Lou Donaldson リーダー作3 1968~1976年

ストレートアヘッドなジャズファンには最も苦手なルウドナの混迷期ともいうべき時期です。ただ、クラブ系やファンク好きには「ホット・ドッグ」など人気の盤が多くあるようです。この会での★はかなり少なくなりますが、愛好家にはお許しいただきたいと思います。


MIDNIGHT CREEPER / Lou Donaldson

1968.3.15

Blue Note

おすすめ度

hand      ★★★

Lou Donaldson(as), Blue Mitchell(tp), Lonnie Smith(org), George Benson(gr), Leo Morris(ds)

「アリゲーター」と同メンバーでのダンサブルな盤

ブルーノート復帰後の3枚を続けて聞いてわかってきたことは、この手の音楽が好きな人には、かなりゴキゲンな音楽なのではなかろうかということだ。リズムパターンの繰り返しにより踊りやすいのだと思う。タイトルとジャケから想像する真夜中に動く黒猫のような感じはなく、真夜中のクラブでの踊れるパーティなのだろう。ジョージ・ベンソンが復帰して、「アリゲーター」と同じメンバーに戻っている。ベンソンは、わざとチープな感じの音色のソロをとっていると思う。ソウルジャズの名盤なのかもしれないが、4ビートジャズが好きな私には、苦手な音楽にしか聞こえない。(hand)



SAY IT LOUD! / Lou Donaldson

1968.11.6

Blue Note

おすすめ度

hand      ★★

しげどん ★★☆

Lou Donaldson(as,varitone), Blue Mitchell(tp), Charles Earland(org), Jimmy Ponder(gr), Leo Morris(ds)

ヴァリトンという電気サックスも導入し、遠くに行ってしまったルウドナ

ここまで来ると、自分が偏狭な4ビート主義者なのだということがよくわかる(笑)。ついに、タイトル曲①はルウドナらの歌入り、②サマータイムと③キャラバンは8ビートになる。違うカテゴリー好きのための音楽になったと思う。ウィキペディアで見ると、次の「ホット・ドッグ」までジャンルがジャズとなっていて、「エブリシング・アイ・プレイズ・ファンキー」のみがジャズ、ファンクとなっている。ジャズの概念が広すぎると思う。私のカバー範囲が狭過ぎるのかもしれないが、東京JAZZやブルーノート東京のプログラムの大半はジャズと思えない。ジャズ曲をフュージョン演奏で楽しむことができる人の音楽かもしれない。オルガンはチャールズ・アーランドに変わり、ギターはジミー・ポンダーに。ブルー・ミッチェルはルウドナと一緒に遠くに行ってしまっている。そしてルウドナも通常のアルトのほかに、ヴァリトンという電気サックスをこの盤以降吹くようになる。世も末感満載だ。。。(hand)

ジャズ保守派の私としては、いきなり掛け声ではじまるタイトル曲だけで、もう聴きたくなくなる。サマータイム、キャラバンは素材がジャズなので、ジャズらしく聴こえなくはないけれど。。。解説を読むと全米チャート的には本盤は「アリゲーター・ブーガルー」と並ぶ、ルウドナの二大ヒットなんだそうだ。やはりこのような音楽が好きな人は一定の層はいるだろう、というよりジャズファンより多いので、一般受けしやすい作品なのかも知れない。(しげどん)



HOT DOG / Lou Donaldson

1969.4.25

Blue Note

おすすめ度

hand      ★★☆

Lou Donaldson(as,varitone), Ed Williams(tp), Charles Earland(org), Melvin Sparks(gr), Leo Morris(ds)

前作「セイ・イット・ラウド」の延長線上の、よりポップなダンスミュージック盤

前作「セイ・イット・ラウド」の延長線上にあるダンスミュージック的な8ビート盤。やはり、冒頭曲①にルウドナらの歌が入っている。前作よりも、よりポップになり、メロディが重視されたと思う。どんな層からかわからないが、かなりの人気盤らしい。トランペットは聞いたことのないエド・ウィリアムスという人。ギターは、メルビン・パークスに変わる。(hand)



EVERYTHING I PLAY IS FUNKY / Lou Donaldson

1969.8.22:④⑤

1970.1.9:①-③⑥

Blue Note

おすすめ度

hand      ★★

Lou Donaldson(as,varitone), Ed Williams(tp:4,5), Lonnie Smith(org:1-3,6), Charles Earland(org:4,5), Melvin Sparks(gr), Jimmy Lewis(el-b:1-3,6), Leo Morris(ds)

69年と70年の落穂盤はこの時期らしいグルーヴの感じられる盤

69年8月の2曲と70年1月の4曲からなる盤。メンバーも違っている。タイトル曲①はこの時期の定番化したルウドナらのボーカル入り。エレベがオルガンのフットペダル以外に6曲中4曲に入る。グルーヴ感の強化には役立っているが、目立ち過ぎの感がある。③虹の彼方は、コテコテ感のあるバラードになっている。ラスト曲⑥マイナーバッシュは4ビートジャズで私には好感だ。(hand)



PRETTY THINGS / Lou Donaldson

1970.1.9 & 6.12

Blue Note

おすすめ度

hand      ★★☆

しげどん  ★★☆

Lou Donaldson(as,varitone), Blue Mitchell(tp), Lonnie Smith(org:1), Leon Spencer(org:2-6), Melvin Sparks(gr:1), Ted Dunbar(gr:2-6), Jimmy Lewis(el-b:1), Idris Muhammad(ds)←Leo Morrisが改名

ロックビートで演奏されたテネシー・ワルツなど、ポップな軽さを感じる盤

曲は①テネシーワルツから始まり親しみやすいが、ジャズと捉えることは難しい。①のみオルガンのフットペダル以外にエレベが入る。ベースはずっと同じパターンを繰り返すだけで、奏者は楽しいのかな?と余計な心配をしてしまう。①のみ前作と同じセッションからで、②以降はオルガンがレオン・スペンサー、ギターがテッド・ダンパーに変わる。(hand)

8ビートのテネシー・ワルツ。続々とロック的なビートが続くが、ソウルフルなイメージよりもポップな軽さを感じてしまう。なんだか昭和歌謡的な感じなのだ。最後のLoveはナット・キング・コールがヒットさせたポピュラーというイメージなので、4ビートなんだが、これもポピュラーソングのイメージが強い。(しげどん)



THE SCORPION/LIVE AT THE CADILLIAC CLUB / Lou Donaldson

1970.11.7

Blue Note

おすすめ度

hand      ★★★☆

Lou Donaldson(as), Fred Ballard(tp), Leon Spencer(org), Melvin Sparks(gr), Idris Muhammad(ds)

アリゲーターをライブ演奏した発掘盤

「フライド・バザード」以来、5年ぶりのライブ。録音から25年後の95年に発表された発掘ライブだ。せめてライブはジャジーであってほしいと期待したが見事に裏切られた。ただ、スタジオ盤に比べれば、加工がしにくい分、私には聞きやすい。ヒット曲③アリゲーターブーガルーを演奏している。ラスト⑥フットパッティンタイムは久々のビバップで好感だ。こんな曲だけでたまには1枚出して欲しかった。(hand)



COSMOS / Lou Donaldson

1971.7.16

Blue Note

おすすめ度

hand      ★★★

Lou Donaldson(as,varitone), Ed Williams(tp), Leon Spencer(org), Melvin Sparks(gr), Jerry Jemmott(el-b), Idris Muhammad(ds), Ray Armando(conga), Mildred Brown, Rosalyn Brown, Naomi Thomas(vo)

女声コーラスとワウワウギターが特徴的なロックのような盤

女声コーラスとワウワウギターが特徴的な①キャタピラーから始まる。ロックにしか聞こえない音楽だ。②メイクイットは多分クラブジャズで言うところのメロウな感じではないかと想像する。ある意味、この方面の音楽として洗練されてきたのだと思う。フルにエレベが参加。久しぶりにコンガ入りだ。(hand)



SOPHISTICATED LOU / Lou Donaldson

1972.12.8,11 & 18

Blue Note

おすすめ度

hand      ★☆

しげどん ★★

Lou Donaldson(as), Joe Farrell, Paul Winter(fl,a-fl), Eugene Bianco(harp), Joe Venuto(vib), Derek Smith(p,el-p), Jay Berliner(gr),

Richard Davis(b:1,3,6,8), Ron Carter(b:2,4,5,7), Grady Tate(ds), Omar Clay(perc), Harry Lookofsky, Aaron Rosand, Irving Spice(vln), Harry Zaratzian, Seymour Berman(vla), Seymour Barab(cello),Wade Marcus(arr)

ストリングスにハープまで入った甘口盤

何これ?というくらい甘口になってしまったルウドナ。ストリングスにハープまで入っている。同じストリングス入りでも「パーカー・ウィズ・ストリングス」と同カテゴリーの音楽ではない。ここまで多用してきたオルガンがエレピ・メインに切り替わる。⑦ブルースウォークの再演は、曲がジャジーなので、なかなかいいと思って聞いているとフェイドアウトしてしまう。残念。(hand)

ルウドナ・ウィズ・ストリングスといった一枚だが、かなりイージー・リスニングぽい印象が強い。でも「星影のステラ」や「オータム・イン・ニューヨーク」などの有名スタンダードは気持ちよく吹いているルウドナさんの印象だ。「ブルース・ウォーク」の再演も、ややポップな感じだが悪くないけど、ストリングスが入った途端に雰囲気がぶち壊し。ビッグ・バンドをバックにジョニー・ホッジスばりにアルトを歌わせるルウドナさんは好きだが、やはりこのストリングスの陳腐さはジャズファンとしては耐えがたい。(しげどん)



SASSY SOUL STRUT / Lou Donaldson

1973.4.17 & 18

Blue Note

おすすめ度

hand      ★★

しげどん ★

Lou Donaldson(as,varitone), Thad Jones(tp), Garnett Brown(tb), Seldon Powell(ts,fl), Buddy Lucas(hca), Paul Griffin(p,el-p,org), Horace Ott(el-p), 

Hugh McCracken, David Spinozza, John Tropea(gr), Wilbur Bascomb(el-b), Bernard Purdie(ds), Omar Clay, Jack Jennings(perc), George Butler(arr)

ジャズを感じないフュージョン100パーセント盤

ついにジャズを感じないフュージョン100パーセントの盤になってしまった。フュージョン系ギターが3人も入っている。当時はこれが売れたのだから仕方ない。ルウドナ自身が、楽しんでいたかどうかはわからない。(hand)

1973年という時期は、フュージョンとしてもかなり初期の時代ではないかと思うが、私自身がフュージョン嫌いなのでなんとも言えない。私がジャズを聴き始めた高校二年生の頃(1976年頃)は、フュージョン一辺倒の時代だった。フュージョンという音楽を好きになった事は一度もなく苦々しく思っていたが、あの頃のフュージョンファンはどこに消えたのだろう?このルウドナさんの盤は意外とその流行をはやく捉えた作品なのかなとも思った。でも残念ながらこのようなフュージョンサウンドの中では、彼のアルト・サックスの存在感は感じられないのだ。(しげどん)



SWEET LOU / Lou Donaldson

1974.3.14.19 & 21

Blue Note

おすすめ度

hand      ★★

Lou Donaldson(as,varitone), Ernie Royal, Joe Shepley, Danny Moore(tp), Garnett Brown(tb), Seldon Powell, Arthur Clarke(ts,fl), Buddy Lucas(hca), Horace Ott(keyb,syn,arr,cond),  Paul Griffin(clavinet), 

Hugh McCracken, David Spinozza, Cornell Dupree(gr), Wilbur Bascomb(el-b), Bernard Purdie, Jimmy Young(ds), Unknown(perc), Barbara Massey, Hilda Harris, Eileen Gilbert, Carl Williams Jr., William Sample, Bill Davis, Eric Figueroa(vo)

フュージョンやブラコンと言うべき盤

ジャケも全くジャズに見えないし、音楽もジャズには聞こえない。フュージョンのスパイロ・ジャイラのジャケを思い出したので調べてみたらこちらが5年早かった。70年代後半に売れたクインシーやEW&Fのブラコン的な音楽も、この辺にヒントを得ているのかもしれないと感じた。ただ、その辺の事情には疎いのでわからない。(hand)



A DIFFERENT SCENE / Lou Donaldson

1976.4

Cotillion

おすすめ度

hand      ★☆

Different Scene / Color As a Way of Lifeの2in1盤 現在それぞれ個別に入手するのは困難

Lou Donaldson(as), Mike Goldberg(cor,tp,p,arr,cond), Ricky West(el-p,clavinet,mellotron,arr,cond), Larry Etkin(tp), John Kelly(tb), Robert Corley(ts), Joe Ferguson(ts,fl), A.C. Drummer Jr.(gr), Jacob Hunter(el-b), 

Walter "Jojo" Garth(ds), Tony Baxter(lead vo), Audrinne Ferguson, Cissy Houston, Eddie Jones, Eunice Peterson, Kenny Seymour, Rennelle Stafford(back vo), Unidentified string section

70年代後半は珍しく寡作期だが、出した盤はやはりブラコン盤だった...

聞く私にとって、このタイトルどおりで、アウェイ感満載の内容だ。毎年、何らかのリーダー盤を残してきたルウドナが75年は録音がなく、78、79年もないので、70年代後半は初の寡作期となる。この盤のようにブラコン的なものを作り、時代に適合した盤を出しているのに寡作となるのはなぜか?本人のせいか、レーベルのせいか、多分、ボーカルをメインとしたポップスのチャートを賑わすような楽曲が必要で、歌入りとはいえサックスがメインのルウドナ盤はそれほどは売れなかったのではないかと思う。クインシーのように早々にトランペットを投げ捨てプロデューサー的アーチストになったほうが儲かり、大物扱いされるようになったのであろう。ただ、ジャズファンとしては、ルウドナがサックスにこだわってくれたことで、この後、ジャズ的に復活するという嬉しい道筋につながるのだ。(hand)



COLOR AS A WAY OF YOU / Lou Donaldson

1976.12

Cotillion

おすすめ度

hand      ★

Lou Donaldson(as), Paul G. Bogosian, Ernie Royal(tp,flh), John Drew Kelly(tb,b-tb), Seldon Powell(fl,bs), Irving Spice(lead vln), Louis Haber, Elliott Rosoff, David Sackson, Louis Stone(vln), William Phipps(el-p,clavinet), A.C. Drummer Jr.(gr), Jacob Hunter(el-b), Jimmy Young(ds), 

Jacqueline Copeland(vo), Mike Goldberg(arr,cond), Dennis Williams(arr)

歌のない歌謡曲のような盤

ついにジャパニーズポップスの歌のない歌謡曲みたいな盤になってしまった。多分、日本側が真似したと思うが、このベース、ドラムとギターの感じは既視感(既聴感)がある。④パッション・フルート(フルーツの単数形)は、ナベサダのカリフォルニア・シャワー(1978年)に似ている。なんとルウドナの方が1年早かった。(hand)