Lee Morgan=リー・モーガン ディスク・ガイド :主要作品:リーダー作編3

このページでは、1967年から最終作品までをレビューしています。67年で区切ったのは特に意味がなく、単にページ構成上の都合ですので悪しからず。

1967年以降も、彼自身は好調な活動をしていたと考えられますが、この時期リアルタイムで発売された正規盤が少なく、死後発掘された音源が多いのが不思議です。

そして1972年2月に銃弾に倒れてしまい早すぎる死を迎えました。

↑リー・モーガン射殺事件を描いたドキュメンタリー映画。撃ったヘレン本人へのインタビューもあり貴重な映像。



リー・モーガン ディスクガイド 目次  Lee Morgan おすすめCD 案内

→リー・モーガン おすすめBest5

→リー・モーガン リーダー作 ① (前期) デビューから60年までBlue Note 前期

リー・モーガン リーダー作 ② (後期) 62年以降 サイドワインダーなど

リー・モーガン リーダー作 ③ (後期)67年から最終作品まで・・・このページ

→リー・モーガン サイド参加 主要5作品のレビュー

リー・モーガン サイド参加作(前期) ① 56年~57年 ブルートレインなど

リー・モーガン サイド参加作(前期) ② 58年~59年 メッセンジャーズ時代

リー・モーガン サイド参加作(前期) ③ 59年 メッセンジャーズ 訪欧ツアーなど

リー・モーガン サイド参加作(前期) ④ 60年 引き続きメッセンジャーズ主体

リー・モーガン   サイド参加作(後期)   ⑤ 61年~63年 3管JM  ライブ・イン・ジャパンなど

リー・モーガン   サイド参加作(後期)   ⑥ 64年~66年 マクリーン、モブレーなどと共演

→リー・モーガン  サイド参加作(後期)    ⑦ 67年~72年 コテコテ系もあり


Standards/Lee Morgan  スタンダード/リー・モーガン

1967年1月13日

Blue note

おすすめ度

hand   ★★★☆

Lee Morgan (tp),Wayne Shorter (ts),James Spaulding (as,fl),Pepper Adams (bs),Herbie Hancock (p),Ron Carter (b),Mickey Roker (ds),Duke Pearson (arr)

発掘盤。モーガンのリーダー盤というよりも、モーガンをメインにフィーチャーしたブルーノート・オールスターズによる渋めのスタンダード集

67年録音で98年発表の発掘盤。モーガンのリーダー作というよりもモーガンをメインにフィーチャーしたブルーノートのオールスターズのスタンダード大会というところか。ただ、スタンダードと言っても有名曲がなく、渋めの選曲だ。デューク・ピアソンのアレンジで聞きやすいジャズに仕上がっている。熱量はやや少なめだ。(hand)



Sonic Boom/Lee Morgan   ソニック・ブーム/リー・モーガン

1967年4月14日,28日

Blue note

おすすめ度

hand   ★★★★☆

Lee Morgan(tp),David Newman(ts),Cedar Walton(p),Ron Carter(b),Billy Higgins(ds)

発掘盤ながらモーガンの気合いを感じる盤。ファットヘッド・ニューマンも活躍

67年録音で79年発表の発掘盤。モーガンの気合いを感じる4ビート曲①スニーキーピートから始まる。モーガンのペットがよく鳴っていて、とても印象がいい。テナーのデビッド・ファットヘッド・ニューマンの珍しい共演も上手くいっている。レイ・チャールズのバンドで知られる人で、ジョーヘン、ショーターに比べると自らのリーダー盤ではコテコテのファットヘッドがとても素直なプレイヤーに思えてくる。シダー〜ロン〜ヒギンズのトリオがハンコックとはまた違う最強・最適感を出している。②マーセナリーは、月の砂漠を思い出すモーダルな曲。タイトル曲③ソニックブームもカッコいい。ヒギンズの激しいドラムもいい。④ファットヘッドはジャズロック曲。もし、ジャズロック全盛の録音時に発売されていればこの曲が冒頭だったと思うので、未発で良かったのかもしれない。⑤ネバービーザセイムはスタンダードをバラードで。ラストのラテン曲⑥マンボジャンボで楽しく終わる。

69年9・10月のセッションがおまけに入っている盤があるが、同セッションは「プロクラスティネイター」のおまけに入っているものもある。(hand)



The Procrastinator/Lee Morgan  ザ・プロクラスティネイター/リー・モーガン

1967年7月14日

Blue note

おすすめ度

hand  ★★★★

Lee Morgan(tp),Wayne Shorter(ts),Bobby Hutcherson(vib),Herbie Hancock(p),Ron Carter(b), Billy Higgins(ds)

発掘盤。前半はアナログ時代の「オールスター・セクステット」。ショーター色を感じる内容。後半はアナログ時代の「セクステット」で、ポップな印象

発掘盤。メンバー、特にボビー・ハッチャーソン名前を見ると、「アウト・トゥ・ランチ」の新主流派の冷たい感じが想像されてしまうのだが、モーガンのおかげか少し温かみのある程よい感じにとどまっている盤。モーガン曲ばかりだが、ショーターのカラーを感じる。日本人には読みにくいタイトル曲①プロクラスティネイターの意味を調べてみたら、先送り、後回しなどお蔵入りみたいなひどい内容で、モーガンがつけたとは思えない。ただ、曲も演奏も悪くない。②パーティタイムはJM風でいい。③⑤のショーター曲も入り盤の雰囲気はマイルスの「ネフェルティティ」に近い。ジャズロックがないのも私には嬉しい。

69年9・10月のセッションがおまけに入っている。このセッションが「ソニック・ブーム」のおまけに入っている盤もある。そもそもは、単独発売しようとしたもので、アナログ時代に「プロクラス」とセットで2枚組の未発表シリーズで出たセッション。日本では「オールスター・セクステット」と「セクステット」の同じデザインの別LPとして発売されている。2年後の演奏ということもあり、前半とは全く雰囲気が変わり、ポップな印象だが、悪い感じはない。「プロクラス」とは別作品として聞いたほうがいいと思う。(hand)



The Sixth Sense/Lee Morgan   ザ・シックス・センス/リー・モーガン

1967年11月10日

Blue note

おすすめ度

hand   ★★★★

Lee Morgan(tp),Jackie McLean(as),Frank Mitchell(ts),Cedar Walton(p),Victor Sproles(b),Billy Higgins(ds)

ジャケットやタイトルのイメージと違い、マクリーンが活躍するオーソドックスな内容の盤

8ビート曲もあるが、ジャケやタイトルから想像されるような新しいものを狙った盤ではなく、この時期のオーソドックスな盤だと思う。マクリーンが各曲で私好みのいいソロを吹いている。ラスト⑥クライオブマイピープルは、最期が近いモーガンの久々のミュートでしんみりする。(hand)



Taru/Lee Morgan  タル/リー・モーガン

1968年2月15日

Blue note

おすすめ度

hand  ★★★☆

Lee Morgan(tp),Bennie Maupin(ts),John Hicks(p),George Benson(g),Reggie Workman(b),Billy Higgins(ds)

発掘盤。ジョージ・ベンソンのギターが活躍する。ピアノはジョン・ヒックス

68年録音、80年発表の発掘盤。ジョージ・ベンソンのギターが活躍する。ベンソンも後年のメロウな音色ではなく、ウエス、バレルらの流れを汲むシングルトーンのいい感じだ。ピアノはジョン・ヒックスが初参加で、こちらもいい仕事をしている。(hand)



Caramba!/Lee Morgan  キャランバ!/リー・モーガン

1968年5月3日

Blue note

おすすめ度

hand   ★★★

Lee Morgan(tp),Bennie Maupin(ts),Cedar Walton(p),Reggie Workman(b),Billy Higgins(ds)

自作新曲をそろえ新しいものを模索していたモーガン

正規盤だが発掘盤以上の魅力を感じない残念な盤。オマケ追加曲以外は全てモーガンの新曲で臨んだのだが、残念ながらキラーチューンは生まれなかった(曲が悪いというほどではない。)。ジャズロックからの脱出を試みていたのかもしれない。テナーのベニー・モウピンはハンコックのヘッド・ハンターズで知られるが、これはその前のアコースティック時代。私にはこの人のプレイにあまり魅力を感じない。モーガンを射殺したヘレンに捧げた⑤ヘレンズリチュアルが入っている。ジャケ写はヘレンではない。(hand)



Live in Baltimore 1968/Lee Morgan   ライブ イン ボルチモア/リー・モーガン

1968年7月

Fresh Sound

おすすめ度

hand   ★★★★

Lee Morgan(tp),Clifford Jordan(ts),John Hicks(p)Reggie Workman(b),Ed Blackwell(ds)

海賊ライブ盤で68年とは思えないハードバップ盤

えっ!68年なの?というくらい普通のハードバップ演奏の②ストレートノーチェイサーから始まる。モーガンもクリフォード・ジョーダンも元はバッパーだった本領を発揮する。ピアノのジョン・ヒックスのソロはやや新しい感じがする。マイルス作④ソーラーもいい。モブレー作の⑤ヴァンプは「ディッピン」でのバージョンよりもモーダルな感じがする。熱くて私好みのハードなハードバップ盤。海賊盤なので少々音が悪い。(hand)



Midnight Cowboy(EP)/Lee Morgan  真夜中のカウボーイ/リー・モーガン

1969年5月22日

Blue note

未CD化 リンクはありません

おすすめ度

hand      ★★★

しげどん ★★

Lee Morgan,Burt Collins, Joe Shepley(tp),Toots Thielemans(hca,g), Al Gafa,Wally Richardson(g),Duke Pearson(p,arr),Ron Carter(b),Mickey Roker(ds)Airto Moreira(perc)

モーガンが映画音楽を吹いたシングル盤

シングルEPで、 A面は映画音楽・真夜中のカーボーイ(サントラではない。)、B面はポピという曲。デューク・ピアソンのアレンジで、豪華メンバーの演奏だが、一切アドリブはない。ニニ・ロッソのようにメロディを美しく吹くモーガンが聞かれるだけで価値のある盤と言える。ジュークボックス用の録音かもしれない。(hand)

アナログEPでしか入手できない音源。ジャズ的なアドリブなどはいっさいないので、モーガンである必要もないと思える演奏だが、ストレートなモーガンのラッパの音色を味わえる。でも珍盤コレクター以外には必要のない作品かも。(しげどん)



Live at The Lighthouse/Lee Morgan  ライブ アット ライトハウス/リー・モーガン

1970年7月10日~12日

Blue note

おすすめ度

hand   ★★★★

Lee Morgan(tp),Bennie Maupin(ts),Harold Mabern(p),Jymie Merritt(b),Mickey Roker(ds)

西海岸ライトハウスでのライブCD3枚組。新しい何かに挑戦しているモーガンがいる。

アナログ時代は各面1曲の2枚組、全4曲だったものが、CD化で追加曲があり3枚組、全12曲になった西海岸ライトハウスのライブ。記録では、テーマのスピードボール4回を除き、3日間で計29曲が演奏されている。ジャズロック盤かと思い敬遠していたが、聞いてみると純ジャズ盤。モーガンはJM時代のファンキーな雰囲気は消えて、より新しい感じのソロを吹く。 「モーニン」などのモーガンしか聞いていない人が聞いたらモーガンとわからないのではないかと思う。ベースのジミー・メリットはJMと共通だが、音楽的な共通性はあまりない。親しみやすい新主流派という感じかと思う。ベニー・モウピンがコルトレーン的というよりも約10年後のフュージョン時代に活躍するマイケル・ブレッカーに近い感じのソロを吹く。近年、日本で人気が出たハロルド・メイバーンがこの頃からいい仕事をしていたことを再認識した。ラストの3④サイドワインダーは、オリジナルとは違う新しさもある激しい演奏で歓迎できる。(hand)



Live at The Lighthouse ’70/Lee Morgan  ライブ アット ザ ライトハウス 70

1970年7月10日~12日

Fresh Sound

おすすめ度

hand   ★★★★

Lee Morgan(tp),Bennie Maupin(ts),Harold Mabern(p),Jymie Merritt(b),Mickey Roker(ds)

西海岸ボースクラブでのライブCD2枚組。ライトハウスの続編的内容

ブルーノート3枚のさらに残り2枚分のライトハウス録音とされていたフレッシュサウンド盤。だが、近年、この盤はライトハウスではなくボースクラブの同時期の録音とされた。現在は「ボースクラブ」をタイトルにした盤がハイハットから出ている。この2年後には亡くなってしまうモーガンだが、新しいものに取り組んでいたことがわかる。選曲のせいか、正規盤よりも馴染める内容だと思う。(hand)



Lee Morgan(the Last Session)リー・モーガン・ラスト・セッション

1971年9月17日,18日

おすすめ度

hand   ★★★★

Lee Morgan(tp),Grachan Moncur Ⅲ(tb),Billy Harper(ts,fl),Bobbi Humphrey(fl),Harold Mabern(p),Jymmie Merritt(b),Reggie Workman(b),Freddie Waits(ds,perc)

ラストのリーダー・スタジオ録音。メンバーも一新し、新たな世界を感じる。

ライトハウスから1年以上経った71年9月のラストとなるリーダーとしてのスタジオ録音。フロントが交代し、ビリー・ハーパーのテナー、ボビー・ハンフリーのフルート、グラチャン・モンカーのトロンボーンが加わっている。ライトハウスとはまた違う新たな世界で、スピリチュアルな感じもありクラブジャズとしても人気の出そうな盤。コルトレーン的なハーパーのスタイルがこの盤に合っている。メイバーンのピアノはエレピだ。モーガンのソロも悪くないが、各メンバーのソロが素晴らしい。スタジオでしか作れない独自の世界。(hand)



We Remember You/Lee Morgan   ウィ・リメンバー・ユー/リー・モーガン

1962年11月17日   Lee Morgan(tp),Jimmy Heath(ts),Barry Harris(p),Spanky DeBrest(b),Albert Heath(ds)

1972年1月28日  Lee Morgan(tp),Billy Harper(ts),Harold Mabern(p),Jymie Merritt(b),Freddie Waits(ds)   Fresh Sound

おすすめ度

hand   ★★★★☆

ラスト盤のラスト曲はやはり「サイドワインダー」

62年11月17日のライブと、死の3週間前の72年1月28日のラストリーダーライブが入った海賊盤。この後は、オルガンのチャールズ・アーランド盤のみ。ディスコグラフィ上は62年に置かれるべき盤だが、真のラストが埋没してしまうのでラストに配置。62年は、ジミー・ヒースとバリー・ハリスが入って、正規盤では「テイク・トゥエルブ」の10か月後の録音。いつもは紳士的なヒースが元気にワイルドなプレイを聞かせる。モーガンも不調期と言われるが、快活なプレイだと思う。72年は、マイルスのように戦略的ではないが、新しい方向も感じるモーガン。メイバーン作の爽やかな曲④アイリメンバーブリットは、アーユースリーピング?のメロディから始まる。調べてみるとナーサリーライムという曲らしい。この曲をモチーフに作った曲のようだ。ハーパーのフルートが爽やかだ。⑤モーガンのMCをはさみ、メリット作の⑥アンジェラ、不思議な曲で、テーマもソロも、トランペットとテナーが同時進行で進む。ラスト録音のラストは⑦サイドワインダー。オリジナルに比べロック度が高くなり、これはこれでいい演奏なのに、ピアノのソロ途中でのフェイドアウトはとても残念。モーガンの生涯のようだ。。。(hand)



リー・モーガン ディスクガイド 目次  Lee Morgan おすすめCD 案内

→リー・モーガン おすすめBest5

→リー・モーガン リーダー作 ① (前期) デビューから60年までBlue Note 前期

リー・モーガン リーダー作 ② (後期) 62年以降 サイドワインダーなど

リー・モーガン リーダー作 ③ (後期)67年から最終作品まで・・・このページ

→リー・モーガン サイド参加 主要5作品のレビュー

リー・モーガン サイド参加作(前期) ① 56年~57年 ブルートレインなど

リー・モーガン サイド参加作(前期) ② 58年~59年 メッセンジャーズ時代

リー・モーガン サイド参加作(前期) ③ 59年 メッセンジャーズ 訪欧ツアーなど

リー・モーガン サイド参加作(前期) ④ 60年 引き続きメッセンジャーズ主体

リー・モーガン   サイド参加作(後期)   ⑤ 61年~63年 3管JM  ライブ・イン・ジャパンなど

リー・モーガン   サイド参加作(後期)   ⑥ 64年~66年 マクリーン、モブレーなどと共演

→リー・モーガン  サイド参加作(後期)    ⑦ 67年~72年 コテコテ系もあり