Zoot Sims  ズート・シムズ  CDレビュー  リーダー作⑤

引き続き70年代の作品を紹介しています。75年からノーマン・グランツのパブロ・レーベルへの契約がはじまり、ここでかなりの作品を残しますが、同時にほかのレーベルにも作品を残しています。契約の関係で当時は発売できなかったものもあり、後日発売された発掘音源もいろいろあります。

少しづつ新しいテイストに変わりつつある時期です。ソプラノで通したパブロ盤などは、この時期のズートを代表している名盤だと思います。



Dave McKenna Quartet featuring Zoot Sims  デイブ マッケンナ カルテット フィーチャーリング ズート シムズ

1974年10月

Chiaroscuro

おすすめ度

hand   ★★★☆

しげどん ★★★

Zoot Sims(ts,ss),Dave McKenna(p),Major Holley(b),Ray Mosca(ds)

ズート参加のワンホーンだが、マッケンナのピアノを多くフューチャーしたバラエティに富んだ構成

同じ中間派的なピアノのデイブ・マッケンナ盤にワンホーン参加。マッケナとはズートの最高作とも言える「ダウン・ホーム」でも共演して相性も良い。私好みのカール・パーキンスの曲④グルーヴヤードは好感だが、メイジャー・ホリーのハミングはあまり聞きたくない。(hand)

名作ダウンホームで共演したマッケンナとの再会共演だが、オーソドックスなクインテットだけではなく、ピアノのソロやデュオもあり、また前奏のピアノも比較的長く、リーダーのマッケンナに焦点を当てた構成になっている。それは仕方ないとしても、ベースのメジャー・ホリーのベースへのボイス加工が多くこれはややうるさい。この人は来日公演でも同じような演奏をしているが、ライブでの数曲の余興的な演奏は楽しめるが、シリアスな演奏の中にでてくると雰囲気がこわれる。オーソドックスなクインテットに徹してくれたら★が+1か+1.5にはなったのではないか?アルバム全体としては落ち着いて聴ける作品になっていない気がするのは残念だ。(しげどん)



My Funny Valentine/Zoot Sims  マイ・ファニー・バレンタイン/ズート・シムズ

1974年11月18日

SSJ

おすすめ度

hand  ★★★★

しげどん ★★★☆

Al Cohn(ts),Zoot Sims(ts,ss),Horace Parlan(p),Hugo Rasmussen(b),Alex Riel(ds)

北欧滞在時のアル&ズートのライブ発掘音源。ホレス・パーラン参加

ソネット盤Motoring Alongの数日前に、スウェーデンでホレス・パーラン参加でのライブの発掘盤だ。四曲が収録されているがいずれも10分以上の力演。時間制約がないライブならではだが、タイトル曲やBlue Hogeでも最終ソロの後のつなぎ目が唐突なので、長すぎておそらく編集でカットされたんだろう。4曲のうちズートは2曲でソプラノを吹いていて朝日の如く・・はZoot at Easeで演じたテンポでアル・コーンがオブリガート。それぞれのソロも元気がある。(しげどん)

「モーテン・アロング」の1週間前のスウェーデンの最南端の都市マルメでの海賊録音。こちらはドラムがアレックス・リールなので、こちらのほうがリズムが強力で私好みになっている。選曲もいいし、演奏もモダンで勢いがあると思う。(hand)



Motoring Along/Al Cohn&Zoot Sims  モータリング アロング/ズート・シムズ

1974年11月25日

Sonnet

おすすめ度

hand  ★★★☆

しげどん ★★★★☆

Al Cohn(ts),Zoot Sims(ts,ss),Horace Parlan(p),Hugo Rasmussen(b),Sven Erik Norregaard(ds)

アル&ズートの中では骨太の一枚。ホレス・パーランの参加がめずらしい。

1974年11月25日ストックホルム録音。東なのに西海岸の臭いがするアル・コーンと西海岸出身で中間派の臭いがするズート。要するにモダンジャズとしては少し古臭いところが人気になっているように思う。私の場合は、2人が東海岸のハードバップな雰囲気で演奏してくれたときが、一番馴染みやすい。この盤は、ピアノにモダンなスタイルしか考えられないホレス・パーランを迎えたことで、黒っぽいハードバピッシュな感覚があり好感度は高まっている。(hand)

あまり注目されていない作品だが、このコンビの最高のレベルに位置づけられる作品だと思う。芯が太い力強さを感じさせる聴きごたえある一枚だ。北欧に演奏旅行に行った際にストックホルムで録音されたらしい。ベースとドラムスはデンマークのミュージシャンだが、なかなかの力演。ピアノはホレス・パーランで、ブルーノート盤で真っ黒なイメージのピアノを弾いていた人だが、このころは北欧に移住しておりこの異色の組み合わせもなかなか面白い。アル&ズートとしては次作は82年のズートケースまでしばらく途絶える。 (しげどん)



Basie and Zoot ベイシー アンド ズート

1975年4月9日

Pablo

おすすめ度

hand  ★★★☆

しげどん ★★★★☆

Count Basie(p,org),Zoot Sims(ts),John Heard(b),Louis Bellsin(ds)

大先輩であるカウント・ベイシーとの共演

オーケストラではないが憧れのカウント・ベイシーと共演してご満悦そうなズート。ベイシートリオと共演したズートは、当然のごとくレスターになりきっているが、興奮し過ぎて時々ホーキンス風にもなっている。(hand)

ワンホーン作だが、さすがベイシーは、たんなるサイドマンに終わっていない。二人ともマイペースで偉大なるワンパターンぶりで、ふたりが共演したらこうなるだろう、という予想通りの内容が聴ける。しかしアップテンポの曲では選曲のせいもありややズートはベイシーに押され気味なくらい、ベイシーのマイペースぶりは徹底している。(しげどん)



Joe Venuti & Zoot Sims  ジョー・ベヌーティ&ズート・シムズ

1975年5月

Chiaroscuro

おすすめ度

hand   ★★★

しげどん  ★★★★

Joe Venuti(vln),Zoot Sims(ts),John Bunch(p),Milt Hinton(b),Bobby Rosengarden(ds)

ジョー・ベヌーティとの第二弾作品

ヴァイオリンのジョー・ヴェヌーティとの同じキアロスキューロからの翌年の第2弾。前作が売れたのかもしれない。この手のオールドスタイルのファンには受けそうな本格感はある。(hand)

一年前の共演の成功を受けての再演。このとき72歳のベヌーティは驚くほど生き生きとしたプレイをしている。アグレッシブだった前作に比べ聞きやすい柔らかな印象の曲が多い。ジャズの歴史的な偉人であり、生涯現役だったにもかかわらず、LP時代には過去の人として扱われていたベヌーティ。彼はこの3年後75歳で他界してしまうので、このような録音を残せた事は我々ジャズファンにとってもありがたい事だったし、彼にとっても幸せなことだったに違いない。(しげどん)



Zoot Sims & Gershwin Brothers ズート・シムズ&ガーシュイン・ブラザーズ

1975年6月6日

Pablo

おすすめ度

hand   ★★★★

しげどん  ★★★★☆

Zoot Sims(ts),Oscar Peterson(p),Joe Pass(g),George Mraz(b),Grady Tate(ds)

豪華メンバーによるガーシュイン名曲集

ズートのリーダー盤として出てはいるが、オスカー・ピーターソン・ビッグ5のような感じの盤だ。大物5人が協調しながら、楽しそうにガーシュイン曲を演奏している。ピーターソンとは同じパブロに所属していたが、共演録音は珍しい。何か合わない点があるのかもしれないが、聞いている限りは、とてもいい盤が出来上がっている。(hand)

ジャズファンおなじみの名曲集で、あらためてガーシュインの名曲の多さに驚く。共演者も豪華なので、悪かろうはずがない。ズート・シムスは素晴らしいし、オスカー・ピータソンの名人ぶりもいつも通りだが、アレンジとしてはこの豪華サイドメンバーをもっと生かして欲しかった気がする。(しげどん)



Zoot Sims Soprano Sax ソプラノ・サックス/ズート・シムズ

1976年1月8,9日

Pablo

おすすめ度

hand  ★★★

しげどん ★★★★★

ショーン ★★★★☆

Zoot Sims(ss),Ray Bryant(p),George Mratz(b),Grady Tate(ds)

ワンアンドオンリーのソプラスタイルを追及した傑作盤

ついに全編をソプラノで吹くまでソプラノ好きになったズート。ソプラノだけの盤を聞いて思ったのは明るさだ。選曲、ピアノにもよると思うが、明るいジャズになっていて、⑤柳よ泣いておくれの柳は泣いていない。レイ・ブライアントはリーダー盤では左手の重低音を大活用する人だが、この盤ではソプラノ対応のためかその辺を抑えている感じがする。(hand)

このジャズ感は突出していて否定のしようがない素晴らしさだ。聞きなれたスタンダードがズートのソプラノで変貌していく気持ちの良さ。このソプラノのスタイルは唯一無二のものだが、奇をてらった感じはまったくなく、レイ・ブライアントの重たいタッチとズートのソプラノがいい雰囲気でマッチしている。名盤。(しげどん)

ズートがソプラノサックスを吹く曲を揃えたアルバムでユニークかつ素晴らしい。ヴィヴラートの味わいは大御所のテナー色を少し感じさせるものがあり、軽快さと本物感の同居がここにある。スタンダードな曲が多いアルバムだが、ズート作曲のBloos for Louiseとwrap upにおけるレイブライアンのピアノとズートの創作メロディ合戦は聴き応えがある。(ショーン)



Zoot Sims With Bucky Pizzarelli ズート・シムズ ウィズ バッキー・ピザレリ

1976年8月

Classic Jazz

hand ★★★★☆

しげどん ★★★☆

Zoot Sims(ts),Bucky Pizzarelli(g)

バッキー・ピザレリとのデュオで、最後まで聴かせるズートは歌心満載

4年前の「ニルバナ」でのカルテット演奏がとても良かったバッキー・ピザレリとのデュオ録音。さらにこの4年後に「エレジアック」も録音する。3作ともパブロではないマイナーレーベルから出ているのはなぜなのか?ノーマン・グランツがバッキーを嫌ったのか、その逆なのか、その辺は不明だ。ただ、どの盤も私にはかなり好ましい内容だ。バッキーのギターは、ジョー・パスに比べて名人過ぎないのがいい。多少、目の粗いカッティングなどがいい味を出している。デュオでソプラノなし、ボーカルなしのこの盤はいい。(hand)

バッキー・ピザレリとのデュオアルバム。ズートの良さを引き出した聞きやすいアルバムで、デュオ作品にありがちな退屈な感じはしないくつろぎ盤。デュオでここまで聴かせるのはズートならでは。Summunというタイトルでも発売され、ジャケ違いもあるので要注意だ。

(しげどん)



Hawthorne Nights/Zoot Sims  ホーソン・ナイト/ズート・シムズ

1976年9月20日

Pablo

おすすめ度

hand  ★★★★☆

しげどん ★★★★

Zoot Sims(ts),Oscar Brashear(tp),Snooky Young(tp,flh),Frank Rosolino(tb),Richie Kamuca(ts),Jerome Richardson(cl,ts,ss,as,fl),Bill Hood(bs,bcl,fl),Ross Tompkins(p),Monty Budwig(b),Nick Ceroli(ds),Bill Holman(arr)

ビル・ホルマンのアレンジによるモダンビッグバンドに参加

7管のズートと聞くと、スイング感たっぷりの中間派的なスモールビッグバンド演奏を想像するが、この盤はかなりのハードバップ感があり私には好感だ。トランペットのオスカー・ブラッシャヲーらがモダンなことと、ビル・ホルマンのアレンジもモダンだからだと思う。ズートのソロも比較的モダンだ。ホーソーンはロス近郊の都市の名前らしい。ビーチボーイズ縁の地らしい。タイトル曲はホルマン作。ライブのようなタイトルだがスタジオ録音だ。ラスト曲のボーカルは表記はないがズートのようだ。悪くない。(hand)

ズート・シムスのリーダー作だが、実質的には「ビル・ホルマン・ビッグバンド・フィーチャリング・ズート・シムズ」といった内容。名門バンドを渡り歩いてきた名アレンジャーによる作品で、とてもよくスィングするモダンビッグバンドが味わえる。ズートのほかフランク・ロソリーノ、リッチー・カミューカと言ったウエスト・コーストのスタープレイヤーの参加も楽しめるので、ズートの出番が少なくなるのは致し方ないところ。(しげどん)



At Las Vegas Jazz Society/Zoot Sims ラスベガスのズート・シムズ

1976年3月18日

Jazzbank

おすすめ度

hand  ★★★☆

しげどん ★★★★☆

Zoot Sims(ts),Tom Ferguson(p),Carmon Smith(b),Tom Montgomery(ds)

発掘盤ながら優れたライブ作品。愛聴曲を演じるズートは味わい深い。

ズートのくつろいだ感じが最もよく出たパターンの①イン・ザ・ミドル・オブ・ア・キスから始まる。CDは曲名誤表示でイフ・アイ・シュド・ルーズ・ユーとなっている。ズートのお気に入り曲らしく、ライブにはたびたび入っている。②カムズ・ラブも誤表示でサムズ・アップとなっている。2年後の「ウォーム・テナー」で正規録音しているが、この盤のほうが勢いが合って良いと思う。 ④アイル・リメンバー・エイプリル、バップの盛り上がるこの曲もズートが吹くとただの速い曲になる。やはりバッパーではない。ラスト⑥フラワー・ワルツのみソプラノだが、この曲にはソプラノが合う。海賊盤だが音はそれほど悪くない。ベースの音がゴムのようで好みではないが、この演奏には合っている気がした。(hand)

JAZZBANKレーベルによる発掘盤ながら、内容は優れたライブだ。この時期の前後の作品と比較しても決して劣らないというか水準以上のくつろぎのライブだと思う。一部録音が乱れる部分はあるが、音質も悪くない。 でも曲名の表記は間違っていて、日本語ライナー氏もそのまま解説しているが、冒頭の曲はIf I Shold Loose Youではなく、In a Middle of a Kissで当時の愛奏曲だ。最後の曲もFlower Waltzとなっているが、これもRosemary's Babyで、いづれもZoot at Easeで演じられていた曲である。



If Im Lucky/Zoot Sims イフ・アイム・ラッキー/ズート・シムズ

1977年10月27,28日

Pablo

おすすめ度

hand  ★★★☆

しげどん ★★★★☆

ショーン ★★★★☆

Zoot Sims(ts),Jimmy Rowles(p),George Mraz(b),Mousie Alexander(ds)

ワンホーンによるこの時期一番の快作。

内容はとても親しみやすい。気になるのは大きめに録音されたベースの音。70年代に多いアコースティックなのにアンプを通してエレクトリックに聞こえる音。ベースの演奏内容が悪くないだけに残念だ。(hand)

ワンホーンによるこの時期前後では一番の快作。ズート円熟のテナーを堪能できる。有名曲は少ないのだが、ズートらしい解釈で、インパクトあるものに変えている。ボサノバ調のノリのいい曲もあり、全編充実した作品。ピアノのジミー・ロウルズは後期ズートのベストパートナーといえるサポートぶり。A面最後のShadow Waltzは、翌年コペンハーゲンでケニー・ドリューと吹き込んだFlower Waltzと同じ曲。古いスタンダードで、ソニー・ロリンズは題名通りの三拍子でアルバム「自由組曲」の中で演じていたが、ズートはボサノバ調にしてしまっている。(しげどん)

円熟味を帯びたズート節全開のアルバム。ピアノにジミーロウルズを迎えたセッションで、決して派手ではないが、深みのある演奏が聴ける。ジミーロウルズから繰り出されるフレーズは革新的提案的で、ズートの才覚に良い刺激を与え、伸びやかに優雅に唄うズートのテナーは最高だ。(ショーン)



Live in Japan 1977 Vol.1 Vol.2/Zoot Sims ズート・シムズ・ライブ・イン・ジャパン

1977年6月29日

marshmallow

おすすめ度

hand  ★★★☆

しげどん ★★★★

Zoot Sims(ts,ss),Dave McKenna(p),Bucky Pizzarelli(g),Major Holley(b)Jake Hanna(ds)

'77年の二回目の来日でのはじめて自分のグループを率いた素晴らしいライブの記録

東京、読売ホールでの録音。日本のマシュマロからの盤。第1集CDは僅か2週間(CD)で完売したらしい。会場の盛り上がりがズートたちメンバーを気持ちよくしたのか、演奏も盛り上がっている。内容は、ズートのテナー&ソプラノ、そしてボーカルのほか、デイブ・マッケナのトリオ演奏や、バッキー・ピザレリのソロ演奏、メジャー・ホリーのハミングとベースのユニゾン演奏など盛り沢山だ。スラム・スチュアート譲りのベースのユニゾンは、見るのは楽しそうだが、聞くのはちょっと感がある。ジェラルド・ウィギンズ盤で、いつもそう思う。(hand)

二度目の来日となる77年読売ホールでのライブ。後半に収録されているハーフノートのライブでやったのと同じアレンジでの「恋人よ割れに帰れ」が、コンサートのオープニングだったらしい。最初からノリノリのズート。全般的に盛り上がる曲が多く、お客さんもノッテいる感じが伝わる。最後にズートの歌も聴けるが、出だしの部分でのお客の反応もライブらしく「おぉつ!」という感じがほほえましく、当日のライブの楽しい雰囲気が伝わってくる。

Vol.2は、Vol.1と同一日の演奏で、ベースのメイジャー・ホリー、ドラムスのジェイク・ハナをフィチャーした場面が比較的長く、ズートの時間がVol.1より短め。二人とも録音を前提にしていないライブならではのサービス精神旺盛なソロで、コミックバンド寸前のパフォーマンスで笑いをとっている。メジャー・ホリーのヴォイス加工したベースはスタジオ盤では辟易するが、このようなライブでは許される和気あいあいとした楽しいパフォーマンスの記録だ。(しげどん)



Live In Yamagata Vol.1 Vol.2/Zoot Sims ズート・シムズ・ライブ・イン・山形

1977年6月22日

Marshmallow

おすすめ度

hand  ★★★☆

しげどん ★★★★

Zoot Sims(ts,ss),Dave McKenna(p),Bucky Pizzarelli(g),Major Holley(b)Jake Hanna(ds)

これも77年来日時の同一メンバーによる山形での楽しいライブ

日本贔屓のミュージシャンは何人かいるが、ズートもその1人だ。特に山形の老舗ジャズ喫茶「オクテット」のマスター相澤榮氏との交流が知られる。ズートのファンクラブも主催されているようだ。5回来日して、山形公演3回というのがすごいと思う。このコンサートもオクテット主催で、CDは東京公演の「イン・ジャパン」同様にマシュマロから。この日もメンバーは、くつろぎのある楽しい演奏を聞かせる。音はいい。(hand)

ライブ・イン・ジャパンとは連作と言っていい同時期の来日記録だが、録音はこちらのほうが早い。77年の来日時のライブをリアルに聴けた人は素晴らしい体験だと思うが、特にこの山形は東京読売ホールと並んで、生で聴けた音源が記録に残っているのだからとてもうらやましい。会場はインティメイトな雰囲気だが、来日終盤の読売ホールに較べて、まだ三日目のこちらはややかしこまっている感じがするが、あくまでも比較の問題で、ズートはズートらしくリラックスしたノリノリの演奏を聴かせる。Vol.2のドラムとベースのフィチャーナンバーも東京のライブと通じる。メジャー・ホリーのボーカル入りのアルコソロは、現場では受けて笑いをとっているが、レコードとしてきくのは長いと少しつらいものがある。(しげどん)