Jackie Mclean CD 主要作品 ディスクガイド:                    リーダー作3

ブルーノート後期作を紹介しています。

時代を追うように、コルトレーンの影響も受け、どんどん新しい方向に進むように見えていたマクリーンですが、全頁で紹介したVertigoやこの頁に掲載したConsequenceなど、リアル・タイムでは発売を見送られた作品も少なくありません。それらに共通しているのは、やや保守的なスタイルの演奏だという事で、むしろ日本人好みなのは、そのような発掘盤かもしれません。

     

 

正規盤に比べて注目度は低いですが、隠れ名盤として再評価を望みたいところです。

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1965年のライト・ナウを録音後、彼は麻薬で服役し、これをきっかけに完全に麻薬を絶つことになりますが、その後のアルバムは激動の時期を象徴しているような様々なコンセプトのものになっていきます。そして教育への関心なども契機となって67年を最後に沈黙期間に入ります。

72年復帰後の作品も注目作はありますが、このページでは67年までの作品をレビューいたしました。




Its Time  イッツ・タイム/ジャッキー・マクリーン

1964年8月5日

Blue Note

おすすめ度

hand       ★★★★

しげどん  ★★★★☆

ショーン  ★★★★★

Charles Toliver(tp),Jackie Mclean(as),Herbie Hancock(p),Cecil McBee(b),Roy Haynes(ds)

いきなり激しいナンバー。ハービーハンコックの鍵盤が空から雨霰の如く降り注ぐ様な感覚に呼応する様に、管楽器達が吠えるcancellation。またアルバムタイトル曲のit's timeも素晴らしい。ハービーハンコックの自由な発想が際立ち、他のプレイヤーに緊張感を与え、高いレベルで完結している。(ショーン)

チャールズ・トリバー、セシル・マクビーが初参加。2回目の参加となるハンコックがソロだけでなく、バッキングでも目立っている。過去にいないタイプをアピールする。ハンコックの激しいプレイが満載。ラストのみ辛口バラード。(hand)

新しい段階に入ったマクリーンが、そのスタイルをほぼ完成させた感じがする。ハンコックのピアノは単なるリズムセクションではなく前に出てきておりマクリーンと丁々発止のアドリブ合戦。ハンコックのグループにマクリーンが客演したかのような雰囲気だ。(しげどん)

 

 



Action/Jackie Mclean  アクション/ジャッキー・マクリーン

!964年9月16日

Blue Note 

おすすめ度

hand       ★★★☆

しげどん  ★★★☆

 

Jackie Mclean(as),Bobby Hutcherson(vib),Charles Tolliver(tp),Cecil McBee(b),Billy Higgins(ds)

 

冒頭から抽象的な曲調ではじまり、ピアノレスのリズム陣も私のような保守的なファンにはとっつきにくい。でも通して聴くとスタンダードもあり、ソロも聴きやすい作品だった。新しめのテイストが好きな人には高評価の作品かもしれない。(しげどん)

①またまた、アウトトゥランチの苦手な雰囲気が戻ってしまった。②③はいい。トリバーのソロには情感ある。④久々のスタンダード。意外性はあるが、マクリーンのソロは、本領を発揮。⑤バイブもピアノ的なバッキングをして、金属感は弱めで好感。①以外は、聞きやすい。(hand)



Right Now/Jackie Mclean  ライト・ナウ/ジャッキー・マクリーン

1965年1月29日

Blue Note

おすすめ度

hand       ★★★★

しげどん   ★★★★☆

ショーン   ★★★

Jackie Mclean(as),Larry Willis(p),Bob Cranshaw(b),Clifford Jarvis(ds)

ラリー・ウィリス、ボブ・クランショウ、クリフォード・ジャービスという新メンバー。アウトな感じが弱く好感度高い。②のドルフィーに捧げたバラードは、レフト・アローンのような泣きのマクリーン節を期待するとキレイ過ぎて裏切られる。①が好印象(hand)

ワンホーンカルテットによる新しいマクリーンながら彼の直情的な表現力も生きている。特に一曲目は勢いがあり、プレステ時代とは違う新しい感覚なのにマクリーンらしい情感も残っている。ただし二曲目のバラードだけは平板な感じで、マクリーンの良さである訴えかける表現がなく残念。この二曲目がなければ5ツ星だった。(しげどん)

eco 勢いで聞かせる演奏だが、いまいちコクがなく、スッと終わってしまう。poor dricが暗い。まるでお経の様な響きで物悲しい。このマイナー感は狙い通りなのかもしれないが、個人的には繰り返し聞きたいとは思えない。アルバム全体を通しても、特筆するところのない、微妙な出来栄え。(ショーン)

 

 



Jacknife/Jackie Mclean  ジャック・ナイフ/ジャッキー・マクリーン

1965年9月24日

Blue Note

おすすめ度

hand       ★★★★

Lee Morgan(tp),Charles Tolliver(tp)Jackie McLean(as),Larry Willis(p),Jack DeJohnette(ds)

①は、コルトレーンの「クレセント」と「至上の愛」の間の盤のような雰囲気の曲。2曲目、4曲目はマクリーンらしいが、3曲目はマイルス風だ。5曲目もややマイルス的な曲だ。コルトレーンなどの影響がストレートに出過ぎてお蔵入りしたのではないか?演奏自体は特段悪くない。(hand)



Hi-Frequency /Jackie Mclean

1966年4月18日

Blue Note

CD未発売

おすすめ度

hand       ★★★☆

Jackie Mclean(as),Larry Willis(p),Don Moore(b),Jack DeJohnette(ds)

ジャックナイフという2枚組のLPとして発売された未発音源の後半。前半がCD化されたのに、後半は未CD化のままだ。悪い内容ではないが、売れる要素もあまりないのだと思うが、ジャック・ディジョネットのドラムは価値があると思う。あまり人気はないが、ラリー・ウィリスもハンコック的ないいプレイを聞かせている。④ボサ、⑤ジャズロックは、マクリーンのリーダー盤では珍しく貴重だ。(hand)



Consequence/Jackie Mclean  コンシークエンス(帰結)/ジャッキー・マクリーン

1965年12月3日

おすすめ度

hand       ★★★☆

しげどん   ★★★☆

Lee Morgan(tp),Jackie Mclean (as),Harold Mabern(p),Herbie Lewis(b)Billy Higgins(ds)

①②は新主流派的な激しい演奏。③スタンダードのバラード。④明るいカリプソ。⑤なかなかいい曲。⑥もカッコいい。最初の2曲がこの頃のマクリーンのやりたかった内容だと思うが、肩に力が入り、なかなか馴染みにくい。この手の曲はどんどん発売されたのにこの盤が未発となった理由は、後半が従来の私好みの雰囲気だったからか(笑)。(hand)

リー・モーガンもいてややジャズ・ロックぽいアルバムかと思いきや、My Old Flameのような耳慣れたスタンダードから雰囲気が変わる。でもマクリーンにピッタリの曲のはずだが特有の歌い上げ感がウスい感じで、リー・モーガンのラッパのほうが泣かせる感じだ。最後のVernestuneは発掘盤ジャッキー・マクリーン・クインテットでもやっていたThe Three Minorsと同じ曲。この曲二回吹き込んで二回ともボツになっていたわけだ。全体的にオーソドックスなアルバムで、これまたボツになった理由は、ブルーノートが志向する新しい実験精神に欠けるからなのか。LTシリーズのダサイジャケットも不人気の理由だろう。(しげどん)



Dr.Jackle/Jackie Mclean  ドクター・ジャックル/ジャッキー・マクリーン

1966年12月18日

Steeplechase

おすすめ度

hand       ★★★

Jackie Mclean(as),Lamont Johnson(p),Scotty Holt(b),Billy Higgins(ds)

チューンアップと同日のライブ、BN時代の66年の録音を、後年所属したスティープルチェイスが79年に発掘発売したもの。場所もデンマークではなくアメリカ(ボルチモアのレフトバンクソサエティ)だ。ライトナウ(1965)とニューアンドオールドゴスペル(1967)の2年間に、マクリーンはコンスタントに4枚分(ジャックナイフ、コンシークエンス、ハイフリークエンシー、ヒプノシス)を吹き込んでいるが、全てお蔵入りにされている。そんな暗中模索している時期のライブだ。荒削りで重苦しい演奏が多いが、時折、昔のマクリーンも感じる。マクリーンは枚数が多い割にライブが少なく、モンマルトル以降は増えてくるが、それ以前はこの発掘2枚以外には、ケニー・ドーハムとの「インタ・サムシン」しかない。この2枚は、音もやや悪く、初心者にはオススメしたくない。マクリーンを編年的に聞いてきて、やっと理解できる盤だと思う。(hand)



Tune Up/Jackie McLean  チューン・アップ  ジャッキー・マクリーン

1966年12月18日

Steeplechase

おすすめ度

hand       ★★★☆

Jackie Mclean(as),Lamont Johnson(p),Scotty Holt(b),Billy Higgins(ds)

ドクター・ジャックルの続編。こちらは87年に発売。ジャックルはマクリーンのオリジナルだけだが、こちらはスマイルなども入ってやや明るい印象がある。(hand)



Hipnosis/Jackie Mclean  ヒプノシス/ジャッキー・マクリーン

1967年2月3日

Blue Note

CD未発売

おすすめ度

hand       ★★★☆

Grachan Moncur Ⅲ(tb),Jackie Mclean(as),Lamont Johnson(p),Scotty Holt(b),Billy Higgins(ds)

未CD化の1枚。トロンボーンのグラチャン・モンカー入りの盤。①タイトル曲は、ボイス入りの異色曲だが、カッコいい曲ではある。マクリーンのソロにはコルトレーンを感じる。③マクリーンらしさの出た快調な演奏。(hand)



New and Old Gospel/Jackie Mclean   ニュー・アンド・オールド・ゴスペル/ジャッキー・マクリーン

1967年3月24日

Blue Note

おすすめ度

hand       ★★★★

しげどん   ★★★

ショーン   ★★★★☆

Jackie Mclean(as),Ornette Coleman(tp),Lamont Johnson(p),Scotty Holt(b),Billy Higgins(ds)

オーネット入りなので、マクリーン史上、最高フリー作品かと思って聞くと、そうでもない。意外と聞きやすい盤だ。オーネットがアルトではなく、トランペットを吹くが音色がマイルス・ライクだ。逆にマクリーンがいつものマクリーンではあるのだが、多少オーネット・ライクになっている気がする。②のピアノは、キースを思い出す。③もアメリカの香りがする。(hand)

フリーの家元コールマンとの共演。力強いフリージャズを期待したが、マクリーンの大作組曲や、ゴスペルをモチーフにしたコールマンの曲など、素材に凝りすぎな感じでソロの自由闊達さがない。(しげどん)

ゴリゴリと周りの木々をなぎ倒しながら、突き進むドラムのビリーヒギンズに煽られて、ジャッキーマクリーンとオーネットコールマンが勢いのある演奏で共演。パワフルな音の暴力に耳がやられそうだが、つい引き込まれてしまう。単純なフレーズの繰り返しの中にも、説得力のあるフリーな感性が飛び交う、面白い作品だ。(ショーン)

 



'Bout Soul /Jackie Mclean バウト・ソウル/ジャッキー・マクリーン

1967年9月8日

Blue Note

おすすめ度

hand       ★★★☆

しげどん   ★★★☆

Jackie Mclean(as),Barbara Simmons(Recitation)Woody Show(tp),Grachan Moncur Ⅲ(tb),Lamont Johnson(p),Scotty Holt(b),Rashied Ali(ds)

一曲目は朗読というより一人芝居と楽器との会話である。詩人のバーバラ・シモンズはマクリーンの演奏を聴いて彼に詩をプレゼントした事がきっかけでこんな作品を作ることになったと裏面ライナーにある。読み聞かせを信条としているので、このような経験を待望していたとか。詩の意味はよくわからないし、翻訳しても行間のニュアンスはわからないだろうけど・・・ナット・ヘントフもライナーの中で詩の内容については言及していないようだ。シリアスな作品だがとにかくリラックスして聴けるような作品ではない。フリージャズファンにはおすすめかも。(しげどん)

①女性(バーバラ・シモンズ)の唄(語り)から始まり驚いていると、マクリーンのソロになり、リズム隊はややフリーなリズムを刻みだす。マクリーンもフリーっぽくはなるが、やはりマクリーンだ(笑)。女性の語りが続き、曲は悪くないが、作品として何度も鑑賞する気がなくなる原因だ。ジャケ写の女性がこの人かは不明だ。②この盤唯一のマクリーン作。フリー寄りの演奏だ。ラシッド・アリがよりフリーに引っ張っている。④親しみやすいバラード(hand)



Demon's Dance  デモンズ・ダンス/ジャッキー・マクリーン

1967年12月22日

Blue Note

おすすめ度

hand       ★★★☆

しげどん  ★★★☆

 

Jackie Mclean(as),Woody Show(tp,flh),Lamont Johnson(p),Scotty Holt(b),Jack DeJohnette(ds)

ディジョネットのドラムがやたらと目立つブルーノート最終作。フリーへの接近はしたが、最後は新主流派的なハード・バップ⁈そして、長期の休業に入り、次作は、モンマルトルのライブだ。③がこの時期の名作。4ビート曲であって欲しかった。(hand)

やたらとおどろおどろしいタイトルとジャケットだが、内容はオーソドックスなジャズに一歩だけ戻った感じの一枚。スィート・ラブ・オブ・マインはアート・ペッパーも演じた哀愁ある曲だが、作曲者ウディ・ショーには申し訳ないが、このような曲はマクリーンのワンホーンで聴きたかった。(しげどん)