Hank Mobley ハンク・モブレー     おすすめCD名盤 主要作レビュー

ジャズファンに愛されながらも不当な評価に甘んじた悲劇のテナー ハンク・モブレー


ハンク・モブレー(1930-1986)は、53年にマックス・ローチと、次いでアート・ブレイキーの初代JMのメンバーに。その後ホレス・シルバー、遂に61年には帝王マイルス・バンドのメンバーにまでなった。

マックス・ローチのバンドに参加したデビュー盤 

マックス・ローチ カルテット

初代メッセンジャーズの名盤に参加。カフェボヘミアのライブ

名曲セニヨール・ブルースで知られるシルバーのヒット作6ピーシーズオブシルバーに参加



そこまで名門を渡り歩いたとあれば、超人気テナーかと思いきや、これまであまり高く評価されたことはない。特に日本では、マイルス時代のモブレーを、コルトレーンの後のイモ・テナーという散々な評価を長く続けてきた。近年、放送用ライブの発掘など再評価の動きはあるがまだまだの感がある。

マイルスバンドでの人気盤「サムディ・マイ・プリンス・ウイル・カム」 コルトレーンばかりもてはやされますが、私(しげどん)的には、マイルスの繊細なミュートに合っているのはモブレーのほうでしョ。みなさんの意見はいかがですか?掲示板へご意見ください。

やはり名盤として知られるマイルスのライブ

ブラックホークのマイルス

でもアナログ盤ではモブレーのソロがカットされていた!?

CDのコンプリート盤を聴くしかない・・・



発掘盤の中に隠れた名盤が・・・

新ジ談では改めて全体を聞き直し、真にオススメできる盤がないか再点検しBEST5を選出した。その結果、過去からNo.1評価の「ソウル・ステーション」は不動であったが、2位以降に変動があった。次はこれといわれていた「ロール・コール」「ワークアウト」が圏外に去り、ワークアウトの名前に頼って名付けられた発掘盤の「アナザー・ワークアウト」や「ポッピン」が高評価となった。

やはり最高傑作 ソウル・ステーション

発掘盤ながら正規盤をしのぐ素晴らしさ     アナザー・ワークアウト

泣かせる一枚 ポッピン



昆虫を思わせるジャケットの「ハンク・モブレー」がカーティス・ポーターの活躍もあり上位に食い込んだほか、以前から人気の「ペッキン・タイム」もリー・モーガンの活躍もあり健闘した。ジャズ談義メンバー3人とも後期のジャズ・ロックはあまり評価しなかった。リカード・ボサノバで人気の「ディッピン」は他の曲がジャズ・ロックであり圏外にとどまった。元が10インチ盤の「ハンク・モブレー・カルテット」も圏外。個人的には、モブレーズ・メッセージを再発見した。(hand)


ぜひアナログ盤をスピーカーに対峙して聴きたいBN1568 「ハンク・モブレー」

リー・モーガンを全力でサポート

人気盤「ペッキン・タイム」

モブレー最大のヒット作 リカード・ボサノバを含む人気盤 「ディッピン」




Hank Mobley ハンク・モブレー  おすすめCD名盤 BEST 5

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おすすめ盤 ① Soul Station/Hank Mobley  ソウル・ステーション/ハンク・モブレー

1960年2月7日

Blue Note

おすすめ度

hand       ★★★★★

しげどん   ★★★★★

ショーン   ★★★★★

リラックスした中にも繊細さがある。最高傑作といえばやはりコレ!

Hank Mobley(ts),Wynton Kelly(p),Paul Chambers(b),Art Blakey(ds)

説明の必要のないモブレーの最高作。何度聞いてもいい。最初と最後がスタンダードだが、最後のIf I  Should Lose Youは余韻が味わえる名演だ。モブレーのリーダー作は彼のオリジナルが多いが、スタンダードも入っていたほうが、1枚のアルバムとしてバランスがいい。ウィントン・ケリーとブレイキーのサポートも隙が無い。(しげどん)

モブレーの黄金時代の幕開けにして、この作品がまさに白眉だ。ハードになり過ぎず、リラクゼーションを感じる、モブレーならではのハード・バップといえる。モブレーは、ハード過ぎる演奏だと、地味な性格なのか、埋没してしまうことがある。この作品では、ケリー達もうまくモブレーを盛り立て、録音も主役が目立つようになっている。愛聴盤としてオススメできる名盤だ。①モブレーのために作られたように感じる最高のスタンダード。②モブレーの2大名曲の一つだと思う。(hand)

抑え気味で余裕あるモブレーのブローイングが、繊細で美しいメロディを惹き立たせるRemember。This I Dig…も同様で、ともにケリーのピアノが光る。Split Feelin'sでは、ブレイキーの異国情緒あふれるドラムが、モブレーと快調に絡む。タイトル曲Soul Stationのブルースのリズムは、心地良く身体に染み渡る。何度でも聴きたくなる無駄のないアルバム。(ショーン)



おすすめ盤② Another Workout/Hank Mobley  アナザー・ワークアウト/ハンク・モブレー

1961年12月5日

Blue Note

↑LPオリジナルカバー

↑CD盤

おすすめ度

hand       ★★★★★

しげどん   ★★★★★

ショーン   ★★★★

発掘盤ながら正規盤以上の素晴らしい一枚

Hank Mobley(ts),Wynton Kelly(p),Grant Green(g),Paul Chambers(b),Philly Joe Jones(ds)

発掘盤ながら、正規盤以上に素晴らしい。アルフレッド・ライオンは、何が気に入らなかったのか、分量的に足りなかっただけだと思う。特にハンクズ・アザー・ソウルは必聴曲だ。モブレーは、入り方を間違うと嫌いになりやすい人だが、この曲から入れば大丈夫だ。ワークアウトの未収録曲が1曲あるのでこのタイトルになったと思うが、ギターなしなので、雰囲気はソウル・ステーションに近い。もっといいタイトルにして欲しかった。ウィントン・ケリー、チェンバース、フィリーにとっても名盤だ。(hand)

ソウル・ステーションと双璧と言える彼の最高作。モブレーを味わうのはやはりワンホーンがいい。オリジナルも含め素材も彼のテナーでテーマを吹奏するのにフィットしていて、出だしから引き込まれる素晴らしい演奏だ。85年に発掘盤として発売されて、なんだかワークアウトに収録されなかった残り物みたいなタイトルでイメージ的に損しているのが残念だ。(しげどん)

2曲目の I Shoud Care が良い。このようなバラードでのモブレーのタメの効いたフレーズは、なかなかツウ好みの味わいがある。また5曲目の Hello Yong Lovers に見るような、テーマフレーズを落ち着いた雰囲気でこなして、徐々に盛り上がっていく感覚も好きだ。最後の愛の泉 は、ケリーのピアノが、小気味よく転がり、素晴らしい。(ショーン)



おすすめ盤③ Hank Mobley    ハンク・モブレー

1957年6月23日

 Blue Note

おすすめ度

hand       ★★★★

しげどん   ★★★★☆

ショーン   ★★★★★

カーティス・ポーターのアルトが炸裂するマニアックな名盤  ソニー・クラークも熱演!

Hank Mobley(ts),Curtis Porter(as),Bill Hardman(tp),Sonny Clark(p),Paul Chambers(b),Art Taylor(ds)

Mighty Moe&Joeのファンキーなノリでテンポ良く始まり、続くFalling in Love with Love、Bag's Grooveともモブレーとソニー・クラークの息の合った絡みが心地良い。メロディラインが美しく、無駄な音が無く、シンプルに構成されているので、聴いていて本当に心が休まる。名盤だ!(ショーン)

このアルバムは異色作。タイトルは「ハンク・モブレー」だが、「カーティス・ポーター」と言えるような内容。冒頭曲はいきなりポーターのオリジナルで彼のアルトが炸裂。モブレーのリーダー作なのに珍しく彼のオリジナルは1曲だけ。それくらいポーターが作曲と演奏に燃えている。ポーターはアルトだけでなくテナーでもモブレーと容易に区別できる強烈な個性で、スピーカー対峙で聴くとツバがかかって来るようだとなんかの本で読んだ記憶がある。JBLでオリジナル盤を聴きたくなる気持ちがわかるブルーノート1500番台を象徴するようなマニアックな一枚。ソニー・クラークも熱演。(しげどん)

カーティス・ポーターという、この盤以外であまり聞かれない珍しいアルトとビル・ハードマンが活躍する。モブレーも比較的元気でいい。バグス・グルーブも楽しい。(hand)



おすすめ盤④ Peckin' Time/Hank Mobley  ペッキン・タイム/ハンク・モブレー

1958年2月9日

Blue Note

おすすめ度

hand       ★★★★☆

しげどん  ★★★★☆

ショーン  ★★★★★

リー・モーガン、ウィントン・ケリーとモブレーの個性の対比が楽しめる。

Lee Morgan(tp),Hank Mobley(ts),Wynton Kelly(p),Paul Chambers(b),Charlie Pership(ds)

19歳で生意気盛りなリー・モーガン の突き抜けるトランペットと落ち着いたモブレーのテナーの対比が素晴らしい。しかもウィントン・ケリーのピアノが、嫌味なくメロディアスに後押しをして世界観を作ってくれているため、質の高い演奏に仕上がっている。何度も聴き込みたくなる、味のあるJAZZだ。(ショーン)

モブレーの音色が、ややコルトレーン的になり、ここから快進撃が始まる。快調なモーガンと、地味なモブレーが渡り合っている。ケリーは、マイルス共演の影響か、少しモーダルな雰囲気もありこれはこれで好感。(hand)

モブレーの全盛期のはじまりはこのアルバムから。タイトルはモーガンとの双頭アルバムだが、音楽的なイニシアチブはモブレーだと考える。全部自分のオリジナルにこだわらず、1曲だけ入れたスタンダード「スピーク・ロウ」。これもいいアクセントになっている。それ以外のモブレーのオリジナルも典型的なハードバップとして愛聴できる作品。(しげどん)



おすすめ盤⑤ Poppin'/Hank Mobley  ポッピン/ハンク・モブレー

1957年10月20日

Blue Note

すすめ度

hand       ★★★★

しげどん  ★★★★☆

ショーン  ★★★★☆

モブレー節全開の哀愁ただようイースト・オブ・ブルックリンにモブレーの神髄が!

Art Farmer(tp),Hank Mobley(ts),Pepper Adams(bs),Sonny Clark(p),Paul Chambers(b),Philly Joe Jones(ds)

モブレーが全盛期に差し掛かりつつあることを示す傑作盤。まずはB面最後のイースト・オブ・ブルックリンから聴いて欲しい。哀愁に満ちたテーマから彼のソロがスタートするあたりの語り口は、モブレー節全開で泣かせる。ほかのトラックもいいが、いつもどおりのスロースタートぶりなのだ。クラークも好演だしアダムスのバリトンもいいアクセントだ。(しげどん)

モブレーは、62年は録音がなく、63年以降の盤は、海賊ライブ以外は基本的にジャズロック盤で、好きになれない。未発盤は、モーダルだったり、4ビートだったり、売れないと判断されたのだと思うが、正規盤に比べて悪いものではない。61年以前の未発盤は「カーテン・コール」(57)、本盤(57)、「アナザー・ワークアウト」(61)の3枚の従来型のハードバップ盤で、未発理由が不明な良盤ばかりだ。本盤は、ソニー・クラークの「クール・ストラッティン」からマクリーンがモブレーに変わり、バリサクが加わる形なので、悪い盤のわけがない。(hand)

表題曲は、いかにもモブレーらしい曲。アダムスのグリグリとしたバリトンが面白い効果を加えており、テナー、トランペットとの一体感もある。続くDarn That Dreamは一転してバラード。モブレーの哀愁漂うテナーに、ミュートされたファーマーのトランペットが雰囲気を助長しており、素晴らしい出来。特に曲の最後でブレイクしてのモブレーのソロは聴き応え十分。(ショーン)



Hank Mobley ハンク・モブレー CD 名盤&主要作 レビュー 目次

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