Clifford Brown クリフォード・ブラウン CDディスクガイド:リーダー作編 1

若くして亡くなったクリフォード・ブラウンですが、短い生涯ながら多くの録音を残しています。すべてが収集の価値がある作品と言われ、正規録音以外の音源も販売されていますので、録音の経緯も含めてレビューしていきたいと思います。厳密に言うと録音された時点ではリーダー作とは言えない録音も多いですが、現在に於いてはクリフォード・ブラウンを主体に聴いている作品は、リーダー作のページに載せました。


クリフォード・ブラウン ディスクガイド 目次

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クリフォード・ブラウン 主要サイド参加作へ

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タイトル下の日付は録音日です。  パーソネルも記載しています。


The Beginning & The End/Clifford Brown ザ・ビギニング & ジ・エンド/クリフォード・ブラウン

おすすめ度

hand       ★★★☆

しげどん  ★★★★☆ 

1952年4月21日  Clifford Brown(tp),Vance Wilson(as,ts),Duke Wells(p),Eddie Lambert(g),James Johnson(ds),Chris Powell(vo),Johnny Echo(vo)

1956年6月25日  Clifford Brown(tp),Billy Root(ts),Sam Dochery(p),Ace Tisone(b),Ellis Tollin(ds)

初録音と死の直前の録音を収めた劇的な記録にして感動的な名演

ブラウニーの初録音と事故死直前の演奏を収めたという意味のアルバムタイトル。死の直前の録音と言われた56年6月のものは、現在では死の直前どころか一年前の録音だという事になっている。でもドラマ性だけではなくて、内容が素晴らしくて名盤になっているので、今さらそこにこだわる事もないだろう。52年の初録音も、ブラウニーの完成度の高さに驚かされる。(しげどん)

最初と最後の間がたった4年というのは短過ぎる。 しかも、最初の2曲クリス・パウエルのバンドはジャズではない。ただ、短いのですぐ終わる。③ウォーキンからは純ジャズだ。メンバーがブラウニー以外は 、ピアノのサム・ドッケリーが多少知られる他は無名ミュージシャンだが全く問題ない。素晴らしいラスト・ライブ(hand)



Clifford Brown Memorial Album クリフォード・ブラウン・メモリアル・アルバム

1953年6月9日

1953年8月28日 

Blue Note

おすすめ度

hand       ★★★★☆

しげどん  ★★★★★

ショーン  ★★★★☆

6月9日:Clifford Brown(tp),Lou Donaldson(as),Elmo Hope(p),Percy Heath(b), "Philly" Joe Jones(ds)

8月28日:Clifford Brown(tp),Gigi Gryce(as,fl),Charlie Rouse(ts),John Lewis(p),Percy Heath(b),Art Blakey(ds)  

溌剌とした輝かしい演奏が聴ける初リーダーセッション

LPは10インチの記念すべき初リーダー作をA面に、ブルーノート初録音のルウ・ドナルドソンのセットをB面に彼の死後12インチにカップリングして発売したものである。まだビバップの香りが強く、粗削りな感じはするが若々しく溌剌としていて、まさにジャズがジャズらしかった時代の美しい作品だ。A面の初リーダーセッションは落涙もののトランペット。セクステット編成ながら、ブラウニーのリーダーセッションなので、彼のトランペットに焦点をあてている。チェロキーはコーニーな曲だが、スタディ・イン・ブラウンの同曲より素晴らしいと思う。B面のルウ・ドナのセットはエルモ・ホープのピアノも美しい。LP時代は10インチ盤の一部が未収録だったが、CDには別テイク含め全部収録され曲順も大きく変わっている。(しげどん)

ブラウンも当然いいが、ルー・ドナルドソンが生きのいい演奏をしている。ただ、ブラウンのメモリアル・アルバムの冒頭曲ベラローサのソロが、なぜルーからなのか?それは、+8曲のコンプリート盤CDは、10インチのブラウン盤「ニュー・スター・オン・ザ・ホライズン」(BLP5032)を後半にして、ルウドナ盤「ニュー・フェイセズ―ニュー・サウンズ」(BLP5030)を前半にしてCD化されているからだ。12インチ化LPとオリジナルCDは、ヒム・オブ・ジ・オリエントが冒頭で、ブラウンのセッションだ。なので、ソロはブラウンから始まる。ところが、+8盤はルウドナ盤が前、しかも12インチ化するときにカットされた①ベラローサが冒頭曲で、ルウドナのソロから始まることとなってしまった。録音年月日、レコード番号が先とはいえ、ブラウン盤なのだからブラウンのリーダーセッションを前にすべき、又はオリジナル10インチの曲順にすべきだったと思う。ブラウンのソロ自体は、全体にいつもどおりに素晴らしいとしか言いようがない。(hand)

1953年の2度のセッションが収録されているが、いずれも若いクリフォードブラウンのほとばしる熱い演奏に浸ることができる。ルードナルドソンとの競演も聴き応え十分で素晴らしい。どの曲も3〜4分の比較的短い演奏だが、キレとコクがあり、若きブラウニーを知る貴重な1枚といえる。(ショーン)



ルー・ドナルドソンのリーダーセッションだったBN5030は、メモリアル・アルバムのB面に収録だが、コンプリート盤CDでは前半に収録

クリフォード・ブラウンの記念すべき初リーダーアルバム10インチ盤BN5032。これが死後メモリアルとして12インチ化されるとは・・・



More Memorable Tracks  モア・メモラブル・トラックス/クリフォード・ブラウン

1953年6月9日、20日、

8月28日

Blue Note

hand      ★★★★★

1953.6.9:Clifford Brown(tp),Lou Donaldson(as),Elmo Hope(p),Percy Heath(b),Philly Joe Jones(ds)

1953.6.20:Clifford Brown(tp),J.J.Johnson(tb),Jimmy Heathe(ts),John Lewis(p),Percy Heath(b),Kenny Clark(ds)

1953.8.28:Clifford Brown(tp),Gigy Gryce(as,fl),Charlie Rouse(ts),John Lewis(p),Percy Heath(b),Art Blakey(ds)

メモリアル・アルバムに未収録のトラックをCD化

BN4428 Alternate TakesのCD化だ。メモリアル・アルバムに時間の関係で収録されなかった2曲と、収録曲の別テイク7曲だ。メモリアルに遜色ない内容で、特に未収録だったクインシー作のブラウニー・アイズは必聴の名曲だ。(hand)

東芝EMIから発売されていたBNJ61001、ブルーノトとして4428で発売されたものと同じ。The Eminent J.J.Johnson(BN 1505) 及びClifford Brown Memorial Album(1526)に収録されているセッションの別テイクと未収録曲。現在のメモリアルアルバムCDはこれらすべての未収録曲を収録しているものもあり、その場合はこのCDは不要。(下記)

上記CDは別テイクとオリジナルLP未収録曲もボーナス収録している。



Clifford Brown Memorial   クリフォード・ブラウン・メモリアル

1953年6月11日(Atlantic)、

9月15日(Stockholm) 

Prestige

おすすめ度

hand      ★★★★★

しげどん  ★★★★☆

ショーン ★★★★☆

6月11日:Clifford Brown, Idrees Sulieman(tp),Gigi Gryce(as),Benny Golson(ts),Tadd Dameron(p),Percy Hearth(b),Philly Joe Jones(ds),others

9月15日:Clifford Brown, Art Farmer(tp),others

ストックホルム録音での名演が泣かせる。アート・ファーマーも好演

隠れ名盤だ。メモリアルといえば、普通はBLUE NOTEのメモリアル・アルバムだが、クリフォード・ブラウンの諸作の中で、我がターンテーブル(CDトレー)に、乗ることが最も多いのがこのメモリアルだ。前半は、ブラウニーが、ライオネル・ハンプトン楽団のサイドメンとして、渡欧した際(1953.9)に、クインシーの監修下にストックホルムで吹き込んだ名作(メトロノーム原盤)。特に①ストックホルム・スウィートニン(クインシー作)は、心に沁みる名曲の名演だ。③恋に恋して、はメリル盤と聴き比べてみるのもオススメ!後半は、渡欧直前(1953.6)に、吹き込んだタッド・ダメロン楽団の演奏。ブラウニーと同じく若死にした先輩トランぺッター、ファッツ・ナヴァロの活躍していたバンドでアトランティック(市の名)録音。ブラウニーだけでなく、若き日のフィリー・ジョー・ジョーンズやベニー・ゴルソンも大暴れ!前半後半ともに、ビッグコンボながら、前半はヨーロッパを感じる優雅な演奏。後半はビバップを感じる激しい演奏で、同時期のパリ録音よりも愛着が持てる。(hand)

B面のタッドダメロン楽団のブラウニーも歴史的に貴重だが、味わい深いのはA面のストックホルム録音の4曲。ブラウニーとアート・ファーマー以外は現地ミュージシャンだが、この2人のトランペッターの共演が素晴らしい。原文ライナーによるソロ・オーダーは、「恋人よ我に帰れ」だけがブラウニー先行で、あとの三曲は小節交換も含めアート・ファーマーが先発ソロとのこと。二人とも良く似た暖かい音色だ。輝かしく溌剌としたブラウニーも魅力だが、リリカルなファーマーの演奏も味わい深く、ブラウニーに引けをとらない素晴らしさ。(しげどん)

明るく楽しい演奏ばかりだ。まだデビュー間もないブラウニーの才能の片鱗を見せる出来栄え。アートファーマーとの競演もあり、ここで対等に吹くことで、名声を得たのであろう。その先に思いがけない事故があるとは誰も予測できず、彼はどんどん登り調子に進んでいくのだ。。。。(ショーン)



The Lost Reharsal Tapes  ロスト・リハーサル・テープ/クリフォード・ブラウン

1953年6月

hand  ★★★

Clifford Brown (tp), Benny Golson (ts), Gigi Gryce (as), Herb Mullins (tb), Tadd Dameron (p), Percy Heath (b), Philly Joe Jones (ds), Teddy Edwards (ts), Carl Perkins (p), Max Roach (ds), Sonny Rollins (ts), Richie Powell (p), George Morrow (b)

発掘されたリハーサル音源

音は悪いが、割と聞きやすい。リハーサルなので、うるさくない演奏が多いからだと思う。とはいえ、リハーサルがメインの音源を作品として捉えるのは難しい。(hand)



Complete Paris Collection Vol.1~Vol.3 /パリ・コレクション  クリフォード・ブラウン 第一集~第三集

Clifford Brown The Complete Paris Sessions  Vol.1

第一集

 (オーケストラのパーソネルは主要なメンバーのみ記載)

1953年9月28日 Gigi Gryce&his Orchestra: Clifford Brown,Art Farmer,Quincy Jones,(tp) Jimmy Cleaveland(tb),Gigi Gryce(as), Henri Renaud(p),Pierre Michelot(b),Alan Dawson(ds),others

9月29日 Gryce-Brown Sextet: Clifford Brown(tp),Gigi Gryce(as),Henri Renoud(p),Jimmy Gourley(g),Pierre Michelot(b),Jean-Louis Viale(ds)


Clifford Brown The Complete Paris Sessions  Vol.2

第二集

 

1953年10月8日 Gryce-Brown Sextet:Same personnel as above.

10月9日  Gigi Gryce&his Orchestra:Clifford Brown,Art Farmer(tp),Quincy Jones(tp,arr),Jimmy Cleaveland(tb),Gigi Gryce(as),Henri Renoud(p),Pierre Michelot(b),Jean-Louis Viale(ds),others

10月10日 Gigi Gryce Octet:Clifford Brown(tp),Jimmy Cleaveland(tb),Gigi Gryce(as),Clifford Solomon(ts),William Boucayo(bs),Henri Renoud(p),Jimmy Gourley(g),Jean-Louis Viale(ds)

 


Clifford Brown The Complete Paris Sessions  Vol.3

第三集

1953年10月11日 Gigi Gryce Octet:Clifford Brown(tp),Jimmy Cleaveland(tb),Gigi Gryce(as),Anthony Ortega(as),Clifford Solomon(ts),William Boucayo(bs),Quincy Jones(p),Marcel Dulrieux(b),Jean-Louis Viale(ds)

10月15日 Clifford Brown Quartet:Clifford Brown(tp),Henri Renoud(p),Pierre Michelot(b),Benny Bennett(ds)

生涯唯一のワンホーンカルテットは落涙ものの名演


おすすめ度

hand      ★★★☆  

しげどん ★★★★★

ショーン ★★★★☆

ビッグバンドの一部の曲を除きほとんどのテイクでブラウニーのソロが堪能できるが、圧巻はCD第三集に収録されているブラウニー生涯で唯一のワンホーンカルテットによる録音である。特に「春の如し」は落涙ものの名演。まずは第三集からでも聴いて欲しい。

ライオネル・ハンプトン在団中の訪欧で、ストックホルムに引き続きパリに滞在していた期間の貴重な記録だが、ハンプトンのアルバイト禁止令の眼を盗んで夜中にこっそり抜け出して録音したと言う。

この時のトランペッターはブラウニー、アート・ファーマー、クインシー・ジョーンズという今から見ればすごいメンバー。しかし三週間弱の間に8回44テイク!ほぼ毎日録音している期間もあり、本業ほったらかしでもこれだけ集中できないんじゃないかと思う凄い記録。ジジ・グライスもクインシー・ジョーンズも良くここまで曲とアレンジを用意したものだ。若いエネルギーって素晴らしい!(しげどん)

CD3枚組、全44曲、3時間18分、マスターテイクだけでも23曲、1時間45分の膨大な長さ。ライオネル・ハンプトン楽団で渡欧した際に、親分の目を盗んで、真夜中などに録音したとされる。ものすごい体力と情熱を感じる。ブラウンの生涯の録音は少ないので貴重だ。特に、ソロイストとしてのブラウンやグライスは、トンガっていて素晴らしく、完璧だ。なのに、バンド全体としては、スイング時代を引きずっていて、モダンジャズになりきれていないのが、残念なところ。モダン・ジャズとして聞くには、少し古くさい雰囲気がある。とはいえ、私は、この時期のグライスが好きで、グライス中心に編集されたCDは、愛聴している。(hand)

(Vol.1:★★★★)1953年、クリフォードブラウンの人気に火をつけたともいえるライオネル・ハンプトン楽団のパリでのセッション。若き獅子プラウニーのトランペットの音色は、時に力強く高らかに聴衆を鼓舞し、時に優しく語りかけ、楽団をしっかりとリードしている。

(Vol.2:★★★☆)Gigi Gryceとのプレイは、落ち着いた雰囲気のセッション。淡々とした演奏で、完成度も高いが、メリハリに欠ける。

(Vol.3:★★★★☆)こちらはブラウニーのフューチャー度が高く、シャキッとしたテイストで爽やか。しかも曲もバラエティに富んでおり、表現な演奏に思わず聞き惚れて、気がつくとブラウンの池に深く引き込まれてしまった自分に気づく。(ショーン)



クリフォード・ブラウン―天才トランペッターの生涯

ライオネル・ハンプトンの目を盗んで録音したという謎多きパリセッション録音の経緯が関係者の証言で再現されている。インターナショナルジャムセッションの記述もあり、この本を読むと訪欧時の私的な音源は今後まだ発見される可能性があるような気がします。ビギニング アンド ジ エンドの録音が実は最後の録音じゃなかった!?という証言のインタビューなどの、詳細な裏付け調査が読み物として面白いドキュメンタリーです。

巻末にディスコグラフィつきです。



International Jam Session  インターナショナル・ジャム・セッション

1953年11月12日

hand ★★★★

Clifford Brown,Jorgen Ryg(tp),Gigy Gryce(as),Clifford Solomon(ts) Jorgen Bengtson(p),Erik Moseholm(b),Ole Jørgensen(ds)

1953年11月12日のコペンハーゲンでのライブ。ブラウンは、インディアナ1曲のみで、他はパーカーのセッション4曲(バード・イン・スウェーデンの一部と同じ)とフィル・ウッズのセッション2曲(バーズ・ナイトの一部と同じ)。インディアナは、1曲だが11分近い長尺で、ブラウンの長くて素晴らしいソロが十分に堪能できる。ただし、最後はフェイドアウトだ。この盤のCDはザナドゥから出たが、現在はビーハイブのライブにおまけとして収録されている。(hand)



In Concert /Max Roach & Clifford Brown ローチ&ブラウン  イン コンサート

1954年4月,8月

GNP Crescendo

おすすめ度

hand       ★★★★☆

しげどん  ★★★★★

ショーン  ★★★★★

4月:Clifford Brown(tp),Teddy Edwards(ts),Carl Perkins(p),Geroge Bledsoe(ds)

8月:Clifford Brown(tp)、Harold Land(ts)、Richie Powell(p),Geroge Morrow(b),Max Roach(ds)

ライブの熱気でノリノリのブラウニーが味わえる傑作盤

ブラウニーとローチのレギュラークインテットの第一作で、また同一メンバーによる唯一のライブ作品。B面のテディ・エドワーズ、カール・パーキンス参加のクインテットは数週間で終わりを告げ、ハロルド・ランド、リッチー・パウエル、ジョージ・モロウのレギュラーメンバーに固まった経緯には、あのエリック・ドルフィも絡んでいたというのは、クリフォード・ブラウン―天才トランペッターの生涯」を読んで知って驚いた。このレギュラーメンバーの演奏は8月のA面の4曲のみなのだが、それにもかかわらずこのレコードを彼らの最高作とする人は多い。理由はライブの熱気。あらかじめ作曲されているようと評されたブラウニーのソロが、ライブのノリノリ感に乗って完璧な優等生が少しだけ不良っぽくなることにより、この作品は完璧以上のジャズっぽい魅力が付加され永遠の名盤になった。ローチのソロも素晴らしく、彼にとってもベストの作品(しげどん)

ローチは、スタジオ録音では、かっきりした構成で、しかも自己主張した大音量の長いドラムソロ入りが好きなようだ。この盤はライブなので、かっきり感はいい具合に破壊され、ブラウンのソロが冴え渡り、ジャズとしての完成度が高まっている。ただ、MCが、マックス・ローチ・オールスターズ・ウィズ・クリフォード・ブラウンと言っているとおり、リーダーとして張り切ったローチのソロやバッキングは、スタジオ以上にうるさい(笑)ロリンズは大好きだが、ローチ=ブラウンには、やはりハロルド・ランドが合っていていい演奏をしている。(hand)

なんとも素晴らしいライヴ盤だ。クリフォードブラウンの伸びやかな、それでいて哀愁のあるブロウイングとマックスローチの気迫に溢れたスティック捌き。どの曲をとっても聴き惚れてしまう。会場で聴いている人が、目を見開いてクリフォードブラウンに一音たりとも聴き逃すまいと、熱い視線を送っているのが目に浮かぶ。脂ののりきった2人ならではの間合いとスピード感。これぞJAZZとも言える名盤だ。初心者にも是非聴いて欲しいアルバムの1枚。(ショーン)



Jazz Immortal/Clifford Brown ジャズ・イモータル/クリフォード・ブラウン (アレンジド バイ モントローズ/ジャック モントローズ)

1954年7月12日,    8月13日

Pacific Jazz

Clifford Brown(tp),Stu Williamson(v-tb),Zoot Sims(ts),Bob Gordon(bs),Russ Freeman(p),Joe Mondragon(b),Shelly Manne(ds)

リラックスして聴ける腕達者な西海岸メンバーとの共演


おすすめ度

hand       ★★★★

しげどん  ★★★★ 

意外と聞きやすいアルバム。ローチ抜きでシェリー・マンのドラムなので肩に力を入れずに聞くことができる。ズートの参加も、場の雰囲気を和らげる効果になっている。(hand)

オリジナルは10インチLPで、12インチはジャックモントローズ名義のアルバムB面に5曲を収録。モントローズのアレンジも嫌味が無くていいが、ブラウニーのオリジナル曲もいい。私のひいきのズート・シムスがもっと頑張って欲しかった。(しげどん)



Clifford Brown and Max Roach クリフォード・ブラウン&マックス・ローチ

1954年8月2日,3日,6日  

1955年2月24日,25日

EmArcy

Clifford Brown(tp)、Harold Land(ts)、Richie Powell(p),Geroge Morrow(b),Max Roach(ds)

ブラウニーに焦点をあてたマックス・ローチ・カルテット


hand      ★★★★

しげどん ★★★★☆

ショーン ★★★★☆

エマーシーから発売時では第二弾のアルバム(第一弾はIncorporated)だが、54年のレギュラークインテット初録音から55年の録音まで複数のセッションから収録されており、第一弾よりブラウニーにフォーカスされている。名盤STUDY IN BROWNに引けをとらない名盤で、ハロルド・ランドも快調だ。(しげどん)

ブラウンは、端正なトランペッターだ。音が真面目だと思う。真面目ジャズだからといってつまらない訳ではない。ただ、天才トランペッターではあるが、バンド・リーダーではない。リーダーとして張り切り過ぎのローチのドラムが前面に出過ぎで、うるさく感じる。スタジオ盤なので、イン・コンサートよりはおとなしく、ジョードゥなど、このバンドのマスト曲が聴ける重要盤ではある(hand)

クリフォードブラウンとハロルドランドの掛け合いは、耳にとても小気味良く響く。マックスローチが、うまくリズムの主導権で、二人を乗せてくれている感じがする。どの曲も完成度が高く、一気に聴き込める。(ショーン)



Brown and Roach Incorporated/ブラウン アンド ローチ インコーポレイテッド

1954年8月3日,5日,6日

EmArcy

Clifford Brown(tp)、Harold Land(ts)、Richie Powell(p),Geroge Morrow(b),Max Roach(ds)

実質的にはエマーシー第一弾。各メンバーのお披露目曲が聴ける。


hand      ★★★☆

しげどん ★★★★

ローチのうるさいドラム以外は、いい内容だと思う。ブレイキーは、ドラムに特化した作品以外では、あまりソロをとらないし、バックではフロントを煽るのがうまい。対するローチは、俺のドラム凄いだろ!的な演奏だ(笑)。ローチは、アメイジング・バドやサキコロのようにサイドで聞くと素晴らしい。ローチが控えめにしたら、ローチ=ブラウンも、もっと売上げが伸びたと思う。(hand)

すべて54年8月の録音で、イン・コンサートのA面より20日ほど早く、また発売順ではエマーシーに於けるこのクインテット諸作の第一弾でもある。そのためメンバー紹介のため、B面ではリッチー・パウエルのピアノトリオ曲や、ハロルド・ランドのワンホーン曲、ローチのフィチュアー曲などでブラウニーの出番が少ないので代表作から漏れることが多いのだろう。もちろんソロの出来栄えは素晴らしい。(しげどん)



More Study In Brown  モア・スタディ・イン・ブラウン/クリフォード・ブラウン

1954年,1955年,1956年

Blue Note

hand      ★★★★★

しげどん ★★★★☆

ショーン  ★★★★

1954.8.3,8.6 , 1955.2.23,24  Clifford Brown(tp),Harold Land(ts),Richie Powell(p),George Morrow(b),Max Roach(ds)

1956.1.4,2.17  Sonny Rollins(ts) replaces Land

日本の発掘男・児山紀芳が発掘したエマーシー録音2枚の内の1枚

発掘男、児山紀芳が発掘したエマーシー録音2枚の内の1枚。モアとは名ばかりで、スタディ・イン・ブラウンと近い日付けのセッションは入っていない。ローチ=ブラウン、インコーポレイテッド、ベイズンストリートの3枚の別テイクだ。ただ、既発盤に劣らないどころか、聞きやすく親しみやすい内容だ。(hand)

この発掘テイクによって、正規盤で聴いていた編集が入る前の原型が聴ける。別テイクの多くは失われたが、残った曲のテイクNoを見てその多さにも驚く。エマーシー盤が全般的に端正にまとまっていて、逆に一発勝負のスリル感がなく感じるのは、このような編集と取り直しの徹底にあったのだと妙に納得する。ソロの内容はすばらしいし、記録としても興味つきない作品だ。(しげどん)

ややもたもたした印象のソニーロリンズとブラウニーの掛け合い。スピード感のあるブラウニーの冴え渡る高音が聴きたい向きには、やや物足りない印象のアルバムか?中では最後の「ザ・ブルース・ウォーク」が荒削りながら迫力ある演奏となっている。マックスローチのシンバルワークが良い。(ショーン)



クリフォード・ブラウン その他の作品紹介は下記リンクから