Bud Powell バド・パウエル   Earl Bud Powellの紹介


このページでは、バド・パウエルの発掘盤の中で、かなりの割合を占める アール・バド・パウエルのシリーズをご紹介しています。

バドの盤には、フランシス・ポードラの私的録音を取りまとめたもの(アール・バド・パウエル)や、ポードラの音源を正規化した「ストリクトリー・コンフィデンシャル」、「ホット・ハウス」などもあります。ここでは、アール・バド・シリーズを紹介いたします。


・新宿ジャズ談義の会 :バド・パウエル  CDレビュー 目次

リーダー作、サイド参加作、発掘盤も含めてレビューしています。下記よりクリックして参照してください。

・Bud Powell バド・パウエル おすすめBest5

・Bud Powell CDリーダー作 ①1947年~55年

Bud Powell CDリーダー作 ②1955年~58年

Bud Powell CDリーダー作 ③ 1959年~パリ時代

・Bud Powell CDリーダー作 ④1962年~65年 パリ時代後半~帰国

・Bud Powell サイド参加作

Bud Powell 発掘盤(Earl Bud Powell)・・・このページ


Earl Bud Powell   アール・バド・パウエル・シリーズ について

バドの発掘盤でかなりの割合を占めるのが、仏ミシック(Mythic Sound)からのアール・バド・パウエルというシリーズ。アナログ11枚組ボックス「アール・バド・パウエル:ピュア・ジニアス・オールウェイズ」として出された。CD化は追加曲を収録しながらVol.10までをボックスセットと個別分売されたが、なぜかVol.11のみが未CD化のままだ。このシリーズの音源の多くは、フランシス・ポードラ(Francis Paudras 1935~1997)というパリ在住のバド大好き人間が私的に録音した音源。パトロンと言われるが、行為はパトロン的でもお金はなかったようだ。映画「ラウンド・ミッドナイト」はバドのパリでの後半生をデクスター・ゴードンを主役に描いたものだが、映画の中でもポードラ役がゴードンの面倒を見ていた。 アール・バド Vol.1や2など渡欧前の音源はアメリカでのラジオ放送用が多いが、渡欧後はライブハウスや自宅でのポードラ録音が多く、自宅でバドのピアノに合わせてポードラが電話帳らしきものを叩いたものも含まれている。(hand)


※注 Earl Bud Powell シリーズは、かなりマニアックなシリーズで、hand氏の研究結果をもとにページをつくりました。現在廃盤状態なので、中古品を探すしかありません。アマゾンに出品されているものについてはリンクを貼りましたが、継続的な販売はされていないと思われますのでご留意ください。(写真はアナログボックスで、CDボックスは水色)


Earl Bud Powell Vol.1/Early Years of Genius, 44-48

①-⑪1944年,

⑫-⑱1948年

Mythic Sound

 ※リンクはありません

おすすめ度

hand      ★★★

Bud Powell(p),Benny Harris,Cootie Williams(tp),J.J. Johnson(tb),Eddie "Cleanhead" Vinson,Frank Powell,Lee Konitz(as),Budd Johnson,Eddie "Lockjaw" Davis,Lee Pope,Sam Taylor(ts),Cecil Payne,Eddie de Verteuil(bs),Buddy DeFranco(cl),Chuck Wayne,Leroy Kirkland(gr),Carl Pruitt,Nelson Boyd,Norman Keenan(b),Max Roach,Sylvester "Vess" Payne(ds)Ella Fitzgerald(vo)

クーティ・ウィリアムス楽団在団時の記録を中心とした貴重な初期のエアチェック盤

アール・バドVol.1は、初リーダーの3年前からのもの。前半はクーティ・ウィリアムス楽団などの音源が中心で、バドらしいソロは聞かれず、バッキングのみ聞かれる。スイング時代の末期の演奏だが、いわゆるスイートなスイングではなく、バップの萌芽を感じるような演奏が多い。後半にコンボ演奏がありソロが期待されるが裏切られ続け、⑮のリー・コニッツのセッションでやっとソロが聞かれる(涙)。ほとんどは放送用なので、途中でカットされたのだと思う。ラスト2曲⑰52丁目と⑱オーニソロジーがバドを中心にした録音で、素晴らしい演奏が聞かれる。ただし音は悪い。(hand)



Earl Bud Powell Vol.2/Burning In U.S.A., 53-55

⑬⑭1946年,

①③④⑩-⑫1953年,

②⑤-⑨1955年

Mythic Sound

 ※リンクはありません

おすすめ度

hand      ★★★☆

①-⑫:Bud Powell(p),Oscar Pettiford,Charles Mingus,Franklin Skeetes(b),Art Blakey,Max Roach,Sonny Payne,Roy Haynes(ds)

⑬⑭:Bud Powell(p),Al Hall(b),Kenny Clarke(ds),Fats Navarro(tp),Sonny Stitt(as),Morris Lane(ts),Eddie De Verteuil(bs),Gil Fuller(arr)

53年,55年のバードランド録音を中心に初期46年録音を追加した盤

アール・バドVol.2は、53年と55年(②、⑤〜⑨)の録音がメインだが、一部(⑬、⑭)46年の古い録音が入っている。このシリーズの特徴は、一部を除き、内容はいいが音はあまり良くないこと。多分、ラジオ放送のエアチェック録音の海賊盤をCD化したもので、海賊盤にしては音がいいほうではあるが、基本的にはバドオタク向けのシリーズだと思う。②は「モア・アンイシュード」とダブり。③④はガレスピー入り。⑬⑭は音は悪いがナヴァロ、スティットらが入り貴重。メインの53年はバドがバードランドで多くの録音を残した年。演奏内容は、いいものばかりだと思う。(hand)



Earl Bud Powell Vol.3/Cookin' At Saint-Germain, 57-59

①-③1957年,

④-⑮1959年

Mythic Sound

おすすめ度

hand      ★★★★

Bud Powell(p),Pierre Michelot(b),Kenny Clarke(ds),Barney Wilen(ts: 8, 9, 11 to 14),Clark Terry(tp:10, 11, 13, 14)

「アメイジングVol.3~5」の雰囲気をライブで味わえる盤

「アメイジングVol.3」に入っていた①バド・オン・バッハからライブが始まる。インパクトのある始まりだ。①②③が57年11月の一時渡仏ライブだ。ピエール・ミシェロ、ケニー・クラークとともに、3ボスとしてサン=ジェルマンに出演したようだ。その時のディジー、バルネとの録音はアール・バドVol.5に入っている。④以降は、全て59年のパリのライブ。④クロッシン・ザ・チャネル、⑤ジョンズ・アベイなどアメイジングVol.3〜5の雰囲気がライブで楽しめる。一部にバルネとクラーク・テリーが入っている。後半に行く程、音が悪くなるのとフェイドアウトが多くなるのは残念。(hand)



Earl Bud Powell Vol.4/Relaxin' At Home, 61-64

④⑤⑩⑱1961年,

⑨⑪1962年,

⑫⑭⑲1963年,

①-③,⑥-⑧,⑬⑮⑰⑳㉑1964年

Mythic Sound

おすすめ度

hand      ★★★☆

Bud Powell(p,vo:4, 8, 18),Michel Gaudry(b: 6 to 8),Francis Paudras(perc: 3, 10, 11, 13 to 17)

フランシス・ポードラの自宅でのくつろいだ録音

全編がアール・バドVol.11の前半と同様のポードラの家での私家録音で、時折、バドの歌とポードラの電話帳?ブラシが入る。バドはとても楽しそうだ。唸りながら浮かんだメロディをそのまま指で鍵盤上に表現しているので、唸りとピアノがユニゾンになる場面がある。自宅録音で、私のお気に入りの日本人ピアニスト白崎彩子の「ホーム・アローン」を思い出した。彼女は唸りはしないが素晴らしい自宅録音のソロ盤だ(オススメ)。(hand)



Earl Bud Powell Vol.5/Groovin' At The Blue Note, 59-61

⑦1957年,

④⑤⑥⑧1960年,

①-③,⑨⑩1961年

Mythic Sound

おすすめ度

hand      ★★★☆

Bud Powell(p),Pierre Michelot(b),Jean-Marie Ingrand(b:4only),Kenny Clarke(ds),Zoot Sims(ts:1-3),Barney Wilen(ts:7),Dizzy Gillespie(tp:7)

ズート・シムズを迎えたセッション。意外と相性がいい。

このシリーズの中では音がいい。珍しいズート・シムズとの①グルービン・ハイから始まる。②③もズート入りで意外に相性が良く、さすがにズートは滑らかだ。その他は、⑦ハウ・ハイ・ザ・ムーンにガレスピーとウィランが入る以外は全てトリオ演奏だ。(hand)



Earl Bud Powell Vol.6/Writin' For Duke, 63

1963年2月

Mythic Sound

おすすめ度

hand      ★★★★☆

Bud Powell(p),Gilbert Rovere(b),Carl Donnell "Kansas" Fields(ds)

名盤「バド・パウエル・イン・パリ」の同日録音。エリントン曲が多く魅力的な盤

「イン・パリ」の残りテイクがこの録音。後日エリントン感謝盤に位置付けたのであろう非正規盤。「イン・パリ」をエリントンがプロデュースしたというのは、もしかしてお金を出してくれたという意味かもしれない。元盤よりもエリントン曲が多く、エリントンを感じる。②インディアナは、49年のルースト盤以来のスタジオ録音で、迫力がある。私の知る限り5回の録音があるが、全て素晴らしい。⑨フリーは、クレオパトラなどに似た低音を使った魅力的な曲。「イン・パリ」に精神性を感じなくはないが、こちらの盤のほうが⑨のような暗い曲もあり、私には当時のバドらしさが感じられる。「イン・パリ」で有名なストックホルムの別テイクが⑪に入っていて名演。⑬にも入っているがこちらは途中で切れる。(hand)



Earl Bud Powell Vol.7/Tribute To Thelonious, 64

①-⑦:1964年2月16日

⑧-⑭:1964年9月29日-10月1日

Mythic Sound

おすすめ度

hand      ★★★☆

  • Bud Powell(p),John Ore(b: 8 to 14),J.C. Moses(ds: 8 to 14)

パリの私家録音とニューヨークのバードランド録音からモンク曲を集めた盤

3年前のコロンビア正規盤でトリビュートしたモンクへの再トリビュートとして編集したミシック非正規盤。64年のパリの私家録音と帰米後の録音の組合せだ。前半はポードラ宅での2月の録音。後半は帰米したバドが9月29日から10月1日にバードランドに3夜連続して出演した際のモンク曲のセレクトだ。その他分は単独盤2枚(Vol.9&10)になっている。前半のバドは事実上の自宅セッションなので寛いで楽しそうに演奏している。後半はジョン・オーとJ.C.モーゼスとのトリオ。帰国後の演奏のコメントは悪いものが多いが私自身のバド贔屓もあるのかバドは精一杯演奏して熱のあるライブだと思う。オーはモンク4のメンバーだったこともあり、モンク曲には適任でソロもある。モーゼスはフリー系の録音が多い人だが、ここでは巨匠との共演を楽しんで4ビートに徹している。(hand)



Earl Bud Powell Vol.8/Holidays In Edenville, 64

1964年8月8-14日

Mythic Sound

おすすめ度

hand      ★★★★

Bud Powell(p),Jacques Gervais(b),Guy Hayat(ds),Johnny Griffin(ts: 7, 8)

フランスの保養地エデンヴィルでの帰米直前ライブ

エデンヴィルというのは、パリの西、大西洋に面した保養地のようだ。日本語でいうとエデンの園か?素晴らしそうな場所だ。ジャケも海岸にたたずむバドだ。 64年8月初旬、ここにポードラと滞在したバド。ヨーロッパでの最後の日々になる。ホテルのレストラン、ベラ・エスカラでの録音を最後に8月16日には帰米し、2年後に亡くなるが、戻った理由はわからない。エデンヴィルにはグリフィンも来ており、「ホット・ハウス」と一部がかぶる。サポートするのは、フランス人ベースとドラムでジャック・ジェルべとガイ・ハヤット。知らない人だが他にも参加盤はある人たちだ。①ショパンのノクターンから始まり、ブラシ中心の穏やかなライブだと思って聞いていると、バドの「ジョニー」の声でグリフィンが登場し、会話の後⑦ホットハウスを熱く演奏する。グリフィンはバラード⑧ボディ&ソウルにも参加している。この盤では⑥クリフォードも印象に残る演奏だ。(hand)



Earl Bud Powell Vol.9/Return To Birdland, 64

1964年9月30日

Mythic Sound

おすすめ度

hand      ★★★★

  • Bud Powell(p),John Ore(b),J.C. Moses(ds)

帰米したバドが3日間連続で古巣バードランドに出演した記録の第2集

どういう理由かは分からないが64年8月に帰米したバド。9月29日から10月1日の3日間連続で古巣バードランドに出演し各日の演奏はミシックの3枚(Vol.7,9&10)に収録されている。ということは、ポードラも同行したのかもしれない。引き続きルーレットで「リターン・オブ・バド・パウエル」をスタジオ録音する。ベースとドラムは、4枚ともジョン・オーとJ.C.モーゼスだ。この盤はバードランドの2夜目の記録だ。世間では帰国後は不調のように語られているが、3日間とも好調だったと思う。(hand)



Earl Bud Powell Vol.10/Award At Birdland, 64

⑦-⑨:1964年9月29日

②-⑥,⑪-⑬:1964年9月30日

①⑩:1964年10月1日

Mythic Sound

おすすめ度

hand      ★★★★

  • Bud Powell(p),John Ore(b),J.C. Moses(ds)

帰米したバドが3日間連続で古巣バードランドに出演した記録の第3集

帰米バードランド出演の記録の3枚目。最初に①Shaeffer Awardとして、表彰式が6分以上入っている。ジャケ写も表彰風景でバドが盾のようなものを貰っている。内容は残念ながら英語力不足で分からない。調べてみると、Schaefferの間違いかもしれない。こちらはフランスのピエール・シェフェールというフランスの現代音楽の作曲家でシェフェール賞というものもあるようだ。表彰後のライブのせいか、バドは元気なように感じる。3夜でかぶっている曲は少ない。この時期を音がヨレヨレ等と評する人も多いが、私が鈍感なのか、40年代末とは違うが、それほど悪いとは思えず、むしろ好調だと思う。録音も割といい。(hand)



Earl Bud Powell Vol.11/Gift For The Friends, 60-64

①-⑩:1963年

⑪:1959年11月6or7日

⑫⑬::1960年3月12日

⑭⑮:1964年9月30日

⑯:1961年

Mythic Sound

おすすめ度

hand      ★★★☆

Bud Powell(p,vo),John Ore(b: 14, 15),Pierre Michelot(b:11-13),Francis Paudras(perc: 3-5, 7),J.C. Moses(ds:14, 15), Kenny Clarke(ds:11-13)

アール・バド・パウエル最後の第11集は唯一未CD化

未CD化。「アール・バド・パウエル:ピュア・ジニアス・オールウェイズ」というLP 11枚組のボックスのラストの1枚。バラ売りでCD化が進み、CDには追加曲もある。しかし、なぜかこのVol.11のみ未CD化だ。内容は、59年〜63年のパリ録音の15曲と64年帰米後バードランド録音の2曲からなる盤。10曲目まではポードラ宅での録音で、バドのソロに、ポードラがブラシで電話帳?を叩いて合わせている。バドの唸り声ではなくボーカルが1曲目ホエン・アイ・フォール・イン・ラブから聞かれるほか、全体がメドレーのように演奏され、「ジャズ,ジャイアント」以来のテンパス・フュジットも聞かれるが、とても短い。⑪から最後⑰まではパリやニューヨークのトリオとソロのライブが入っている。演奏は素晴らしい。(hand)



・新宿ジャズ談義の会 :バド・パウエル  CDレビュー 目次

リーダー作、サイド参加作、発掘盤も含めてレビューしています。下記よりクリックして参照してください。

・Bud Powell バド・パウエル おすすめBest5

・Bud Powell CDリーダー作 ①

Bud Powell CDリーダー作 ②

Bud Powell CDリーダー作 ③

・Bud Powell サイド参加作

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