Kenny Burrell リーダー作⑤1993~2015年

90年代は日本レーベル→コンコード、そして2000年代にはハイノートへと活動の場を移していきます。


THEN ALONG CAME KENNY / Kenny Burrell

1993.8.26 & 27

Paddle Wheel

おすすめ度

hand      ★★★★

Kenny Burrell(gr), James Williams(p), Peter Washington(b), Sherman Ferguson(ds)

日本レーベル、パドル・ホイールから「フロム・バンガード・ウィズ・ラブ」として出ていた盤

93年8月26,27日のバンガードのライブ。日本レーベルのパドル・ホイールから「フロム・バンガード・ウィズ・ラブ」として当初発売された。96年に米エビデンスから今のタイトルとなり今に至る。中尾洋一氏のプロデュースで、私の苦手とするK氏のプロデュースした大甘口盤と違い、選曲も含めてバレルも新たな面を少し見せているように思う。(hand)



MIDNIGHT AT THE VILLAGE VANGUARD / Kenny Burrell

1993.8.28

Paddle Wheel

おすすめ度

hand      ★★★★

Kenny Burrell(gr), James Williams(p), Peter Washington(b), Sherman Ferguson(ds)

前日に引き続くバンガードからの好盤

93年8月28日のバンガードで、前作に引き続く一連のライブだ。選曲も良く、いい感じの盤だ。ベースのピーター・ワシントンがいい。(hand)



COLLABORATION / Kenny Burrell & LaMont Johnson

1994.3.17 & 18

MASTER SCORES

おすすめ度

hand      ★★

Kenny Burrell(vo,gr), Bobby Bryant, Nolan Smith, Oscar Brashear, Snookie Young(tp), Garnett Brown, Maurice Spears(tb), Greg Williams(French Horn), Herman Riley, Marshall Royal, Rickey Woodard, Bill Green(Woodwind), Raphael Murphy(vib,fl), LaMont Johnson(p), John Heard(b), Paul Humphrey(ds), Mayuto Correa(perc) +strings

マクリーンとの共演で知られるラモント・ジョンソンとの双頭リーダー盤。ジョンソンのきらびやかなピアノが意外

ジャッキー・マクリーンのバンドで知られるピアノのラモント・ジョンソンとの双頭リーダー盤。新主流派的なハードな内容を想像するが、聞いてみるとかなりの異色作で、マクリーン的なものは全くない。バレルのボーカル、ストリングス、ジョンソンのきらびやかなピアノが特徴の盤だ。バレルのディスコでスルーされるのがわかる。曲もあまりジャジーではない。ギターは歌の間奏的に入っている。ただ、歌なしのAトレインなどは、好ましい内容だ。マスタースコアーズというレーベルはジョンソンがオーナーだ。(hand)



CONCIERTO DE ARANJUEZ / Kenny Burrell & Stanley Gilbert

1995.1.18 & 19

Meldac Jazz

おすすめ度

hand      ★★★

Kenny Burrell(gr), Stanley Gilbert(b), Lew Matthews(p), Paul Humpherey(ds)

日本レーベル、メルダックからスタン・ギルバートとの双頭盤

日本レーベルのメルダックからベースのスタンリー(スタン)・ギルバートとの双頭盤。日本人が好きなアランフェスが入っている。ジム・ホールの二匹目のドジョウを狙ったのでは、と思う。やはりK氏のプロデュースだ。バレルは淡々とプレイして、盤全体をアランフェス色に染めるつもりはないという感じだ。ピアノのルー・マシューズが張り切っているが、あまりジャジーではない。スタンは、今は帰国したようだが、日本に住んでいたこともある人で、日本での録音も多く残している。(hand)



LOTUS BLOSSOM / Kenny Burrell

1995.6.12-15

Concord

おすすめ度

hand      ★★★★

Kenny Burrell(gr), Ray Drummond(b), Yoron Israel(ds)

コンコードからホトケの境地の癒し盤

コンコードから、バレルの優しさ溢れ、ホトケの境地に至った感のある癒し盤。全13曲中ベースが7曲、ドラムが3曲のみで、それ以外はバレルのソロで一部はアコギ。ジャケの蓮の花も含めて、天上の音楽的な作品だ。ジャジーさが消えてないのはさすがだ。(hand)



LIVE AT THE BLUE NOTE / THE JAZZ HERITAGE ALL-STARS

1996.7.17 & 18

Concord

おすすめ度

hand      ★★★☆

Kenny Burrell(gr), Jimmy Owens(tp), Steve Turre, Benny Powell(tb), Jerome Richardson(sax,fl), Roland Hanna(p), Ray Drummond, Marcus McLaurine(b), Sherman Ferguson, Horace Arnold(ds), Jeannie Bryson, Vanessa Rubin(vo)

16年ぶりのヘリテッジ・オールスターズのライブ

「ラグーナ・ビーチ」、「ヘリテッジ」に続く16年ぶりのヘリテッジ・オールスターズのライブ。前2作に比べると、多少カジュアルな感じがする。あらゆる時代のジャズを演奏するのがコンセプトなのか、今回は、②エンターテナーがオールドスタイルだ。④ディア・エラはバレルのボーカル曲。ラストにサド=メルの人気曲⑨グルーヴ・マーチャントが入っている。作者のジェローム・リチャードソンのソロを期待するが、ソロは残念ながらギターとピアノだ。他曲ではテナーやフルートでソロをとっているだけに残念だ。女性ボーカルが2曲入る。(hand)



LOVE IS THE ANSWER / Kenny Burrell Featuring The Boys Choir Of Harlem

1997.6.23-28

Concord 

おすすめ度

hand      ★★★

Kenny Burrell(gr), James Williams(p,syn), Ray Drummond(b), Greg Ryan(el-b⑨), Ben Riley(ds)

The Boys Choir Of Harlem(choir), Dr. Walter J. Turnbull(choir director)

ハーレム少年合唱団と共演した異色盤

コンコードからハーレム少年合唱団とカルテットの共演した異色盤だが、バレルの得意曲を中心にしているので、バレル曲に少年コーラスがついた状況を楽しむことができる。天使の歌声のウィーンとは違い、年齢も多少上でポップな曲も歌う合唱団だと思う。5分台2曲3分台2曲以外は短い曲からなる組曲2曲になっている。(hand)



LUCKY SO AND SO / Kenny Burrell

2000.9.18 & 19

Concord

おすすめ度

hand      ★★★

Kenny Burrell(gr,vo), Onaje Allan Gumbs(key), Rufus Reid(b), Akira Tana(ds)

コンコードからのスインギーでイキのいい演奏

69歳となったバレルのコンコードからの快調な録音。なぜかとてもイキのいい演奏が入っている。通常はバラード演奏が多い②テンダリーもとてもスインギーだ。ただ、バレルのボーカルはうまいが4曲も聞きたい人は少ないのではと思う。インスト曲がいいだけにもったいないと思う。☆1つは評価が下がってしまう。(hand)



BLUE MUSE / Kenny Burrell

2002.12

Concord

おすすめ度

hand      ★★★☆

Kenny Burrell(gr,vo), Herman Riley(sax,fl), Gerald Wiggins(p), Tom Rainer(p,key), Roberto Miranda(b), Sherman Ferguson(ds)

70歳を超えても好調なバレル。アンダーレイテッドなテナーとフルートのハーマン・ライリーが参加

70歳を超えても好調なコンコードからの盤。バレルより2歳下でアンダーレイテッドなテナーとフルートのハーマン・ライリーが数曲に参加している。ピアノは多分初共演のジェラルド(ジェリー)・ウィギンズ。バレルのギターは引き続き好調でピッキングにも強さがあるが、老年期に入りボーカル曲が増える傾向にあり、歌はうまいが好き嫌いが分かれると思う。⑤イッツ・ノー・タイム…は、ブルー・ボサに歌詞をバレルが付けて歌っている曲だ。⑨3/4オブ・ハウスは、オール・ブルースに似てカッコいい。(hand)



THE RALPH J. BUNCHE SUITE / Kenny Burrell

2004.6.10

U.C.L.A.

おすすめ度

hand      ★★★☆

Kenny Burrell(gr),

with special guests: Bobby Rodriguez(tp,flh), Hubert Laws(fl,piccolo), Charles Owens(ss,b-cl) Wayne Peet(marimba), Llew Matthews(p), Roberto Miranda(b,conga ds)

and the orchestra features many UCLA jazz program students, Charley Harrison, conductor; Ralph J. Bunche, composer.

黒人で初めてノーベル賞(1950年・平和賞)をとったラルフ・バンチという政治家・外交官を讃えてバレルが作った組曲の大編成盤

黒人で初めてノーベル賞をとったラルフ・バンチという政治家・外交官(1950年・平和賞)を讃えて、バレルが作った組曲を、UCLAの学生ビッグバンドが演奏し、バレルを中心にゲストが多数加わった形の大編成ライブ。ジャケ写も作曲もバレルだが、バレルは演奏者としては主たるゲストであり、リーダー盤とは言いにくい。ゲストでは、ヒューバート・ロウズのフルートが美しい。ロウズはこの手のジャズサイドからクラシックにも多少近い演奏は得意だ。盤は学生の歌が入るなど多彩な内容だが、全体として雰囲気は悪くない。現在入手困難盤になりつつあり、大学のレーベルなので、再発しない可能性も高いと思わる。見ていないがDVDも出ているようだ。(hand)



75TH BIRTHDAY BASH LIVE / Kenny Burrell

2006.7.31⑦-⑫ & 8.1①-⑥

Blue Note

おすすめ度

hand      ★★★★

Kenny Burrell(gr,vo), 

①-⑥:The Gerald Wilson Orchestra: Ron Barrows, Steve Huffsteter, Bijon Watson, Snooky Young(tp), Les Benedict, Garnett Brown, Maurice Spears(tb), Mike Wimberly(b-tb), Randall Willis(as,fl), Carl Randall, Kamasi Washington(ts), Louis Taylor(ts,fl) Jack Nimitz(bs),  Brian O'Rourke(p), Anthony Wilson(gr①), Trey Henry(b), Mel Lee(ds), Gerald Wilson(arr,cond)

⑦-⑫:Hubert Laws(fl), Jeff Clayton(as), Herman Riley(ts), Joey DeFrancesco(org), Roberto Miranda(b,conga), Clayton Cameron(ds)

ブルーノートからの75歳のバースデー・ライブ

ブルーノートからの75歳のバースデー・ライブ。バレルは老年期に入り温暖な西海岸に本拠地を移したのか、西海岸録音が増えている。この盤もオークランドのヨシズでのライブで、ジェラルド・ウィルソンのオーケストラとの共演だ。後半は、ヒューバート・ロウズらとのサンタ・クルズでのコンサート録音。ノリのいい曲が多く、楽しめる。ボーカルが少ないのもいい。(hand)



BE YOURSELF: Live At Dizzy's Club Coca-Cola / Kenny Burrell

2008.9.9

High Note

おすすめ度

hand      ★★★★☆

しげどん  ★★★★

Kenny Burrell(gr), Tivon Pennicott(ts,fl), Benny Green(p), Peter Washington(b), Clayton Cameron(ds)

ハイノートに移籍した後期高齢者のバレルの傑作

ハイノートに所属したバレル。年齢も70代後半以降、日本では後期高齢者の大御所となるが、次々と作品を出し続けている。若手の強力なリズム隊とテナーを迎え、50年代のハードバップのバレルが戻ったかのようなニューヨークのクラブでのライブ盤。チボン・ペニコットは、ジョニー・グリフィンやロリンズを思い出すエッジの立った音色の素晴らしいテナープレイヤーだ。ボーカルがないのも私には好感だ。この時期の最高作だと思う。(hand)

テナーとピアノが加わったクインテットによるライブ作品。大ベテラン、バレルをささえる若手メンバーにより全体的に勢いがある演奏になっていて、2008年の録音だが、私のような保守的なファンにも馴染みやすいオーソドックスなジャズになっていて、楽しめる作品だ。(しげどん)



TENDERLY / Kenny Burrell

2009.11.6 & 7

⑳2008,㉑2007

High Note

おすすめ度

hand      ★★★★

Kenny Burrell(gr,vo)

78歳のバレル初の丸ごとソロ盤ライブ

盤一枚丸々ソロは初めてのバレル、しかも、ライブだ。78歳になっても元気いっぱいだ。⑯は後半が珍しいマイ・フーリッシュ・ハートだ。歌なし盤を期待したが⑲ビー・ユアセルフは1曲のみ歌ありだ。会場が盛り立てるので、ますます歌うことになるのだと思う。ジョー・パスの「バーチュオーソ」と比べるとリラックスした作品だと思う。(hand)



SPECIAL REQUESTS(AND OTHER FAVORITES) / Kenny Burrell

2012.11

High Note

おすすめ度

hand      ★★★★

Kenny Burrell(gr,vo), Justo Almario(ts,fl), Tom Ranier(p), Tony Dumas(b), Clayton Cameron(ds)

81歳のバレルが長年のリクエスト曲を一挙に演奏

バレルの長年の活動時に寄せられたリクエスト曲を一挙に演奏した盤。しかも81歳というのがすごい。④メイク・サムワン・ハッピーと⑥センチメンタル・ムード以外は初出かもしれない。全体として好ましい内容だが、テナーは「ビー・ユアセルフ」のチボン・ペニコットのほうがハードバピッシュで私好みだった。今回はボーカルなしかと期待したがやはり⑫に入っていた。CDは16曲入っているが、アナログは6曲でボーカルなし。(hand)



THE ROAD TO LOVE / Kenny Burrell

2015.5.30 &31

High Note

おすすめ度

hand      ★★★★

Kenny Burrell(gr), Justo Almario(ts), Tom Ranier(p), Tony Dumas(b), Clayton Cameronor, Marvin “Smitty” Smith(ds)

Special guest - Barbara Morrison(vo)

85歳直前のバレルの年齢を感じさせない楽しいライブ

なんと85歳直前のバレルのライブ。超のつく大御所だが、演奏に年齢は感じない。多彩な内容が盛り込まれた楽しいライブ。ベイシー曲②リル・ダーリンは珍しい。ピアノのトム・ライナーが「ブルー・ミューズ」以来の10年ぶりの共演だが、バピッシュで好印象だ。ドラムも2人ともいい。後半はボーカルが入るが、バレルではなく本職のバーバラ・モリソンだ。やはり圧倒的な歌唱力で会場も盛り上がるが、ジャズボーカルの正統派とはやや違い、ジャズからブルース、ソウルまでカバーしている感じの人だ。(hand)



UNLIMITED 1 LIVE AT CATALINA'S / Kenny Burrell

2015.6.8,8.31,10.18

2016.2.8

High Note

おすすめ度

hand      ★★★★

Kenny Burrell(gr,vo),

Los Angeles Jazz Orchestra Unlimited: Charley Harrison, Dr. Bobby Rodriguez(co-directors), Bobby Rodriguez, Mike Price, Dave Richards, Jon Papanbrook, Tom Marino(tp),Nick De Pinna, Ryan Porter(tb),

Andre Delano(as), Justo Almario(ts,fl), Scott Mayo(ts), Charles Owens(bs),

Billy Mitchell(p), Trevor Ware(b), Clayton Cameron(ds),

Barbara Morrison(vo⑯)

85歳の現時点のラストはビッグバンドとの共演盤

2021年現在、バレルの最も新しい録音がこの盤。今は90歳になったバレルの85歳の作品はビッグバンドとの共演盤。オリバー・ネルソンの①ストールン・モーメンツから快調に飛ばすバレルだ。だいたいにおいて、オーケストレーションがあまり好きでない私だが、この曲はネルソンのオリジナルアレンジとソロを尊重していて好ましいと思った。デューク・ピアソンの②ジーニーは私好みの曲だがバレルが歌ってしまい残念だ。オスカー・ブラウン・ジュニアが歌詞を付けていたのは知らなかったが、私は歌がないほうがいい。③ビー・ユアセルフもいい。④リメンバリングは完全なるボーカル曲。(hand)