最期の時期も多くの偉大なミュージシャンとの共演記録を遺しました。旧知のソニー・クリス、アート・ペッパー、デクスター・ゴードンなどです。新しいタイプのネイザン・デイビスらとも録音するなどホーズは最後まで幅広く活動しました。
・新宿ジャズ談義の会 :ハンプトン・ホーズ CDレビュー 目次
・Hampton Hawes CDサイド作③・・・このページ
Sonny Criss(as,ss),
⑧-⑫:Hampton Hawes(p), Clarence Johnson(b), Frank Butler(ds)
ソニー・クリスの海賊的な寄せ集め盤の後半5曲に参加。海賊的な盤だが、この5曲はクリスがデモ用に作ったスタジオ録音のようだ。ただ、元テープが失われたのか、アナログ起こしのプチノイズが入る。とは言ってもも内容は素晴らしく、私の愛聴する10年後のクリスの名盤「サタデー・モーニング」に近い雰囲気を持ち、サタデー・モーニングも演奏されている。ホーズはデビュー時の1947年にもクリスと共演しているが、この時期には2人ともスタイルが変わり、それはそれで好ましい共演になっている。(hand)
Nathan Davis(ss,ts,fl), Hampton Hawes(p), Jimmy Garrison(b), Art Taylor(ds)
コルトレーン派のテナー、ソプラノ&フルートのネイサン・デイビスとの共演盤。ホーズは、コルトレーンとの共演盤はなく(共演経験もない?)、ベースはコルトレーン退団後のジミー・ギャリソン、ドラムは若きコルトレーンと多数共演したA.T.なので、この盤が最もコルトレーン的な盤になると思う。バッキングに多少マッコイを意識しているような感じもするが、全体として後期ホーズらしいスタイルが貫かれている。コルトレーン派の盤がコルトレーンを超えることはなかなか難しいが、特にフルートの④マンディンゴズ・パッド、が良く、全体としてもそれなりの水準には達していると思う。(hand)
Johnny Griffin(ts), Hampton Hawes(p), Jimmy Woode(b), Kenny Clarke(ds),
Dexter Gordon(ts③)
ジョニー・グリフィン4+デクスター・ゴードンのローマ録音。デックスの参加は3曲中ラスト1曲③ブルース・アップ・アンド・ダウンのみの、テーマを一緒に吹く程度の共演だ。ピアノは、このメンバーであれば、通常はケニー・ドリューあたりだが、たまたま渡欧していたホーズが参加したという感じかもしれない。全曲とも長尺だが、テナーソロが長く、ホーズのソロは(カットされたのか?)ない。(hand)
Pedro Iturralde(ts,bs,ss,fl), Hampton Hawes(p), Eric Peter(b), Peer Wyboris(ds)
スペインのテナーの名手、ペドロ・イトゥラルデとのマドリード録音。ベース&ドラムは、同じマドリードのテテ・モントリューとの共演の多い2人。ホーズ曲②ブラック・フォレスト・ブルースをフルートで演奏し、ホーズもイキイキとソロとバッキングを弾いている。(hand)
Sonny Criss(as), Hampton Hawes(p), Monty Budwig(b), Shelly Manne(ds)
欧日楽旅から帰米しての初録音。ソニー・クリスもホーズと同じく麻薬禍?でしばらく引退した後に復活している。この盤は復活後にプレステッジに吹き込んだ7枚の中のラスト盤。懐かしい西海岸のメンバーとの共演だ。この時期のホーズは若き日のクリス共演時とはスタイルが変わっているが、この盤ではクリスに合わせたのか、あまりモーダルな感じは出していない。タイトルどおりの明るい作品で、2人にはあまり合っていないように思う。(hand)
1972.9.6 & 11.27
Milestone
おすすめ度
hand ★★★
Michael Howell(gr), Hampton Hawes(p,el-p), Henry Franklin(b), Leon Chacler(ds), Tom Nicholas(conga)
マイケル・ハウエルという私の知らなかったギタリストのデビュー盤のようだ。マイルストーンからオリン・キープニュウズのプロデュースなので、かなり期待の新人だったのだろう。シングルトーンで金属的な音色なので、グラント・グリーンからスタッフのコーネル・デュプリーあたりにつながる系譜の人のように感じたが、ギターに詳しくないので的外れかもしれない。内容は70年代ジャズという感じで、ホーズもエレピを中心に弾いている。ベースのニンブーとはヘンリー・フランクリンらしく、ドラムのンドゥグはレオン・チャンクラーだ。(hand)
Sonny Stitt(as,ts), Hampton Hawes(p), Reggie Johnson(b), Lenny McBrowne(ds)
バッパー時代のホーズのスティットとの録音であれば全く違和感はなかったが、この時期のホーズがなぜスティット?という感じはする。同じプレスティジ所属ということだけが理由のように思える。ホーズはスティットを立ててバッパーに徹していて、ホーズでなくてもよかったかも、と思ってしまうが、バッパーとしてのホーズの再演も悪くない。(hand)
Gene Ammons(ts), Hampton Hawes(el-p), Bob Cranshaw(el-b), Kenny Clarke(ds), Kenneth Nash(conga)
⑤:Nat Adderley(cor), Cannonball Adderley(as), Dexter Gordon(ts)
「プレイン・イン・ザ・ヤード」の同日、ボステナー、ジーン・アモンズのリズム隊として、モントルー・フェスに出演した記録。「プレイン」の3人にコンガでケネス・ナッシュが加わっている。ゲストとなるフレンズは、これも同日「ブルース・ア・ラ・スイス」を録音したデクスター・ゴードン、そして初共演?のアダレイ兄弟という超豪華なメンバー。ただ、ゲストの参加はラスト曲⑤トゥルー・ブリューのみで、それ以外はアモンズのワンホーンなのでホーズのソロ(エレピ)も十分に聞かれる。(hand)
1973.7.7
Prestige
おすすめ度
hand ★★★☆
Dexter Gordon(ts), Hampton Hawes(el-p,p), Bob Cranshaw(el-b), Kenny Clarke(ds)
「プレイン・イン・ザ・ヤード」の同日に、デビュー時代に共演したデクスター・ゴードンのリズム隊として、モントルー・フェスに出演した記録。ホーズは、エレピに特化している。デックスは、エレピとの共演は少ないと思うが、鷹揚な人らしく全く関係なさそうにいつものブローを聞かせてくれる。ホーズは、エレピのみでストレートアヘッドなジャズに挑戦ということになるが、これはこれで意外と悪くない。マイルスで知られるジミー・ヒースのA①ジンジャー・ブレッド・ボーイ、はとても魅力的な演奏になっている。この時期、同メンバーよるロスでのカルテット録音がアップ・フロントという海賊レーベルにもあるようなので、これも加えて是非CD化してほしい。(hand)
Art Pepper(as), Hampton Hawes(p), Charlie Haden(b), Shelly Manne(ds)
コンテンポラリーからのアート・ペッパーの復活盤に参加したホーズ。チャーリー・ヘイデン、シェリー・マンとのリズム隊で、ホーズとマンは、ペッパーのデビュー当時の共演仲間だ。新たに加わったヘイデンの深い音色のベースが盤のカラーをかなり作っている。ペッパーのソロにコルトレーン的なフリーキーな要素が加わったとされるが、後期ペッパー独自のスタイルになっていると思う。ホーズは全6曲中3曲でエレピを弾いている。 ③ホワット・ローリー・ライクス、は8ビート曲で70年代感がある。④ミスター・ヨヘ、はエレピ併用の4ビート。⑥ サンバ・モン・モン、はデイブ・グルーシンに聞こえてしまう。ペッパーにエレピはあまり合わないように思う。生ピの3曲は、演奏には合っているが、残念ながらエレピに比べてあまり目立っていないように思う。チャーリー・ヘイデンとの「アズ・ロング・アズ…」のライナーには、ホーズがエレピに乗り気ではなかったが当時のプレステッジの商業主義で仕方なく弾いたようなことが書いてある。ならは、なぜコンテンポラリーのペッパー盤でさらにエレピを弾いたのか?その辺は謎だ。(hand)
Art Farmer(flh), Art Pepper(as①③④⑥), Hampton Hawes(p), Ray Brown(b), Shelly Manne(ds④⑥), Steve Ellington(ds①③⑤)
初期に共演を繰り返していたアート・ファーマー盤に参加。珍しいペッパーとのWアートの共演盤だ。リズム隊は、ホーズの他、レイ・ブラウン、シェリー・マン(一部スティーヴ・エリントン)という西海岸の強力なメンバー。ブラウンとの共演はホーズは初めてだと思う。ジャケはポップ路線だが内容はオーソドックスなジャズだ。ホーズは、ファーマーのフリューゲルの優しい演奏に対し、美しくピアノ伴奏することに職人的に徹しているように思われる。(hand)
1976.11.23
RCA
おすすめ度
hand ★★★
Irving Ashby, John Collins(gr), Hampton Hawes(p), John Heard(b), Billy Higgins(ds)
亡くなった77年の録音は、2022年現在発売されているものはなく、ギターのオムニバス盤で、アービング・アシュビーとジョン・コリンズのツインギターの76年11月23日のサイド録音2曲がラストとなる。2枚組LPでジョー・パスのジョン・ルイスの名曲ジャンゴからリー・リトナーのフュージョン的な演奏まで入っている。ホーズの入った2曲は、シヴァースとファンクビルU.S.A.で、前者はチャーリー・クリスチャンとライオネル・ハンプトン曲で、後者はレナード・フェザーの曲。ギターは2人ともジャズ系で、私は知らない人なので、聴いても区別できないが、どちらもなかなかいい。アシュビーはナット・キング・コールやオスカー・ピーターソンとも共演した人のようだ。コリンズも同様にコールと共演しており、どちらもチャーリー・クリスチャンの流れを汲むスタイルだと感じた。ホーズは、硬質なプレイでいい感じだ。(hand)
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