Art Farmer CD 主要作 ディスクガイド:                      サイド作1(1949~1956)

1948年にジェイ・マクシャン楽団でサイドマンとして初録音したアート・ファーマーは、ジョー・ターナーとの録音を経て、ロイ・ポーター楽団に参加し初ソロを録音します。ワーデル・グレイと録音後、有名なライオネル・ハンプトン楽団での欧州楽旅があります。その後は、引っ張りだこの人気サイドマンとなっていきます。


BLACK CALIFORNIA / Roy Porter 他 (LP)

Side B:1949.1.19 & 2.23

Savoy

おすすめ度

hand      ★★★

Side B:Roy Porter(ds),

Art Farmer, Eddie Preston, James Metlock, Robert Ross(tp),

Danny Horton, Jimmy Knepper, William Wiggington(tb),

Eric Dolphy, Leroy Robinson(as), Clifford Solomon, Joe Howard(ts),

Clyde Dunn(bs), Bennie White(gr), Joe Harrison(p),

Addison Farmer or Roger Alderson(b), 

Alvy Kidd(conga), Paul Sparks(vo)

ドラムのロイ・ポーターの17ビバッパーズでの演奏

大昔(1979年4月号)のスイング・ジャーナル誌に掲載されたファーマーのディスコグラフィーの冒頭に載っているのはジョー・ターナー盤「ジャンピン・ザ・ブルース」。ファーマーのディスコはあまりなく今も貴重だが、この録音より前に月日は不明だが同じ48年のジェイ・マクシャン楽団での録音4曲がある。というか、ターナーの9曲もマクシャン楽団のメンバーを借りて録音したようだ。ただし、いずれの録音も残念ながらファーマーのソロはなくトランペット2本でのアンサンブル要員であった。初ソロは、次なる録音2枚組LP「ブラック・カリフォルニア」に収録の49年のロイ・ポーターの17ビバッパーズでの演奏だ。8曲に参加し3曲でハイノートのソロを吹いている。エリック・ドルフィーもこの盤でソロを吹いている(ファーマーのソロなし曲)。CDの「ブラック・カリフォルニア」は内容の違うオムニ盤で、アナログからはドルフィーのソロ入り1曲しか入っていない。(hand)



MEMORIAL VOL.2 / WARDEL GREY

1952.1.21

Prestige

おすすめ度

hand        ★★★☆

Wardell Gray(ts),

1952.1.21:Art Farmer(tp), Hampton Hawes(p), Harper Cosby(b),  Lawrence Marable(ds), Robert Collier(conga)

ファーマーが重要なソロイストとして扱われた初期録音

ファーマーが重要なソロイストとして扱われた初期録音がこの盤だと思う。前半6曲は、グレイとファーマーの2管クインテット+コンガという編成で、グレイとファーマーのソロを十分に聞くことができる。バップの要素が濃い時代の録音なので、速いテンポの曲はバップ的になるが、後年とは違うブリリアントなファーマーのトランペットが聞かれる。バラード⑤⑥は、グレイのソロのみで残念ながらファーマーのソロはない。(hand)



LIVE AT THE HAIG 1952 / WARDEL GREY

1952.9.9

Xanadu→

Fresh Sound

おすすめ度

hand     ★★★★

Wardell Gray(ts),

Art Farmer(tp), Hampton Hawes(p), Howard Roberts(gr), Joe Mondragon(b), Shelly Manne(ds)

フレッシュサウンドによりコンプリート化されたグレイのヘイグ録音

「メモリアルVol.2」に比べると、多少、音は悪いが、内容的にはグレイもファーマーもとても充実しているように思う。ハンプトン・ホーズのピアノも良く、「Vol.2」とは違うジョー・モンドラゴン、シェリー・マンのリズムのおかげかもしれない。(hand)



THE COMPLETE PARIS SESSION Vol.2 / CLIFFORD BROWN

1953.10.9

Vogue

おすすめ度

hand     ★★★

Gigi Gryce(as),

Clifford Brown, Art Farmer, Quincy Jones, Walter Williams(tp), Jimmy Cleveland, Al Hayse, Benny Vasseur(tb), Anthony Ortega(as), Andre Debonneville, Clifford Solomon(ts), William Boucaya(bs), Henri Renaud(p), Pierre Michelot(b), Jean-Louis Viale(ds)

ジジ・グライス楽団の2曲に参加

ライオネル・ハンプトン楽団での欧州ツアー中のアルバイト禁止令の眼を盗んで夜中にこっそり抜け出したクリフォード・ブラウンのパリ録音集3枚の一部にファーマー入りのジジ・グライス楽団の2曲6テイクがある。このうちの1曲クイック・ステップの3テイクにファーマーのソロがある。(hand)


JAZZ ABROAD / Roy Haynes & Quincy Jones

①~④:1953.11.10

Metronome

おすすめ度

hand        ★★★☆

①~④:Quincy Jones(ldr,cond),

Art Farmer(tp), Jimmy Cleveland, Åke Persson(tb), Arne Domnérus(as, cl), Lars Gullin(bs), Bengt Hallberg(p), Simon Brehm(b), Alan Dawson(ds), 

クインシー・ジョーンズ楽団の4曲に参加

クインシーのEP2枚4曲とヘインズの10インチ4曲を組み合わせた盤。クインシーは、ハンプトン楽団渡欧時のアルバイト録音の一つ。ハンプトンにはトランペッターとして加わっていたクインシーのアレンジャー&指揮者としての最初期の録音。ファーマーとジミー・クリーブランドがアメリカ勢で、スウェーデンからエイク・ピアソン、アルネ・ドムネラス、ラース・ガリンやベント・ハルベルクも加わっている。クインシーのアレンジはまだ薄味で、各人のソロを楽しむ盤になっていると思う。ファーマーのソロは温かみがあり、いい感じだが、曲が今ひとつな気がする。ファーマーの「ラスト・ナイト・ホエン・ウィ・アー・ヤング」のローンヒルからのCDに4曲はオマケ収録されている。(hand)



WOOFIN' & TWEETIN' / Gene Ammons

1955.6.15

Prestige

おすすめ度

hand        ★★★

Gene Ammons(ts),

Art Farmer(tp), Lou Donaldson(as), Freddie Redd(p), Addison Farmer(b), Kenny Clarke(ds)

ボステナーのジャム・セッション盤に参加

プレステッジお得意のメンバー寄せ集めのジャム・セッション。特にこの盤はアナログ時代の各面1曲の長尺だ。このような盤がボステナーと言われるジーン・アモンズの名の下に何枚も吹き込まれている。アモンズは音楽的リーダーというよりもこの指とまれ的なリーダーだったと思う。各メンバーは、自分の番が回ってきたらきっかりとソロ吹くという役割を果たしているという感じだ。(hand)



THE TEDDY CHARLES TENTET

1956.1.6, 11 & 17

Atlantic

おすすめ度

hand        ★★★

Teddy Charles(vib),

Art Farmer(tp), Don Butterfield(tu), Gigi Gryce(as), J.R. Monterose(ts), George Barrow, Sol Schlinger(bs), Jimmy Raney(gr), Mal Waldron(p), Teddy Kotick(b), Joe Harris(ds)

ピーター・アーバンとして変名参加

テディ・チャールズの有名な実験的な録音になぜかピーター・アーバンという変名で参加。1月6日の②④2曲のみに参加という資料もあるが全7曲とも参加していると思う。ただ、活躍度は低めで、ラスト⑦リディアンM-1にソロがあるのみだ。(hand)



BENNIE GREEN WITH ART FARMER

1956.4.13

Prestige

おすすめ度

hand        ★★★

Bennie Green(tb),

Art Farmer(tp), Cliff Smalls(p), Addison Farmer(b), Philly Joe Jones(ds)

トロンボーンのベニー・グリーンと共演

全体に悪くはないが、特に前半は良くもないという申し訳ない感想。グリーンもファーマーも熱演はしているのだが、、、味わいのようなものが不足している気がする。後半④レッツ・ストレッチのチェイスと⑤風と共に去りぬ、のくつろぎは割といい。(hand)



HAPPY BLUES / Gene Ammons

1956.4.23

Prestige

おすすめ度

hand        ★★★

Gene Ammons(ts),

Art Farmer(tp), Jackie Mclean(as), Duke Jordan(p), Addison Farmer(b), Art Taylor(ds), Candido(conga)

B級グルメ的な濃い一枚

ボステナー、ジーン・アモンズのジャムセッション盤。ファーマーは2作目の参加。マクリーンとファーマーの「クール・ストラッティン」のフロントの初共演録音かもしれない。特段の魅力を感じない盤だが、そのつもりで聞くと悪い感じはしない。(hand)



DEEP PASSION (IN HI-FI) / OSCAR PETTIFORD

1956.6.11, 12 & 19

ABC Paramount

おすすめ度

hand        ★★★★☆

Oscar Pettiford(b,vo),

Art Farmer, Ernie Royal(tp), Jimmy Cleveland(tb), David Amram, Julius Watkins(frh), Gigi Gryce(as), Jerome Richardson(ts,fl), Lucky Thompson(ts), Danny Bank, David Kurtzer(bs), Janet Putnam(hrp), Tommy Flanagan(p), Whitey Mitchell(b), Osie Johnson(ds)

ペティフォードの大編成人気盤に参加

この盤は、ファーマーはメンバーの相性もいいのか、①③⑦でソロがあり活躍が見られる(ライナーでは①はアーニー・ロイヤルと書いているが、音色的にファーマーだと思う)。⑪〜⑰は元「Vol.2」で、1年後の録音。ここでもファーマーの活躍は⑪⑫⑭で見られる。特に⑫アイ・リメンバー・クリフォードは聞きものだと思う。⑯⑰はケニー・ドーハムと交替している。フォノ盤「コンプリート・ビッグバンド・スタジオ・レコーディングス」にはさらに3曲バードランドでのライブが追加されていて、⑳クリフォードでもファーマーがフィーチャーされている。タイトルの話だが、LP時代に「イン・ハイファイVol.1」「Vol.2」だったものを、GRPが1994年に2in1CDにする際に「ディープ・パッション」にタイトル変更していた。このように有名な盤のタイトルを変更したGRPの罪は重い。

(hand)



JAMMIN' WITH GENE / Gene Ammons

1956.7.13

Prestige

おすすめ度

hand        ★★★☆

Gene Ammons(ts),

Donald Byrd, Art Farmer(tp), Jackie McLean(as), Mal Waldron(p), Doug Watkins(b), Art Taylor(ds)

プレスティジ名物のジャムセッション

ジーン・アモンズをとりあえずリーダーとした、プレステッジお得意のジャムセッション。まさにタイトルどおりだ。10分超の全3曲、各メンバーは心行くまでソロを吹いている。①タイトル曲のブルースではアモンズを始めファーマー、バード、マクリーンなど各人が長いソロをとる。②はスタンダード。③は高速のブルースで後半に長いチェイスがある。ボステナーと言われる人は、アイク・ケベック〜アモンズ〜スタンレー・タレンタインといるが、そのアーシーな魅力は想像はできるが、私には感じない。演奏全体に特段の感動はなかったが、このセッションのおかげで、20日後に「トゥー・トランペッツ」をアモンズ抜きで吹き込むきっかけとなった可能性はある。(hand)


GIL'S GUESTS / Gil Melle

①②③:1956.8.10

Prestige

おすすめ度

hand        ★★★☆

①②③:Gil Melle(bs),

Art Farmer(tp), Julius Watkins(frh), Hal McKusick(as,fl), Joe Cinderella(gr), Vinnie Burke(b), Ed Thigpen(ds)

バリトンとフレンチホルンの低音管ジャズに参加

「ジャッキー・マクリーン&Co」に通じる私好みの低音管ジャズに入る。ファーマーは①〜③に参加。④〜⑥はケニー・ドーハム、オマケ曲⑦〜⑨はドナルド・バードと3トランペットを豪華に使っている。①〜③の内容はどうか?ギル・メレのバリとジュリアス・ワトキンスのフレンチホルンが低音で混沌とした世界を形作っていて悪くない。ただ、ファーマーはソロはあるがあまり目立っていない。原因は相方のハル・マキュージックがやや弱いからだと思う。これがマクリーンだったら、低音の洪水の中で2人して輝いたと思うが、やや輝き度が低い。ギル・メレは絵画や彫刻が得意でなぜか幾何学ジャズというどうも褒め言葉になっていない称号を与えられ、わかりにくいジャズとして扱われてしまっている。調べたが学歴はわからなかった。確かに、親しみやすいかと言われればなかなかイエスとはならない。でも、噛んでいれば味の出てくる深みのあるジャズとも言えるので、突き放さず付き合っていきたい。本人デザイン?のジャケはカッコいい。(hand)