Donald Byrd ドナルド・バード サイド作⑤ 1959~1962年


JACKIE'S BAG/JACKIE McLEAN

①〜③:59.1.18 他

Blue Note

おすすめ度

hand      ★★★☆

Jackie McLean(as),

①〜③:Donld Byrd(tp), Sonny Clark(p), Paul Chambers(b), Philly Joe Jones(ds)

ブルーノートに移籍後の録音だがこの前半はまだプレステッジの香りがする。

58年12月にバードのBN初盤「オフ・トゥ・ザ・レイシス」にマクリーンが参加し、翌59年1月にこのマクリーンの同じくBN初録音にバードが参加している。とはいえアナログA面にあたる①〜③のみで、後半④〜⑥とCD追加⑦〜⑨は、1年半以上後の60年9月で、トランペットはブルー・ミッチェルだ。BNでのマクリーンは、プレステッジ時代のハードバップから脱却を図り、新主流派的になっていくが、このA面は、バードやソニー・クラーク、チェンバース、フィリーという50年代的なメンバーと②ブルース・インなどでプレステッジ的な香りを残す演奏をしている。(hand)



TV ACTION JAZZ/MUNDELL LOWE

1959.2.3-5

RCA Camden

おすすめ度

hand      ★★★

Mundell Lowe(gr), Donald Byrd(tp), Jimmy Cleveland(tb), Herbie Mann(fl,ts), Tony Scott(cl,bs), Eddie Costa(p,vib), Don Payne(b), Ed Shaughnessy(ds)

マンデル・ロウが人気TV番組曲をジャズ化した作品

ギターのマンデル・ロウをリーダーに、人気のTV番組のタイトル曲をジャズ化して演奏した作品。ロウは映画やTVの作編曲もしていたようで、この手の作品も数枚ある。エバンスをリバーサイドに紹介したことでも知られるが、ロウとエバンスの共演は、トニー・スコットの大編成盤であるくらいで、それぞれのリーダー盤ではない。この盤は1曲毎は大編成ではないが、参加ミュージシャンは8人と多く、曲が短めなのでソロも短めになる。バードのソロは④サンセット77、で聞かれる。(hand)



AT TOWN HALL/THELONIOS MONK

1959.2.28

Riverside

おすすめ度

hand      ★★★☆

Thelonious Monk(p), Donald Byrd(tp), Eddie Bert(tb), Robert Northern(French horn), Jay McAllister(tuba), Phil Woods(as), Charlie Rouse8ts), Pepper Adams(bs), Sam Jones(b), Art Taylor(ds)

いつものモンクワールドをオーケストラで演奏

大編成でのモンク。大編成ではソロイストだけでなく、アレンジとハーモニーも大事になる。この作品はどうか⁈ ビッグバンドというよりも10人なので大型コンボなのだと思う。演奏は、ラウズを含むモンク4 のいつもの演奏がベースとなり、これにプラス6ホーンズという形だなので、アレンジやハーモニーにそれ程目新しさは感じない。それでも特にバードとウッズにはソロスペースが確保され、元気のいいソロが聞かれる②⑤⑦。(hand)



CHRIS CONNOR SINGS BALLADS OF THE SAD CAFÉ

⑤⑧:1959.3.19 他

Atlantic

おすすめ度

hand      ★★★

Chris Connor(vo),

⑤⑧:Donald Byrd(tp), Bobby Jaspar, Morton Lewis, Steve Perlow, Jerry Sanfino, Stan Webb(reeds), Mac Ceppos, Leo Kruczek, Tosha Samaroff(vln), Stan Free(p), Kenny Burrell(gr), Don Payne(b), Billy Exiner(ds), Ralph Sharon(arr,cond)

クリス・コナー盤に2曲歌伴参加

珍しくクリス・コナー盤にバードが歌伴で、全9曲中、タイトル曲⑤と⑧ライラック・ワイン、の2曲に参加。歌伴は、JM時代のリタ・ライス以来。⑤はストリングスやフルートの入ったムーディーな演奏で、途中からバードがミュートで入りオブリガードを吹き入ってくる。⑧はクラシカルなストリングス曲で、本当にバードがいるかは微妙だと思う。(hand)



MY CONCEPTION/SONNY CLARK

1959.3.29

Blue Note

おすすめ度

hand      ★★★★★

Sonny Clark(p), Donald Byrd(tp), Hank Mobley(ts), Paul Chambers(b), Art Blakey(ds)

未発表作とは思えない完成度のクラーク盤

ソニー・クラークの発掘盤だが、発掘盤とは思えない素晴らしさ。メンバー全員が好調で、特にモブレーが絶好調だと思うが、バードも元気でいいソロを聞かせている。(hand)



SOMETHING NEW, SOMETHING BLUE/MANNY ALBAM etc

1959.4.30

Columbia

おすすめ度

hand      ★★★

Donald Byrd(tp), Bob Brookmeyer(vtb), Hal McKusick(as), Frank Socolow(ts), Teddy Charles(vib), Mal Waldron(p), George Duvivier(b), Ed Shaughnessy(ds), Bill Russo, Teo Macero(arr,cond)

マニー・アルバムらのアレンジャー盤

アレンジャーのマニー・アルバムらの企画盤に参加したバード。アルバムは最初の2曲で、次の2曲はテオ・マセロ、後半はテディ・チャールズとビル・ルッソが2曲ずつだった。バードは全8曲の後半4曲(チャールズとルッソ)に参加。前半4曲はジャジーでフィル・ウッズやアート・ファーマー、エディ・コスタ、ビル・エバンス、エディ・コスタらが活躍する好ましい内容だが、バード参加の後半4曲は現代音楽のような、室内楽のようなジャズらしさの薄い音楽だ。バード盤として発売されたこともあるようだが、本人には全くそのつもりもなくアンサンブル要員の1人として参加していたとしか聞こえない。バード参加曲では⑥ブルース・イン・ザ・ナイト、が比較的いい。CD化では、さらにマンハッタン・ジャズ・オール・スターズの「ガイズ・アンド・ドールズ」11曲を追加している。(hand)



NEW SOIL/JACKIE McLEAN

1959.5.2

Blue Note

おすすめ度

hand      ★★★★

Jackie Mclean(as), Donld Byrd(tp), Walter Davis Jr.(p), Paul Chambers(b), Pete LaRoca(ds)

マクリーンが新主流派的となった盤

あまり好きになれない新主流派的なテーマの①ヒップ・ストラット、から始まる。マクリーンのソロは悪くない。続くバードのソロもいつもより新しい感じになっている。ウォルター・ビショップJr.、ピート・ラロカも新主流派的だ。追加曲⑥フォーミダブル、は発掘盤「ヴァーティゴ」で発表された曲だが、こちらの方が収まりがいい。今回、改めて聞くと、全体の印象は前より良かったので、マクリーン時より☆アップとした。(hand)



DAVIS CUP/WALTER DAVIS Jr.

1959.8.2

Blue Note

おすすめ度

hand      ★★★☆

Walter Davis Jr.(p), Donald Byrd(tp), Jackie McLean(as), Sam Jones(b), Art Tatlor(ds)

ウォルター・デイビスの貴重なリーダー盤

リーダー盤のあまりないウォルター・デイビスJr.のBN唯一のリーダー盤にマクリーンとバードが参加。全曲デイビスのオリジナルで、管2人のソロやデイビスのソロも悪くはないが、日本人好みのマイナーで心打つメロディがないのが残念なところ。今回聞いて、裏「クール・ストラッティン」のような盤に感じる場面が多々あった。共通なのはマクリーンだけなのだが。(hand)



MY BABE/BUNKY GREEN

1960.10.28

Exodus→Vee Jay

おすすめ度

hand      ★★★

Bunky Green(as), Donald Byrd(tp), Jimmy Heath(ts), Wynton Kelly(p), Larry Ridley(b), Jimmy Cobb(ds)

不遇なアルトのバンキー・グリーン盤

シカゴのエクソダスという超マイナーレーベルが録音した、アンダーレイテッドなアルト、バンキー・グリーンのリーダー盤(後にヴィー・ジェイへ)。グリーンは、生涯には10枚以上のアルバムを残しているが、日本ではほとんど話題にならない。この盤も60年録音で65年発売と、スタートから不遇な盤だが、ウィントン・ケリーの参加で知る人ぞ知る。ただ、その結果、日本でケリー盤「モダン・アート」として発売されるなど、不当に取り扱われている。また、ケリーとの共作としてバイクのジャケでベイブがベイビーに変えられて出された盤もある。さて、肝心の内容だが、いわゆるハードバップ盤で、グリーンのアルトは音色と吹き方にややテナーを感じ、パーカー的バッパーとは違う印象を持った。ケリー節が聞かれるので、ケリー好きにはマストだと思う。バードは、ラストの自作⑥セシル、でいい感じのソロを吹く。リーダーの統率力が不足しているのか、盤のまとまりは今ひとつ感がある。(hand)



MOTOR CITY SCENE

1960.11中旬

Brthlehem

おすすめ度

hand      ★★★☆

Donald Byrd(tp), Pepper Adams(bs), Tommy Flanagan(p), Paul Chambers(b), Lewis Hays(ds), Kenny Burrell(gr)

ジャムセッション的なバード=アダムス盤

バードの朗々と吹く①スターダストから始まる。ペッパー・アダムス名義にはなってはいるが、バードのワンホーンがメインの10分超の長尺曲から始まるので、アダムス名義??という感じはする。②フィルソン、④リベッチオ、がアダムス曲なので、アダムス名義にしたのだと想像する。①以外は、メンバー全員がソロを回すプレステッジ的なジャムとなるが、悪い感じはしない。デトロイト出身ミュージシャンによるオールスター・ジャム的な盤だが、バード=アダムス・クインテット盤と捉えることができると思う。(hand)



SOUL OF JAZZ PERCUSSION

1960 Spring

Warwick

おすすめ度

hand      ★★★☆

①-③:Donald Byrd(tp), Pepper Adams(bs), Bill Evans(p), Paul Chambers(b), 'Philly' Joe Jones(ds), Earl Zindars(tympani),

④-⑥:Marcus Belgrave, Donald Byrd, Booker Little(tp), Mal Waldron(p),  Addison Farmer(b), Ed Shaughnessy(ds), Armando Peraza(congas)

パーカッションをめぐるオムニバス盤にビル・エヴァンス入りのバード=アダムス5が参加

ワーウィックという超マイナー・レーベルから出た、パーカッションをめぐるオムニバス盤。バードは全9曲中リーダー3曲、ブッカー・リトルとの双頭3曲の6曲に参加。バードのリーダー録音①-③は、バード=アダムス5+パーカッションで、なんとピアノがビル・エバンス、ベースがチェンバース、ドラムがフィリーというすごい面々で、パーカッションが作曲家で知られるアール・ジンダースだ。2曲はワイルドな演奏で、1曲マルのクワイエット・テンプルはしみじみした、なかなかいい演奏だ。リトルとの双頭④-⑥はマーカス・ベルグレイブも入って3トランペットになり、マルのピアノ、アディソン・ファーマーのベース、エド・ショーネシーのドラムにウィリー・ロドリゲスのコンガが加わる。こちらの3曲のほうがコンガのおかげかグルーヴ感がありクラブ系にも人気のようだ。残り3曲は、リトル、ドン・エリスの2トランペットにカーティス・フラーのトロンボーンも入り、これもいい。70年代には「ザ・サード・ワールド」とタイトルを変えて再発されている。私の持つ日本盤CDは、セッション別の曲順で、オリジナル順ではないようだ。(hand)



THE LOST SESSIONS/TADD DAMERON etc

1961.12.14 他

Blue Note

おすすめ度

hand      ★★★

Tadd Dameron(p), Donald Byrd(tp), Curtis Fuller(tb), Sam Rivers(ts), Cecil Payne(bs), Julius Watkins(French Horn), Paul Chambers(b), Philly Joe Jones(ds) etc

BN発掘オムニバス盤のタッド・ダメロンの大型コンボ

1999年のブルーノートの発掘オムニバス盤。バードは、タッド・ダメロンの8人編成の大コンボ曲②〜⑤の4曲に参加。テナーがサム・リヴァースというのが異色だが、溶け込んではいる。ダメロンは60年代はこの録音と、翌62年のリバーサイド盤「モダン・タッチ」を残すのみで、65年には48歳で亡くなっている。この録音は、50年代のダメロンと比べると、お蔵入りも仕方なかった感じがする。(hand)



HUSH/DUKE PEARSON

1962.1.12

Jazzline

おすすめ度

hand      ★★★☆

Duke Pearson(p), Donald Byrd, Johnny Coles(tp), Bob Cranshaw(b), Walter Perkins(ds)

ジョニー・コールズと2トランペットのピアソン盤

超マイナーレーベルのジャズラインから62年に発売されたバードを裏方的に支えてきたと思われるピアソンのリーダー盤。ピアソンはこのジャズラインにもう一枚「バグス・グルーヴ」(=エンジェル・アイズ)をトリオで録音している。トランペットがなぜかバード以外にジョニー・コールズも参加していて、バードには久々の2トランペット盤になる。バード作のタイトル曲①は2トランペットながら、バード盤の「ロイヤル・フラッシュ」や「ジョージーズ」よりもあっさりした感じになっている。同じくバード曲②チャイルズ・プレイ、も軽快だ。ピアソンは名作曲家だと思うが自作は⑤スデル、1曲だけなのは不思議だ。この曲は私の愛聴ピアソン盤「スイート・ハニー・ビー」で再演される。ベースはこの後ロリンズと長く共演することとなるボブ・クランショウ、ドラムはMJT+3 で知られるウォルター・パーキンスで、クランショウは重めのいいベースを弾いているが、パーキンスが軽めに聞こえる原因のようだ。ステレオ録音で、トランペットが左右に分かれ、左がバード。再発では追加曲も入り、オリジナルにこだわる日本ではタイトルが「ハッシュ」のままであったが、米独ではより売れそうなバード名義で「グルービン・フォー・ナット」(ポリドール)や「チャイルズ・プレイ」(ブラックライオン)として出されていて、私自身も間違い購入した。(hand)



SNAP YOUR FINGERS/AL GRAY

⑥-⑧:1962.1.31

Argo

おすすめ度

hand      ★★★☆

Al Grey(tb),

⑥-⑧:Donald Byrd(tp),  Billy Mitchell(ts), Bobby Hutcherson(vib), Herbie Hancock(p), Herman Wright(b), Eddie Williams(ds)

トロンボーンのアル・グレイの7人編成のライブ

トロンボーンのアル・グレイの7人編成の大コンボにハンコックとともに後半(B面)3曲に参加。前半(A面)5曲は2月19日のシカゴのスタジオ録音で、後半は1月31日のニューヨークのバードランドでのライブ録音。前半がグレイの所属したベイシーの雰囲気がある中間派的な内容なのに対し、後半はずっとモダンな私好みの感じになる。ただ、後半はグレイはほとんど目立たないので、ビリー・ミッチェルのセッションではないかと想像する。ミッチェルとボビー・ハッチャーソンのソロが長く入っている。バードのソロはあるが、残念ながらハンコックのソロはない。多分、収録時間の関係でカットされたのだろう。コンプリート・セッションでも発掘されれば、ハンコックの活躍ぶりも見られるかもしれない。バッキングはとても目立っている。(hand)