John Lewis ジョン・ルイス  サイド作①1949~1956



ここでは取り上げませんでしたが、ルイスの初期はデイジー・ガレスピーのビッグバンドのピアニスト兼アレンジャーとしてスタートします。チャーリー・パーカーとも録音した後、この時期にマイルスやブラウニーのサイドマンとしてビバップからハードバップへの橋渡しをした一人であることがわかります。1954年にはモダン・ジャズ・カルテット(MJQ)を結成し、MJQが活動の中心となり、リーダー録音は続きますが、サイドマンとしての活動は減っていきます。



THE BIRTH OF THE COOL / Miles Davis クールの誕生

1949.4.22

1950.3.9

Capitol

おすすめ度

hand      ★★★☆

1949年4月22日 Miles Davis(tp),J.J. Johnson(tb),Sandy Siegelstein(frh),Bill Barber(tu),Lee Konitz(as),Gerry Mulligan(brs),John Lewis(p),Nelson Boyd(b),Kenny Clarke(ds)

1950年3月9日 Miles Davis(tp),Gunther Schuller(frh),Bill Barber(tu),Lee Konitz(as),Gerry Mulligan(brs),John Lewis(p),Al McKibbon(b),Max Roach(ds),Kenny Hagood(vo)

マイルスの歴史的重要盤にピアニスト、アレンジャーとして参加

この盤の最も古い録音である49年1月21日のセッション4曲のみがアル・ヘイグのピアノで、他はジョン・ルイスがピアノのほか、曲やアレンジを提供していて、この歴史的重要盤に大きな役割を果たしている。ただ、私の感覚としては、この盤の強く印象付けているのは49年1月21日の4曲のような気がする。「コンプリート」盤に追加されたより古い48年9月のライブセッションもルイスがピアノを弾いている。いずれも、バッキング中心で、ルイスが目立つ場面は少ない。ルイス曲⑪ルージュ、に短いソロがある。(hand)



TROMBONE BY THREE / J.J. Johnson & Kai Winding, Benny Green

1949.5.26:1-4

Prestige

おすすめ度

hand      ★★★

1-4:Kenny Dorham(tp), J.J.Johnson(tb), Sonny Rollins(ts), John Lewis(p), Leonard Gaskin(b), Max Roach(ds)

J.J. ジョンソンのビバップセッションに4曲参加

タイトルは3人だが、それぞれ別のプレステッジのセッション。最初4曲がジョン・ルイスの入ったJ.J.ジョンソンの録音。初期のドーハムとロリンズも入りメンバーは豪華だが、演奏はビバップ後期の感じがする。ここでのルイスはバド系だが、独特の間の取り方は既にある。(hand)



STITT/POWELL/J.J. / Sonny Stitt, Bud Powell, J.J. Johnson

1949.10.17

Prestige

おすすめ度

hand      ★★★★

Sonny Stitt(ts), J.J. Johnson(tb 10–17), John Lewis(p 10–17), Nelson Boyd(b 10–17), Max Roach(ds)

超名盤の後半、J.J. ジョンソンのくつろぎ部分にルイスが参加

有名な「スティット/パウエル/J.J.」は、メインがスティット=パウエルのセッションで、J.J.はオマケ的な4曲(別テイクもある。)。激しいバップの前半に比べ、J.J.のセッションはくつろぎ系だ。後半のスティットはややロリンズ的な硬質な音色のテナーを吹いている。ルイスの名曲アフタヌーン・イン・パリが演奏される。ルイスのピアノはバドの鬼気迫るピアノの後に聞くとくつろぎ系に聞こえてしまう。(hand)



COMPLETE VERVE STUDIO SESSIONS / John Lewis With Lester Young

①-⑤,⑱-⑳:1950.6

⑥-⑪,㉑:1951.1.16

⑫-⑰:1951.3.8

Definitive(Verve)

おすすめ度

hand      ★★★★

 

Lester Young(ts), John Lewis(p),

①-⑤,⑱-⑳:Joe Shulman(b), Bill Clark(ds)

⑥-⑰,㉑:Gene Ramey(b), Jo Jones(ds)

レスターとルイス・トリオのくつろいだ共演の編集盤

レスターはスイング時代のまま、リズム隊のみがバップ時代を迎えた感じのワンホーン演奏。ジャケはなんの工夫もないルイスの顔だけだが、盤自体はくつろぎがあり、なかなか楽しめる内容だと思う。レスターには、バドやピーターソンのように手数の多いピアノよりもルイスやハンク・ジョーンズのような間を大事にするピアノが合っているように思う。元盤はヴァーブ録音のレスターの「レスター・スウィングズ・アゲイン」と「レスターズ・ヒア」で、このCDはスペインのデフィニティブの編集盤。(hand)



MILES DAVIS AND HORNS

①-④:1951.1.17

⑤-⑧:1953.2.19

Prestige

おすすめ度

hand      ★★★

 

Miles Davis(tp), John Lewis(p),

①-④:Al Cohn, Zoot Sims(ts), Sonny Truitt(tb), Leonard Gaskin(b), Kenny Clarke(ds)

⑤-⑧:Bennie Green(tb), Sonny Rollins(ts), Percy Heath(b), Roy Haynes(ds)

アル&ズート、ロリンズとの2セッションからなるマイルス盤

51年のアル&ズートとの、53年のロリンズとのセッションからなるマイルス盤。いずれもジョン・ルイスがピアノを弾いている。前半②フロッピー、などで軽やかなルイスのピアノソロが聞かれる。後半はビバップ期に近いせいかメンバーのせいか、ルイスにも多少だがバド的なものを感じる。(hand)



BLUE HAZE / Miles Davis

1953.5.19

Debut

おすすめ度

hand      ★★★

 

④⑥⑦⑧:1953年5月19日:Miles Davis(tp), John Lewis(p), Charles Mingus(b), Max Roach(ds)

マイルスのファーストコールだった時代のルイスが後半に収録

53年のセッションと54年のセッションからなる盤。53年はジョン・ルイスで54年はホレス・シルバーだ。そう思うと、48〜53年のマイルスが最も指名したピアノはルイスであったことが今回、発見できた。ルイスがピアノを弾くのは3曲で盤の最後⑥〜⑧に収録されている。やはりハードバップ時代が近づきシルバー的なハードなノリが重視されるようになる。ルイスは徐々にサイドマンとしての録音が減り、ハードバップとは別の独自の音楽をMJQ、ソロ、サードストリームなどで追求するようになっていく。(hand)



MEMORIAL ALBUM / Clifford Brown

1953.8.28

Blue Note

おすすめ度

hand      ★★★★☆

Clifford Brown(tp), Gigi Gryce(as,fl), Charlie Rouse(ts), John Lewis(p), Percy Heath(b), Art Blakey(ds)  

ブラウニーのBN名盤のブラウニーリーダー部分に参加

クリフォード・ブラウンのブルーノート盤「メモリアル・アルバム」のピアノの半分をルイスが担当(半分はルー・ドナルドソンのリーダー録音でピアノはエルモ・ホープ)。バップからハードバップへの変化の兆しを感じる演奏だが、ハードバップ度はホープ参加のルウドナのリーダー録音部分の方が強い。ただ、こちらのジジ・グライスの優雅なアレンジも捨てがたい。ルイスは、比較的バド寄りのプレイになっていると思う。(hand)



FOUR TROMBONES…THE DEBUT RECORDINGS / J.J. Johnson, Kai Winding, Bennie Green, Willie Dennis

1953.9.18

Debut

おすすめ度

hand      ★★★ 

J.J. Johnson, Kai Winding, Bennie Green, Willie Dennis(tb),

John Lewis(p), Charles Mingus(b), Art Taylor(ds)

4トロンボーンの当時としては珍しい長尺ライブ盤

アナログ時代はVol.1と2の2枚で出ていたライブ。当時としては珍しい全8曲中4曲が10〜15分の演奏となっている。ルイス、ミンガス、アート・テイラーというリズム隊で、4人のトロンボーン奏者がジャム的演奏を繰り広げる。ミンガスのレーベル、デビューからで、ミンガス曲が多く、実質はミンガスのリーダー録音なのかもしれない。ただ、演奏にミンガス・カラーは感じない。ルイスはセッションピアニストとしての役割を果たしている感じだ。(hand)



THE MODERN JAZZ SEXTET

1956.1.12

Verve

おすすめ度

hand      ★★★☆

Dizzy Gillespie(tp), Sonny Stitt(as), John Lewis(p), Skeeter Best(gr), Percy Heath(b), Charlie Persip(ds)

ディジー・ガレスピー、ソニー・スティットのジャム盤

この盤は「モダン・ジャズ・ソサエティ」とは異なり、ルイスの主導性はない。ガレスピーやスティットが入っていない部分があるので、便宜上、ルイス盤と整理されることがあるというくらいの話で、リーダーなしのジャム盤だと思う。⑥ブルース・フォー・バード、の冒頭にあまりブルージーでないルイスのテーマとソロが聞かれる。この盤は名盤ガイドに載ることが多いが、演奏がいい割に訴えてくるものをあまり感じない。ジャム的な演奏の限界なのだろう。(hand)



JAZZ PIANO INTERNATONAL / Dick Katz, Derek Smith, Rene Urtreger

1956.8.6

Atlantic

おすすめ度

hand      ★★★☆

①④⑦⑩:Dick Katz(p), Ralph Pena(b), Connie Kay(ds)

②⑥⑨:Derek Smith(p), Percy Heath(b), Connie Kay(ds)

③⑤⑧⑪:Rene Urtreger(p), Paul Rovere(b), Al Levitt(ds)

 

ルイスが監修した有望新人ピアノ3人の盤

デレク・スミス、ディック・カッツ、ルネ・ユルトルジェという英米仏の3人の有望なピアニストを紹介した盤。ルイス自身は監修(スーパーバイズ)だけで参加はしていない。英スミスは、ジミー・ヒースとコニー・ケイというMJQのリズム隊なのでルイスに近い感じはあるが、ルイスよりも力強く感じる。米カッツは、ドラムがケイなこともあり間を生かす点がルイスに近く感じるが、ルイスよりも軽快だ。仏ユルトルジェは、ドラムも違い、ジョルジュ・ロベールが重厚なベースを弾いているので、雰囲気が多少違う。ユルトルジェ自身は、様々なスタイルでの演奏ができる人だが、ここではルイスに配慮したのか軽めに弾いていると思う。(hand)