1957年はジジ・グライスとのジャズ・ラブの活動をメインに行ったほか、コルトレーンとともにガーランドのマラソン・セッションにも参加しています。そして58年には後半、長期にわたりパリを中心にヨーロッパに滞在し録音を残しています。ファンキーに突入する前のバードのハードバップ完成期です。(しげどん)
バードは、アルトとチームを組むのが好きだったようだ。他のトランペッターは圧倒的にテナーと組むことが多いと思う。パーカー=ガレスピーが理想型だったのかもしれない。キャノンボール・アダレイ、ジャッキー・マクリーン、フィル・ウッズ、ジョン・ジェンキンス、ジジ・グライス、ルー・ドナルドソン、バンキー・グリーン、エリック・ドルフィー、ソニー・レッド、ケニー・ギャレットと出てこないアルトは西海岸系のプレイヤーだけの気がする。テナーは、ハンク・モブレー、ジョン・コルトレーン、ジョニー・グリフィン、デクスター・ゴードン、ジミー・ヒース、ウェイン・ショーター、ジョー・ヘンダーソンと一応揃っているが枚数はアルトよりかなり少ない。逆にバリトンのペッパー・アダムスは多数あり、E♭の楽器が好きなのかもしれない。(hand)
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Art Farmer, Donald Byrd, Idrees Sulieman(tp), Hod O'Brien(p), Addison Farmer(b), Ed Thigpen(ds)
「2トランペット」から5か月後、マクリーンのアルトがトランペットのアイドリス・スリーマンに変わりタイトルどおりの3人のトランペッターの共演・競演盤となっている。リズム隊は3人とも交替し、この盤がデビューらしいホッド・オブライエン、アートの弟アディソン、ピーターソンで知られるシグペンに変わっている。スリーマンも他のメンバーも悪くはないが、3よりも2の方が魅力ある盤に感じる。私個人のマクリーン贔屓もあるとは思うが、ファーマー、バード、マクリーンが揃うと作品にブルーな陰影のようなものが漂うのだと思う。全曲がメンバーのオリジナルで、あまり特徴的な曲がなく、ジャムっぽい選曲ということも影響している可能性はある。バード作の⑤ユー・ゴッタ・ディグ・イットは、チェロキーに似た曲。13分半の長尺で、ソロが十分に堪能できる。(hand)
Donald Byrd(tp), Gigi Gryce(as), Wade Legge(p), Wendell Marshall(b), Art Taylor(ds)
ワイルドな演奏になることが多い①ラブ・フォー・セールも、このバンドが演奏すると、理知的な香りがしてくる。グライスの人気曲③マイノリティはやはりいい。(hand)
Donald Byrd(tp), Gigi Gryce(as), Hank Jones(p), Wendell Marshall(b), Osie Johnson(ds)
前半セシル・テイラー、後半ジャズ・ラブの57年ニューポートのライブ。ヴァーブはアナログAB面のアーチストを変えたニューポート盤を何枚も出していて、そのうちの1枚。ジャズ・ラブは、フロントの2人以外のメンバーは、全6枚、約半年の短い活動期間の割に、特定されていないのか、入れ替わりが激しいのか、色々な人が入っている。控えめな音色のグライスとブリリアントなバード、特にマッチしているとは思えないが、楽しそうに演奏しているのは感じる。バンド名まで付けて活動しただけあり、アレンジとアンサンブルがあり(特にテーマ部分)、ハードバップらしい演奏になっている。バードの場合、ジャズ・ラブの前後で、この違いが大きいと思う。⑥ラブ・フォー・セール、のバードの熱いソロは好感だ。前半のテイラーはオーネットと並ぶフリー・ジャズの旗手だが、この時期は比較的オーソドックスで、モンク?かな、というくらいのフリー度で、スティーブ・レイシーのソプラノも含めて聞きやすい演奏だ。(hand)
Donald Byrd(tp), Gigi Gryce(as), Hank Jones(p), Paul Chambers(b), Art Taylor(ds)
もしかしたらジャズラブ盤6枚の中で、内容的には一番聞きやすい盤かもしれない。グライスもバードもどちらも私好みのアーチストではあるのだが、その相性は微妙だと思う。その2人の音の相性がニューポートのライブを経て、こなれて来た感じがするのがこの盤なのだ。(hand)
1957.8.9
Jubilee
おすすめ度
hand ★★★★
Donald Byrd(tp), Gigi Gryce(as), Hank Jones(p), Paul Chambers(b), Art Taylor(ds)
グライスもバードも私好みのアーチストだ。なのに、ジャズ・ラブの演奏は、どれを聞いてもスカッとした気分になれない。原因を考えてみると、どうも音のバランスが悪いのではないかと思う。リズム隊がバックで、フロントが前から飛び出してくるようなブルーノート的な録音とは反対で、あまり強力ではないリズム隊が大きく、フロントがそれほど大きく録られていないように感じるのだ。6枚が5レーベルから出て、そう感じるのは、また別の原因があるのかもしれないが。そんな中では、この盤は比較的聞きやすいほうではないかと思う(多分、一番音がいいのはヴァーブのニューポートだと思う。)。リズム隊のメンバーが安定しないのもグループ表現には不利だったと思う。ピアノがウェイド・レグ、トミフラ、ハンク・ジョーンズ、ケリー、ベースがウェンデル・マーシャル、チェンバース、ドラムがAT、オジー・ジョンソンとバラバラだ。(hand)
Donald Byrd(tp), Gigi Gryce(as),Wynton Kelly(p), Wendell Marshall(b), Art Taylor(ds),
Jackie Paris(vo), Jimmy Cleveland(tb), Julius Watkins(frh), Sahib Shihab(bs), Don Butterfield(tuba)
ジャズ・ラブの第6作・最終盤は、男声ボーカルのジャッキー・パリスを迎えた、管楽器バンドとしては異色作だが、メジャーのコロンビアから出ているということは、売れることを狙ったと思われる。(hand)
John Jenkins(as), Donald Byrd(tp), Curtis Fuller(tb), Tommy Flanagan(p), Doug Watkins(b), Art Taylor(ds)
サボイの傍系のリージェントに録音されたリーダー盤の少ないアルトのジョン・ジェンキンスの作品。バードは共同リーダー的に参加し活躍している。カーティス・フラーも含めた3管で、リズム隊はトミフラ、ワトキンス、ATと素晴らしい面々で、きちんとしたアレンジでのハードバップの好盤だ。①スター・アイズ以外は、ジェンキンスのオリジナルで、皆、割とカッコいい曲だ。(hand)
Donald Byrd(tp), Clare Fischer(p,arr,cond),Milt Hinton(b), Osie Johnson(ds),
Romeo Penque(cl), Julius Baker(fl), Gene Orloff, Harry Lookofsky(vln), Horns & Strings(Unknown)
管楽器奏者がやりたがるのか、レーベルがやりたがるのかわからないが、売れてくると行われる定番企画。バードの場合、本人の人気がスーパーではないのと、レーベルがディスカバリーということもあり、あまり知られていない盤になっている。多分、最初は「セッテンバー・アフタヌーン」、その後「ウィズ・ストリングス」とタイトルもジャケも変わっているのも敗因の一つだと思う。(hand)
Donald Byrd(tp), Barney Wilen(ts), Jimmy Gourley(gr), Walter Davis Jr.(p), Doug Watkins(b), Al Levitt(ds)
映画用1958年録音の2012年発掘盤。音を先録りしただけで、映画は完成しなかったようだ。バードとバルネ・ウィランを双頭に、リズム隊は、ウォルター・デイビス、ダグ・ワトキンス、アル・レビットに仏側からはギターのジミー・ゴーリーも参加とされているが全曲参加ではないように思う。タイトルは、全てジャズ・イン・カメラで、1から6までと正式なものではなく、チュニジアのバリエーションのような場面が何度かある。バードは全体に気持ち良さそうに吹いている。(hand)
Donald Byrd(tp), Bobby Jasper(fl,ts), Walter Davis Jr.(p), Doug Watkins(b), Art Taylor(ds)
幻の名盤ということで、87年に仏復刻アナログ盤が出たときには、すぐに購入した。ジャケは超カッコいいが、内容はまずまずの普通のハードバップ盤であった。特に最初の2曲が長尺で、緊張感が不足している印象だったと記憶する。CDも購入して飾ったりはしたが、あまり聞いていない。今回、改めて聞いて、認識はそれほど変わらなかったが、③フルート・ブルース、のボビー・ジャスパーと④レイズ・アイデア、のウォルター・デイビスが意外といいと思った。ラスト⑤ザ・ブルース・ウォーク、はバード以下全員が緊張感あるプレイで好感だ。(hand)
冒頭のDear Old Stockholmは、マイルスのブルーノート盤を彷彿とさせるクールな感じだ。ボビー・ジャスパー、ウォルター・デイビスともに悪くないが、ライブらしい盛り上がりがないので不完全燃焼気味。最後のブルース・ウォークでようやく熱い演奏になり良い感じだが、全体的には大人しくまとまり過ぎな印象の一枚。(しげどん)
Donald Byrd(tp), Bobby Jasper(fl,ts), Walter Davis Jr.(p), Doug Watkins(b), Art Taylor(ds)
初めて聞いた時からVol.1よりもこちらがいい盤と思い、今回、改めて聞いてもそう思った。短めの曲が、緊張感を持って演奏され、ダレることがないのが、その理由だと思う。②パリの舗道、は元祖のブラウン=ローチよりも聞きやすいくらい、いい演奏だ。⑦トゥー・ベース・ヒット、はピアノトリオ。ただ、一部の曲のフェイドアウトは好ましくない。(hand)
クールな印象のVol.1に比べ、アグレッシブでノリがいい。同一ステージでの音源のはずなので、選曲の問題で、第二集に元気のいい曲が集まってしまっただけかもしれないが。パリの舗道は第一集のブルース・ウォークに続きクリフォード・ブラウンの名演を意識したもので、勢いがある良い演奏だ。(しげどん)
スリリングなLIVE演奏で迫力がある。テナーのBobby JasperとByrdの絡みがイイ。Walter Davis Jr. のピアノの早弾きがスピード感と勢いを注入している。Byrdの高音は素晴らしく、グルーヴ感がある。またstardustの伸びやかなソロもとても心に響いて良いのだが、なぜフェードアウトなのだろうか?(ショーン)
Donald Byrd(tp), Bobby Jasper(fl,ts), Walter Davis Jr.(p), Doug Watkins(b), Art Taylor(ds)
昔、聞いた印象はイマイチ。今はどうか、内容はいいのに、海賊に近い音質で楽器の音が前に飛び出してこないのが残念なところだ。ブルーノート録音だったら、「イン・パリ」よりも名盤になっていたと思う。特に②春の如く、はクリフォード・ブラウンのパリ録音に負けない素晴らしさを感じる。この録音を最後に帰米したバードは、BNから次々と良盤を出すこととなる。(hand)
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