Donald Byrd ドナルド・バード サイド作⑥ 1963~1965年


VERTIGO/JACKIE McLEAN

1963.2.11 他

Blue Note

おすすめ度

hand      ★★★★☆

Jackie McLean(as), Donald Byrd(tp),

①②④⑤⑥:Herbie Hancock(p), Butch Warren(b), Tony Williams(ds)

未発理由の理解に苦しむカッコいいマクリーン盤

63年録音のマクリーンの80年発掘盤。なぜ未発になったかわからないカッコいい盤で、内容が新し過ぎたとしか思えない。バードは新主流派盤らしい音色とソロに変わってきている。ハンコックとトニー・ウィリアムスとの初共演録音らしい。ウォーレンのベースも素晴らしい。59年の「ニュー・ソイル」セッションからの1曲③フォーミダブル、が入っているが、同盤CDに+1として収録されるようになったので、こちらでは飛ばし聞きしてよいと思う。(hand)



NO ROOM FOR SQUARES/HANK MOBLEY

THE TURNAROUND/HANK MOBLEY

STRAIGHT NO FILTER/HANK MOBLEY

1963.3.7

Blue Note

おすすめ度

hand      ★★★★☆

Hank Mobley(ts), Donald Byrd(tp), Herbie Hancock(p), Butch Warren(b), Philly Joe Jones(ds) etc

3枚に分散収録されたモブレーの素晴らしいセッション

63年3月7日のモブレーのセッションは、バード、ハンコックにウォーレン、フィリーという素晴らしいメンバーながら、録音された6曲が2枚の正規盤と1枚の発掘盤に2曲ずつ収録されるという不幸な分散状態にあり、私は1枚のCD-Rに焼き直して楽しんでいる。この日の6曲、「ノー・ルーム・フォー・スクエアズ」の③アップ・ア・ステップ、⑥オールド・ワールド…と「ターン・アラウンド」の②イースト・オブ・ザ・ヴィレッジ、③グッド・ライフ、「ストレート・ノー・フィルター」の⑧フィーリン・グッド、⑨イエス・インディード、はいずれ劣らぬ素晴らしい演奏だと思う。バードも新主流派的トランペットとして頑張っているが、何と言ってもハンコックが素晴らしいセッションだと思う。この2カ月後にはマイルスに加入する直前の時期にあたる。3枚の平均だと星4がギリギリだが、この6曲だけの盤であれば、星4.5にしてもいいと思う。(hand)



SWAMP SEED/JIMMY HEATH

1963.3.11 & 5.28

Riverside

おすすめ度

hand      ★★★☆

Jimmy Heath(ts), Donald Byrd(tp), Jim Buffington, Julius Watkins(French horn), Don Butterfield(tuba), Herbie Hancock(p:3,5-7), Harold Mabern(p:1,2,4), Percy Heath(b), Connie Kay(ds:3,5-7), Albert Heath(ds:1,2,4)

バードとハンコックがジミー・ヒース盤に参加

バードがジミー・ヒースのクインテット録音に参加。バードはヒースに次ぐソロイストとして活躍する。一部フレンチホルン2本とチューバが加わってはいるが、クインテット盤として聞いても気にならない程度のホーンズだ。5月録音の7曲中3曲はヒース・ブラザーズが揃っている。3月録音の4曲にはハンコックが参加している。バードの推薦かもしれない。ハンコックのリバーサイド録音は珍しいと思う。(hand)



MY POINT OF VIEW/HERBIE HANCOCK

1963.3.19

Blue Note

おすすめ度

hand      ★★★★

Herbie Hancock(p), Donald Byrd(tp), Grachan Moncur III(tb), Hank Mobley(ts), Grant Green(gr:1,5,6), Chuck Israels(b), Tony Williams(ds)

モブレーのセッションから12日、同じバード、モブレー、ハンコックが今回はハンコックがリーダーで録音

モブレーのセッションから12日後の同じブルーノートでのバード、モブレー、ハンコックのセッションで、今回はハンコックがリーダー。この頃にはハンコックは自らのカラーを出して親分バードとモブレーをリードしている。ジャケに新曲として紹介される①ブラインドマン、は続ウォーターメロンマンのような曲でこの盤もジャズロック盤にカテゴライズされると思う。全体としては新主流派的な盤だと思うが、バードとモブレー、さらにグラント・グリーンの参加で新主流派色は弱まり、普通の聞きやすい盤になっている。(hand)



ONE FLIGHT UP/DEXTER GORDON

1964.6.2

Blue Note

おすすめ度

hand      ★★★☆

Dexter Gordon(ts), Donald Byrd(tp), Kenny Drew(p), Niels-Henning Ørsted Pedersen(b), Art Taylor(ds)

渡欧したバードはパリでデックス盤に参加

多作家だったバードが、この頃から録音が少なくなる。特にサイド録音が減ってくる。教育者としての活動やそのための勉強が始まったことが理由と思われ、この録音もハンコック盤「マイ・ポイント・オブ・ヴュー」以来、1年3カ月ぶりだ。どういういきさつでパリで御大デックスと初録音することとなったかはわからないが、渡欧のきっかけはNDR(北ドイツ放送協会)のワークショップへの参加と思われる(録音も残されている。)。メンバーは、ベースのペデルセンを除き、米出身のバッパー的な人選だが、冒頭の長尺バード曲①タニヤ、はモーダルな感じで、皆、気合いを入れてモーダルな演奏をしているが、新主流派の名盤にまでは至っていない。バードは①②のみの参加だがトランペットはよく鳴っている。④オマケ曲も含めて②以降は、前作「アワ・マン・イン・パリ」と雰囲気が似ている。(hand)



PARIS '64/ERIC DOLPHY SEPTET WITH DONALD BYRD

1964.6.11

West Wind

おすすめ度

hand      ★★★★

Eric Dolphy(as,b-cl,fl), Donald Byrd(tp), Nathan Davis(ts), Jack Diéval(p), Jacques Hess(b), Franco Manzecchi(ds), Jacky Bambou(congas)

ドルフィーの最終録音にバードがいた!

デックスとの録音に続くパリ録音。こちらは海賊録音だが、ラジオ用らしく音は悪くはない。ドルフィとバードの組合せは意外な気もするが、ハンコックがドルフィと62年から63年にかけて共演しており、その縁かもしれない。フリー気味のドルフィーとバードがどう化学反応するか不安があったが、バードはさすがにうまく対応していて、アヴァンギャルドなソロではないが場には適合し、トランペットもよく鳴っている。バードがこの後、ドルフィー的要素も持つ同郷のアルト、ソニー・レッドとコンビを組んで良盤三部作を録音するきっかけとなったかもしれない。この盤は、過去には色々な形で出ていたが現在の6曲入りのこの盤が決定盤だと思う。私自身この日の録音の入った盤をこれまで3枚買ってしまっている。(hand)



SOUL SAUCE/CAL TJADER

1964.11.19② & 23⑪⑫

Verve

おすすめ度

hand      ★★★★

Cal Tjader(vib), Lonnie Hewitt(p), Willie Bobo, Armando Peraza,

Alberto Valdes(perc),

②(19日),⑪⑫(23日):Donald Byrd(tp), Jimmy Heath(ts), Kenny Burrell(gr), Richard Davis(b:②), Bob Bushnell(el-b:⑪⑫), Grady Tate(ds)

ラテンバイブのカル・ジェイダー盤に「アップ・ウィズ・バード」と似たメンバーで参加

ラテンバイブのカル・ジェイダー盤に1曲②(19日)とCDオマケ4曲中の⑪⑫(23日)の2曲にバードの直前作「アップ・ウィズ・バード」と似たメンバーで参加していて、似た雰囲気の演奏になっているが、コーラスはない。参加。②アフロ・ブルー、はバレルとバードのソロがいい。⑪モンキー・ビームス、はジミー・ヒースがいつもの上品なテナーではなくアーシーな感じで意外性がある。バードもいい。⑫ミング、はバレルが活躍する。ヒースもバードもワイルドな感じでいい。(hand)



WAHOO!/DUKE PEARSON

1964.11.21

Blue Note

おすすめ度

hand      ★★★☆

Duke Pearson(p), Donald Byrd(tp), James Spaulding(as,fl), Joe Henderson(ts), Bob Cranshaw(b), Mickey Roker(ds)

元メンバーのピアソン盤で伸び伸びと吹くバード

元メンバーのピアソン盤に参加したバード。ジャズロック曲①アマンダ、などで伸び伸びしたトランペットを吹いていて、とても楽しそうに聞こえる。(hand)



LADY BIRD/DEXTER GORDON

1965.4.19

Steeple Chase

おすすめ度

hand      ★★★★

Dexter Gordon(ts), Donald Byrd(tp), Kenny Drew(p), Niels-Henning Ørsted Pedersen(b), Alex Riel(ds)

デックスのコペンハーゲンのライブはモダンジャズの良盤

デックスの65年のコペンハーゲン、モンマルトルでのライブにバードが一時的に渡欧したのか参加している。2005年のスティープルチェイス発掘盤だが、ラジオ放送用録音なので音はいい。久々にジャズトランペッターとしてのバードを楽しめるモダンジャズの良盤だと思う。マイルスの②ソー・ホワット、がバードのトランペット、しかもアレンジ盤ではなくストレートアヘッドな形で聞けるのは嬉しいことだ。デックスのこの時期の好調な数々の盤の中では標準的な出来の盤かもしれないが、コーラス入りのポップな盤を聞いた後に聞くと高評価になってしまう。(hand)



GOIN' OUT OF MY HEAD/WES MONTGOMERY

1965.11.20 & 12.7,8,22

Verve

おすすめ度

hand      ★

Wes Montgomery(gr), Phil Woods(as,cl), Jerry Dodgion(as,cl,fl,piccolo), Bob Ashton(ts,cl,fl), Romeo Penque(ts,fl,cl,English horn,oboe,piccolo), Danny Bank(bs,fl,a-fl,b-cl), Ernie Royal, Joe Newman, Donald Byrd, Danny Moore(tp), Jimmy Cleveland, Quentin Jackson, Wayne Andre(tb), Tony Studd(b-tb), Herbie Hancock, Roger Kellaway(p), George Duvivier(b), Grady Tate(ds), Candido Camero(congas), Oliver Nelson(arr,cond)

バードは大編成のホーンズの一員

65年のバードはリーダー盤がなく、デックスの発掘盤とこのその他大勢的なウエス盤へのサイド参加以外に記録がないようだ。学究活動が本格化したのかもしれない。オリバー・ネルソン指揮の大編成のホーンズの一員、しかもトランペットだけで4人いるので、バードを聞き分けることは不可能だ。ウエス盤としては良盤★★★★だが、バード盤としての評価は最低ランク★となる。(hand)