Cannonball Adderley 主要作品 ディスクガイド:リーダー作編 ③   1961年~1965年

このページでは1965年までを一区切りとして、ご案内しています。

彼のジャズらしい作品が味わえるのはほとんどこの時期までなので、Best 5 もこの時期までで選定していますが、後期の作品は主にhand氏がコメントを記入していますので、そちらもご覧ください。ジャズファンク的な音楽が好みの方には、好きな盤があるかもしれません。


Know What I Mean?/Cannonball Adderley  ノウ・ホワット・アイ・ミーン/キャノンボール・アダレイ

1961年2月21日

3月31日

おすすめ度

hand       ★★★★

しげどん  ★★★★

Cannonball Adderley(as),Bill Evans(p),Percy Hearth(b),Connie Kay(ds)

キャノンボールがエバンスに寄り添ったくつろぎの一枚

マイルス・バンドでの盟友キャノンボールとエバンスの共演。エバンスのワルツ・フォー・デビーの管入り演奏はこれだけではないか。モニカ・ゼッタールンドとのボーカル盤がほかにあるが。マイルス抜きの気楽な共演なので、「カインド・オブ・ブルー」的な緊張感はない。どちらかというと寛ぎ系の盤。相変わらずキャノンボールは吹きまくる。タイトルは、キャノンボールの口癖で、MCでいつも聞かれる。(hand)

ピアノがこの時期のビル・エバンスだと、完全にエバンスが主導権を握っている。すでにファンキー路線に突入していたキャノンボールだが、さすがにジャズを知り尽くした男だけに自分の個性を保ちつつうまく同調しているのはさすがだ。(しげどん)



これは近年LPで再発されたモノ。ジャケットもタイトルも全く変わってしまった。



African Waltz/Cannonball Adderley  アフリカン ワルツ/キャノンボール・アダレイ

1961年2月8日,5月9日,15日

Riverside

おすすめ度

hand    ★★★★

Nat Adderley,Clark Terry,Ernie Royal,Joe Newman (tp),Arnett Sparrow, George Matthews,Jimmy Cleveland,Paul Faulisc(tb),Don Burterfield (tuba),Cannonball Adderley(as),Wynton Kelly(p),Sam Jones(b),Louis Hayes(ds)

モダン・ベイシー的なサウンドを楽しめるモダン・ビッグバンド盤

キャノンボールのリーダー作としては珍しいモダン・ビッグバンド盤。選曲もアーニー・ウィルキンスのアレンジも良く、モダン・ベイシー的なサウンドを楽しめる。(hand)



The Cannonball Adderley Quintet Plus/Cannonball Adderley  キャノンボール・アダレイ・クインテット・プラス/キャノンボール・アダレイ

1961年5月11日

Riverside

おすすめ度

hand       ★★★

しげどん  ★★★★

Cannonball Adderley(as),Nat Adderley(cor),Victor Feldman(p),Sam Jones(b),Louis Hayes(ds),Wynton Kelly(p)

旧友ウィントン・ケリーを迎えたセクステット4曲が聴きモノ

いつものクインテットにウィントン・ケリーをプラス。フェルドマンがバイブを弾く応援のためだ。何とももったいない使い方だ。名盤となる可能性のあるメンバーなのに、そうはなっていない。残念だ。いい新曲がないのが敗因だと思う。(hand)

Plusというタイトルは、CD時代だとおまけの掘り出し盤みたいだが、このアルバムはPlusが題名。In Chicago,Takes Charge と彼の名盤を推してきたケリーとの共演度合いもいい感じだし、フェルドマンのヴァイブもいい。この人は英国人なのにファンキーな味から何から全部わかってやっているすごい才人。モンクの曲などの選曲は意見が分かれるところだろうが、聴き込みたくなる一枚であることは間違いない。(しげどん)



The Cannonball Adderley Sextet In New York   キャノンボール イン ニューヨーク/キャノンボール・アダレイ

1962年1月12日,14日

Riverside

おすすめ度

hand        ★★★★☆

しげどん  ★★★☆

ショーン   ★★★★

ユーゼフ・ラティーフとジョー・ザビヌル加入によるセクステット編成。バンドカラーが変化した。

Nat Adderley(cor) 、 Cannonball Adderley(as)、Yisef Lateef(ts、fl、oboe)、

Joe Zawinul(p)、Sam Jones(b)、Louis Hayes(ds)

ユーゼフ・ラティーフの個性が強いが、このライブではそれが丁度良いアクセントになっているかも。ユーゼフ・ラティーフが好きか嫌いかで評価は分かれるのでは?キャノンボール自身はいつも通り。(しげどん)

あまりよく聞かずにファンキー時代のライブと決めつけていたが、クールなハードバップの名盤だった。ラティーフとザビヌルの加入でバンドのカラーが変わっている。(hand)



Cannonball In Europe        キャノンボール イン  ヨーロッパ/キャノンボール・アダレイ

1962年8月4日、5日

Riverside

おすすめ度

hand        ★★★★

しげどん   ★★★

ショーン   ★★★★

ラティーフ独特のエキゾチックな前衛性がバンドカラーを支配

Nat Adderley(cor) 、 Cannonball Adderley(as)、Yisef Lateef(ts、fl、oboe)、

Joe Zawinul(p)、Sam Jones(b)、Louis Hayes(ds)

意外にも端正なハードバップ盤。ユゼフとファンキーは相容れない。ファンキーの三要素を考えてみた。ファンキーな曲(4ビート後乗り、コール&レスポンスのゴスペル的雰囲気)、ファンキーなミュージシャン、ファンキーな演奏である。これらが過半数を占めるとファンキーな盤が生まれると思う。(hand)

3管バンドの素晴らしさを堪能できるライブ盤。また、ユゼフのフルートが意外と良い味を醸しており、ライブの魅力アップに大きく貢献している。キャノンボールの気の利いたアナウンスも場の雰囲気が伝わってきてgood!(ショーン)

 



Jazz Workshop Revisited/Cannonball Adderley Sextet                              ジャズ・ワークショップ・リヴィジッテド/キャノンボール・アダレイ

1962年9月

Riverside

Nat Adderley(cor) 、 Cannonball Adderley(as)、Yisef Lateef(ts、fl、oboe)、

Joe Zawinul(p)、Sam Jones(b)、Louis Hayes(ds)


おすすめ度

hand        ★★★

しげどん   ★★★

ショーン   ★★★★

この作品もラティーフ+ザビヌルのエキゾチックな雰囲気によるライブ盤

 不思議な感覚の1曲目primitivoから始まるでのライヴ。ユーゼフ・ラティーフをフューチャーしたことで、このような東洋的と言うか異国的なフレーズが満載の演奏となったのだろう。好き嫌いがでそうだが、ショーン的にはOK。こういうjazzの表現もあるのだ。 (ショーン)

比較的ファンキーなのは、ファンキー名盤の場所を再訪したから⁈でもやはり、このメンバーでは、オリエンタルな感じの知的ハードバップになる(hand)



Cannonball’s Bossa Nova/Cannonball Adderley                                                         キャノンボールズ ボサノバ/キャノンボール・アダレイ

1962年12月

Riverside

Cannonball Adderley(as)、Sergio Mendes (p)、others


おすすめ度

hand★★★★

しげどん★★★★

ショーン★★★★☆

キャノンボールの超絶技巧が、ボサノバを心行くまで堪能させてくれる癒しの味わい。

ゲッツ/ジルベルトに勝るとも劣らないジャズボサの名盤。セルジオ・メンデスのバンドにキャノンボールが客演した形。キャノンボールのアルトの音色が艶やか。特にクラウド「雲」が素晴らしく、耳に残る。(hand)

ゲッツ/ジルベルトは、ジャズ的にはゲッツの作品だが、一般的にはアストラッドの唄が主役でヒットした。キャノンボールはアルト主役でチャレンジしたので、ジャズ的にはもっと応援したい一枚。楽しく聴ける癒しの一枚だ。(しげどん)

ゆったりとしたボサノヴァのリズムにキャノンボールのアルトがよくマッチして、好盤の仕上がりになっている。サスティーンした高音の震えと揺らぎが、疲れた心と身体を癒してくれる。(ショーン)


近年 アナログ盤でジャケットデザインもタイトルも変えて再発



Complete Live in Tokyo/Cannonball Adderley

Complete Live In Tokyo 

アナログで発売された63年来日時の記録をCD化

※Complete Live in Tokyo では、「A Day With Cannonball Adderley」に収録されたTV番組用の音源と、「Nippon Soul」「Autumn Leaves」に収録された曲をすべて収録している。

内容コメントは下記を参照ください。



A Day With Cannonball Adderley 1963     キャノンボール・アダレイ1963

1963年6月15日

Baybrige

hand       ★★★★

しげどん   ★★★

未CD化

Cannonball Adderley(as),Nat Adderley(cor),Yusef Lateef(ts、fl),Joe Zawinul(p),Sam Jones(b),Louis Hayes(ds)

初来日時のテレビ放送用の貴重な記録

63年6月15日の録音と表記されているが、7月7日の誤りと思われる。日本テレビの放送用録音のためかA①ジャイブ・サンバとB①エンジェル・アイズ以外は、曲は短めに演奏されている。当時の日本には、ユゼフ・ラティーフの演奏がどう受け止められたか不明だが、今聞いても魅力的なサウンドだと思う。(hand)

1963年の来日時はファンキーブーム真っ盛りで複数のテレビでも取り上げられ、この音源はNTVのスタジオでテレビ放送用にとられたものらしい。来日は7月なのでアルバムに記載された録音日6月15日はたぶんあやまり。演奏としては62年頃のライブと似たラティーフ主体(長いフルートソロあり)の中で、プロモート的に有名曲もやっている。ユーゼフ・ラティーフ参加のセクステット作品としては最後期になるので、本当は注目すべき作品のはずだが現状は入手困難だ。(しげどん)



Autumn Leaves Cannonball Adderley Live In Tokyo   枯葉/キャノンボール・アダレイ・ライブ・イン・東京

1963年7月14日,15日

hand       ★★★★

しげどん   ★★★

未CD化

Cannonball Adderley(as),Nat Adderley(cor),Yusef Lateef(ts、fl),Joe Zawinul(p),Sam Jones(b),Louis Hayes(ds)

日本だけで発売された初来日記念盤。

63年7月の来日公演録音から日本でのみ発売されたリバーサイド盤LP。「DIZZY'S BUSINESS」に収録されていなかったのはA①ワークソングのみだがなかなかの熱演だ。現在はCD化で「COMPLETE LIVE IN TOKYO 1963」として来日時の録音の集大成盤がSOLARから2015年に出ているが既に入手困難化している(hand)

63年7月の来日公演の録音から、日本だけで発売された盤。「ニッポン・ソウル」の収録曲とのダブリはない。ワークソング、枯葉、というヒット曲がA面に来ているのは日本でのセールスを意識してだろうが、バンドカラーはユーゼフ・ラティーフ,ジョー・ザビヌルというセクステットが主力。(しげどん)



Nippon Soul/Cannonball Adderley   ニッポン・ソウル/キャノンボール・アダレイ

1963年7月14日,15日

Riverside

hand      ★★★☆

Cannonball Adderley(as),Nat Adderley(cor),Yusef Lateef(ts,fl,oboe),Joe Zawinul(p),Sam Jones(b),Louis Hayes(ds)

ファンキー・ブームの中での初来日の記録

63年7月の来日公演録音からチョイスしたリバーサイドの正規盤。和風ジャケが特徴的。タイトル曲①ニッポン・ソウルは久しぶりの自身のオリジナル。他曲のコード進行を借用した感じで特段名曲ではない(笑)。②イージー・トゥ・ラブは超高速で、キャノンボールの張り切りはすごい。⑤カム・サンデーは、ザビヌルとサム・ジョーンズの美しいデュオ。⑥ブラザー・ジョンは、ラティーフがコルトレーン に捧げた曲。ナットの低音吹きが出る。⑦ワークソング はCD追加曲。(hand)



Dizzy’s Business  Cannonball Adderley    ディジーズ・ビジネス/キャノンボール・アダレイ

1962年9月21日,22日

1963年7月9日,14日

Cannonball Adderley(as),Nat Adderley(cor),Yusef Lateef(ts、fl),Joe Zawinul(p),Sam Jones(b),Louis Hayes(ds)

リバーサイド時代の63年の来日公演①〜⑥に62年の「ジャズワークショップ・リビジテッド」の残り演奏⑦〜⑨を追加した盤。「サムシン・エルス」でマイルスと枯葉の超名演を残したキャノンボールだが、ライブでの①枯葉の演奏記録は少ない。スタジオでも、66年のストリングス入りの「グレート・ラブ・テーマ」での演奏以外に記憶がない。やはりマイルスのリーダーシップにより吹き込まれた盤の曲は再演する気にならないのではないかと思う。この日は、多分、日本側の強い要請があったのではと想像する。③プリミティブの不気味な音色の低音は、ナットのトランペットの裏技らしい。ザビヌルのピアノがケリーに似ていると思った。⑥ボヘミアは高速熱演。(hand)

※注:①~⑥はほぼ「Autumn Leaves」と同じ収録曲だが、Work Songが収録されていない代わりにBohemia After Darkを収録。



BBC Jazz625/Cannonball Adderley Sextet  BBCジャズ625/キャノンボール・アダレイ

1964年5月14日

hand       ★★★☆

しげどん   ★★★☆

Cannonball Adderley(as),Nat Adderley(cor),Charles Lloyd(ts、fl),Joe Zawinul(p),Sam Jones(b),Louis Hayes(ds

ロイド参加の最初期を記録したテレビ放送向けの記録

放送用の録音。この日のキャノンボールは、想定外のクールさだ。キャノンボールのライブは熱いものという固定観念を裏切る内容だ。悪い意味ではない。(hand)

BBCのテレビ放送用の録音で、日本への来日時のレパートリーとかなりダブり、アレンジでも同じような感じだが、メンバーがユーゼフ・ラティーフからチャールス・ロイドに変わった点が聴きどころ。ロイドに変わった直後の記録かもしれない。ロイドはラティーフのようにバンドカラーを変えるほどの個性はないが、この当時らしいややフリーキーなソロなので、キャノンボールコンビとは微妙にアンマッチな感じである。(しげどん)



Live/Cannonball Adderley/ライブ!/キャノンボール・アダレイ

1964年7月31日,8月2日

Capitol

hand      ★★★☆

しげどん  ★★★

Cannonball Adderley(as),Nat Adderley(cor),Charles Lioyd(ts,fl),

Joe Zawinul(p),Sam Jones(b),Louis Hayes(ds)

チャールス・ロイドを加えたセクステットでのライブ

チャールス・ロイド加入のライブ。ユセフ・ラティーフの中近東ライクな雰囲気が消え、チャールス・ロイドのアメリカ中南部の雰囲気が漂う。ロイドは残念ながら2枚の正規盤参加で自バンドをキースらと結成するため退団してしまう。(hand)

チャールス・ロイドの作曲が半分を占めているのは、ラティーフに変わる新メンバーとしてのアピールか?しかしバンドのカラーが大きく変わったわけではない。キャンノンボールのソロは相変わらずの力強さで、ライブとしては魅力ある作品だが、グループ表現としては、ロイド参加がプラスになったのかは疑問。(しげどん)



Fiddler On The Roof/Cannonball Adderley    屋根の上のバイオリン弾き/キャノンボール・アダレイ

1964年10月19日,21日

Capitol

hand      ★★★

しげどん ★★★☆

Cannonball Adderley(as),Nat Adderley(cor),Charles Lioyd(ts,fl),

Joe Zawinul(p),Sam Jones(b),Louis Hayes(ds)

ミュージカルに素材をとってもジャズらしさは失っていない作品。キャノンボール版「屋根の上のバイオリン弾き」

日本人ドラマーM(武蔵野のブレイキー)さんは、この盤が大好きという。企画物はなかなか上手くいかないことが多いが、この盤は比較的いい感じにまとまっている。ミュージカルなどは、全曲がいい曲ばかりでない場合が多く、なかなか難しい点だとと思う。(hand)

キャノンボールがなぜこのミュージカルを素材に一枚のアルバムを企画したのか?経緯は不思議だが、作品としてはジャズ的な要素が充分ある充実した内容。素材をミュージカルに採ったという点はマイナスにはなっていないが、大きなプラスにもなっていないというのが正直な感想。それを意識しなくても、ジャズとして味わえる一枚だ。(しげどん)



Portrait in Jazz live at The Half Note/Cannonball Adderley  ライブ・アット・ザ・ハーフ・ノート/キャノンボール・アダレイ

1965年2月5日

hand       ★★★

Cannonball Adderley(as),Nat Adderley(cor),Charles Lloyd(ts),Joe Zawinul(p),Sam Jones(b),Louis Hayes(ds)

2016年に発掘されたチャールス・ロイド入りのセクステット。ロイド入りは2枚しかなかったので3枚目の盤として貴重だ(他に64年のロンドンでのライブDVDあり。)ポートレート・イン・ジャズというエバンスの超有名盤と同タイトルだが、FM放送の番組タイトルらしい。曲は、前2作からの曲と過去のヒット曲だ。①ジェシカズ・バースデーのビバップな感じがかっこいい。ロイドは後年と変わらぬスタイルだ。一部完全収録もあるが、放送用のためか、キャノンボールとナットのソロの後にフェイドアウトしてしまう曲が多いのは残念なところ。(hand)



Domination/Cannonball Adderleyドミネーション/キャノンボール・アダレイ

1965年4月26日

Capitol

hand      ★★★☆

Cannonball Adderley(as),Nat Adderley(cor),Oliver Nelson's Orchestra

1965年の唯一の正規盤。オリバー・ネルソン指揮のオーケストラにクインテットが載った過渡期の演奏。ベースが一部サム・ジョーンズではなくリチャード・デイビス。ドラムもルイス・ヘイズとグラディ・ティト。サム・ジョーンズとルイス・ヘイズはこの盤が最後となる。テナーはオーケストラ要員しかいない。内容は、モダンビッグバンドにキャノンボールをフィーチャーした感じで、ナットやザビヌルのソロは少なめ。オーケストラがクリード・テイラー的なコマーシャリズムを感じない本格的なビッグバンドで、悪い盤ではない。この後、60年代後半は、「マーシー・マーシー・マーシー」など、ジョー・ザビヌルの活躍により、ファンキー・ジャズからよりポップな8ビートも含めたファンク路線になっていく。(hand)