ジャズ・メッセンジャーズやキャノンボールのバンドに所属し、モーニンやジス・ヒアという大ヒットを飛ばしたことでファンキー・ピアニストとして超有名になったのが、ボビー・ティモンズ(1935.12.19-1974.3.1、フィラデルフィア出身)です。そのティモンズを1人のピアニストして改めて聞いてみたらどうなのでしょうか?!そんなことからスタートしたのが今回の談義です。やはり、世間やレーベルの意向とは必ずしも一致しないティモンズの個性のようなものが少しは見えた気がします。(しげどん)
世間的に知られるティモンズ盤は「ジズ・ヒア・イズ」というのが相場と思う。しかし、よく聴いてみるとそれほど名盤とは感じない。ヒット曲を再演した標準レベルの盤ではないか。ファンキー・ピアニストとしてのティモンズを聞くならばJM盤やキャノンボール盤がやはり適している。ティモンズがその場に適合した演奏をしているからだ。では、リーダー盤ではどうなのか?強烈な個性派というわけではなく、プロデューサーの意向にも配慮した感じはあるが、ソニー・クラークやウィントン・ケリーにも近い部分もあるバド系のかなりテクニックのあるピアニストであったと思う。今回の談義の結果は、ハードバップ・ピアニストとしての側面が良く出たリバーサード盤に人気が集中し、その後のブルージーでソウルも感じるプレスティジ盤が多少健闘したように思う。第1位は、これも名盤と言われることの多い「イン・パーソン」が選ばれた。第2位は「イージー・ダズ・イット」、第3位は「ボーン・トゥ・ビー・ブルー」、第4位は「スィート・アンド・ソウルフル・サウンズ」とここまでがリバーサイド。かろうじて第5位に「チュン-キング」とプレステッジが滑り込んだ。以下、ショーン氏推薦の「リトル・ベアフット・ソウル」、私hand推薦の未CD化盤「チキン&ダンプリン」と、プレステッジ盤が健闘した。(hand)
・新宿ジャズ談義の会 :ボビー・ティモンズ CDレビュー 目次
Bobby Timmons(p),
Ron Carter(b), Albert Heath(ds)
ボビーティモンズのピアノとロンカーターのベースがシンクロしたしっかりとしたリズムに乗った演奏が素晴らしい。時に激しく時に優しく、ボビーは鍵盤を叩き、メリハリのある好演奏となっている。スタジオ録音では真面目な印象のティモンズだが、ライブの方が数段素晴らしい! (ショーン)
ライブ盤だが、ティモンズの個性が良くでた作品だと思う。スタンダードでの彼らしい個性が、初期の頃に比べて大きく出されていて、So Tiredのようなオリジナルも、メッセンジャーズでの演奏とは違った味があるし、スタンダードも彼らしいアーシーなテイストがよく出ている。傑作ライブだ。(しげどん)
リーダー第4作。JMでの大量録音とお別れし、独立後の初録音となる。これ以降は、一部サイド盤はあるものの、亡くなるまでリーダー録音がメインとなる。ジャズ演奏録音が多分最多数の名曲①枯葉から始まる。ティモンズが、トレードマークとされるブロックコードをJMの「サンジェルマン」以外でここまで多用したのはこの曲くらいではないかと思う。枯葉は、今思うとベタな選曲だが、この時点で考えると名演の仲間入りを目指した挑戦的な選曲とも言える。結果は、金銀銅のベスト3には至っていないと思うが、ベスト10には入れてよいと思う。JMでも演奏した自作②ソー・タイアドはスピード感がありカッコいい。バラード③、スインギーな⑤⑧、ファンキーな⑥⑦、その他も気合い十分なティモンズと、太い音色でこれをサポートするロン。当時は新人だが⑨ソフトリーではフィーチャーされる。そして、アルバート・ヒースも参加した万全の布陣の名盤だ。全作を聞いた後に再度聞いたところ、これがラスト・ファンキー盤、ブロックコード多用盤のように思う。これ以降、バドらの原点回帰と、60年代的なポップな要素等が加わるとともに、ブロックコードの使用度は低下していく。(hand)
Bobby Timmons(p),
Sam Jones(b), Jimmy Cobb(ds)
ジミーコブのドラムスが力強く、ノリ良く演奏が進む。サムジョーンズのベースラインもメロディアスで、ボビーティモンズを盛り上げていて、パワーのあるアルバムに仕上がっている。リーダーのボビーティモンズが他の2人に押されている印象すらあり、自由でチームワークの良さを感じる素晴らしい演奏だ。 (ショーン)
JMのお蔵入りとなった大量のモーダル録音の合間に録音されたリーダー第3作。モードが嫌い(苦手?)と言われるティモンズの溜まりに溜まったものを吐き出した盤ではないかと思う。音楽監督ショーターの音楽に違和感があるティモンズは、大好きなバド、クラーク、ケリーらの流れに連なる自らのスタイルで、JMと関係のないデビュー盤と同じサム・ジョーンズ、そしてジミー・コブを迎えて、元気に弾きまくっている。コブは、当時は地味(ジミー)とされていたが意外とうるさめに叩いていてフィリーのようなので、ティモンズ版「ケリー・アット・ミッドナイト」のような威勢の良さもある。自作3曲①(この盤のみ)③ア・リトル・ビジー(JM「ウィッチ・ドクター」にも収録)、⑤プリティ・メモリー(ナット・アダレイ「ワーク・ソング」にも収録)と②⑧は、ハードボイルドで真面目なピアニストの側面が聞かれ、ジャケやタイトルの陽気でお気楽な感じとは異なる。バラード④⑥もしっとりというよりも粒だっている。スインギーな⑦もあり、バランスのとれた好内容の盤だと思う。しばしば、ピアニストの系譜図で、シルバーの流れのファンキーピアニストとされるが、本人的には、もっとよく聞いてから決めてよ、と言いたかった気がする。フィニアスやホーズとも近い面があると思う。(hand)
オリジナル曲とスタンダードがバランスよく配置されていて、一枚のアルバムとしてまとまっている。Pretty Memoryはナット・アダレイのリバーサイド盤「Work Song」にも収録されていた印象深い名曲。それ以外のオリジナルも、ティモンズらしい個性がよく出ている。このようなアルバムを聞くと、モーニンの人みたいにその印象だけが強すぎるので逆に損をしているのではと思ってしまう。ピアニストとしてのティモンズは、コテコテ一本張りではなく、アーシーな感じの中に哀愁を感じるリリカルな一面も強く持っていると感じる。(しげどん)
Bobby Timmons(p),
Sam Jones(b:1,2,5,7), Ron Carter(b:3,4,6), Connie Kay(ds)
ティモンズがファンキー一辺倒ではないピアニストであることを証明するような趣味の良いピアノトリオ盤。冒頭からスタンダード曲で、哀愁を感じる演奏が続き、いい感じだ。彼のオリジナル曲はあえてその後に演奏されるが、ファンキータッチで彼らしくもあるが、あまりアーシーな感じはなく、いい雰囲気で、The Sit-in なんかは名曲だと思う。ティモンズの個性も出しながら、情緒あるピアノを聞かせるなかなかの傑作盤。(しげどん)
都会的な雰囲気の漂う大人な演奏。トリオとは思えない厚みを感じる。ボビーティモンズのプレイはとても軽やかで自由でありながら、どこか既定路線感もあり、安心して聴くことができる。良い意味でBGM的なアルバムだ。 (ショーン)
リーダー第6作。63年はこれ1作のみ。ベースはロン・カーター③④⑥とサム・ジョーンズ①②⑤⑦、ドラムはコニー・ケイ。前作「スイート・アンド・ソウルフル・サウンズ」のような気合いは感じないが、親しみやすく聞きやすい盤だと思う。ジャケのような暗いイメージはない。ティモンズのピアノ自体は、プロデューサーの意向なのか?幾分、他のリーダー盤よりファンキーに感じる。私の好きな曲、トム・マッキントッシュの讃美歌的なバラード②(ウィズ)マリス・タワーズ・ノンがファンキーになり悪くはないのだが少し残念(トミフラ盤「バラッズ・アンド・ブルース」が素晴らしい)。ドラムがハードにドライブするロイ・マッカーディとパーカッション的な要素を得意とするコニー・ケイの違いで盤の色合いも変わったのだと思う。ケイもMJQ時ほど室内楽的ではなく、かなりハードに叩いていて、⑤ザ・シット・インはよくドライブしている。⑥ネイムリー・ユーは明るくロマンチックだ。いつの時点での発言かはわからないが、ティモンズ自身では最高作と言っていたようだ。(hand)
Bobby Timmons(p),
Sam Jones(b), Roy McCurdy(ds)
リーダー第5作。これ以降、亡くなるまで13作全てがリーダー録音となる。と言っても、残り12年間という短くて残念で貴重な期間がスタートする。62年はこれ1作のみ。なんとなく気合いを感じるタイトル曲的な①スウィーテスト・サウンズから始まる。硬派なピアノで、ソウルフルとは感じなかった。ソロも3曲あり、ソロピアノが苦手と言われるティモンズのソロも悪くないと言いたい。ただ、この盤はトリオ曲に特に気合を感じる。サム・ジョーンズはティモンズ在団時からキャノンボールにいたが、ジョーンズの退団後に入れ替わるようにキャノンボールに加入し、ファンク時代を支えたドラムのロイ・マッカーディがこのトリオ演奏をハードにドライブさせているように感じる。時代は違うがキャノンボールのリズム隊3人の名演だ。(hand)
いきなりスピードに乗ったボビーティモンズの鍵盤捌きと正確なリズム隊。心地良い音の流れを感じる。まるで語りかるようなピアノの調べは、彼の真骨頂だろう。後半のピアノソロは、やや間延びする印象も。 (ショーン)
全体的にバランスがよくとれた好盤。You,d Be So…, Alone Together,など、スタンダードは甘さに流れすぎず、がっしり弾いているが、適度に哀愁も感じるいい雰囲気で、ゴスペル感のあるオリジナルも、コテコテではない趣味のいい感じ。SweetでSoulfulというタイトル通りの内容だった。(しげどん)
Bobby Timmons(p),
Keter Betts(b), Albert Heath(ds)
この作品も引き続きソウルフルなイメージではじまるが、アーシーな味わいではなく、都会的な洗練された雰囲気でなかなかかっこいい。ボサノバの名曲や、後半のスタンダードが、さわやかな味わいなので、ポピュラーな人気もとれそうな作品だが、逆に重厚で黒っぽい音を期待する向きには、やや軽く流れている印象も持たれそうだ。でも聞きやすい楽しい作品だと思う。Getting’ It Togetha’ は、From The Bottomと同じ曲だが、なんでタイトルを変えたんだろう? (しげどん)
64年の4枚目。キーター・ベッツと「イン・パーソン」以来のアルバート・ヒースという珍しい組合せの盤になっている。前作「リトル・ベアフット・ソウル」よりも勢いを感じる。ベッツはチャーリー・バードの「ブルース・ソナタ」をイメージする穏やかなベースと思い込んでいたが、ここではとてもハードボイルドだ。そしてやはり、ジャズ系のドラムのヒース。このメンバーほうがティモンズもノレたのか、好調に感じる。タイトル曲①や②④など、60年代的なファンキーな曲と演奏がメインとなる。ボサが1曲(③オー・グランジ・アモール)入っていていい感じだ。ラスト2曲⑤一晩中踊れたら、⑥やさしき伴侶を、は雰囲気が変わり、従来型のハードバップのピアノに戻って、私的には好感触ではあるが、この時代、この盤には似合わないかも、と思う。ジャケに恵まれないのも、ティモンズに同情してしまう。タイトルのチュンキングとはどんな王様なのか調べてみたところ、アメリカで発売されていた中国料理の缶詰ブランドのようだった。(hand)
比較的テンポが良く、音階的には異国感のあるテイストの曲が多く、曲の構成・展開とも良く、アルバム全体としては良くまとまっている。ただピアノ、ベースとも繰り返しのフレーズが多く、少し単調に感じてしまう部分もある。(ショーン)
・新宿ジャズ談義の会 :ボビー・ティモンズ CDレビュー 目次
ジャズCD 15000枚所蔵しているモダンジャズマニアhand氏、高校生の頃からジャズにはまり40年以上聴き続けているアナログ&トラディショナル派のしげどん、元々はビートルズマニアだったのが二人に巻き込まれてジャズファンに染まったショーン氏。三人それぞれの視点でジャズを楽しく論じているページです。
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