61年はコルトレーンのバンドにもドルフィーは参加しています。コルトレーンの正規盤ではあまり目立っていなかったドルフィーですが、発掘盤でその活躍が明らかになってきました。天才同士の相互の刺激がジャズの進化(深化)につながったと思われます。(しげどん)
・新宿ジャズ談義の会 :エリック・ドルフィー CDレビュー 目次
John Coltrane(ss,ts), Booker Little, Freddie Hubbard(tp), Britt Woodman(tb), Julian Priester, Charles Greenlee, Carl Bowman(euphonium), Julius Watkins, Bob Northern, Donald Corrado, Robert Swisshelm, Jim Buffington(french horn), Bill Barber(tuba), Garvin Bushell(piccolo,woodwinds), Eric Dolphy(as,b-cl,fl), Pat Patrick(bs), McCoy Tyner(p), Reggie Workman, Paul Chambers, Art Davis(b), Elvin Jones(ds)
コンボ好きの日本ではあまり聞かれてこなかった大編成の「アフリカ・ブラス」。今、聞いてみると聞かず嫌いを反省するいい盤だ。アナログ時代の元盤とVol.2がCD化で2枚組になっている。1枚目の元盤にはドルフィーがアルト、フルート、バスクラで大編成に入っているほか、元盤全5曲中①②③⑤とVol.2全曲のオーケストレーションと指揮を担当しているのだ。なので奏者としては目立っていない。①グリーンスリーヴス、は前年10月の「マイ・フェイヴァリット・シングス」のタイトル曲と双璧をなすコルトレーンのモーダルなワルツで、ドルフィーのオーケストレーションが光っている。スイングのビッグバンドやパーカーのウィズ・ストリングスなどと違って、ワンホーン・カルテットにジャジーなオーケストラが付いた形で、モダン・ビッグバンドの先駆け的な形だと思う。(hand)
John Coltrane(ss,ts), Freddie Hubbard(tp), Eric Dolphy(as,fl), McCoy Tyner(p), Reggie Workman, Art Davis(b), Elvin Jones(ds)
20歳でジャズを聞き始め、かなり初期の段階で初めて買ったコルトレーン盤(アナログ)。ドルフィーはフレディ・ハバードとともに、「アフリカ・ブラス」への大編成の一員としての参加から重要なソロイストとして参加することとなった。(hand)
Ron Carter(b,cello), Eric Dolphy(as,b-cl,fl), Mal Waldron(p), Reggie Workman, George Duvivier(b), Charlie Persip(ds)
ジャケや録音時期の近い「ファー・クライ」を想像するが、ロンがチェロを弾いているので、全体の雰囲気はチコ・ハミルトンの室内楽的な感じが強くなっている。もちろん、ドルフィー自身は、「ファー・クライ」に近い演奏だ。①ラリー、ではドルフィーはバスクラ、マルはマルらしいモールス的なソロを弾く。ロンのマイルスでの“剛”のイメージのベースとも全く違う繊細な音楽世界だ。(hand)
Mal Waldron(p), Eric Dolphy(as,b-cl), Booker Ervin(ts), Ron Carter(cello), Joe Benjamin(b), Charlie Persip(ds)
ロン・カーターの「ホエア」と兄弟盤、姉妹盤のように取り扱われることが多いが、ブッカー・アービンの参加もあり雰囲気はかなり異なる。ロンのチェロはこちらでもチェロを弾いているのだが、ミンガスなしでもミンガス=ドルフィー的な雰囲気が濃厚になる。(hand)
Max Roach(ds,perc), Booker Little(tp), Julian Priester(tb), Eric Dolphy(as,b-cl,fl), Clifford Jordan(ts), Mal Waldron(p), Art Davis(b), Carlos "Patato" Valdés(conga), Eugenio "Totico" Arango(cowbell), Abbey Lincoln(vo:1,5)
パーカッション多用はラテン・アフロ感満載になる①③⑥。残る②④⑤はカッコいいブラックジャズ。(hand)
John Coltrane(ss,ts), Eric Dolphy(as,fl,b-cl), McCoy Tyner(p), Reggie Workman, Art Davis(b), Elvin Jones(ds)
2023年リリースのコルトレーン・バンドのバンドでのドルフィーのこれまで出ていた11月初旬のバンガードから約3か月前にヴィレッジ・ゲートに出演した記録。1本のマイクテストのために録音されたという 内容。ドルフィーは春頃からメンバーに加わっていたようだが、9月には単独、ヨーロッパツアーに行っており、その前のライブは初出で貴重だ。バンガードの録音全体像からドルフィーのすごいところをカットして発売したのがコルトレーンの正規盤「バンガード」や「インプレッションズ」とドルフィー贔屓からは言われているが、この盤を聞くと、ドルフィーもすごいが、コルトレーンもやはりすごい、という印象を持った。エルビンも素晴らしい。1本マイクにフェイドインなど作品としては不利な材料は多いが、迫力がありオススメ盤だと私は思う。(hand)
John Coltrane(ss,ts), Eric Dolphy(as,b-cl), McCoy Tyner(p), Reggie Workman, Jimmy Garrison(b), Elvin Jones, Roy Haynes(ds), Garvin Bushell(probably cor anglais), Ahmed Abdul-Malik(probably tampura)
ヨーロッパ・ツアーから帰国し、コルトレーン・バンドのメンバーとして、61年11月1、2、3、5日にバンガードに出演したドルフィー。アナログ時代は「バンガード」(62年リリース)、「インプレッションズ」(63年リリース)が録音後に出て、後年に残り曲を集めた2枚組として「ジ・アザー・バンガード・テープス」(77年リリース)と「トレーンズ・モード」(79年リリース)が、さらにCDで「フロム・ジ・オリジナル・マスター・テープス」(85年リリース)が出ていたたが、現在は「コンプリート1961ヴィレッジ・ヴァンガード・レコーディングス」(97年リリース) CD4枚組ボックスが未発3曲も加え完璧でしかも音がいいのでオススメできる。ただ、CDではベスト・パフォーマンスとも言える「バンガード」、スタジオ録音も入った「インプレッションズ」もコルトレーンのファンは揃えた方がいいと思う。ドルフィーは「バンガード」、「インプレッションズ」では冒頭の各1曲ずつ参加し、「コンプリート」では全22曲中カルテットやトリオに適した4曲以外のほぼ全曲に参加し、テーマのアンサンブルや素晴らしいソロを吹いている。2枚の正規盤が時間の制約を受けながら演奏している感じがする(レコード発売用?)のに対し、「コンプリート」はドルフィーが長めのソロを吹く長めの曲も収録されており、全体に重厚感が漂い、決して落穂盤にはなっていないのでドルフィーファンにはマストかもしれない。(hand)
John Coltrane(ss,ts), Eric Dolphy(as,b-cl,fl), McCoy Tyner(p), Jimmy Garrison, Reggie Workman(b), Elvin Jones(ds)
61〜63年のコルトレーンのヨーロッパ・ツアーの放送用録音をパブロが集大成した7枚組で、マイルスのブートレグ・シリーズのようなもの。ドルフィーは61年11月初めのバンガードに引き続き11月18日パリ、23日ストックホルム、25日ハンブルグのみに参加している(Disc1とDisc2前半の全9曲)。Disc1②⑥2③マイ・フェイヴァリット・シングス、ではドルフィーの長いフルートソロが聞かれるのが貴重だ。1③ブルー・トレイン、のドルフィーはアルト。1④ネイマ、はバスクラ。Disc2①ミスターPC、ではアルト。いずれも音は悪くなく、バンガードにはない選曲が多くあり、十分に楽しめると思う。(hand)
John Coltrane(ss,ts), Eric Dolphy(as,fl:①③④), McCoy Tyner(p), Jimmy Garrison(b), Elvin Jones(ds)
ヨーロッパ・ツアーから帰国し、翌年2月にバードランドに出演したコルトレーン。ドルフィーは公表された録音上はこの日でお別れとなる3曲。CDには4曲入っているが②身も心も、はドルフィー退団後の6月の録音。①マイ・フェバリット・シングス、ではドルフィーはフルート、他の2曲はアルトで、③ミスターPC、はコルトレーンとドルフィーがテーマでハモっているだけで感動できるし、ドルフィーのソロが物凄く、その後の2回目のコルトレーンのソロがドルフィーに刺激されたのか大変なことになる。④マイルス・モード(レッド・プラネット)、も激しさ満載だ。全体に音は悪いが、好感の持てる盤だ。(hand)
Pony Poindexter(as,ss),
Eric Dolphy(as:6,10), Gene Quill, Sonny Red, Phil Woods(as),
Dexter Gordon, Jimmy Heath, Clifford Jordan, Billy Mitchell, Sal Nistico(ts), Pepper Adams(bs), Tommy Flanagan, Gildo Mahones(p), Ron Carter, Bill Yancey(b), Elvin Jones, Charli Persip(ds)
アルトのポニー・ポインデクスターの不思議盤の全11曲中3曲に参加。ドルフィー系とも言えるソニー・レッドも同セッションに参加しているので3アルト間のどんな絡みがあるかと期待するが、テナーも3人参加で、3アルトのチェイスなどはない。(hand)
Benny Golson(arr,cond),
Bill Evans(p), Ron Carter, Paul Chambers(b), Charlie Persip, Jimmy Cobb(ds)
Jazz Band - Right Channel
Freddie Hubbard, Bill Hardman(tp), Curtis Fuller, Grachan Moncur III(tb), Eric Dolphy(as), Wayne Shorter(ts)
Pop Orchestra - Left Channel
Ray Alonge, Bob Northern(French horn), Jerome Richardson(fl), Danny Bank(fl,bs), Lou Cranston(ts), Julius Held, Hanry Lokofsky, George Ockner, Gene Orloff(vln), Harold Goletta(viola), Charles McCracken(cello)
ドルフィーとは究極の立ち位置にいる感じのするベニー・ゴルソンが編曲・指揮の大編成盤。ドルフィーはオールスターの一員で特に目立つことはない。イージーリスニングに近いと思う。(hand)
Charles Mingus(b),
Ed Armour, Rolf Ericson, Lonnie Hillyer, Ernie Royal, Clark Terry, Richard Williams, Snooky Young(tp),
Eddie Bert, Jimmy Cleveland, Willie Dennis, Paul Faulise, Quentin Jackson, Britt Woodman(tb),
Romeo Penque(oboe), Danny Bank(b-cl),
Buddy Collette, Eric Dolphy, Charlie Mariano, Charles McPherson(as),
George Berg, Zoot Sims(ts), Pepper Adams, Jerome Richardson(bs),
Warren Smith(vib,perc), 秋吉敏子, Jaki Byard(p), Les Spann(gr),
Milt Hinton(b), Dannie Richmond(ds), Grady Tate(perc),
Bob Hammer, Gene Roland(arr), Melba Liston(arr,cond)
当初1962年に「タウン・ホール・コンサート」としてユナイテッド・ステイトから出され、94年に5曲追加されブルーノートから「コンプリート」がタイトルに付きCD化された。「タウン・ホール・コンサート」には全く別のもう一種類があり、2年後の64年にミンガス自身のジャズ・ワークショップ盤だがファンタジーからCD化されている。こちらに「コンプリート」が付いたので多少区別しやすくなった。コンプリートは、30人の大編成盤で、ピアノに我らが秋吉敏子が参加しているが、ジャッキー・バイアードも参加しているので、⑦にピアノソロはあるが聞き分けは難しい。ドルフィーは両盤ともに参加している。(hand)
Louis Mucci, Herb Pomeroy, Nick Travis(tp), Mike Zwerin(tb), Bob Northern, Robert Swisshelm(French horn), Harvey Philips(tuba), Robert DiDomenica(fl,piccolo), Wally Kane(fl,bassoon), Ray Shiner(oboe), Don Stewart(cl,basset horn), Eric Dolphy(as,fl), Phil Woods(as,cl), Don Ashworth(bs,oboe), Gerald Beal, Nathan Goldstein, Gino Sambucco, Jerry Widoff, Philipp West, oboe, English horn; Alfred Breuning(vln), Julian Barber, Selwart Clarke, Aaron Juvelier(viola), Alla Goldberg, Joseph Tekula(cello), John Lewis(p,director,composer), Jim Hall(gr), Richard Davis(b), Connie Kay(ds), Sticks Evans, Michael Colgrass(perc), Gary McFarland(perc,composer), Gunther Schuller(cond)
ドルフィーとジョン・ルイスの共演の第4作で、ルイスがガンサー・シュラーとサード・ストリーム・ミュージックを演奏するために結成したオーケストラU.S.A.のデビュー盤。モダンジャズのアルト奏者の中で私が考えるオーソドックスなプレイで最も上手いフィル・ウッズとフリーキーなプレイが最も上手いドルフィーが参加している。ウッズは①②で、ドルフィーは④マイルサイン、⑦ドニーのテーマ、で素晴らしいソロを聞かせている。(hand)
Freddie Hubbard(tp),
①④⑤:Wayne Shorter(ts), Curtis Fuller(tb), Eric Dolphy'as,fl), Cedar Walton(p), Reggie Workman(b), Louis Hayes(ds)
②⑥⑨:Clark Terry, Ernie Royal, Al DeRisi(tp), Curtis Fuller, Melba Liston(tb), Eric Dolphy(as,fl), Seldon Powell, Jerome Richardson(ts), Charles Davis(bs), Robert Powell(tuba), Bob Northern(French horn), Cedar Walton(p), Reggie Workman(b), Philly Joe Jones(ds), Wayne Shorter(arr,cond)
③⑦⑧:Ed Armour, Richard Williams(tp), Curtis Fuller, Melba Liston(tb), Eric Dolphy(as,fl), Jerome Richardson(bs), Bob Northern, Julius Watkins(French horn), Cedar Walton(p), Reggie Workman(b), Philly Joe Jones(ds), Wayne Shorter(arr,cond), strings
フレディ・ハパードの大編成盤で、フレディが熱いソロを聞かせている。前出ゴルソン盤ほどではないのだが、やはりイージーリスニング的になっている。ドルフィーのフルートが聞こえたりはするがアンサンブル要員であることに変わりはない。(hand)
Charles Mingus(b,p), Richard Williams(tp), Don Butterfield(tuba), Jerome Richardson(ss,bs,fl), Dick Hafer(ts,fl,oboe), Jaki Byard(p), Bob Hammer(arr,orchestrator)
①,④-⑧:Eddie Preston(tp), Britt Woodman(tb), Booker Ervin(ts), Eric Dolphy(as,fl,b-cl), Walter Perkins(ds)
②③:Rolf Ericson(tp), Quentin Jackson(tb), Charlie Mariano(as), Jay Berliner(gr), Dannie Richmond(ds)
ミンガスのインパルスからのエリントン・トリビュート盤。ブッカー・アービンがベン・ウェブスターかポール・ゴンザルベス、チャーリー・マリアーノがジョニー・ホッジス的な役割をこなしている。マリアーノは後年は音が濁り私は聞く気がしないが、この盤ではこれ誰?というくらい艶やかなアルトを聞かせている。ドルフィーの活躍する場面はラスト曲⑦ホラ・デクビタス、のみと少ない。(hand)
・新宿ジャズ談義の会 :エリック・ドルフィー CDレビュー 目次