キャノンボール・アダレイは、圧倒的なテクニックの持ち主で、チャーリー・パーカーの再来という触れ込みで華々しくデビューし、レコード機会にも恵まれ多くの作品があります。
しかし、オーバーファンクとか、コマーシャルとかの的外れなレッテルを貼られ、ジャズファンの注目から不幸にも外れてしまった作品が多いようです。
ジャズ的によい作品が多く、隠れ名盤といえるものがたくさんありますので、このページではそのような主要作をレビューしていきます。
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タイトル下の日付は録音日です。 パーソネルも記載しています。
・JAZZ談義の会 キャノンボール・アダレイ CDレビュー 目次
・キャノンボール・アダレイ リーダー作 ①デビューから1958年まで・・・このページ
・キャノンボール・アダレイ リーダー作 ②1959年~1960年
・キャノンボール・アダレイ リーダー作 ③1961年~1965年
Nat Adderley(cor)、Cannonball Adderley(as)、Cecil Payne(bs)、Jimmy Cleveland(tb)、Jerome Richardson(ts、fl)、
John Williams(p)、Paul Chambers(b)、Kenny Clark(ds)
パーカーの再来と言われた頃の初リーダー盤。多少パーカーっぽいところもないではないが、基本的は違うタイプで、クインシーのアレンジのせいかジジ・グライス的な感じもある。意外とナットが頑張っている。もっと聞かれていい盤だと思う。(hand)
1955年のレコーディングで、キャノンボールのデビュー当時の音源。若々しく才気に溢れるキャノンボールが、ニューヨークで、弟のナットアダレイトとともに溌剌としたプレイを繰り広げている。(ショーン)
キャノンボールのアルトは艶やかにしてなめらか。だけど彼のソロだけを目立たせれば良いのに、わざわざ豪華メンバーの8人編成にしてクインシージョーンズのアレンジをつけてというお膳立て、しかも一曲が短い。作品としてはまとまっているが、キャノンボールの個性を引き出したフォーマットであるかは疑問だ。(しげどん)
1955年7月14日
savoy
hand ★★★☆
しげどん ★★★★
Cannonball Adderley(as),Nat Adderley(cor),Hank Jones(p),Paul Chambers(b) ,Kenny Clarke(ds)
ほぼデビュー作と言っていい時期の演奏だが、キャノンボールの完成度は高い。①スポンティニアス・コンパッション、意味は自然発火。ビバップ的な少し古臭いテーマのブルース。ソロの完成度は、4年後の「カインド・オブ・ブルー」と変わらない。曲がもう少し洗練されていれば、もっと名盤になれたと思う。(hand)
キャノンボールの初リーダー作。エマーシー盤に比べ、キャノンボールらしい編成で、初期の主要レパートリーを演じる。一曲の長さも充分とっており、彼のソロの魅力が味わえる堂々たるデビュー作だ。(しげどん)
画像は上がオリジナル。下が再発時のカバー。
1955年10月27日,28日
Emarcy
hand ★★★
しげどん ★★★
金のかかるストリングスは大物の証と言われるが、デビューの年にストリングス盤は超大物ということ。当然、パーカー盤に範を取ったと思うが、ストリングスのアレンジメントがいかにもクラシカルでしかも四輪馬車の擬音を楽器で出すなど子どもっぽい演出だと思う。ジャズファンの喜ぶようなアレンジを望むのは時代的に無理なのかもしれないが残念だ。エマーシー盤の録音は、全体に主役が目立たない不満があるが、この盤は目立つように録られてはいる。ただ、これを聞くならパーカー盤を聞く方がいい。(hand)
キャノンボールは器用な人なので、イジー・リスニングでもムード音楽でも何でもできたんだと思う。ストリングスにもマッチしていて、テーマの吹き方などうっとりするように美しくさすがだ。でもジャズファン的には一度聴けばたぶん二度と聴かない盤。内容云々よりここまで来ると単に好みの問題。(しげどん)
1956年6月8日,18日
Emarcy
hand ★★★★
しげどん ★★★
1960年11月19日 Cannonball Adderley(as),Nat Adderley(cor),Victor Feldman(p),Sam Jones(b),Louis Hayes(ds)
1966年7月3日 Cannonball Adderley(as),Pim Jacobs(p),Wim Overgaauw(g),Ruud Jacobs(b),Cees See(ds)
ソロ楽器の浮き出さないエマーシーの録音に不満を覚える。アダレイ兄弟もトロンボーンのクリーブランドもいいプレイをしているからだ。スモール・ビッグバンド的な楽しさのある盤。①のソロのトップバッターがトロンボーンというのは、どうなのかと思った。(hand)
キャノンボールのソロはいつも通りつややかで流ちょうだが、この作品は1曲の長さが2分から3分しかなく、しかも10人編成でアレンジャーまでつけてせせこましい。どこに焦点をおくつもりだったのだろう。ここまでのエマーシーの作品は企画に疑問が残るものが多い。(しげどん)
録音日,レーベル
パーソネル
1957年2月7日、8日
Emacy
おすすめ度
hand ★★★
しげどん ★★★★
ショーン ★★★★☆
Cannonball Adderley(as)、Nat Adderley(cor)、Junior Mance(p)、Sam Jones(b)、Jimmy Cobb (ds)
勢いのあるアルバムで、ナットアダレイのいいプレイが随所に見られる。とくに5曲目のspectacular、最後のcobbwebは、キュイーンという高音域がカッコイイ。キャノンボールも、一緒にコロコロ転がっている!ジミーコブのドラミングが牽引車だ。(ショーン)
レギュラー・クインテットによる第一作。兄弟バンドがハードバップバンドとして成熟。キャノンボール、ナットともに成熟期の音色に近づいている。(hand)
ジャケットデザインはかっこいいし、彼のソロもなめらかでつややかですばらしい。エマーシーのキャノンボールでは一番の出来栄えか。初のレギュラーチームのデビューを意識してか、ナットアダレイはじめ全メンバーに活躍の時間が与えられている。短い曲が多いため、せっかくのキャノンボールのソロが短くそこはやや物足りなく感じる。(しげどん)
1957年2月7日、8日
Emacy
おすすめ度
hand ★★★☆
しげどん★★★☆
Cannonball Adderley(as)、Nat Adderley(cor)、Junior Mance(p)、Sam Jones(b)、Jimmy Cobb (ds)
アダレイ兄弟の出来は悪くない。難点は、主役2人が浮かび出すような録音でないことと、同じエマーシーのローチ=ブラウンの中でも私好みでない曲があるが、それに似た慌たゞしい感じの曲があることだ。速い=慌たゞしいのではなく、落ち着きと録音のせいだと思う。⑤ラバーマンは、ネバネバした情念たっぷりの演奏が向いた曲だが、キャノンボールはうますぎ&滑らかすぎで、なんだかあっさりしてしまっている。キャノンボールとフィル・ウッズには向かない曲だと思う。(hand)
Sophisticated Swingと同一日録音の姉妹版。ナット・アダレイの存在感が強く、ファンキー路線の牽引役は彼だったんだと思う。スタンダードも悪くはないが、聴きどころはナットのオリジナルで、それがファンキー感満載だ。一曲目のスタンダードのフォギーデイのイントロのアレンジがダサいのが残念だが、ナットのオリジナルを一曲目にしてくれたらもっと印象はよくなったはず。(しげどん)
1958年3月4日,6日
Emarcy
おすすめ度
hand ★★★☆
しげどん★★★★
Nat Adderley(cor),Cannonball Adderley(as),Junior Mance(p),Sam Jones(b),Jimmy Cobb(ds)
マイルスとの「サムシン・エルス」の数日前の録音。数日前なので、サムシン的な内容を期待すると外れる。至って普通のハードバップ演奏だ。オリジナルが少なく、スタンダード中心。キャノンボールの艶やかなソロを楽しむ盤だ。(hand)
これも初期の佳作のひとつ。最初のレギュラークインテットは、ソフィスティケートスイングではじまり、本作で終わる。この作品もジャズらしさ全開の一枚で、ようやくキャンノンボールにエンジンがかかってきた。でもスタンダード主体の選曲なので、オリジナルで彼らの個性が発揮できるのはリバーサイド時代からか。(しげどん)
1958年3月9日
Blue Note
おすすめ度
hand ★★★★★
しげどん ★★★★☆
ショーン ★★★★★
Miles Davis(tp) Cannonball Adderley(as)、Hank Jones(p)、Sam Jones(b) Art Blakey (ds)
改めてB面に着目して聞いてみた。悪くない。マイルスとキャノンボールは、カインドオブブルー的なプレイをしている。特にタイトル曲とワンフォーダディオー。枯葉だけにスポットを当てるが、他の曲も光を当てる時期が60年経って来たかも(笑)(hand)
マイルス親分の指示で吹いているかもしれないが、キャノンボールのアルトは淀みなく流れるように唄い、ピアノのハンクジョーンズとともに、このアルバムを底辺をしっかりと支えている。最後のdancing in the darkは特に熱い!(ショーン)
歴史的な名盤で、キャノンボールももちろん熱演。マイルスのミュートプレイ以外にも聴きどころは満載。しかしやはりマイルスの作品であり、キャノンボールを代表するBEST5作品からは外したい。(しげどん)
1958年7月1日
Riverside
おすすめ度
hand ★★★☆
しげどん ★★★★
ショーン ★★★★★
Blue Mitchell(tp)、Cannonball Adderley(as)、Bill Evans(p)、 Sam Jones(b)、"Philly" Joe Jones(ds)
1曲目から、いきなり最高潮のキャノンボールだ!と思ったら、次の曲は静かに語りかけるようなバラード。ビルエバンスのピアノが包み込むように流れ、キャノンボールを引き立てる。このアルバムのキャノンボールは、とってもメロディアスで、聴きどころ満載だ!(ショーン)
オーソドックスなハードバップの好演で、キャノンボールのアルトはいつもながら艶やかさ全開。しかしCDはMINORITYという一曲目の別テイク入りで、七分超えの同じ曲を三回聴かされるのは困ったもんだ。別テイク=没テイクなんだから、最後にまとめていれるとか、工夫してほしいものです。(しげどん)
マイルス的な真面目なハードバップをキャノンボール的に極めた盤。マイルスバンドからエバンス、チェンバース、コブが参加。コルトレーンでいうとジャイアントステップに当たるのではないか。(hand)
1958年8月20日,21日
おすすめ度
hand ★★
Cannonball Adderley(as),Emmett Berry(tp),Bill Evans(p),Barry Galbraith(g),Milt Hinton(b),Jimmy Cobb(ds),George Ricci(vc),Dave Schwartz(vla),Gene Orloff, Leo Kruczek(vn)
デューク・エリントンが書いたミュージカル「ジャンプ・フォー・ジョイ」を弦楽四重奏を入れて演奏した企画物。弦楽四重奏好きもキャノンボール好きもあまり喜ぶとは思えない内容。ビル・エバンスも入っているがソロはない。いい曲が多いのだから、そのままコンボで演奏して欲しかった。(hand)
1958年10月28日
Riverside
おすすめ度
hand ★★★☆
しげどん ★★★★
Cannonball Adderley(as),Milt Jackson(vib),Wynton Kelly(p),Percy Hearth(b),Art Blakey(ds)
キャノンボールに同じリバーサイドのスター、ミルト・ジャクソンとウィントン・ケリーを迎えた作品。親和性のあるメンバーなので、共演は成功している。キャノンボールがもっとリーダーシップを発揮すれば、もっといい作品になったと思う。やはりミルトに多少遠慮している気がする。(hand)
ミルト・ジャクソン,ウィントン・ケリーもそれぞれ自分らしさを発揮したオールスターキャストらしい楽しめる作品だ。タイトル曲もドナルド・バードのエーメンを連想させるような明るいファンキーナンバーのヒット作品だ。(しげどん)
新宿JAZZ談義の会 キャノンボール・アダレイ CDレビュー 目次
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