このページでは、1959年以降の作品をレビューしています。この時期の主な活躍拠点は、5年間移り住んだヨーロッパでした。
35歳の時1959年に、新天地を求めてパリに移住しますが、この時期はパリ在住デザイナーのフランシス・ポードラがバドをサポートしていて、私家録音を含めたポードラによる発掘音源はアール・バド・パウエルのBoxセットになっています。(⇒アール・バド・パウエルのページ参照)
ヨーロッパでのまとまった録音としては、ゴールデン・サークルのライブがありますが、ページの関係上、ここではそれ以外の作品を、発掘音源も含めて紹介し、1962年以降ゴールデンサークルのライブを含めた音源は リーダー作④ のページで紹介しています。そのためページ割の関係で多少録音順が前後しています。
・新宿ジャズ談義の会 :バド・パウエル CDレビュー 目次
リーダー作、サイド参加作、発掘盤も含めてレビューしています。下記よりクリックして参照してください。
・Bud Powell CDリーダー作 ①1947年~55年
・Bud Powell CDリーダー作 ②1955年~58年
・Bud Powell CDリーダー作 ③ 1959年~パリ時代・・・このページ
・Bud Powell CDリーダー作 ④1962年~65年 パリ時代後半~帰国
Bud Powell(p),Johnny Griffin(ts 1-2),Barney Wilen(ts 3-6),Pierre Michelot(b),Kenny Clarke(ds)
ザナドゥからの59年、60年のパリのライブ。ザナドゥは海賊的な音源もかなりあるレーベルで、これもそうでやはり音が悪い。ウリは、冒頭の60年のジョニー・グリフィンとのデュオ。グリフィンは、私の愛好するテナーだが、多くのリーダー盤はあるのに、コレというものが残念ながら少ない。他人の作品にゲストで吹きまくるのが合っているようなのだ。ウェス・モンゴメリーの「フルハウス」、「ソリチュード」やバドの「ホット・ハウス」やこの盤では最上のプレイが聞かれる。バドもグリフィン同様に燃えている。③〜⑥が59年の録音。④⑤にバルネ・ウィランのテナーが登場する。ウィランも悪くないのだがソロも短く、グリフィンの興奮はない。⑦〜⑬は60年のトリオ。ピエール・ミシェロ、ケニー・クラークとの3ボスの息の合った演奏だ。CDにはさらにオマケで⑭〜⑯にバド超初期の45年のフランク・ソコロフのセッションが追加されている。この時期のソコロフのホーキンス・ライクなテナーは素晴らしい。バドはスイングとビバップの中間くらいの感じか。なお、この盤は「バド・イン・パリ」で63年のリプリーズ盤がスタジオ録音の「バド・パウエル・イン・パリ」で紛らわしい。(hand)
Bud Powell(p),Pierre Michelot(b),Kenny Clarke(ds)
キャノンボールの紹介でメジャーのコロンビアに2枚録音している。もう1枚はドン・バイアスとの共演盤だ。いずれも正式録音なので、音がいい。この盤は、ピエール・ミシェロとケニー・クラークとのトリオ(3ボスという名で活動)でモンクに捧げたライブ。モンク曲は全8曲中4曲入っている。この時期、バドはかなり調子が良かったのか、体調と演奏は関係ないのか、とても素晴らしい内容だ。今回、バドを編年的に聞き直して再発見した良質な盤だ。今後、聞く回数が増えそうだ。(hand)
※ご指摘があり、ライブの拍手は偽であると判明。日米盤CDは拍手なし、hand所有の仏盤CDは拍手入り。
キャノンボール・アダレイのプロデュースによるパウエルのモンク作品集、でもモンクの曲は4曲だけ。強い個性を持つモンクの曲もパウエルはあくまでもパウエルらしくモンクを演じているが、とても素晴らしい出来栄えだ。冒頭のモンクの曲Off Minor はRoost盤でも演じていたが、それがこの曲の初録音だった。どちらもパウエルらしくモンク曲を演じているが、10年以上の年月を経た変化の聴き比べは面白い。(しげどん)
①-⑥:Bud Powell(p),Jacques Hess(b),Art Taylor(ds),Barney Wilen(ts)
⑦-⑪:Thelonious Monk(p),Charlie Rouse(ts),Larry Gales(b),Ben Riley(ds)
海賊レーベルMoonから出たモンクとのカプリングCD。やはり、音は良くない。ミラノでのライブで①〜③がトリオ、④〜⑥にバルネが加わる。ベースとドラムが大きめに録られていると思う。⑦以降はモンクの64〜70年のライブ。(hand)
Bud Powell(p)
パリのフランシス・ポードラ宅での私的ソロ録音。ミシックの「アール・バド・パウエル」シリーズから漏れた新たな発掘音源で音はまずまずで、あまり唸り声は聞こえない。全てソロ。パリでの61〜64年のライブ集(hand)
Bud Powell(p),Bob Jacquillard(b),Mike Stevenot(ds)
62年1月31日スイス、ローザンヌのラジオ局ホールでの現地ベース&ドラムとのトリオ演奏。療養に訪れた先でのライブらしいが不調とは思えない。音質もまずまずだ。バドのピアノに過去には感じなかった湿り気が出てきた気がする。アイ・リメンバー・クリフォードが愛奏曲になっている。(hand)
Bud Powell(p),M. Cortesi(b),Jackie Cavussin(ds)
前作の翌日62年2月1日のジュネーヴ録音。やはり現地ベース&ドラムだ。前日に続きバドは好調だ。フェイドインの曲があるのは残念だが、前日よりもさらに勢いがある気がする。(hand)
Bud Powell(p),Pierre Michelot(b),Kenny Clarke(ds)
タイトルは1961だが62年の録音。61年の録音を62年に発売して62と付けるならまだわかるが、これは単なる確認ミス又は発売時点ではそう確信されていたのではないかと思う。ミシェロ&クラークとの3ボスのライブ。ESPレーベルが買い取った録音らしく音がいい。内容は、いつものようにバドがひたすら弾きまくるだけでなく、バド盤ではあまりないベースソロもあり、モダンジャズのピアノトリオ盤として楽しめる。バドがベースにソロをさせる基準は何かわからないが、同じ62年の北欧ツアーは基本ソロなしだった。近年、ズート・シムズ3曲追加された盤があるが、ポードラ録音のミシック盤「グルーヴィン・アット・ブルーノート」と同じ3曲だ。(hand)
有名曲ばかりで楽しめるくつろぎのピアノトリオ作。パウエルもやりなれた定番曲なので、リラックスして演奏を楽しんでいるように思える。パウエルといえば50年代前半の天才ぶりにばかり焦点があたりその突出した凄みが基準となってしまい、普通のいい演奏であるこのような作品があまり評価されていないのではと思う。この時期録音もライブ中心でスタジオの正規盤としてのチャンスがあまりなかったのも、パウエルの評価を変えてしまっているのでは。早すぎる死は、そのような彼に対する無理解も要因としてあってのではと考えてしまう。(しげどん)
Bud Powell(p),Niels-Henning Ørsted Pedersen(b),Jorn Elniff(ds)
Bud Powell(p),Brew Moore,Don Byas(ts),Niels-Henning Orsted Pedersen(b),Jorn Elniff(ds)
Bud Powell(p),Erik Amundsen(b),Ole Jacob Hansen(ds)
日本のマシュマロが2012年に発掘した、多分3番目に新しい盤。62年にバドは春と秋に北欧ツアーを行っている。ゴールデンサークルが春で、この盤は秋の記録。前半がデンマークでのペデルセンとの大ホールでのトリオ。なんとペデルセンは16歳だ。中半はブリュー・ムーア、ドン・バイアスとの管入りデンマークのテレビ用録音。ベースは引き続きペデルセン。後半はノルウェーでの現地トリオ。春の演奏に比べて憂鬱な雰囲気が漂っている気がする。(hand)
・新宿ジャズ談義の会 :バド・パウエル CDレビュー 目次
リーダー作、サイド参加作、発掘盤も含めてレビューしています。下記よりクリックして参照してください。
・Bud Powell CDリーダー作 ①1947年~55年
・Bud Powell CDリーダー作 ②1955年~58年
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