Wynton Kelly=ウイントン・ケリー  CDディスク・ガイド :リーダーアルバム編①

 名盤請負人と言われたウイントン・ケリーは、良くスイングするピアノスタイルでたいへん人気があるビッグ・ネームですが、生涯に残したリーダー作はそう多くありません。確かに39歳という死は早すぎましたが、18歳の初リーダー録音から20年の年月で15作品ほどしかないのは、やはりリーダー録音の機会には恵まれなかったと言わざるを得ません。

ここでは彼のキャリア前半の、個性が輝く名盤が目白押しの時代の作品をレビューいたします。


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タイトル下の日付は録音日です


Piano interpritations  /Wynton Kelly                                                                                     ウイントン・ケリー/ピアノ・インタープリティションズ

1951年7月25日 ,8月1日

Blue Note

おすすめ度

hand ★★★

しげどん ★★☆

ショーン ★★★★

Wynton Kelly(p),Oscar Pettiford, Franklin Skeete(b),Lee Abraham(ds)

後年のケリーらしさはないが・・・

1951年の10インチ、デビュー盤。後年のケリー節はあまり聞かれない。1曲目チェロキーは、1949年のバドのルースト盤に影響を受けた感じがする。3曲目ブルームーンは、ミディアムテンポで、ややケリー節を感じる。2、4、5曲目のバラードは少々単調。6曲目は、普通の出来。7曲目はややチェロキー的な気迫が戻って、バドスタイル。ラストのバラードは唯一気合いを感じるバラード。(hand)

ウィントンケリーのピアノの素晴らしさをたっぷり堪能できるアルバム。特にCDは、テイク違いやアナログレコードに無い曲もあり、天才ジャズピアニストの耽美的で情景的な世界に浸れる。ピアノ好きには堪らない1枚だろう。(ショーン)



PIANO/Wynton Kelly                                                                                                ウィスパー・ノット/ウイントン・ケリー

1958年1月31日 Riverside

hand ★★★

しげどん ★★★★

ショーン ★★★★

Wynton Kelly(p),Kenny Burrell(g),Paul Chambers(b),Philly Joe Jones(ds)

アルバムとしての企画は?だが、演奏は素晴らしい。

ケリーにとっては、デビュー作以来のリーダー盤である。各メンバーのソロは素晴らしいが、企画としての統一感はやや疑問。でもジャズとしての魅力は損なっていない。フィリージョーを全部外した変則トリオにしたほうがさらに名盤化したかもなどと思う。(しげどん)

フィリーの遅刻で半分はドラム抜きになったと言われてるけどホントかな?!と思う。というのは、ドラム入りの演奏のピアノとの録音バランスが悪いのに、B面のドラムレスは、ギター、ベースとのバランスも良いのだ。1曲目、日本盤タイトル曲のウィスパーノットは、曲も良く、各人の出来も悪くないのに、ポジショニングが良くないのか落ち着かい録音で、エンジニアの問題ではないか⁈脂の乗りきったこのメンバーをしっかり記録しきれてない。(hand)



Kelly Blue/Wynton Kelly   ケリー・ブルー/ウイントン・ケリー

1959年2月19日、3月10日  Riverside

おすすめ度

hand ★★★★★

しげどん ★★★★☆

ショーン ★★★★★

※おすすめBEST5の1位

毎日聞いても飽きない大人のジャズアルバム

大人のアルバムだ。静かにこぼれ落ちる様な美しいメロディーはケリーだけのものであり、どの曲も素晴らしい完成度。しかもLPでいうところのA1とB2のセクステットがアルバムに厚みと深みを与えており、フルート、コルネット、テナーとも最高のパフォーマンスを展開、全く無駄の無い名演奏の連続で、毎日聴いていても飽きない名アルバムに仕上がっている!このアルバムでケリーが大好きになった。(ショーン)

1曲目、ベースのボーンボーンから期待できそうな予感のするケリー作ブルース。聞き慣れるとイントロのフルートが鳴る前から聞こえてくる(笑)。ピアノ〜フルート〜トランペット〜テナーがそれぞれ納得がいくまでソロを回すが、全く長いとは感じない名演。2曲目3曲目、B面の1曲目、トリオ曲は、ジャズ界屈指の名演揃い。コンボ2曲目のB2曲は、アップテンポのオリジナル。1曲目同様に素晴らしいソロ回し。(hand)



KELLY GREAT/Wynton Kelly   ケリー・グレート/ウントン・ケリー

1959年8月12日  VeeJay

hand ★★★

しげどん ★★★

ショーン ★★★★☆

名盤視されているが、ケリーの存在感は強くない。

とにかく、若きやんちゃ坊主のリーモーガンがハッスルしているノリと勢いのあるアルバム。ドラムのフィリー・ジョー・ジョーンズの煽りも素晴らしく、ベースのポールチェンバースの弓でベースを奏でるアルコも楽しめ、万人にオススメ出来るアルバムだが、リーダーのケリーの影が薄い。(ショーン)

絶頂期のケリーで評論家さんたちもオススメの盤なのに、何度トライしても、いいと思えない盤。メンバーのせいか、曲のせいか、録音のせいか、みんなチョットづつイマイチな気がする。(hand)

ウエインショーター色が強く、ケリーとしてのジャズっぽい個性が発揮されていないように思う。ショーターのオリジナルMama"G"は、その後Nelly Blyとタイトルを変えてジャズ・メッセンジャーズのライブでしばしば演奏した曲。 来日時の1961年のライブでも演奏した。(しげどん)

↑モーガン、ショーター参加のメッセンジャーズで「Mama G」をNelly Blyとして再演した1961年の初来日のライブ。ピアノはボビー・ティモンズ



KELLY AT MIDNIT/Wynton Kelly     真夜中のケリー/ウントン・ケリー

1960年4月27日  Vee Jay

hand ★★★★★

しげどん ★★★☆

ショーン ★★★★☆

おすすめBEST5 3位

元気良く弾むケリーを満喫できる傑作

ケリーだけでなく、多分フィリーにとっても最高傑作!チェンバースにとっても、この盤はベストプレイの1つだと思う。ところでこの盤、あえて1曲ずつ解説する必要性を感じない。全5曲と少ないこともあるが、聞き始めると楽しくて、あっという間に全曲聞き終わってしまう!3人とも元気良くジャズを楽しんでいて、こちらも元気になってくる!(笑)(hand)

軽快なリズムに乗ったケリーのピアノは、まるで羽が生えたかのように、自由自在に踊っている。ポールチェンバースのベースがかなりgoodで、ピアノに負けない働きをしている。(ショーン)

題名に反して、うるさいドラムスは真夜中向きではない。特にB面のフィリーはうるさすぎ。好みの問題かも知れないが・・(しげどん)



WYNTON KELLY  邦題(枯葉)/ウィントン・ケリー

1961年7月20日、21日  Vee Jay

hand ★★★★

しげどん ★★★★☆

ショーン ★★★★★

おすすめBEST5  2位

スタンダード中心にケリー節を味わえる一枚

ケリーの軽やかなピアノは、まるで人が歌っているかのようにメロディアスで耳に心地良い。特にスローなバラードで、ムーディーに語りかける鍵盤の音色は温かみがあって素晴らしい。(ショーン)

ミッドナイトよりも、こっちの方が真夜中の感じがする。スタンダード中心だがケリーらしい味わいが存分に堪能できる。(しげどん)

枯葉1曲だけ聞けば日本盤タイトルにするくらいなので、素晴らしい!ただ、作品としての統一感や他の曲の出来は少しユルいと感じる。(hand)



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