アート・ファーマー(1928-1999)は、初期にライオネル・ハンプトン楽団に加わり欧州楽旅している。その時の仲間、同じトランペット のクリフォード・ブラウンから影響を受けたと思われるブリリアントなスタイルからスタートしている。
※ブラウニー&ファーマーのハンプトン楽団での欧州楽旅の記録 「クリフォード・ブラウン・メモリアル」「コンプリート・パリ・コレクション」ファーマーはいずれもブラウニーに負けず劣らず素晴らしいソロ
その後、彼独自の温かみを持ったしっとりとしたスタイルに徐々に変化していく。
1961年からは、さらに温かみとまろやかさもある音色のフリューゲルホンも併用するようになる。今回は、デビューからフリューゲルを使った1965年までの盤を対象としたが、我ら新ジ談は、結果的にフリューゲル盤を 一枚も選んでいない。3人とも、ファーマーがブリリアントからウォームな音色に変化している時期のファーマーが好きなのかもしれ ない。
ベニー・ゴルソンと組んだジャズテットやジム・ホールとの演奏も対象としたが、選ばれなかった。また、ソニー・クラークの 「クール・ストラッティン」などの超名盤にサイドとして入っているものはあえて外して、ファーマーに可能な限り焦点を当てて選んだ。(hand)
パーソネル:Art Farmer(tp),Tommy Flanagan(p),Tommy Williams(b),Albert Heath(ds)
まさに大人の味わいの円熟のトランペット。聴き込むほど味わいが深まるアート・ファーマーの最高傑作で、トランペットによ るワンホーン作品の中でも最高の作品の一つ。学生の頃友人におすすめのジャズを聞かれるとこの盤を推薦していた時期があった。(しげどん)
アート・ファーマーのマイルドなトランペットの魅力を余すところなく感じることのできる名盤。トミー・フラナガンの叙情性のあ るピアノの調べと正確なトミー・ウィリアムスのベースワークが、全体の雰囲気を創り出しており、何度でも聞きたくなる。馴 染みやすいスタンダード曲が多く、Jazz初心者にもオススメできる。(ショーン)
ファーマーの最高盤を「モダン・アート」と争う銘品。久しぶりに改めて聞いてみると、ファーマーもいいが、あまり知られぬ ベースのトミー・ウィリアムスがいい。盤全体を端正なものとしている。この盤のベース&ドラム(アルバート・ヒース)は、ジャズテットのリズム隊なので、息もぴったりだ。(hand)
Art Farmer(tp),Benny Golson(ts),Bill Evans(p),Addison Farmer(b),Dave Balley(ds)
とにかく聴きなじんだ名盤。曲も演奏もよい。ベニー・ゴルソンの作編曲家ぶりを発揮した作品かと思いきや、ファーマーが アレンジも多く担当していて、ファーマー主導によるファンキージャズアルバムなのであった。(しげどん)
我が敬愛するビル・エバンス様ながら、この1曲目のイントロは好きになれない。1曲目の冒頭は、盤全体の印象に影響を 与えてしまう。それ以外に問題のない、どころか、超好内容の盤だ。2曲目フェアウェザーは傑作だ。クオリティの一段高い 名盤だ。(hand)
アート・ファーマーの代表作ともいえるアルバム。やや特徴に欠けるきらいがあるが、全体的には、良くまとまっている。 ファーマーのプレイは前半のパッパラ全開トランペットより、後半のミュートした曲の方が味があり、ピアノのビル・エヴァンス が、上手くバラードの雰囲気の演出を支えている。残念なのはベニー・ゴルソンのテナー、表情無く一本調子で、やや雰囲 気を壊している。(ショーン
1958年4月19日,5月1日 Contemporary
おすすめ度
hand ★★★★
しげどん ★★★★☆
ショーン ★★★★☆
Art Farmer(tp),Hank Jones(p),Addison Farmer(b),Roy Haynes(ds)
ワンホーンによる佳作。ファーマーのもつしっとりとした味わいのトランペットがたんのうできる。ハンク・ジョーンズのピアノも上品でファーマーとよくマッチしている。オリジナルよりもスタンダード曲が良く、ゴルソンのステイブルメイツもマクリーンのものよりもいい感じだ。夜、一杯飲みながら一人で静かに聞きたくなる作品。(しげどん)
アートファーマーのトランペットは、微妙にキーがズレたような独特の浮遊感、新鮮感があり面白い。特に空(から)吹きのかすれた息づかいが、とても魅力的でハスキーだ。リーダーのファーマー自身がリラックスして演奏を楽しんでいるアトモスフィアが伝わって来る。そのためか、ハンクジョーンズのピアノも肩の力が抜けた好演奏だ。(ショーン)
初のワンホーンリーダー作。ワンホーンと言えば、アーゴの「アート」だが、こちらも悪くない。ハンク・ジョーンズがやや地味な気はするが、地味がハンクの売り物だ!(笑)。早逝したアートの双子の兄弟、アディソン・ファーマーも、さすがに息が合っている。あまり知られていないが、愛聴する価値のある盤だ。(hand)
1956年8月3日 Prestige
おすすめ度
hand ★★★★
しげどん ★★★★☆
ショーン ★★★☆
Art Farmer,Donald Byrd (tp),Jackie McLean(as),Barry Harris(p),Doug Watkins(b),Art Taylor(ds)
50年代のハードバップの雰囲気が味わえるジャズらしさ全開の作品。ドナルド・バードのトランペットはメロディアスで上品。
ファーマーもホットな熱演をしており彼を静的なトランペットと思ったら間違いだ。ほかのメンバーの存在感も十分に楽しめる。今回はCDで聞いたが、アナログが欲しくなった。(しげどん)
単なるプレスティッジのジャムセッション的な盤だろうと思って聞くと、きちんとアレンジされた盤である。ファーマーとドナル
ド・バードの二枚看板に、好調のジャッキー・マクリーンも加わり、隠れ名盤である。1曲目からかっこいいソロの共演が聞かれる。③のファーマー、⑤のバード単独も素晴らしい。(hand)
ドナルド・バードとアート・ファーマーの2人のトランペッターが競演する贅沢なアルバムだが、テンポの速い曲が多く、ハリキッタ2人が疾走すると、ごちゃごちゃしてしまい、やや聞き辛くなるところもある。最後のラウンド・ミッドナイトは、ドナルド・バードの快活なトランペットの雰囲気が良い。(ショーン)
Milt Jackson(vib),Art Farmer(tp),Benny Golson(ts),Tommy Flanagan(p),Paul Chambers(b),Connie Kay(ds)
ミルト・ジャクソンのヴィブラフォンのメロディアスな演奏に、ファーマーの伸びやかなトランペットがしっかりとマッチして、最高のパフォーマンスを発揮している。しかもメンバーは超一流どころの面々である。ショーン的にも愛聴盤となる傑作アルバムだ。(ショーン)
陰影のあるゆったりした雰囲気の愛聴に足る作品で、私的にはミルト・ジャクソンのリーダー盤では、オパス・デ・ジャズよりこちらの方が好き。ミルトの出番が多く彼のソロはもちろん素晴らしい。しかし、比較的ゆったりした曲調が多いため、ファーマー本来のしっとりした個性にマッチしていると思う。(しげどん)
モダン・ジャズ・カルテット(MJQ)+2ホーンズのような雰囲気の盤だ。ミルトはリーダー盤になると、ファンキー&ソウルフルな演奏をするとよく言われているが、ここでは最後まで品のいい演奏に終始している。ミルトの盤なので、ファーマーの活躍する場面は限られるが、この時期のファーマーは好調で、⑤ではテーマも吹いている。くつろぎのあるイイ盤だ。(hand)