・新宿ジャズ談義の会 :ドナルド バード CDレビュー 目次
Billy Ver Planck(tb,arr), Bernie Glow(tp), Frank Rehak(tb), Phil Woods(as), Buzzy Brauner(ts), Gene Allen(bs), Eddie Costa(vib,p), Wendell Marshall(b), Bobby Donaldson(ds)
アレンジャーのビリー・ヴァー・プランクのモダン・ビッグバンド盤。スイングジャズを脱しているとは思うが、多少スイングの香りも残っているように感じる。ダンシングはダンサブルとは違い、よくスイングするくらいの意味だろう。バードは、アイドリス・スリーマンとともに3月5日録音の⑤メイク・アップ・ユア・マインドに1 曲のみ参加していて、ブリリアントなソロが聞かれる。プランクのサボイの総集編とも言えるフレッシュサウンドからの2枚組「ビリー・ヴァー・プランク&ヒズ・オーケストラ1957-1958」にはこの曲がカットされていて、アンドレ・オデールの同じフレッシュサウンドの2枚組「エッセー;コンプリート・パリ&ニューヨーク・セッションズ」に収録されている。本来的にはそちらのセッションで、プランクとの関係はない曲のようだ。(hand)
1957.3.5 & 4.4
Savoy
おすすめ度
hand ★★★
Donald Byrd, Idriss Sulieman(tp), Frank Rehak(tb), Hal McKusick(as,bcl), Bobby Jaspar(ts,fl), Jay Cameron(bs,cl,bcl), Eddie Costa(p,vib), George Duvivier(b), Bobby Donaldson(ds), Billy Ver Planck(arr), Andre Hodeir(cond), Annie Ross(vo)
仏音楽家アンドレ・オデールの曲を米ジャズマンがオデールの指揮で演奏したスモール・ビッグバンド演奏。錚々たる面々で演奏もまずまずだと思うが、オデールの曲にあまり魅力が感じられないのが残念な点。バードはスリーマンとともに重要なソロイストだが、判別は難しい。(hand)
Kenny Drew(p), Donald Byrd(tp), Hank Mobley(ts:1–3), Wilbur Ware(b), G.T. Hogan(ds)
リバーサイドは、純正ハードバップの録音はあまり得意ではない気がする。ブルーノートやプレステッジに比べて、何だか全体にノリのようなもの(グルーヴ)が不足していると思う。モブレーは遅刻したのか?半分の参加だ。後半は珍しいバードのワンホーンになっていて、バード好きには価値がある。ドラムがG.T.ホーガンではなく、フィリーだったらもっと名盤になったと思う。(hand)
Hank Mobley(ts), Donald Byrd(tp), John Jenkins(as), Bobby Timmons(p), Wilbur Ware(b), Philly Joe Jones(ds)
バードとジョン・ジェンキンスの熱い演奏で、想像どおりモブレーはかすみがちになっている。ただ今回改めて聞いて、以前聞いた時よりもモブレーのソロに60年代の絶頂期に向けた芽吹きのようなものを感じた。(hand)
Paul Chambers(b), Donald Byrd(tp), Clifford Jordan(ts), Tommy Flanagan(p), Elvin Jones(ds)
ベニー・ゴルソン自身のテナーは参加していないが、ゴルソン曲が盤の価値を高めている。ゴルソン2曲、チェンバース2曲、スタンダード2曲という構成で、特に①マイナー・ラン・ダウン、がハードバップらしいいい曲だ。バードは同じゴルソンの④フォー・ストリングス、でも素晴らしいソロを聞かせている。(hand)
Donald Byrd(tp), Curtis Fuller(tb), John Coltrane(ts), Sonny Clark(p), Paul Chambers(b), Art Taylor(ds)
バードとは思えない明るさの①ウィズ・ア・ソング・イン・マイ・ハート、から始まる。テーマから引き続き明るく元気にソロをとるバード、コルトレーン、フラーも元気に続き、クラークの初期盤を盛り立てているが、ややブローインな感じがする。①はバード、②はコルトレーン、③はフラーというように3人のフロントに順番にテーマを吹かせるという手法が、せっかくの3管を活用していない感じにしてしまっている。2週間後の「ブルー・トレイン」が名盤化したのは、ブローインセッション的な面を排して、テーマの3管アンサンブルを強化したからではないかと思えてきた。後半④⑤のクラークのオリジナルはアンサンブルが活かされている。タイトル④ソニーズ・クリブ、がブルー・トレインのヒントになったのかもしれない。後半の感じで全体が作られたのがクラークの名盤「クール・ストラッティン」だ。(hand)
Frank Foster(ts), Donald Byrd(tp), Henry Coker(tb), Ronnell Bright(p), Eddie Jones(b), Gus Johnson(ds) etc
CD化されているフランク・フォスター「ノー・カウント」とフランク・ウェス「ノース、サウス、イースト….ウェス」という57年3月の同時期録音の2枚に57年10月13日のフォスターの未発表3曲を加えた2枚組LPの未CD化盤で、その3曲にのみバードが入っているという盤。バード入りの3曲は未CD化のままだが、1曲M.C.だけはオムニバス盤「ジャズ・イズ・バースティング・オール・オーバー」に入ってCD化されている。先輩Nさんからアナログをお借りして残り2曲も含めて3曲を聞くことができた。フォスターのテナーとヘンリー・コーカーのトロンボーンとの3管ハードバップで、バードは全曲でハイノートを頑張って吹いていて好感だった。(hand)
②④⑥⑧:Donald Byrd(tp), Frank Rehak(tb), Gene Quill(as:2), John Coltrane(ts), Al Cohn(bs), Eddie Costa(p), Freddie Green(gr:2), Oscar Pettiford(b),Ed Thigpen(ds:except), Philly Joe Jones(ds:2), Harry Tubbs(arr)
全体は2つのセッションからなっている 。販売戦略上、コルトレーンのリーダー盤として整理されているものもあるが、コルトレーン参加曲は半分②④⑥⑧の10月録音で、全曲に参加しているオスカー・ペティフォードをセッション・リーダーと見たほうが正解だと思うし、ディスコ上もそうなっている。ただ、全体のアレンジはハリー・タブスという人が担当しているので、こちらが本来のリーダーなのかもしれない。9月録音①③⑤⑦は、アート・ファーマーとロルフ・キューンのクラが活躍する。バードはコルトレーンと同じ10月分に入っていて、こちらはスモール・ビッグバンドでソロイストが多数いるので、コルトレーンもバードもいいソロはとるが、特段に多くのソロスペースが与えられているわけではない。雰囲気の違う2つのセッションを交互に入れる盤というのもどうかと思うが、それぞれのクオリティは高いので、楽しめる。この日の未収録演奏(ストリクトリー・インストメンタル)を収録した+1盤が日本コロンビアから出ている(コルトレーン名義の95年紙ジャケ盤と97年20bit盤)。この曲は、アナログでジャズトーンという海賊レーベルの「モダン・ジャズ・フェスティバル」に収録されていた曲で貴重だ。(hand)
George Wallington(p), Donald Byrd8Tp), Phil Woods(as), Nabil Totah(b), Nick Stabulas(ds)
あくまでもビバップにこだわったと思われるウォーリントン5の第4作でラスト盤。ハードバップ時代になってもビバップの雰囲気を保ち続けた演奏は、とても好ましい。今までジャケがダサいのであまり聞いてこなかったこのバンドだが、尻上がりに良くなっていたことがわかった。バードもウッズも楽器がとてもよく鳴っていて、このバンドでの演奏に気合を入れて取り組んでいるようだ。(hand)
Red Garland(p), Donald Byrd(tp), John Coltrane(ts), George Joyner(b), Art Taylor(ds)
この4枚は、ガーランドをリーダーとするコルトレーン、バードを迎えたクインテットの2日間のマラソン・セッションのような盤だ。マイルスよりも2セッションの間隔が狭く、約1か月なので、セッションによる違いは感じない。「オール・モーニング・ロング」は、①タイトル曲が20分超の長尺ブルースで、コルトレーンの5分近いソロから始まる。コルトレーン・ファンにはマストだ。バードをはさみ、ガーランドがたっぷりとソロをとる。「ソウル・ジャンクション」も、①タイトル曲が15分近い長尺。ガーランドのソロが延々と続くが苦痛ではない。半ば過ぎて、コルトレーン、バードが順に登場する。②③はバード、コルトレーンが快調に飛ばす。③のガーランドもいい。この4枚の盤の中では一番目に聞くべきと思う。「ハイ・プレッシャー」は、特にジャム的な雰囲気が強い。ただ、各人がのびのびとソロをとるので、意外と楽しめる。「ディグ・イット」は、少々ビバップ風なところが残っているのが残念なところ。マイルスの「ラウンド・ミッドナイト」のアー・リュー・チャみたいな残念さだ。いずれにしても、各メンバーは4枚ともに好調だ。同じ楽器編成で、マイルスがバードに変わるだけで、急にのびのびした雰囲気に変わる。ソロも長いものが多く、もっと聞かれていい4枚だと思う。「ディグ・イット」はマラソン曲が不足したようで、②③はマラソン曲以外から収録している。(hand)
Lou Donaldson(as), Donald Byrd(tp), Curtis Fuller(tb), Sonny Clark(p), Jamil Nasser(b), Art Taylor(ds)
①スプートニク、はルー自身はいつものバッパーのノリなのだが、他のメンバーがコルトレーンの「ブルー・トレイン」のような真面目で硬派なハードバップ演奏をしてしまっている。ビバップは好みだが、57年にこのメンバーでここまで④グルービン・ハイ、のようなビバップもやる必然性は感じない。演奏は全体に悪くないが、リーダーのはずのルーがあまりリードしている感じはない。(hand)
Art Blakey(ds),
Ray Copeland, Bill Hardman, Idrees Sulieman, Donald Byrd(tp),
Frank Rehak, Jimmy Cleveland, Melba Liston(tb),
Bill Graham, Sahib Shihab(as),Al Cohn, John Coltrane(ts),
Bill Slapin(bs), Walter Bishop, Jr.(p), Wendell Marshall(b)
モダン・ドラマーのブレイキー盤なので大編成のハードバップを想像するが、レーベルのせいか、アル・コーンのアレンジのせいか、特に木管の感じはスイング風だ。目立つコルトレーンのソロは、もちろんコルトレーンらしいモダンな感じで好ましい。③④の2曲のみはクインテットで、バード曲③ディッピン、コルトレーン曲④プリスティン、はコルトレーン入りのJMとも言えるモダンな演奏で、バードのソロもいい。(hand)
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