Pepper Adams おすすめCDレビュー  サイド作⑤ 1966 ~ 1967 年

この時期の最大のエポックは、サド=メル楽団が結成され、アダムスがその重要なメンバーとなり、(全盤ではないが)多くの盤に参加し、重要な役割を果たしていったことです。また、ジャズロックが流行し、いわゆるジャズロック盤への低音強化要員としての参加も増えています。


MONEY IN THE POCKET / JOE ZAWINUL

1966.2.7

Atlantic

おすすめ度

hand        ★★★★  

Joe Zawinul(p),

Blue Mitchell(tp), Clifford Jordan(ts:1), Joe Henderson(ts:2,4,5,7), Pepper Adams(bs:2,4,5,7), Bob Cranshaw(b:1), Sam Jones(b:2,4–8), Roy McCurdy(ds:1), Louis Hayes(ds:2,4–8) 

ファンキーと牧歌的が共存したザビヌル初期盤

「マネー・イン・ザ・ポケット」はキャノンボール盤(1966年3月18, 19 & 20日)が有名だが、その元盤といえるのがこの盤(1966年2月7日)で、こちらが約1か月早く録音されている(キャノンボール盤は、発表が2005年と遅くなっているが、シングルは1966年に出されている)。ザビヌルと言えばオーストリアの牧歌的なイメージのエレピが思い浮かぶが、ザビヌルがメジャーになったのは、“ファンクの卸商人”とまで言われたキャノンボール時代のファンキーなピアニスト、作曲者としてだ。キャノンボールに先立って出したこの盤に、アダムスは全8曲中4曲②④⑤⑦に参加し、参加曲では活躍している。作品としては、ファンキーな曲と美しいバラードが混在し、それはちょっとどうかとは思うが、各曲はなかなか良く、これはこれでいい盤のように思える。(hand)



ALL MY YESTERDAYS / THAD JONES=MEL LEWIS

1966.2.7 & 3.21

Resonance

おすすめ度

hand        ★★★☆   

Thad Jones(flh), Mel Lewis(ds),

Snooky Young, Jimmy Owens, Bill Berry, Jimmy Nottingham(tp), Bob Brookmeyer, Jack Rains, Garnett Brown, Cliff Heather(tb), Jerome Richardson(as,ss,,cl,b-cl,fl), Jerry Dodgion(as), Joe Farrell(ts,cl,fl), Eddie Daniels(ts,cl,b-cl), Pepper Adams(bs), Sam Herman(gr), Hank Jones(p), Richard Davis(b)

発掘されたサド=メルの初期録音2枚組

現代の発掘男ゼブ・フェルドマンが発掘した、サド=メル・オーケストラのデビュー録音2枚組CD。私はと言えば、モダン・ベイシー などは聞くものの、このサド=メルやクラーク=ボラーンなどの純粋?モダン・ビッグバンドはあまり得意としてこなかった。今回、アダムスの回ということで、アダムスの入ったサド=メルに限り、気持ちも新たに聞いてみることにした。聞いてみて意外だったのは、以前ほど抵抗感なくこのバンドの演奏を聞くことができたこと。ただ、オリジナル中心で、スタンダードなどの甘く親しみやすいメロディが少ないことが抵抗感の原因だと思った(特にDisc1がそう。Disc2は比較的親しみやすい。)。従来型のビッグバンドと同様に管のアンサンブルやソロを楽しめばよいと理解した。そして、もう一つ意外だったのは、この盤ではアダムスのソロがほとんどないことだ。後年のサド=メルでは、アダムスが3番手のリーダー格としてジャケに表記されるまでになるのに、デビュー時にはほぼアンサンブルの低音担当くらいであったことだ。唯一の長いソロは、やはりDisc2⑦ワンス・アラウンドで聞かれ、素晴らしい。ただ、アダムスの破壊力を知る人間にはこれだけでは物足りない。(hand)



PRESENTING THAD JONES/MEL LEWIS & THE JAZZ ORCHESTRA / THAD JONES=MEL LEWIS

1966.5.4-6

Solid State

おすすめ度

hand        ★★★☆   

Thad Jones(flh), Mel Lewis(ds),

Richard Williams, Danny Stiles, Bill Berry, Jimmy Nottingham(tp), Bob Brookmeyer, Jack Rains, Tom McIntosh, Cliff Heather(tb), Jerome Richardson, Jerry Dodgion, Joe Farrell, Eddie Daniels(sax), Pepper Adams(bs), Sam Herman(gr), Hank Jones(p), Richard Davis(b)

事実上のサド=メルのデビュー盤

サド=メル盤の録音順では2作目だが、発売順ではこれがデビュー盤。エリントン、ベイシーなどの従来のビッグバンドとは違い、くつろぎよりも緊張感が重視された一糸乱れぬバンドという印象だ。正直なところ、生真面目すぎるジャズは疲れると思う。②ウィロー・ウィープのようなスタンダードの甘さが嬉しく感じてしまう。とはいえ、好きな柳にまでは至っていない。ただ、驚くことに、アダムスの活躍度が高くなっていた。前作はアルトソロが重視されていたが、ここでは1曲目の最初のソロイストがアダムスだった。バンドカラーを出すために重要だと判断されたのかもしれない。(hand)



OUR MANN FLUTE / HERBIE MANN

①②④⑪:1966.5.26

Atlantic

おすすめ度

hand        ★★   

Herbie Mann(fl),

①②④⑪:King Curtis(ts,bs), Pepper Adams(bs), Jimmy Wisner(p,arr), Joe Mack(b), Bernard Perdie(ds), Warren Smith(perc) etc

ハービー・マンのジャズロック、フュージョンの初期盤

フルートとバリの組合せってどうなのかな、と思って聞くと、逆の意味で心配不要だった。というのも、この盤は、マンのジャズロック、フュージョンの初期盤で、アダムスはリズム隊の一員として入っているだけで、エレベ、バスドラに続く3番目の重低音楽器くらいの位置付けだった。(hand)



THE SPOILER / STANLEY TURRENTINE

1966.9.22

Blue Note

おすすめ度

hand        ★★★   

Stanley Turrentine(ts),

Blue Mitchell(tp), Julian Priester(tb), James Spaulding(as,fl), Pepper Adams(bs), McCoy Tyner(p), Bob Cranshaw(b,el-b), Mickey Roker(ds), Joseph Rivera(Shaker, Tambourine), Duke Pearson(arr)

スタンレー・タレンタインのジャズロック盤

スタンレー・タレンタインよ、おまえもか?(失礼!)という感じで、フュージョンのタレンタインは知っていたが、その前にジャズロックがあったのは知らなかった。全曲ではなく、スイングあり、ラテンありなのだが、冒頭にジャズロックがあると、ジャズロック盤と思えてしまう。全体として、主役タレンタインとその他大勢バックメンバーという盤ではあるが、少しだけ他メンバーのソロもあり、アダムスも③にソロがある。(hand)



BOSS HORN / BLUE MITCHELL

1966.11.17

Blue Note

おすすめ度

hand        ★★★☆   

Blue Mitchell(tp), 

Julian Priester(tb), Jerry Dodgion(as), Junior Cook(ts), Pepper Adams(bs), Cedar Walton(p), Chick Corea(p:5,6), Gene Taylor(b), Mickey Roker(ds), Duke Pearson(arr)

ブルー・ミッチェルのジャズロック盤

スタンレー・タレンタインに続くブルー・ミッチェル盤も、やはりジャズロックから始まる。サイドワインダーそっくりの冒頭曲だ。ミッチェルがメインで、他メンバーはソロ少なめだが、それでもラスト曲⑥ストレート・アップ・アンド・ダウンにアダムスのソロがある。(hand)



RIDIN' HIGH / MAYNARD FERGUSON

1966

Atlantic

おすすめ度

hand        ★★★☆   

Maynard Ferguson(tp,flh),

Charles Camilleri, Lew Soloff, Natale Pavone, Richard Hurwitz(tp,flh), Jimmy Cleveland, Slide Hampton(tb), George Jeffers(Tuba,b-tb), Richard Spencer(as,ss), Frank Vicari, Lew Tabackin(ts), Pepper Adams(bs), Daniel Bank(b-sax,piccolo-fl), Michael Abene(p), Jo Beck(gr), Donald Payne(b.el-b), Donald McDonald(ds), John Pacheco(Congas,Tambourine,Shaker) 

ファーガソンのモダンビッグバンド盤

メイナード・ファーガソンの知らなかった盤。アダムス全部聞きがなければ、多分、一生聞くことはなかっただろう。ファーガソン盤は、初期のエマーシー、マーキュリー以後は、全てがロッキーのテーマ的な演奏のような偏った印象を持っていたが、この盤は比較的ハードボイルドなモダンビッグバンド盤だ。ハイトーンはすごいし、嫌いではないが、そればかりでもなーというのがファーガソン盤によくある感想だが、ここでは①からアダムスのソロがあり、アダムスが重視され、高音対低音でバランスをとっている感がある。②以降もバリは活躍するものの、8ビート、エレベがメインの盤は、なかなかお気に入りの域まで至らない。(hand)



STANDARDS / LEE MORGAN

1967.1.13

Blue note

おすすめ度

hand        ★★★☆   

Lee Morgan(tp),

James Spaulding(as,fl), Wayne Shorter(ts), Pepper Adams(bs), Herbie Hancock(p), Ron Carter(b), Mickey Roker(ds), Duke Pearson(arr)

モーガンをメインにフィーチャーしたブルーノート・オールスターズによるスタンダード集

67年録音で98年発表の発掘盤。8ビートのジャズロック盤が続く中で聞くとホッとするが、モーガン盤としては、ジャズロックの要素がないと売れないのでお蔵入りしたのだろう。内容は、モーガンのリーダー作というよりもモーガンをメインにフィーチャーしたブルーノートのオールスターズのスタンダード大会という印象。スタンダードと言っても有名曲がなく、渋めの選曲だ。「ザ・クッカー」のモーガン=アダムスのコンビネーションを期待するが、2人の緊密なやり取りを聞く盤ではない。デューク・ピアソンのアレンジで聞きやすいジャズに仕上がっている。熱量はやや少なめだ。アダムスのソロもある。(hand)



CREOLE COOKIN' / BOBBY HACKETT

1967.1.30,3.13, 5.2

Verve

おすすめ度

hand        ★★   

Bobby Hackett(cor)

Rusty Dedrick, Jimmy Maxwell(tp), Bob Brookmeyer, Lou McGarity, Cutty Cutshall(tb), Jerry Dodgion(as), Zoot Sims(ts), Pepper Adams(bs), Bob Wilber(cl,ss,arr), Dave McKenna(p), Wayne Wright(g), Buddy Jones(b), Morey Feld(ds)

ボビー・ハケットの中間派的な盤

ボビー・ハケットの想像どおりの中間派的な盤。いや、中間派よりもさらに古いニューオルリンズも感じる内容で、あまり私の好みではない。超有名曲だが、実際にはあまり録音されていないように思う③聖者の行進、までやっている。アダムスは、低音要員だが、それほど低音が強化された印象はなく、要は目立っていない。「ストライク・アップ・ザ・バンド」と2in1でCD化されている。(hand)



LUMINESCENCE! / BARRY HARRIS

1967.4.20

Prestige

おすすめ度

hand        ★★★★   

Barry Harris(p),

Slide Hampton(tb), Junior Cook(ts), Pepper Adams(bs), Bob Cranshaw(b), Lenny McBrowne(ds) 

低音3管をフロントにした珍しいバリ―・ハリス盤

70年代半ばのバップ・リバイバル時代につながるような盤。ハリス自身は、バドの継承者的な立場で、リーダー盤では終始ビバップを演奏してきて、70年代半ばにそれが花開いたということだと思う。サイド盤では、キャノンボールとのファンキーな盤や、モーガンの「サイドワインダー」などのジャズロックもやっている。この盤は、トロンボーン、テナー、バリの低音3管をフロントにした珍しい盤。アダムスは、自身の好みの音楽なのか、張り切ってソロをとっていろ。(hand)



LIVE AT THE VILLAGE VANGUARD / THAD JONES=MEL LEWIS

1967.4.28

Solid State

おすすめ度

hand        ★★★   

Thad Jones(cor), Mel Lewis(ds),

Bill Berry, Jimmy Nottingham, Marvin Stamm, Richard Williams, Snooky Young(tp), Bob Brookmeyer, Garnett Brown, Tom McIntosh, Cliff Heather(tb), Jerry Dodgion(as,fl), Joe Farrell(ts,fl), Eddie Daniels(ts,cl), Pepper Adams(bs,cl), Sam Herman(gr), Roland Hanna(p), Richard Davis(b)

学生ビッグバンドの聖典、サド=メルのバンガード・ライブ

サド=メルのバンガード・ライブ。学生ビッグバンドの聖典的な盤らしいが、残念ながら私にはあまりピンと来なかった。ソロやソリも素晴らしいことは認めるが、曲やアレンジがなぜか馴染めない。アダムスの活躍度も、それほどでもなく、トロンボーン(ガーネット・ブラウン、ボブ・ブルックマイヤーら)の活躍する盤だ。(hand)



THE CREEPER / DONALD BYRD

1967.10.5

Blue Note

おすすめ度

hand        ★★★☆   

Donald Byrd(tp),

Sonny Red(as), Pepper Adams(bs), Chick Corea(p), Miroslav Vitouš(b), Mickey Roker(ds)

ソニー・レッドとの双頭作の未発盤。チックとヴィトウスが参加

バード=レッド双頭バンドの81年公表の未発盤。過去にコンビを組んでいたアダムスも参加している。リズム隊が、チック・コリア、ミロスラフ・ヴィトウス、ミッキー・ローカーというフレッシュな顔ぶれになって存在感を増している。コリアは、「サンデー・アフタヌーン」でのアダムスとの共演が参加のきっかけかもしれない。チック作の①サンバ・ヤントラ、が特に個性的で盤の雰囲気をこれまでと変えている。他の曲には従来の流れも感じるが、リズム隊の変更とアダムスの参加でバード=レッド双頭バンド三部作とは趣の違う盤になっている。カスクーナの編集なので当初は冒頭に置かれるはずだったと思われるレッド作のタイトル曲④がB面頭になってしまったと想像する。コリア曲を前にしたほうが売れるという考えだと思うが、レッドのアルトの暴れ度が下がってしまったように感じる。 ④でのバードのトランペットが比較的よく鳴っているだけに、CD帯の“バード最後のピュア・ジャズ作品”というコピーが私には悲しく感じる。アダムスは、①でいいソロを吹いている。(hand)



HEADS UP ! / BLUE MITCHELL

1967.11.17

Blue Note

おすすめ度

hand        ★★★☆   

Blue Mitchell(tp), 

Burt Collins(tp), Julian Priester(tb), Jerry Dodgion(as,fl), Junior Cook(ts), Pepper Adams(bs), McCoy Tyner(p), Gene Taylor(b), Al Foster(ds)

ミッチェルの大編成ジャズロック盤

ミッチェルの大編成によるジャズロック盤。やはり、ミッチェルのソロとその他メンバーによるアンサンブル、そして数少ないソロを楽しむ盤となっている。ジャズロック盤とされる盤によくあることだが、冒頭曲のみが売れ線狙いのジャズロックで、他はジャズ曲だったりする(④も8ビート)。この盤も基本的にそんな盤で、ジェローム・カーンの③や、ミッチェル作のラスト⑥ピープル・イン・ナッソーは美しい曲だ。アダムスのソロはない(と思う)。(hand)



DOUBLE CROSS / HANK CRAWFORD

1967.11.20

Atlantic

おすすめ度

hand        ★★★   

Hank Crawford(as)

A1-B2:Joe Newman, Melvin Lastie(tp), Tony Studd(tb), David Newman(ts), Pepper Adams(bs), Jack McDuff(p), Carl Lynch(gr), Jimmy Tyrell(el-b), Bruno Carr(ds)

ハンク・クロフォードのエレクトリック・ファンク盤

今年(2024年)、亡くなったルー・ドナルドソンのアーゴ時代を思い出すようなエレクトリック・ファンク的な音楽。ルー盤です!と言われれば、信じてしまうかもしれない。ただ、ソロになると、お里であるバッパーが出てくるルーに対し、ロングトーン中心のハンクなので、全く違うのがわかる。アダムスは、全8曲中6曲A1-B2に参加。主役ハンクを支える大編成の1人としてなので、目立つことはない。CDは2in1のみ。(hand)



INTRODUCING BIG BAND / DUKE PEARSON

1967.12.15

Blue Note

おすすめ度

hand        ★★★☆   

Duke Pearson(p,arr),

Randy Brecker, Burt Collins, Joe Shepley, Marvin Stamm(tp), Garnett Brown, Benny Powell, Julian Priester(tb), Kenny Rupp(b-tb) Jerry Dodgion (as,fl,picc), Al Gibbons (as,fl,b-cl) Frank Foster, Lew Tabackin(ts), Pepper Adams(bs,cl), Bob Cranshaw(b), Mickey Roker(ds)

デューク・ピアソンのゆったりしたビッグバンド盤

私の好きなデューク・ピアソンのビッグバンド盤。ピアソンは、ピアニスト、コンポーザー、プロデューサーと多才だが、ビッグバンド盤もブルーノートから2枚とアップタウンから発掘盤1枚を出している。サド=メルのように、リハーサルバンドからスタートし、録音、ツアーと進めていくのが好ましい形だと思うが、ピアソンバンドはツアー1回(アップタウン盤がその録音)で終わったらしい。アダムスは、バリのソロ②④があるだけでなく、珍しいことにソロはないがクラリネットも吹いている。サド=メルのクールでタイトな感じがあまり得意ではない私には、同じビッグバンドでもピアソンのゆったりした感じが気楽に聞けて嬉しい。(hand)