Anita O’Day アニタ・オディ リーダー作④第二の黄金時代

これまで、前期、特にヴァーブ時代(1952〜62年)だけがアニタの聞くに値する黄金期とされてきました。薬物中毒から立ち直り復活した70年代。75年の来日公演での人気が転機となり、日本での人気をバネにしたアニタの第二の黄金時代がスタートしたのがこの時期ではないかと思います。(しげどん)

・新宿ジャズ談義の会 :アニタ オディ  CDレビュー 目次

・Anita O'Day  おすすめBest5

・Anita O'Day CDリーダー作① バンドシンガー時代(1941-1959)

・Anita O'Day CDリーダー作 黄金のヴァーブ期(1955-1962)

・Anita O'Day CDリーダー作 麻薬禍からの復活期(1963-1972)・・・このページ

・Anita O'Day CDリーダー作 第二の黄金期(1975-1979)

・Anita O'Day CDリーダー作 晩年を迎えるアニタ(1981-2005)

強い意志でヤク抜きに成功したアニタは、70年から活動を再開するが、75年の来日公演での人気を転機にさらに自信をもって円熟の歌唱に向かう。ヴァーブ期以外にも素晴らしい時期があった鉱脈を掘り当てた気分だ。あまり知られぬこの時期のアニタのオススメできる盤を選べたと思う。(hand)


ANITA 1975 / Anita O'Day

1975.4.25

Trio

おすすめ度

hand      ★★★★☆

しげどん  ★★★★☆

ショーン  ★★★★☆

Anita O'Day(vo), Ronnell Bright(p), George Morrow(b), John Poole(ds)

「スリー・サウンズ」から13年ぶりのスタジオ録音で復活宣言

近年のエミリー等の発掘音源によりヴァーブを離れた後も完全に引退していた訳ではなく、60年代末のヤク抜き闘病?の時期を除き、ライブを中心に断続的には活動していたことが明らかになってきている。しかし、この75年の日本人によるカリフォルニア・グレンデールのホイットニー・スタジオでの録音が、断続から完全復帰へのきっかけとなったのは事実だと思う。62年のヴァーブでの「スリー・サウンズ」以来13年ぶりのスタジオ録音だ。全盛期から15〜20年が経過して、年齢も50代半ばとなったアニタ、声質の多少の変化は当然だと思うが、声にツヤと勢いが戻り、新たにポップな選曲を入れるなどで新味を出している。カーペンターズで知られるレオン・ラッセルの①ソング・フォー・ユーが冒頭を飾っているのがその象徴ではないか。そして、バンドシンガー的な歌唱からソロシンガー、クラブシンガーとしてワンホーン+ピアノトリオからなるモダンコンボのリズム隊との組合せにも違和感を感じなくなったのが大きな変化だ。なので、バンドシンガー的になりやすい⑧オパスワンのような選曲はしないほうがよかったと思う(歌は悪くない。)。この盤は、最初、日本のトリオ・レーベルから同タイトルで出た後、米エビデンスから「アイ・ゲット・ア・キック・アウト・オブ・ユー」、日アブソード・ミュージックから「風とともに去りぬ」、独ストーリービルから「ア・ソング・フォー・ユー」とタイトルもジャケも変えて出され、現在は日本のウルトラ・ヴァイブから元タイトルに戻って出ている。内容がいいだけに、タイトルが目まぐるしく変わるのは、盤の評価が定まりにくくなり良くないと思う。(hand)

私としては今回後期のアニタを初めて聴いたのである。62年のスリーサウンズ盤以降は終わってしまった感があったのだ。この75年録音作は、日本企画らしいが、ハードバップリバイバルで往年のスターの元気な姿を引き出してくれた一連の作品同様に、よくぞやってくれたという企画だと思う。10年以上経っているので、以前のようなキレキレの姐御的な声ではないが、大人の魅力があり、アニタらしいアドリブの自由さが味わえる。カルテットのバッキングも、ヴァーブ時代は大編成が多かっただけにジャズらしさが味わえる。ロンネル・ブライトは、ヴァンガードにリーダー作があり、ジョージ・モロウはローチ・ブラウン・クインテットで知った名だが、サックスとフルートのドン・ラフェルは知らない人だったが(盤によってはクレジットされてないこともあり)、アーティ・ショー楽団にも在籍していた職人的なミュージシャンだった。いずれもいい感じのサポートぶり。(しげどん)

ポピュラリティーの高い曲が、アニタらしく軽やかに歌われて、とても聴きやすく、爽やかさを感じるアルバム。バックの演奏もシルプルながらJAZZっぽくベーシックなもので安心感がある。(ショーン)



LIVE IN TOKYO 1975 / Anita O'Day

1975.6.19

Trio

エミリー盤

おすすめ度

hand      ★★★★☆

しげどん  ★★★★☆

ショーン  ★★★★☆

Anita O'Day(vo), Merrill Hoover(p), George Morrow(b), John Poole(ds)

日本での人気に気を良くしたアニタの完全復活のきっかけと言えるライブ。日本タイトルは変遷

75年4月に「1975」で復帰を遂げ、63&64年から久しぶりの2回目の来日公演。この時、この郵便貯金ホールでのライブ録音と、スタジオ録音で「マイ・シップ」の2枚の良質な録音を残している。盤は、この時期の外タレのライブでよく聞かれるイソノテルヲ氏のMCで始まる。ピアノトリオをバックに、激しくはないが温かみのある日本の声援に徐々にノッてくるアニタとバックの3人がいる。②ユビソなどヘレン・メリルの人気曲をアニタに歌わせたのは日本側ではないかと疑うが、アニタは物ともせずその後の得意曲にしてしまっているのはさすがだ。ラスト2曲⑩⑪が『真夏の夜のジャズ』と同じなのも日本人的なあざとい演出だ。この盤は、最初、日本のトリオ・レコードから同タイトルで出た後、米エミリーからのアナログは三重塔ジャケで単に「イン・トーキョー」、CD化でタイトルは戻ったがジャケ文字はカラーだがアニタはモノクロ別写真。日ヴィーナスCDは英タイトルはそのままだが「ハニー・サックル・ローズ」と別の日タイトルを付け、モノクロ別写真で出ている。日トリオ系のソリッド盤、ウルトラ・ヴァイブ盤はオリジナルどおりで望ましい形だ。録音時、アニタは56才だった。生涯に10回来日している(追記:ジャズ批評229号では6回となっています。何回が正しいかは不明です。)が、これ以降、毎年のように来日し、素晴らしい録音を残していく。(hand)

楽しい雰囲気のライブ。前作も日本の企画らしいので、この来日によって日本が好きになってくれたのでは?と思う。良く知ったスタンダードもアニタらしい動きのあるフェイクぶりで、観客も乗っている感じだ。ファンサービスのリクエストはスィート・ジョージア・ブラウン&二人でお茶、を真夏の夜のジャズ的に演じているが、でも少し変化を持たせた感じで、こんなコンサートに居合わせたらファンは大喜びだと思う。(しげどん)

スタンダードばかりのライヴで聴きやすく楽しい。ただアニタが色々話しても、日本人は英語の理解が出来ていないので反応が悪く、日本人として申し訳ない気持ちになる。もう少し双方向に理解が深まれば、もっと盛り上がるライヴになったことだろう。それを差し引いても、アニタの明るく魅力的な歌声にアドリブとスキャットが冴える良いライヴアルバムだ。(ショーン)



MY SHIP / Anita O'Day

1975.6.30

Trio

おすすめ度

hand      ★★★★☆

しげどん  ★★★★

ショーン  ★★★★☆

Anita O'Day(vo), Merrill Hoover(p), George Morrow(b), John Poole(ds)

ピアノトリオをバックに歌う正統派のボーカル盤

75年4月に「1975」で復帰を遂げ、6月に来日し「ライブ・イン・トーキョー1975」を録音した直後のアニタを捉えたスタジオ録音。全盛期と比べると声のツヤはほん少しだけ落ちた気もするが、それでも十分にツヤのある歌声で、スタジオ録音を楽しんでいる感じがする。日本公演での人気に気を良くして臨んだのだと思う。ベースとドラムが控えめで、ピアノ中心の伴奏となっているので、静かな気分に浸りたい時に適している。バンドシンガー的ではなく、クラブシンガー的なアニタを捉えた名作だと思う。日本の功績盤の1枚。日本発だが海外でも人気があるようだ。トリオ→エミリー→オールアート→TDK→カヨ→ソリッド→ウルトラバイブ→ソリッドとレーベルが変遷しており、盤により曲順や曲数が違い、そこは困った点だ。1977年のドブレ盤が2012年にCD化され気付かずに購入したところ、このうちの8曲であった。(hand)

70年代のアニタの復活は、日本の人気と企画あってのものだった。これもスタジオ盤だが日本録音だ。いつものジャズ的なスリリングで奔放なアドリブは控えめで、しっとりと歌う熟練のボーカリストという感じで、ピアノトリオの伴奏も、ジャズ的なからみあいではなくあくまでも伴奏者という控え目な感じである。あまり受け狙いではなく、正統派のボーカルとしての自己表現を自由にしている感じがする。(しげどん)

アニタのリラックスムードで始まるアルバム。シンプルなトリオバックがとても良く、特にMeril Hooverのピアノの細やかな調べが一曲一曲をとても美しく抒情的に仕上げていえ、アニタも気持ち良く歌い、声の伸びも良い。真面目な大人のJAZZヴォーカルアルバムとして完成度が高い。 (ショーン)



LIVE IN PERSON / Anita O'Day

1976.9.14

Star Line Productions

おすすめ度

hand      ★★★☆

Anita O'Day(vo), Fraser MacPherson(ts), Al Wold(p), Wyatt Ruther(b), John Poole(ds)

好調なアニタを捉えた米ホールでのライブ

ジャケには「ライブ」としか表記されず、背と裏ジャケ?には「ライブ・イン・パーソン」と表記されている。また、Amazonでは「ライブ・イン・コンサート」として売られている、スター・ライン・プロダクションズというブート?レーベルから1993年の発売。75年に復活した後の約10年間は、後期のアニタ黄金時代と言えるくらい充実しており、この盤もそんな好調な時期を捉えている。米コンサートホールでのライブで、フランサー・マクファーソンというテナー入りのカルテットがバックを務めている。音はまずまずだ。⑥ハニー・サックル・ローズ等でフィーチャーされるベースのワイアット・ルーサーの名は、レイ・ブライアントの「トリオ」、エロール・ガーナーの「ミスティ」以外で初めて見た気がしたので調べてみると、ガーナー盤にはかなり参加していた。そしてなんと、ミルト・ヒントン、ウェンデル・マーシャルと3人のベース奏者で、「ベーシズ・ローデッド」というリーダー・オムニバス盤まで共同で出していることもわかった(フレッシュサウンドからCD化もされている。)。アニタ盤の中ではベースソロが多いのは、それなりにビッグネームなのであろう。ジャズは本当に奥が深い。(hand)



LIVE AT MINGO'S(HERE IS ANITA!) / Anita O'Day

1976.10.22

Trio

ミンゴス

Here's Anita(Absord Music)

おすすめ度

hand      ★★★★☆

しげどん  ★★★☆

ショーン  ★★★★

Anita O'Day(vo), Norman Simmons(p), Bob Maize(b), John Poole(ds)

ノーマン・シモンズのサポートを得てクラブシンガーとして確立したアニタが聞ける盤

75年に本格復帰したアニタは、75年に続き翌76年も来日した。六本木のクラブ、今はないミンゴス・ムジコでのライブ。小さなクラブでの、親密感のあるライブに適合するようになったアニタを聞くことができる。選曲は、①アズタイムや②スターダストなど日本人好みだが、アニタはベタベタには調理しないので気にならない、どころか、好印象だ。⑨水辺、はビリーとはまた別の魅力がある。そしてピアノのノーマン・シモンズがいい。こんなに器用な人だったかなというくらい素晴らしいサポートを見せる。後期のアニタ盤の残念な特徴の一つに発売レーベルの変遷がある。日本人録音が多いので、米発売はアニタ関連レーベルから出ることが多く、タイトルもジャケも変わったりする。その結果、盤の評価が定まりにくくなる。そして、この盤には国内問題もあり、この盤自体音がいいのだが、同じ日のさらに高音質盤xrcdがレーベルが変わりジャケもタイトルも変わり「ヒア・イズ・アニタ」として出ている。一部の曲が入れ替えられ(マイナス1曲、プラス2曲)、両方買わないと全曲が聞かれないありがたくない発売方法だ(さらにその通常盤がまた別ジャケでマイナス1曲で出ている。こちらも甲乙付け難いのは言うまでもない。)。エバンスのラファロ入りバンガードやマイルスのリンカーンセンターのように住み分けの2枚は歓迎だが、曲が半分かぶり、レーベルは違い、音質も違うとは、アニタがかわいそうになる。後期名盤の1枚と目される盤がいじくり回されることで、盤としての印象が揺れ動いてしまうのはもったいない。というよりも、アニタ後期の再評価の妨げでしかない。(hand)

70年代後半のライブ録音なので、スピーカー越しに聴いても音も良くインティメイトなライブの雰囲気が味わえ、その場にいるような気持ちになる。若い頃のような攻めるアドリブは影をひそめ、わりと原曲に沿った歌い方でしっとりと聴かせる感じだ。くつろぎ盤だが、ジャズ的には若い頃の歌唱を評価する人がいるのもわからないではない。(しげどん)

パワフルなアニタのノリと元気が伝わってくるライヴだが、少し録音状態が悪く惜しい。やや気だるい感じの歌い方のアニタも面白い。(ショーン)



LIVE IN CONCERT TOKYO 1976 / Anita O'Day, John Poole

1976.10

Emily Productions

おすすめ度

hand      ★★★

Anita O'Day(vo), Norman Simmons(p), Bob Maize(b), John Poole(ds)

「ミンゴス」&「ヒア・イズ」と同時期のライブ

内容はいいが、録音が少し良くない。同時期録音の「ミンゴス」と一部かぶる「ヒア・イズ」が特に音がいいので、余計にそう感じてしまう。(hand)



THERE'S ONLY ONE / Anita O'Day

1977.12.27

Dobre

おすすめ度

hand      ★★★☆

Anita O'Day(vo), Al Bruno, Billy Webb(gr,ac-gr), Silvio Tucciarone(steel-gr), Ed Holtz(p), Eddie Jo Downs(b), Johnny Greer(ds)

ハリウッドでのスタジオ録音。日本タイトルは「オールド・フォークス」

ハリウッドでのスタジオ録音。①スイングしなけりゃ、では以前のバンドシンガー時代の大見えを切るような歌い方を完全に脱して、無名のエド・ホルツ?のピアノトリオとの相性もいい。④恋とは何、ではトリオが激しいサポートを聞かせてくれるが、⑤エース・イン・ザ・ホールの掛け合いでは、バンドシンガー的な’レット・ミー・オフ’のようなスタイルにかなり戻ってしまっており、こういう曲をやらせてはいけないと思う。ドブレ→JVC→クイックシルバーとレーベルが変遷し、ジャケも毎回違う。日本のJVC盤はタイトルも「オールド・フォークス」に変わっている。元タイトルが売れなそうなのはわかるが、タイトルもジャケも変えるのは購入時の混乱を招くだけだと思うので、せめて英タイトルはそのままにして帯に付ける日タイトルを変えるくらいにしてほしい。クイックシルバー盤と同時期に、オーディオファイルからアイリーン・クラールとの2in1盤も出ている。(hand)



ANGEL EYES / Anita O'Day

1978.6.13

Lobster

元ジャケ

ミスティジャケ

おすすめ度

hand      ★★★★

Anita O'Day(vo), Dwight Dickerson(p), Harvey Newmark(b), John Poole(ds)

現在「ミスティ」のジャケで発売されているスタジオ・ライブ盤

現在「ミスティ」のジャケで「エンジェル・アイズ+ミスティ」のタイトルでウルトラバイブからCDが出ている。「エンジェル・アイズ」は全曲入っているが、ジャケの「ミスティ」は81年録音で、全曲ではなく前半5曲のみが収録されている、というとてもややこしい状態だ。「エンジェル・アイズ」は、78年6月13日、東京でのスタジオに客を入れてのスタジオライブのダイレクトカッティング録音。声のツヤが少し前年よりも落ちた感じもするが、後年の盤でツヤのある盤もあるので、この日の声の調子の問題なのかもしれない。盤全体としては、元気にスインギーに歌うアニタが聞けるなかなかの良盤だ。レーベル(ロブスター→エミリー→TDK→カヨ→ウルトラバイブ)も収録内容もジャケも変遷しながら現在に至っているのは、アニタ後期の盤の残念な特徴の一つだ。(hand)



SKYLARK LIVE AT SOMETIME / Anita O'Day

1978.7.15

Trio

おすすめ度

hand      ★★★★☆

しげどん  ★★★☆

ショーン  ★★★★

Anita O'Day(vo), Dwight Dickerson(p), Harvey Newmark(b), John Poole(ds)

吉祥寺サムタイムでのご機嫌なライブ

「エンジェル・アイズ」録音の1か月後、吉祥寺・サムタイムに出演したアニタ。一関ベイシーの録音も発掘されるなど長期滞在していたようだ。声の調子も良く、機嫌もいい感じが聞き取れる。後期に入ったアニタは、70年代のほぼ毎年来日しており、日本系レーベルでの録音も多く、復活したアニタを支えたのは日本での人気と言っても間違いではない。アート・ペッパーと同じような感じだと思う。後悔しても仕方ないが、私も行こうと思えばギリギリ行けた年齢。それくらい素晴らしいライブだ。サムタイムの店内で赤い衣装でタバコ片手にワインを飲むアニタのジャケ。全9曲で、TDKのCD化で2曲追加。その後出たカヨ盤はタイトルが単に「スカイラーク」のみとなり、ジャケは白衣装で歌う姿に、オマケが差し変わり別ライブが7曲入っているので要注意だ。トリオ→TDK→アブソード→ソリッド→ウルトラバイブとレーベルが変遷している。アナログ盤の帯には、1978年7月25日デイヴ・ベイカー録音と書いてあり、記録はどこかで間違うとわからなくなりやすい。(hand)

イメージ的にはMINGOSと同じような雰囲気のくつろぎのライブ作品。選曲は全く違うが一部オリジナルがあるものの、スタンダード中心でアニタらしい歌が聴ける作品。(しげどん)

一生懸命丁寧に歌うアニタだが、スローな曲が多いのと、演奏が普通すぎて前半はあまり感動しないが、後半の数曲のノリは悪くない。ただやはり新鮮味や感動はあまりない。(ショーン)



LIVE AT BASIE / Anita O'Day

1978.7.2

Ratspack

おすすめ度

hand      ★★★★

Anita O'Day(vo), Dwight Dickerson(p), Harvey Newmark(b), John Poole(ds)

発掘された一関ベイシーでのライブ記録

録音から30年後、アニタが亡くなった翌年の2007年に発掘された一関ベイシーでのライブ記録。音にこだわる菅原マスターの店、特にドラムとベースの音がいい。アニタは楽しそうで元気に歌っている。同じツアーなのでサムタイムのライブと多少曲はかぶるが、どちらもいいライブだと思う。(hand)



MELLO' DAY / Anita O'Day

1979

GNP Crescendo

おすすめ度

hand      ★★★★

しげどん  ★★★★

ショーン  ★★★★☆

Anita O'Day(vo), Ernie Watts(sax,fl), Joe Diorio, Laurindo Almeida(gr,ac-gr), Lou Levy(p,arr), Harvey Newmark(b), John Poole(ds), Paulinho Da Costa(perc)

久々に豪華メンバーでラテンやボサも歌うアニタ

ブラウン=ローチ「イン・コンサート」で知られるGNP Crescendo からの盤。79年発売は分かっているが録音年月日の明確な記載はない。プロデュースしたレナード・フェザーのライナーノーツでは、78年11月のライブを聞いて、録音を決めたと書いてあるので、多分、79年前半であろう。この盤ではボサでジョビン作の③メディテーションと⑩ソー・ナイス(サマー・サンバ)が入っている。これまでショーの始めや終わりにウェイブを歌うことはあったが、正式にボサを歌うのはこの盤からかもしれない?ドラムとベースはいつものメンバーだが、ピアノ、サックス&フルート、ギター、パーカッションに豪華メンバーが加わっている。後期のアニタ盤の中ではお金をかけたスタジオ録音で、録音はジョン・アンダーソン。ピアノのルー・レビーがアレンジも担当している。ギターは、ジョー・ディオリオとローリンド・アルメイダの2人のクレジットがあるが、ボサ曲などのアコギがアルメイダだと思う。 ①オールド・デビル・ムーン、はラテンでポリーニョ・ダコスタのコンガとアーニー・ワッツのテナーが活躍する。②ロスト・イン・ザ・スターズ、はバラードで美声を聞かせる。ボサの③メディテーション、ではフルートが活躍する。⑫ライム・ハウス・ブルース、はソプラノが聞かれ、エンディングは人気のある日本を意識したのかもしれないが中華風に終わる。ボサ曲が多いことと、盤全体に活躍するワッツ、この人の名前を見ると、リー・リトナー&ジェントル・ソウツを思い出すが、フュージョンで知られるワッツによって、盤の印象がポップな感じになっていると思う。(hand)

後期の作品ではジャズらしいアレンジとバックのミュージシャンのソロもある作品で、全体の雰囲気は悪くない。このような雰囲気の作品に期待が持てるのだ。ピアノとアレンジはルー・リビーで、ギターもローリンド・アルメイダと、豪華にサポートしている。アレンジの面白さもありジャズ作品としては楽しく聴ける一枚だと思う。欲を言えば一曲をもっと長くとってアレンジもさらにアニタの歌唱を生かすようなやりとりが多いモノにして欲しかった。アニタの歌声も後期のライブ作品に聴けるような親密感のあるものではない感じがした。(しげどん)

爽やかなそよ風のようなアニタの歌声は素晴らしい。ボサノヴァ調のバックの演奏もとても軽やかで雰囲気作りに貢献している。異国情緒溢れる楽しいアルバムだ。(ショーン)



HAVE MERRY CHRISTMAS WITH ANITA O'DAY

①-⑦,⑨:1970's or 1984.10

⑧:1942 or 1946.12.23

Kayo Stereophonic

おすすめ度

hand      ★★★★

Anita O'Day(vo),

①-⑦,⑨:Joe Castro(p), Carson Smith(b), John Poole(ds)

⑧:Benny Goodman Orchestra

アニタ唯一のクリスマス盤

珍しいアニタのクリスマス盤。元はエミリーのカセットテープで「アニタ・オデイ・クリスマス・アルバム(The Anita O'Day Xmas Album)」というタイトルであったようだ。2003年にカヨ・インターナショナルからCD化され、その際、1942年のラジオ音源 ⑧ザ・クリスマス・ソングが追加されている。私がネットで検索したところ、最新のダウンロードサイトでは、もう1曲未発曲⑨クリスマス・ワルツが追加されていて、音質的には⑨の前に入れたほうがよかったとは思う。録音は、70年代としかわからない。聞いてみると、トリオだけではなく色々な編成で色々な音質なので、一度に録音されたのではなく、他盤の録音時にクリスマス曲も録音して、それを寄せ集めたオムニバス盤と思われる。既にレア盤のようだが、アニタのファンがクリスマスに聞くと楽しめると思う。(hand)



LIVE AT THE CITY / Anita O'Day

1979.9.18-20

Emily Productions

おすすめ度

hand      ★★★☆

Anita O'Day(vo), Greg Smith(bs,fl), Norman Simmons(p), Rob Fisher(b), John Poole(ds)

相性のいいノーマン・シモンズとのサンフランシスコでのライブ

エミリーから発売されたサンフランシスコでのライブ。CDは、LPとジャケが変わり、オマケ5曲がプラスされているのかと思って調べると、「ライブ・アット・ザ・シティ・セカンド・セット」というLPからの5曲で、逆にCDに2曲(センチになって、バークリースクエアのナイチンゲール)が未収録であることが判明した。相性のいいノーマン・シモンズのトリオに、珍しくバリトン(とフルート)が入っている。②ブルー・スカイズはアニタとしては珍しく、ここ以外で聞かれるのはラスト盤「インデストラクティブル」のみ。60歳間近のアニタは、若さによる声のツヤは多少変容はしたが、まだまだツヤのある声で元気に歌っている。(hand)



PORTRAIT OF A JAZZ SINGER / Anita O'Day

①-⑦:1979

⑧-⑪:mid1970's

⑫-⑰:1988

Artistry Music

おすすめ度

hand      ★★★★

①-⑦:Harry "Sweets" Edison(tp), Eddie "Lockjaw" Davis(ts), Anders Ekdahl Big Band + Strings

⑧-⑪:Unknown(p)

⑫-⑰:Frank Wess(ts,fl), Hank Jones(p), Ray Drummond(b), Marvin Smith(ds)

70~80年代の3つのライブを収録した発掘盤

①〜⑦は、79年のスウェーデンのライブ。ハリー“スイーツ”エディソンやエディ“ロックジョー”デイビスなどを含むビッグバンドとの共演の記録。クルーパ時代の選曲でもあり、特に①②⑦はバンドシンガー的な雰囲気に戻っている。ロックジョーが活躍する③④⑤⑥はモダンな感じとなり、特に④⑥にはストリングスまで加わり、ライナーにはクラブと書いてあるがかなり大きなクラブでのコンサートだったと思われる。⑧〜⑪は、70年代半ばとしかわからないセッション。ピアノとのデュオでのスタジオ録音のようだ。出来もよく貴重な録音だと思う。⑫〜⑰は、88年の来日公演の記録。もしかしたらこれが最後の日本録音なのかもしれない。ハンク・ジョーンズ、レイ・ドラモンド、マービン“スミッティ”スミスのトリオにフランク・ウエスのテナー&フルートという超豪華メンバーとの共演で、70歳が目前に迫り声に多少の衰えは感じるが、アニタは十分に聴衆を楽しませている。(hand)



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