクの名盤とされるが、最初、難解でなじめなかった。今は、完成度が高い上に勢いもある傑作と思う。(hand)
タイトル曲は難しすぎて再演されていない。一説によると25テイクでもうまくいかず、最後はテープ編集に頼ったらしい。ジャズ聴き始めの頃、この曲の良さが理解できず面食らった。完成度と緊張感がピカ一だが、2曲目のほうがジャズらしいリラックス感があって好きだ。歴史的な名盤だが、個人的な好みで最高点としなかった。(しげどん)
※25テイクを重ねたというのは、オリン・キープニューズ氏の記憶によると本当らしいです。そしてオスカー・ペティフォードはさじを投げ、モンクと喧嘩し、怒って帰ってしまったとか・・・
1957年4月5日,16日
Riverside
おすすめ度
hand ★★★★
しげどん★★★★★
ショーン★★★★☆
Thelonious Monk(p)
Monk's Mood only: add John Coltrane(ts),Wibur Ware(b)
ヴォーグ盤に比べてソロとしての自由度が増し、よりモンク独自の個性的なアプローチの深みに達している。聴けば聴くほど惹かれる不思議な魅力があり、ソロアルバムとしての到達点となる作品。(しげどん)
3曲目のFunctionaは自由な曲の展開が素晴らしく、新しい扉が次々と現れて、開けるたびに世界が広がっていく。これぞモンク!Round Midnightも真夜中のドラマが感じられて、一緒に夜の帳に入り込める。Monk's Moodでは、コルトレーンのテナーとウィルバーの地鳴りのようなベースがアルバム全体のアクセント効果を高めている。(ショーン)
ヴォーグ盤に比べると個性はより際立ってきている。最後のコルトレーン入りの1曲も良い。(hand)
1958年7月9日、8月7日
Riverside
おすすめ度
hand ★★★★☆
しげどん★★★★★
ショーン★★★★☆
おすすめ度
hand ★★★★☆
しげどん★★★★★
ショーン★★★★
Johnny Griffin(ts),Thelonious Monk(p),Ahmed Abdul Malik(b),Roy Haynes(ds)
モンク初のライブとなるファイブスポットでの歴史的な同一日録音の名盤。「イン・アクション」はクロージングテーマを両面に収録しライブらしい演出。「ミステリオーソ」の方が曲が個人的には好み。B面の最後までモンクの世界を堪能できる名盤。(しげどん)
両ライブは、甲乙つけがたいが、「ミステリオーソ」のインウォークドバドは、好きな曲で、とにかくかっこいい。CDおまけにラウンドミッドナイトが入っているのも強力な加点要素だ。「イン・アクション」は、ウエス・モンゴメリーの「フル・ハウス」を聞いて、グリフィンのファンになった私が、饒舌なグリフィンに再会できた傑作。(hand)
「イン・アクション」は、テナーソロの間もテーマを連想させるバックを絡めて弾くことで、曲に締まりと緊張感を与えるモンク。主役喰いモンクの得意技だ。バーらしいカラカラとしたグラスや氷の音と聴衆の声が重なり、より生き生きとしたライブ盤に仕上がっている。「ミステリオーソ」は、特にグリフィンのソロがストレートに素晴らしい。(ショーン)
おすすめ度
hand ★★★★
しげどん★★★★☆
ショーン★★★★☆
1952年10月15日 Thelonious Monk(p) Gary Mapp(b),Art Blakey(ds):Little Rootie Tootie,Sweet and Lovely,Bye-ya,Monk's Dream
1952年12月18日 Monk(p) Mapp(b),Max Roach(ds):Trinkle Tinkle,These Foolish Things,Bemsha Swing,Reflections
1954年9月22日 Monk(p),Percy Heath(b),Blakey(ds):Blue Monk
Monk Piano solo:Just A Gigolo
モンクの作品の中で、当然、個性的だが、やはりピアノトリオなので聴きやすく、一番取っ付きやすい盤かもしれない。(hand)
1曲目が大作。ブレイキーのドラミングが素晴らしく迫力満点。元々モンクの鍵盤タッチは、打楽器のような響きを持つため、ブレイキーとのリズム合戦が展開されると息が抜けず、緊張感を感じる。お互いに刺激し合って高まっていく様子が目に浮かぶ。(ショーン)
トリオは、ソロでの自由度や、カルテット、クインテットでの全体を支配する緊張感から解き放たれて、ある意味オーソドックスな面がリラックスして味わえる。オリジナル曲も多く、モンクという独特なピアニストへの入門盤としておすすめ。(しげどん)
おすすめ度
hand ★★★★
しげどん★★★★☆
ショーン★★★★
1-①1947年10月15日:Idresse Suliman(tp),Danny Quebec West(as),Billy Smith(ts),Thelonious Monk(p),Gene Ramey(b),Art Blakey(ds) :Thelonious,Humph
1-②1947年10月24日:Monk(p),Ramey(b),Blakey(ds) :Off Minor ,Ruby My Dear ,April in Paris,Well You Needn't, Introspection
1-③1947年11月21日:Geroge Taitt(tp),Sahib Shihab(as),Monk(p),Robert Paige(b),Blakey(ds) :'Round Midnight,In Walked Bud
1-④1948年7月2日:Milt Jackson(vib),Monk(p),John Simmons(b),Shadow Wilson(ds) :I Mean You , Epistrophy ,Misterioso
彼ほどの長いキャリアを持つ大物で、このような形で初リーダー盤に、その後の主要曲が集約されている人は例がない。モンクというユニークな音楽家は、オリジナル曲の重要度が高いので、彼を知る意味では絶対に外せない名盤。Vol.2も重要。(しげどん)
有名オリジナルのほとんどが、初録音前の10代にできていたのは、すごいこと。結果的に、デビュー盤がヒット曲集になっている。初演でも譜面どおりには全く弾かないのはさすがモンク。装飾とシンコペーションは、モンクの個性が光る。(hand)
自作曲の他スタンダード曲も多いこの初リーダー盤だが、何れも独特の間合いと音程で完全にモンクカラーに仕上がっている。1947〜48年の当時としては最も前衛的で質の高い演奏だった筈だ。(ショーン)
おすすめCD名盤以外の主要作も、下記からリンクしているページに掲載しましたのでご覧ください。
村上さんは大変なジャズファンで知られていますが、この本では自身のエッセイだけでなく、リバーサイドレコードのオリン・キープニューズ氏はじめ、レナード・フェザー、ナット・ヘントフなど、モンクにかかわってきた人たちのエッセイを、村上春樹さん自身が翻訳したアンソロジーです。村上春樹さんのジャズに関する思いが良くわかります。
表紙のイラストは「Portrait in Jazz」でコンビを組んだ和田誠さんで、モンクにたばこを渡しているこのイラストに関しての今は亡き安西水丸さんのエピソードも巻末にあります。
村上さん紹介の私的レコード案内は、ややマニアックで、レコード情報としては若干の補足説明が要りますので、→こちらを参照 してください。
おそらくすべてのジャズ映画の中で、一番有名な作品。これを見てなくてジャズファンとは言えません。セロニアスモンクによるブルー・モンクのほか、エリックドルフィ参加のチコ・ハミルトンのバンドやサッチモとジャック・ティーガーデンの掛け合い、アニタ・オディからチャック・ベリー、ジェリー・マリガン、そして感動的なマヘリア・ジャクソンなど上げたらキリがない名場面ぞろい。
クリント・イーストウッドが監督したドキュメンタリー。
ステージ上以外のモンクの映像が多く収録されていて、今となっては貴重な映像です。謎の多い人物として語られる事の多いモンクの一面に触れられる作品です。
セロニアス・モンク CDレビュー目次
・おすすめBEST5・・・このページ
①リーダー作 その1 初リーダー作からリバーサイド時代前半1957年まで
②リーダー作 その2 リバーサイ時代続き 1957年~1958年
④リーダー作 その4 後期 コロンビア移籍後 1962年~63年