Booker Little ブッカー・リトル おすすめCDレビュー  リーダー作&サイド作② 1960年

3年半の活動期間の真ん中の1960年の活動を中心にしたページです。ローチとの活動以外にも、いくつかのセッションに参加しています。その中で燦然と輝くのが「ブッカー・リトル」という自らの名前をタイトルとしたタイム盤です。


FANTASTIC / FRANK STROZIER

1959.12.10

1960.2.3

Vee Jay

おすすめ度

hand        ★★★☆

Frank Strozier(as), Booker Little(tp), Wynton Kelly(p), Paul Chambers(b), Jimmy Cobb(ds)

数少ないフランク・ストロジャーのリーダー盤

アルトのフランク・ストロジャーの数少ないリーダー盤。リトル、ケリー、チェンバースにコブと最高のメンバーで録音されている。ただ、オリジナルがあまり魅力的ではないのが残念な点。オマケのリハーサル・テイク⑦ジャスト・イン・タイム、がとても魅力的な演奏に思えた。(hand)



THE SOUL OF JAZZ PERCUSSION / BOOKER LITTLE etc

1960.spring

おすすめ度

hand        ★★★☆

しげどん   ★★

ショーン   ★★★☆

④⑤⑥:Marcus Belgrave, Donald Byrd, Booker Little(tp), Mal Waldron(p), Addison Farmer(b), Ed Shaughnessy(ds), Armando Peraza(congas)

⑦⑧⑨:Don Ellis, Booker Little(tp), Curtis Fuller(tb), Mal Waldron(p),  Addison Farmer(b), 'Philly' Joe Jones(ds), Willie Rodriguez(congas) Ed Shaughnessy(perc,vib)

3種のセッションのうち2つに参加したリトル

ワーウィックという超マイナー・レーベルから出た、パーカッションをめぐるオムニバス盤。全9曲中、リトルはドナルド・バードとの双頭3曲④⑤⑥、自身リーダーの3曲⑦⑧⑨の6曲に参加。バードとの双頭④⑤⑥はマーカス・ベルグレイブも入って3トランペットになり、マルのピアノ、アディソン・ファーマーのベース、エド・ショーネシーのドラムにウィリー・ロドリゲスのコンガが加わる。コンガのおかげかグルーヴ感がありクラブ系にも人気のようだが、メインはバードだと思う。⑦⑧⑨の3曲は、リトル、ドン・エリスの2トランペットにカーティス・フラーのトロンボーンも加わり、なかなかハードボイルドないいセッションだ。⑨はフラーがメインだ。この盤は、70年代には「ザ・サード・ワールド」とタイトルを変えて再発されている。私の持つ日本盤CDは、セッション別の曲順で、オリジナル曲順ではないようだ。(hand)

スモール・オーケストラ編成での作品で、サウンドは前衛的なものではなく、親しみやすいものだ。でも、メンバーも楽器編成も異なる3種のセットから構成され、かなりごった煮的な印象。一般のジャズファンなら折角のいいメンバーのそろをじっくり味わいたいので、どちらかと言うとポピュラー寄りの作品かもしれない。ブッカー・リトルの入ったセットは2種ともコンガ入りで、楽しく聴きやすいが、トランペットも複数人いるので、彼のソロを味わうには不向きな作品。(しげどん)

パーカッションが目立ち華やかなため、力強くポップな雰囲気のアルバムだ。トランペットもドナルド・バードとブッカー・リトル、さらにドン・エリス、マーカス・ベルグレイヴも加わり、お祭りのような賑やかさ。雑然とした印象も受けるため、もう少し整理をして主題を明確にした方が聞きやすいかもしれない。(ショーン)



BOOKER LITTLE

1960.4.13 & 15

Time

おすすめ度

hand        ★★★★★

しげどん   ★★★★★

ショーン   ★★★★★

Booker Little(tp), Tommy Flanagan(p:1,2,5,6), Wynton Kelly(p:3,4), Scott LaFaro(b), Roy Haynes(ds)

最高のメンバーで吹き込まれたリトル唯一のワンホーン盤は、トランペットの名盤の1枚

リーダー第2作は、フラナガンとケリー、そしてスコット・ラファロにロイ・ヘインズという最高のメンバーで吹き込まれたリトル唯一のワンホーン盤。何よりもリーダー盤らしくトランペットが最高に目立つ録音になっているのがいいと思う。なぜかリトルの録音にはトランペットの圧が控えめなものが多い気がするので、この盤のトランペットは圧倒的に素晴らしいと思う。そして、いつもは暗いリトルの音色に、この盤では暗い中にも、ほの明るさが感じられるのも魅力だと思う。(hand)

このレコードを買って40年もたってしまった。ナット・ヘントフのライナーがびっしり書かれた二つ折のジャケットは懐かしいが、ながら聴きだけしかしていなかったので、今回あらてめて聴き返して完成度の高さに驚いている。6曲中5曲が彼のオリジナル曲なのだが、どれもブッカー・リトルのソロを魅力的に引き出していて、完成されている。その才能にあらためて驚いてしまう。トランペットのワンホーン作はそれほど多くないが、短いキャリアの中でもこのような作品を残せたのは幸運な事だったのかもしれない。サイドメンの演奏も聴きどころが多いが、ブルースに於けるウィントン・ケリーのノリの良さも格別な魅力だ。(しげどん)

数少ないブッカー・リトルのリーダー作。素晴らしい出来だ。特にベースのスコット・ラファロが、まるで生き物の様に動き回る演奏で、色付けをしている。彼もまたリトル同様若くして夭折したとなると、二人の絡みはより深く心に響く。ピアノはウィントン・ケリーとトミーフラナガン。アルバム全体のクオリティを上げており、その中でリトルは大きな羽を持つ鳥の様に、大空を自由に舞っている。(ショーン)



JAZZ IN THE GARDEN / TEDDY CHARLES

1960.4.25

Warwick

おすすめ度

hand        ★★★★

しげどん   ★★★☆

ショーン   ★★★★☆

Booker Little(tp), Booker Ervin(ts), Teddy Charles(vib), Mal Waldron(p), Addison Farmer(b), Ed Shaughnessy(ds)

近代美術館に於けるテディ・チャールス4のライブに、ブッカー・アーヴィンとリトルが参加

テディ・チャールズ自身?のMCから始まるライブ。マル、アディソン・ファーマー、エド・ショーネシーに続き、ゲスト・アーチストとしてアービンとリトルが紹介される。ゲスト以外の4人はプレステッジ・ジャズ・カルテットとしての活動もあるので、2人がゲストなのだろう(PJQ名義での録音2枚のドラムはジェリー・シーガル)。「サウンズ・オブ・ザ・インナーシティ/ブッカー・リトル&ブッカー・アービン」としても出ている。アービン、リトルともに録音が多いほうではないので貴重な音源だし、録音も悪くないのだが、2人の入っている曲が3分2の4曲②③⑤⑦と少なめなのは残念なところだ(①はMC)。(hand)

近代美術館に於けるテディ・チャールス・カルテットのライブに、ブッカー・アーヴィンとともに客演したもの。テディ・チャールスらしい実験的な味わいは抑えめで、オーソドックスなライブ作品になっていて、ジャズ的には楽しめる作品。各メンバーのソロも充分味わえるが、マル・ウォルドロンの熱演が特に目立つ。ブッカー・リトルも悪くはないが、平均的なソロの出来栄えかと思う。(しげどん)

ブッカー・リトルとトランペットとブッカー・アービンのテナーにテディ・チャールズのヴァイブラフォンが加わることで、軽快な装いとなり、すーっと耳に入って来る。暑い夏に爽やかな南風がそよぐような感覚を覚える。(ショーン)



WE INSISIT! / MAX ROACH

1960.8.31

Candid

おすすめ度

hand        ★★★

Max Roach(ds), Booker Little(tp), Julian Priester(tb), Walter Benton, Coleman Hawkins(ts), James Schenck(b), Abbey Lincoln(vo),

Michael Olatunji(conga), Tomas Du Vall, Raymond Mantillo(perc)

アビー・リンカーンのボーカルをフィーチャーしたローチのプロテスト・ジャズの代表盤

黒人解放運動に目覚めたローチが奥さんのアビー・リンカーンのボーカルをフィーチャーしたプロテスト・ジャズの代表のような盤の1枚。リトルのソロも初期のエマーシー期の盤とは違い、くっきりはっきりと録音されている。ただ、私はあまりアビーの声は得意ではない。(hand)



NEWPORT REBELS / JAZZ ARTISTS GUILD

②:1960.11.1

Candid

おすすめ度

hand        ★★★★

しげどん   ★★★★

ショーン   ★★★★☆

②:Max Roach, Jo Jones(ds), Booker Little(tp), Julian Priester(tb), Walter Benton(ts), Peck Morrison(b)

リトルの参加は‘クリフ・ウォーク’1曲のみだが、それだけでも聞く価値のある盤

ジャズ・アーチスト・ギルドの作となっているが、実際はキャンディドのオムニバス盤。ニューポート・フェスの商業主義に反発したミンガス、ローチらは同時に別の場所(クリフ・ウォーク荘)でアンチ・ニューポートのライブを開催した。そのライブ録音自体はなく、そのメンバーのスタジオ録音を集めたのがこの盤。リトルは、ローチのバンドで場所にちなんだ②クリフ・ウォーク、1曲のみに参加。リトル作で、場所とブラウニ―に捧げた曲と思われる。リトルの勢いのあるトランペットが聞かれ、1曲だがリトル好きにはマストだと思う。他のメンバーは、プリースターのトロンボーン、ウォルター・ベントンのテナーとペック・モリソンのベースだ。このメンバーでの録音がこれ1曲なのが惜しまれる。(hand)

ニューポートの反逆者たち。さぞかしアバンギャルドな演奏を予想するも、一曲目のブルースはどちらかと言うと中間派的で、ロイ・エルドリッジがいい味を出していて、そのあとに続くドルフィも、なんだか中間派的に聴こえるから面白い。咆哮するような演奏スタイルはジョニー・ドッズの時代からあったわけで、あらためて彼のスタイルも伝統に乗ったものだと思ったりする。肝心のブッカー・リトルは一曲だけだが、大きくフィーチュアーされていて、中間派的な演奏とは打って変わった切れ味の鋭い攻撃的な演奏で、すばらしいソロを聴かせる。(しげどん)

マックス・ローチのドラムが素晴らしく、他のメンバーも反応して、リアルな汗がほとぼしるような勢いを感じる。ブッカー・リトルも良いが、他のトランペット奏者も魂を絞るような叫びがあり、ハッとさせられる。全体によくまとまった演奏ばかりで、素晴らしいアルバムだ。(ショーン)



FAR CRY / ERIC DOLPHY

1960.12.21

New Jazz

おすすめ度

hand        ★★★★

Eric Dolphy(as,b-cl,fl), Booker Little(tp), Jaki Byard(p), Ron Carter(b), Roy Haynes(ds)

ドルフィー初期三部作の第3作にリトルが参加

ドルフィー初期三部作と言われる中の第3作。ドルフィー・ウィズ・リトルとしてジャケに明記され、リトルが共同リーダー的な位置付けになっている。ドルフィー=リトルというファイブ・スポットの2人の初盤ということで人気盤のようだが、ジャッキー・バイアードのピアノと作曲はマルに比べると難解で、親しみやすさはかなり違うように思う。特に前半は、パーカー=ガレスピー5のビバップのドルフィー的解釈を展開しているように感じる。それが難解で親しみにくいのでは?と思う。後半は、ドルフィーのフルートも含めて親しみやすい内容だと思う。リトルの参加は前半①②③とオマケ⑧の4曲のみ。リトルのトランペットに限って言えば、フル・スロットルのいい鳴りをしている。(hand)



STRAIGHT AHEAD / ABBEY LINCOLN

1961.2.22

Candid

おすすめ度

hand        ★★★

Abbey Lincoln(vo), Booker Little(tp), Julian Priester(tb), Eric Dolphy(as,b-cl,fl,piccolo), Walter Benton, Coleman Hawkins(ts), Mal Waldron(p), Art Davis(b), Max Roach(ds), Roger Sanders, Robert Whitley(conga)

メッセージ性の強いアビー・リンカーン盤に参加

「ヘレン・メリル・ウィズ・クリフォード・ブラウン」のようなボーカルとトランペットの盤だったらよかったのに、、と思う。リトルの素晴らしいソロもあるにはあるが、全体にリンカーンの歌を全員でオブリガートのように吹きながら時にソロもある、というスタイルだ。リンカーンがいわゆるラブ・ソングを歌うジャズ・ボーカルからメッセージ性の強い歌の歌い手へと舵を切った盤なので、リンカーンの粘り気の強いボーカルはあまり得意ではない私には少々つらい内容だ。リトルと大御所ホーキンスは比較的目立っている。(hand)



CANDID DOLPHY / ERIC DOLPHY

1961

⑤:2.22,

⑥:3.17

⑦⑧:4.4

Candid

おすすめ度

hand        ★★★

⑤:Abbey Lincoln(vo), Booker Little(tp), Julian Priester(tb), Eric Dolphy(as,b-cl,fl,piccolo), Walter Benton, Coleman Hawkins(ts), Mal Waldron(p), Art Davis(b), Max Roach(ds), Roger Sanders, Robert Whitley(conga)

⑥⑦⑧:Booker Little(tp), Julian Priester(tb), Eric Dolphy(as,b-cl,fl), Don Friedman(p),  Art Davis(b), Max Roach(ds,tympani,vib)

キャンディドでのドルフィー収録曲を集めた編集盤

「アウト・フロント」収録のクワイエット・プリーズ他2曲の別テイクが聞かれる。他にアビー・リンカーン「ストレート・アヘッド」の別テイクにもリトルが入っている。他4曲はリトルは入っていない。(hand)