キャノンボール・アダレイ   ディスクガイド  名盤アルバム&主要アルバム  サイド参加編 ①

キャノンボール・アダレイのサイド参加作としては、なんといってもマイルスのグループのものが有名ですが、あまりにも有名なので、ここではそれ以外の作品を中心に紹介しました。

マイルスのものでキャノンボール参加作品の代表的な作品は参考までに下記にアマゾンの画像リンクを載せておきます。

マイルストーンズ

セクステットによるモード手法の歴史的名盤でつややかなソロ

カインド・オブ・ブルー

モダンジャズの金字塔的名盤に参加した

1958マイルス

後年の発掘盤。池田万寿夫デザインのジャケットも話題




Bohemia After Dark/KENNY CLARKE   ボヘミア アフター ダーク/ケニー・クラーク

1955年6月28日                 Savoy

おすすめ度

hand      ★★★★

しげどん  ★★★☆

ショーン  ★★★★

Donald Byrd(tp),Nat Adderley(cor),Cannonball Adderley(as),Jerome Richardson(ts),Horace Silver(p),Paul Chambers(b),Kenny Clark(ds)

豪華メンバーによるデビュー盤ですでに主役級の活躍

アダレイ兄弟の事実上のデビュー盤。バップの大御所の一人である兄貴分のケニー・クラークのもとでの、立派なデビューと言える。ベースのペティフォードのタイトル曲は名曲で名演(hand)

名の通ったアーティストが登場、フィーチャリングされるアルバムで、聴きごたえがある。キャノンボールは3曲目のwillow weep for meを、ゆったりと情感込めて歌っていて、良い出来栄え。ヴィブラートで消え入りそうにアルトを聴かせるテクニックは流石だ。(ショーン)



Introducting NAT ADDERLEY  イントロデューシング ナット アダレイ

1955年9月6日,Emercy

おすすめ度

hand      ★★★★

しげどん  ★★★☆

ショーン  ★★★★☆

Nat Adderley(cor),Cannonball Adderley(as),Horace Silver(p),Paul Chambers(b),Roy Haynes(ds)

ナットとキャノンボールの双頭クインテットによる良作

ナットアダレイのスリリングな演奏のオープニングWatermelonに続いて、アダレイ兄弟の共演による、ちょっとユニークなハーモニーフレーズ、ポールチェンバースの落ち着いたソロの楽しめるLittle Joanie Walksで聴くものの耳をガッチリ掴んだところで、Two Brothersでしっとり聴かせるという構成がなかなかのアルバムで、うまくまとまっている。(ショーン)



In The Land of Hi-Fi/Sarah Vaughan  サラ ヴォーン イン ザ ランド オブ ハイ ファイ

1955.10.25-27

EmArcy

おすすめ度

hand      ★★★☆

↑ブラウニー盤とカップリングした2in1 CD

Sarah Vaughan(vo),Ernie Royal,Bernie Glow(tp),Kai Winding,J. J. Johnson(tb),Cannonball Adderley,Sam Marowitz(as),Jerome Richardson(fl,ts),Jimmy Jones(p),Turk Van Lake(gr),Joe Benjamin(b),Roy Haynes(ds),Ernie Wilkins(arr,cond)

「サラ・ボーン・ウィズ・キャノンボール・アダレイ」とでも言うべき隠れ好盤

この「イン・ザ・ランド・オブ・ハイファイ」というタイトルの盤、サラ・ボーン以外にもキャノンボール自身やダイナ・ワシントンにもあり、エマーシーのスターがいい音でのハイファイ録音をアピールするため同タイトルの盤を発売したようだ。この盤は若き30歳のサラが、ビッグバンドの伴奏でうまくて迫力ある歌唱を聞かせてくれる。後年のうまいが太過ぎる声が好みではない私には、まだ声も太過ぎず、キャノンボールの軽やかなソロも聞かれる好盤だ。「サラ・ボーン・ウィズ・クリフォード・ブラウン」は意外とブラウニーのソロが少ないが、この盤は③チェロキー、⑥ハウハイザムーンなどキャノンボールのソロがかなり入っている。(hand)



The Land of Hi-Fi/Dinah Washongton  ザ・ランド・オブ・ハイファアイ/ダイナ・ワシントン

April, 1956

Emercy

おすすめ度

hand      ★★★

Dinah Washington (Vo),Cannonball Adderley(as),Junior Mance(p),others

 

ダイナ・ワシントン盤に一部参加。ソロは一曲のみ。

ブルージーでジャジーなダイナにしては比較的スイートな盤。ハル・ムーニー・オーケストラにキャノンボールとジュニア・マンスが加わった盤。残念ながらキャノンボールのソロは③ゼアル・ビー・ア・ジュビリー1曲しか聞かれない。(hand)



To The Ivy League/Nat Adderley   ジ・アイビー・リーグ/ナット・アダレイ

1956年

7月12, 18 & 23, 

Emercy

おすすめ度

hand      ★★★★

Nat Adderley(cor),Cannonball Adderley(as),Junior Mance(p),Sam Jones(b) (tracks 3-11), cello (tracks 2 & 3),Al McKibbon(b) (tracks 1-3),Charles "Specs" Wright(ds)

ナット・アダレイを主役に立てた兄弟録音盤

いつもの兄弟録音だが、ナットをリーダーにセットされたと思われる録音。ナットのハイノートが冴える。録音もあると思うが、ジュニア・マンスのピアノがシルバーっぽい感じで目立っている。キャノンボールがメインのものをアウトテイクにして最初発売した模様。キャノンボールの音色が美しい。(hand)



Plenty Plenty Soul/Milt Jackson  プレンティ・プレンティ・ソウル/ミルト・ジャクソン

録音日、レーベル

1957年1月5日

Atlantic

おすすめ度

hand     ★★★★

しげどん★★★★★

ショーン★★★★★

パーソネル:A面 (1~3) Milt Jackson(vib),Ronnie Peters(as),Frank Foster(ts),Sahib Shihab(bs),Joe Newman(tp),Jimmy Cleveland(tb),Horace Silver(p),Percy Heath(b),Art Blakey(ds)

ミルト・ジャクソンのソウルフルな名盤に変名でチョイ参加

キャノンボールが目立たないなーと思いながら聞いていると③ハートストリングスでフィーチャーされる。キャノンボールの曲だ。ソウルがプレンティなのかもしれないが、メンバーもプレンティなので、ミルト以外のソロはプレンティに聞くことができない。(hand)

※Ronnie Peters はキャノンボール・アダレイの変名

ミルト・ジャクソンの名盤→Milt Jackson おすすめ盤 4位 参照



Quintets at New Port With George Shearing/ジョージ・シアリング・アット・ニューポート

1957年7月5日

Pablo

おすすめ度

hand      ★★★☆

Nat Adderley(tp),Cannonball Adderley(as) ,Junior Mance (p),Sam Jones (b),Jimmy Cobb (ds)  ①~⑤

 

ニューポート・ジャズ・フェスに於けるキャノンボールとシアリングのそれぞれのクインテット演奏をカプリング。一曲のみ共演。

1957年のニューポート・ジャズフェス。キャノンボールとシアリングの共演は1曲⑨ソウル・ステーションのみ。①〜⑤がキャノンボール・クインテット、⑥〜⑧がシアリング・クインテット、⑩11がシアリング+コンガという構成だ。キャノンボールのライブ音源としては、最初になる。この時期のファンキー以前のハードバップ期の記録として貴重。シアリングにはトゥーツ・シールマンスが入っているがハーモニカではなくギターだ。シアリング5は、9月の雨の頃の室内楽的なサウンドからラテン色を強め、多少アグレッシブな感じとなり私的には好感だ。エミル・リチャーズの加入が大きいと思う。共演曲⑨は、特段感動はなかった(笑)。(hand)

 1. ウィー・ドット

 2. ア・フォギー・デイ

 3. サーモネット

 4. サムズ・チューン

 5. ハリケーン・コニー

 6. ポーン・チケット

 7. イット・ネヴァー・エンタード・マイ・マインド

 8. ゼア・ウィル・ネヴァー・ビー・アナザー・ユー

 9. ソウル・ステーション

 10. オールド・デヴィル・ムーン

 11. ナッシング・バット・デ・ベスト



KENYA:Afro Cuban Jazz/Machito

1957.12.17-24

Roulette

おすすめ度

hand      ★★★★

Machito(leader,maracas,perc),Cannonball Adderley(as),Joe Newman(tp),Mario Bauza(musical directer,arr,tp),Rene Hernandez(arr,p),A.K. Salim(arr),Doc Cheatham,Paul Cohen(tp),Ray Santos(ts),Eddie Bert,Santo Russo(tb),Bobby Rodriguez(b),Candido,Carlos "Patato" Valdes(congas),Jose Mangual(bongos),Ubaldo Nieto(timbales)etc

ラテンの第一人者マチートの知られざるラテン・ジャズ名盤に参加したキャノンボール

キューバ出身のコンガ奏者で、アフロ・キューバン・ジャズの第一人者のビッグバンドにキャノンボールがゲスト参加した盤。1曲置きの半数の曲でキャノンボールのソロが聞かれる。キャノンボールは、まだデビューから3年目だが大物ソロイストとして扱われ、立派に役目を果たしている。知られざるラテン・ジャズ名盤だ。(hand)



Heres Comes/Louis Smith                 ヒア カム ルイ スミス

1957年2月4日,Blue Note

おすすめ度

hand      ★★★☆

しげどん  ★★★★

ショーン  ★★★★☆

Louis Smith(tp),Cannonball Adderley〔Buckshot La Funk〕(as),Duke Jordan(p),Doug Watkins(b),Art Taylor(ds)

ルイ・スミスのブルー・ノート デビューに変名で参加

トランジション音源をブルーノートが買い取ったもので、ルイ・スミスのブルーノートデビュー作である。二作目のスミスビルよりこちらのほうが出来栄えは上か。キャノンボールは変名で参加。(しげどん)

ルイスミスのトランペットが高らかに煽動し、バックショット・ラ・ファンクことキャノンボールがメロディアスに追随する。音色も硬さも異なるにもかかわらず、何となく融合してしまうところがイイ!(ショーン)

 



New Bottle Old Wine/GIL EVANS  ニューボトル オールドワイン/ギル エバンス

1958年4月9日

5月21日、26日  World Pacific

おすすめ度

hand      ★★★☆

しげどん  ★★☆

ショーン  ★★★

Gil Evans Orchestra Including Johnny Coles, Evans Royal(tp),Cannonball Adderley(as),Paul Chambers(b),Art Blakey,Philly Joe Jones(ds) 

トラディショナルな素材をモダンに料理したギル・エヴァンスの佳作

1曲目がキャノンボールの独奏から始まり、ブルースなのでアカデミックな感じにもなりにくいので、ギルのアンサンブルを嫌う人にも入りやすい。多分、小難しくて、毛嫌いされがちなギルの盤の中で、一番、取っ付きやすいのではないか。(hand)

ギルエバンスの意欲作。キャノンボールをうまくフューチャーしていて、ノリも良いのだが、若干オーケストラ風のホーンセクションが、煩すぎる感がある。(ショーン)

選曲がトラディショナルな名曲ばかりで、ジャズ史をたどっているのだろうか?キングポーターストンプはモダンジャズで聴いたことがない。面白いけど企画の主旨に対してギルエバンスを起用した意味も不明。キャノンボールのソロはいつも通り快調だ。(しげどん)



Alabama Concert/John Benson Brooks  アラバマ・コンサート/ジョン・ベンソン・ブルックス

1958年7月28日,31日、8月25日 Riverside

おすすめ度

hand      ★★★

Cannonball Adderley(as),Art Farme(tp),Barry Galbraith(g),Milt Hinton(b)

John Benson Brooks(sond)

ジョン・ベンソン・ブルックスの組曲作品へ参加。メンバーもジャケットも一流だが。

ピアニスト・作編曲家、ジョン・ベンソン・ブルックス。この盤以外で名前を聞いたことがない(他に「フォーク・ジャズUSA」という作品もあるらしい。)。全体がブルックス作の組曲になっていて、キャノンボールは、求めに応じて役割(主役)を果たしている。ただ、一度聞いたら、もう聞かない盤だと思う。(hand)



Blue Spring/Kenny Dorham   ブルー・スプリング/ケニー・ドーハム

hand      ★★★★

しげどん  ★★★★

Kenny Dorham(tp),Dave Amram(frh),Cannonball Adderley(as),Cecil Payne(bs),Cedar Walton(p),Paul Chambers(b),Philly Joe Jones(ds)

サイド参加ながらかなりの存在感を示す艶やかなアルトサックス。さすが!キャノンボールと感じる一枚。

全般にキャノンボールのソロが「カインド・オブ・ブルー」に似ている気がする。時期的にも、他のメンバーがマイルスのリズム隊だからかもしれない。カインドで聞かれたような大人っぽいクールなキャノンボールが聞かれる数少ない盤の1枚だ。ドーハムがもう少しタイトルを意識した選曲をしてブルーに吹き、フレンチホルンなどのアレンジを作り込めば、かなりの名盤になったと思われる盤だ。(hand)

キャノンボールのアルトの存在感が突出している。ドーハムの情感のあるトランペットも味わえるなかなかの作品だと思うが、共演者の中ではキャノンボールのつややかなアルトが突出的に素晴らしく、まさに名人芸だ。一方でフレンチホルンとバリトンサックスが入ったセプテット編成なのだが、編曲的にはその編成を生かしていないので、最初から二人の双頭クインテット盤にした方がよかったのではないかと思う。(しげどん)



GO / Paul Chambers  ゴー/ポール・チェンバース

1959年2月2日、3日 Vee Jay

おすすめ度

hand      ★★★★

しげどん  ★★★★

ショーン  ★★★★

Freddie Hubbard(tp)、Cannonball Adderley(as)、Wynton Kelly(p)、Paul Chambers(b) Philly Joe Jones、Jimmy Cobb(ds)

オールスターメンバーによる有名人気盤。キャノンボールの存在感はやや控え目。

素晴らしい作品だが、あえてキャノンボールの推薦盤とするかは微妙。フレディもケリーも素晴らしい。(hand)

先生不在の自習教室なので、みんな勝手に大暴れ。それぞれのソロは素晴らしいけど、キャノンボールが主役ではない。(しげどん)



Drum Around The World/Philly Joe Jones  ドラム・アラウンド・ザ・ワールド/フィリー・ジョー・ジョーンズ

May, 1959年5月

Jazzland

おすすめ度

hand      ★★★☆

Blue Mitchell, Lee Morgan(tp),Cannonball Adderley(as), Benny Golson(ts),Sahib Shihab(bs),Herbie Mann(fl),Curtis Fuller(tb)

Wynton Kelly(p),Jimmy Garrison, Sam Jones(b),Philly Joe Jones(ds)

マイルスバンドの盟友 フィリーのビッグバンド盤に主要ソロイストとして参加

サヒブ・シハブの影響か?イスラミックな感じのするモダン・ビッグバンド。ゴルソンも「リー・モーガンVol.3」ではイスラムな雰囲気のアレンジをしていたのでゴルソンの影響かもしれない。キャノンボールは雰囲気に適合したソロをとっているが、キャノンボールのソロになると、ビッグバンドがコンボ的なバッキングになるのは不思議だ。ラスト⑦フィリーJ.J.は、クリフォード・ブラウン「メモリアル」の再演。(hand)