Bud Powell バド・パウエルCDレビュー  リーダー作②

ここではバド・パウエルの中期とも言える1955年~58年の作品をレビューしていきます。初期の鬼気せまる迫力は影をひそめますが、「クレオパトラの夢」を含むThe Scene Changesなど、くつろぎの作品を生み出し、人気盤になっています。この後1959年から彼はパリに移住します。

人気曲「クレオパトラの夢」を含む ザ・シーン・チェンジス:アメイジング・バド・パウエル第5集


・新宿ジャズ談義の会 :バド・パウエル  CDレビュー 目次

リーダー作、サイド参加作、発掘盤も含めてレビューしています。下記よりクリックして参照してください。

・Bud Powell バド・パウエル おすすめBest5

・Bud Powell CDリーダー作 ①1947年~55年

Bud Powell CDリーダー作 ②1955年~58年・・・このページ

Bud Powell CDリーダー作 ③ 1959年~パリ時代

・Bud Powell CDリーダー作 ④ 1962年~65年 パリ時代後半~帰国

・Bud Powell サイド参加作

Bud Powell 発掘盤(Earl Bud Powell)


Piano Interpretations By Bud Powell ピアノ・インター・プリテーションズ・バイ・バド・パウエル

1955年4月25,27日

Verve

おすすめ度

hand      ★★★★☆

しげどん  ★★★★★

ショーン  ★★★★☆

Bud Powell(p),George Duvivier(b),Art Taylor(ds)

55年録音のヴァーブ後期の4作目、かなり好調な隠れ名盤

55年録音、ベースはジョージ・デュビビエで、ドラムはアート・テイラー。バドの作品には、明るくて楽しそうなものが少ないと思う。その中でこの盤の②イースト・オブ・ザ・サンは、珍しくウキウキする何かを感じる。③ハート&ソウルもそれに近い。あまり聞かれていないと思うが、隠れ名盤だと思う。(hand)

パウエルのオリジナルも一部あるが、多くは有名なスタンダード中心の選曲でなじみやすい一枚だ。初期の凄みが消えた感じだが、それがダレたリラックス感ではなく、逆にギスギスしたスリルの代わりに何か品格のようなものを感じる落ち着いた味わいを感じる。一枚のピアノトリオ作品として長く愛聴に値する傑作だと思う。(しげどん)

1955年の演奏で、パウエルがあまり調子の良い状態の演奏ではないとされる評が多いが、どうしてどっこいなかなか素晴らしいアルバムだ。軽やかなパウエルのピアノはクセと力みがなく、聴いていてとても快適な大人の空間を作ってくれる。サラリとJAZZに身を委ねたい時に相応しい1枚。ジャケットデザインも好きだ。(ショーン)



Blues in The Closet/Bud Powell ブルース・イン・ザ・クロゼット/バド・パウエル

1956年9月23日

Verve

おすすめ度

hand      ★★★★

しげどん  ★★★☆

Bud Powell(p),Ray Brown(b),Osie Johnson(ds)

56年録音のヴァーブ後期の5作目でラスト盤。タイトル曲が素晴らしい。

56年録音のヴァーブのラスト作。レイ・ブラウンのベースに、オシー・ジョンソンのドラムだ。③タイトル曲が素晴らしいので、冒頭に持ってくれば、もう少し人気盤になっていたのではないかと思う。(hand)

リラックスした演奏が聴けるこれも好盤だが、曲が短くあっさりと聴いてしまう感じがする。聴きやすい一枚ではあると思う。アナログ盤の大きさの魅力に浸れるオシャレで秀逸なジャケットデザインは、一時期私のレコード棚を飾っていた。(しげどん)



Strictly Powell/Bud Powell ストリクトリー・パウエル/バド・パウエル

1956年10月5日

RCA Victor

おすすめ度

hand      ★★★★

しげどん  ★★★★

Bud Powell(p),George Duvivier(b),Art Taylor(ds)

56年、メジャーのRCAに録音

56、57年は大手のRCAに各1枚、録音を残している。悪い内容ではないが、ほとんど話題になることがないこの2枚。特にこの盤は、冴えないジャケで視覚的にも訴えて来ない。大手なのだからその辺にお金をかけて欲しかった。さすがに録音はいい。改めてバドを聞いて思ったのは、湿っぽいところがあまりない。バラードの名手と言う人もいるが、私としてはどんな曲でもクールに弾きこなすバドをカッコいいと思うのであって、バラードで心に沁みるフレーズでリスナーを泣かせるタイプではないと思う。(hand)

まとまりのある整った明るさの中に、パウエル特有の病的な暗さを感じた一枚というのが第一印象だ。一曲目のThere'll Be・・・から、ライブ盤でも使っていたとても明るい感じのイントロ。大手RCAらしく録音も良いので優等生的なまとまりを感じながら、聴き始めはむしろその明るさに、やけくそにも思える軽さを感じた。でも11曲を聴き進めるにつれ、そのドライな表現の中に徐々に病的なまでの暗い影を感じてしまう。(しげどん)



Swingin’ With Bud/Bud Powell スインギン・ウィズ・バド/バド・パウエル

1957年2月11日

RCA Victor

おすすめ度

hand      ★★★★☆

しげどん  ★★★★

Bud Powell(p),George Duvivier(b),Art Taylor(ds)

57年RCA2作目の隠れ名盤。ゲット・イットは必聴

RCA2枚の1枚。評論家の評価は高くないが悪い盤ではない。評論家がバドに求める神がかったカミソリのような演奏が入っていない。でも、その辺の粗製乱造のピアノトリオ盤と比べたら、この盤を聞いたほうがピアノトリオ芸術の香りに浸ることができる。⑨ゲット・イットは私の考えるバドらしい演奏で好感だ。ブルー・パールやクレオパトラに近い路線の曲だ。(hand)

この作品も緊張感を維持したいい感じである。大手RCAへの録音なのだが、ヘンな小細工企画はないので純粋にピアノトリオを味わえる。でもウエットな暗さではないクールな哀愁がパウエルらしい魅力なので、それを味わえるパウエルのオリジナルをもっと前面に出して欲しかった。Shaw Nuffのようなバップチューンも悪くはないが、B面の一曲目にはすべきではないと思うのだが・・・(しげどん)



Bud ! /The Amazing Bud Powell Vol.3  バド! アメイジング・バド・パウエル第3集

1957年8月3日

Blue Note

おすすめ度

hand      ★★★★☆

しげどん  ★★★★

Bud Powell(p),Curtis Fuller(tb:6-8),Paul Chambers(b),Art Taylor(ds)

ピアノトリオとカーテス・フラーをフューチャーしたカルテットでパウエルの多面性を生かした一枚。ブルー・パールは名曲にして名演。

57〜59の3年間は再度のブルーノート期で、アメイジングのVol.3〜5を残している。Vol.3からはアメイジング以外にサブタイトルが付くようになる。①サム・ソウルはブルース。悪くないがバドはあまりブルースに個性を求める人ではないと思う。②ブルー・パール。名曲の名演だ。この曲を冒頭に持ってきていれば、もっと人気盤になっていたはずだ。Vol.3の特徴は、後半のアナログB面にカーティス・フラーが入っていること。トロンボーンのワンホーン盤は珍しいのに、バドのワンホーン盤にフラーをフィーチャーした理由は不明だが、バドが新人フラーをかわいがっていたか、ブルーノートが売り出そうとしていたかではないか?フラーのトロンボーンはお気に入りだが、ここでは彼特有の弾けるところが少ない気がする。(hand)

聴き込むと面白い要素が多いが、一聴きしてのインパクトが弱いのでブルーノート5枚の中でも地味な印象の一枚だ。A面はバドのオリジナル、B面はフラー入りのカルテットと企画としてはまとまっているが、要素としてはごった煮にしたような一枚。A面のBlue Pearlのようなヒット要因がありそうないい曲もある一方で、バッハ風のソロピアノなどパウエルの多面性が表現されていて、面白味はあるがまとまりはない印象もある。B面のフラーのトロンボーンもほのぼのとして良いが強いインパクトはない。パウエルという人の多面性を味わうには、聴き込むと面白味を感じる一枚だと思う。(しげどん)



Bud Plays Bird/Bud Powell  バド・プレイズ・バード

1957年10月14日

12月2日

1958年1月30日

Roulette → Blue Note

おすすめ度

hand      ★★★★

しげどん  ★★★☆

Bud Powell(p),George Duvivier(b),Art Taylor(ds)

発掘音源によるバド・パウエルによるパーカー曲集

ルーレットに57、58年にスタジオ録音して未発だった音源を発掘男マイケル・カスクーナが96年に発掘し、現在はブルーノートから出ている盤。パーカー曲をバドが演奏するので期待は高まるが、58年になると雰囲気はビバップからハードバップになるのであまり受けないとお蔵入りしたのであろうか?湿っぽいところのないパーカーの曲をバドがクールに弾きまくるのがこの盤で内容は悪くない。ただ、聞く方がこの時期のクレオパトラやブルー・パールの湿り気のあるメロディを期待して聞くとあてが外れると思う。(hand)

演奏は好調なパウエルが聴けるし、耳慣れたパーカーの曲なのですんなり楽しめる作品だ。でも、パーカーの曲がパウエルの本質にあった素材かは疑問があるので、バド・パウエルの魅力を充分に引き出した一枚だとは思えない。でも発掘音源としてパウエルの一面を記録した貴重な音源である事には間違いない。(しげどん)



Live at Birdland 1957/Bud Powell  ライブ・アット・バードランド1957/バド・パウエル

1957年10月Marshmallow 

入手困難盤につきリンクはありません。

おすすめ度

hand      ★★★★

Donald Byrd(tp),Phill Woods(as),Bud Powell(p),Paul Chambers(b),Art Taylor(ds)

日本のマシュマロが発掘したドナルド・バードとフィル・ウッズ入りの57年の海賊盤

ブルーノート期の57年の放送用海賊盤。日本のマシュマロが2013年に発掘した、53年バードランド録音の日本のS.S.J.盤に次ぐ新しい盤。この盤は内容が珍しく、ドナルド・バードとフィル・ウッズという若手フロントが参加している。この頃、2人は丁度ジョージ・ウォーリントン5に在籍しており息もあっている。2人とも後年のような艶やかなスタイルではなく、バッパーとして演奏している。バドは若手に刺激されたのかかなり熱の入ったプレイをしている。全4曲で1曲が長く、ソロも長いのがうれしい。(hand)



Time Waits/The Amazing Bud Powell Vol.4  タイム・ウエイツ・アメイジング・バド・パウエル 第4集

1958年5月24日

Blue Note

おすすめ度

hand      ★★★★☆

しげどん ★★★★☆

ショーン ★★★

Bud Powell(p),Sam Jones(b),Philly Joe Jones(ds)

バド・パウエルのオリジナルで統一されたトリオ演奏。フィリー・ジョー・ジョーンズのサポートも秀逸

Vol.4の特徴は、マイルスのバンドで人気急上昇のフィリーとの共演だ。ベースが前作はチェンバースだったのに、サム・ジョーンズに変わって、マイルスのリズム隊のサポートとはならなかった。フィリーとの共演は、録音上はこの1回だけではないかと思う。フィリーは、期待に応えたいいプレイをしている。トリオ演奏では私の愛聴盤「ケリー・アット・ミッドナイト」と並ぶいいドラムだと思う。この盤が人気盤になれなかった理由は、演奏が比較的いい割に、キラーチューンがないことだと思う。全曲オリジナルで、悪くはないのだか、Vol.5のほうが曲がいい。③タイム・ウエイツはキレイなバラードだが、聞く側がバドに求めるのはコレではない。⑥ジョンズ・アベイはかなりいい線を行っている。ベースソロもいい。(hand)

アメイジング・バド・パウエルと題されたシリーズでは初めて寄せ集め編集ではなく一日のセッション。曲もバド・パウエルのオリジナルで全曲統一されている。ラテン調の一曲目を始めリズミカルな曲ではフィリー・ジョー・ジョーンズがパウエルを良く鼓舞していい演奏になっているが、タイトル曲のようなバラードではやや単調な印象。しかしアルバム全体の印象としては、よくまとまったいい作品で、「クレオパトラ」のような有名曲がないだけで、Vol.5と遜色のない同系統の作品という印象だ。(しげどん)

バドのピアノが散漫とした印象。まるで寒さで手が悴んでいるような滑りの悪さを感じる。メロディラインよりコード弾きを多用しているせいか?(ショーン)



The Scene Changes/The Amazing Bud Powell Vol.5  ザ・シーン・チェンジス・アメイジング・バド・パウエル 第5集

1958年12月29日

Blue Note

おすすめ度

hand      ★★★★★

しげどん  ★★★★

ショーン  ★★★★☆

Bud Powell (p),Paul Chambers (b),Art Taylor (ds)

超人気盤のアメイジングVol.5。クレオパトラだけでなくバドの素晴らしい曲のオンパレード

最も売れた人気盤で現在もよく売れていると思うが、バドの絶頂期の作品ではない。録音は58年12月29日。この録音を最後に59年にパリに移住する。64年まで5年間滞在し、64年に帰米し、翌65年には亡くなってしまう。ベースとドラムは、チェンバースとA.T.でVol.3と同じだ。初めて聞いたとき、オリジナルのいい曲ばかりで1枚の盤を作るバドをすごいと思った。演奏がすごいのはVol.1でわかっていたので特に感じなかった。絶頂期でないのは読んで知った知識であり、この盤を聞いてそうは感じなかった。チェンバースもA.T.もいいプレイをしている。A.T.は彼の最高傑作かもしれない。①クレオパトラは、バドの最大の名曲とされていて、確かに素晴らしい。ただ、バド自身がそう思ってはいなかったのではないか?と思う。というのも大量の海賊ライブ録音にこの曲がない。それだけでなく、Vol.5の曲はクロッシン・ザ・チャネル以外に全く再演記録がない。バド自身はこの盤に好きな曲がなかったのかもしれない。そして、もし長生きしていたら、日本人プロデューサーにクレオパトラ・アゲインのような盤を吹き込まされていたかもしれない。早世してよかったとは言わないが、変な作品を聞かないで済んだとは思う。唸り声への賛否はあるが、やはりバドはこの盤から入るのがいいと思う。(hand)

バド・パウエルの人気盤といえばこれ。昔キングレコードから初めてブルーノート盤が紹介された第一弾発売時にも、パウエルの作品はVol.1ではなく、こちらが選ばれていた。名曲「クレオパトラ」は、耳になじみやすいいい演奏で人気があるのも納得。もちろんVol.1で感じるような凄みは感じないが、親しみやすさがある。でもCMにも使われ、ちょっと飽きてしまうくらい使い尽くされた感じがして、私自身はあまり聴き返す事をしない一枚になっている。ほかのオリジナルも耳に馴染みやすいのが逆にちょっとコーニーに聴こえてしまう。(しげどん)

バドにかかると、複雑なメロディラインもサラリと弾いてしまうので、その価値を見落としてしまいそうだが、印象に残るフレーズをこのアルバムでは、次々と披露し、創造性に満ち溢れた名盤だ。特にComin’Upには映像感と新規性を感じ、ユニークで素晴らしい。聴く側の想像力も試される曲だ。(ショーン)



・新宿ジャズ談義の会 :バド・パウエル  CDレビュー 目次

リーダー作、サイド参加作、発掘盤も含めてレビューしています。下記よりクリックして参照してください。

・Bud Powell バド・パウエル おすすめBest5

・Bud Powell CDリーダー作 ①1947年~55年

Bud Powell CDリーダー作 ②1955年~58年・・・このページ

Bud Powell CDリーダー作 ③ 1959年~パリ時代

・Bud Powell CDリーダー作 ④ 1962年~65年 パリ時代後半~帰国

・Bud Powell サイド参加作

Bud Powell 発掘盤(Earl Bud Powell)