ここではハンク・モブレーのデビューから1957年までを一つの区切りとして掲載しています。
初録音は1953年のマックス・ローチのデビュー盤。 しかし!いきなりワンホーンです。
※デビューレーベルのマックス・ローチ盤が初録音
それ以降もディジー・ガレスピー、ホレス・シルバー、ジャズ・メッセンジャーズと名門を渡り歩き、サイド作はかなりあり充実した演奏が聴ける作品があります。
このページではリーダー盤のみに絞ったので、55年以前のリーダー作はブルーノートの初リーダー作のみ(1.のニューアークのライブは発掘音源で、実質的にはリーダー盤ではない)で、作品としては56年と57年にリーダー盤が量産されていきます。
新宿ジャズ談義の会:ハンク・モブレー CDレビュー 目次
・ハンク・モブレー 主要リーダー作 1 1957年まで・・・このページ
Hank Mobley(ts),Bennie Green(tb),Walter Davis Jr.(p),Jimmy Schenck(b),Charlie Pership(ds)
1953年のモブレーは、既にその後とあまり変わらないプレイヤーとして確立している。バッパーというよりハードバッパーだ。ビバップの慌ただしい感じはない。トロンボーンのベニー・グリーンが共同リーダー的なセッションと思われる。ドラムのチャーリー・パーシップがやや前乗りなのが残念だが、いいライブではある。(hand)
2012年に発掘された音源で、非正規録音盤だが、音質は許せる程度の悪さ・・。ライブでの長尺演奏なので、最初期のモブレーのスタイルがバッチリ聴けてしまう。ブルーノートのデビュー盤でもすでにモブレーらしさは出ていたが、それより二年前なのにすでにモブレーらしさが充分感じられるソロだ。実質的にはトロンボーンのベニー・グリーンのバンドなのではないかと思う。トロンボーンが全面的にフィーチャーされている。(しげどん)
Hank Mobley(ts),Horace Silver(p),Doug Watkins(b),Art Blakey(ds)
初リーダー作の10インチ盤。彼の作品でアルバム単位で完全なワンホーンカルテットの正規盤はこのデビュー作とソウルステーションの二枚だけ。6曲中5曲が彼のオリジナルなので作曲家としての才能も見せたデビュー作で、50年代までのソロの魅力をすでに備えている。正式には12インチ化されなかった。(しげどん)
JAZZはやたら長い曲が多いが、このアルバムに収められている8曲は、全て4分程度と比較的短い曲が多く、小気味良い演奏が楽しめる。(ショーン)
ちょっとパワー不足のロリンズ のような印象の盤だ。下手というのではなく、風圧がやや弱い感じなのだ。これはこれで、慣れれば悪くない。JMでも取り上げた「アヴィラ・アンド・テキーラ」は、名作だ。(hand)
※Avilla & Tequilla は カフェ・ボヘミアのメッセンジャーズVOL.2で熱演
Hank Mobley(ts),Donald Byrd(tp),Ronnie Ball(p),Doug Watkins(b),Kenny Clarke(ds)
そもそもこのアルバムはモブレーのリーダー作ではなく、アナログ盤のタイトルは単に 「ザ・ジャズメッセージ」だった。ジャケット表面はofのあとにミュージシャン名が列記されているがモブレーはバードに次ぐ二番目に記載。しかも彼の参加はA面のみ。たぶんノーマングランツジャムセッションのような企画だったのでは?ジャケット写真がモブレーなので、いつのまにかモブレー盤とされてきたが、タイトルから期待もしてしまうので、このようなアンマッチな感じは避けてほしいものだ。ジャムセッションとして聴くならそれなりに楽しめる。(しげどん)
リーダー盤とはいえ、ブローインセッションっぽい。集中して聞こうと思っても、聞き流してしまう。後半のモブレー抜きの、ジョン・ラポータのセッションの方がいい。(hand)
Hank Mobley(ts),Donald Byrd(tp),Jackie Mclean(as),Barry Harris(p),Doug Watkins(b),Art Taylor(ds)
なぜかこの日元気のいいアート・テイラーのおかげかモブレーも元気が出ている。Alternating Currentのみは、音が悪く残念で、この曲がなければ、もう1ランク上の初期必聴名盤だ。(hand)
マクリーンの「4,5&6」と同日に録音された姉妹盤。ピアノ以外は同じメンバーのこちらもカルテット、クインテット、セクステット。セクステットはマクリーン盤と同じようにパーカーの曲をやっていてなかなか快調。聴きなれたビバップ曲中心の選曲なので聴きやすくモブレーのソロにも愛着が持てる。(しげどん)
軽快な演奏だが、なんとなくバラバラとした印象。一週間後に演奏したとされる2nd MESSAGEの方がかなり良い。メンバーも多少違うが、暖機運転中といったところか?(ショーン)
同一日の録音で、同じくセクステットでパーカー曲をやっているマクリーンの人気盤「4,5&6」 →レビューはこちら
Hank Mobley(ts),Donald Byrd,Lee Morgan(tp),Barry Harris,Hank Jones(p),Doug Watkins(b),Art Taylor(ds)
ジャムセッション「ジャズ・メッセージ」シリーズの第二弾で、これもホントはモブレーがリーダーではない。ジャケ写真のモブレーもサボイの編集方針が理解できず悩んで頭を抱えている?リー・モーガンのセットは「イントロデューシング・リー・モーガン」と同一セッション。モブレーは自分のオリジナルも共演者を引き立てるように作曲しているように思えてならない。(しげどん)
いわゆる正統派ハードバップで、悪くない。が、特段、良くもない(笑)。ただ、19歳のリー・モーガンが天才だということはわかる。(hand)
ミディアムテンポのブルース中心のアルバム。リーモーガン 、ドナルドバードといったトランペット名手も参加しているが、やや大人しく収まり、山を作りきれていない印象。(ショーン)
Hank Mobley(ts),Kenny Dorham(tp),Walter Bishop(p),Doug Watkins(b),Art Taylor(ds)
トランペットを入れるなら、バードやモーガンより、ほのぼの感のあるドーハムの方がモブレーには合っていると思う。明るい感じの楽しいセッションになっている。 (hand)
軽やかなケニードーハムのトランペットと、出過ぎないアートテイラーの正確なドラミングに自然体で演奏するハンクモブレー。モブレーの演奏にはアートブレイキーよりテイラーのドラムの方がしっくり来る。少し荒削りな各員のソロワークもリアルで生々しくて、1956年当時のハードバップを肌で感じることのできる良いアルバムだ。(ショーン)
この作品はクインテットで統一感があり、演奏も聴きやすいハードバップセッションだ。特に企画に特徴があるわけではないが、モブレーやケニー・ドーハムのソロをシンプルに楽しめるなかなかの佳作だ。(しげどん)
Hank Mobley(ts),Donald Byrd,Lee Morgan(tp),Horace Silver(p),Paul Chambers(b),Charlie Pership(ds)
バードとモーガンの二人を聴き比べるには面白いアルバムだが、モブレーはリーダーの割にソロの出番が多いわけではない。アルフレッドライオンは、モブレーをソロイストとしてよりも、作編曲者とバンドリーダーとして仕立てようとしたのではないか?とにかくBN1500番台の作品は彼のオリジナル曲が多いのにソロの出番は控えめの作品が多い。このアルバムも曲は全部彼のオリジナルだが、二人の新進気鋭のトランペッターの対決を盛り上げるための素材であり、モブレーはその行司役みたいだ。(しげどん)
Hank Mobley(ts),Milt Jackson(vib),Horace Silver(p),Doug Watkins(b),Art Blakey(ds)
ミルト入りのセッション。モブレーがリーダーらしく最初にソロをとる。勢いもあり好感だ。トランペットがいないのが、プラスになっている。ブレイキー、シルバー、ワトキンスという旧JMの顔合わせもいい効果が出ている。ブレイキーは、モブレーを煽って火をつけるのがうまい。ミルトは、やはり素晴らしいソロだ。(hand)
モブレー、ミルトともにソロは快調。でも折角のミルト・ジャクソンという贅沢なゲストなのに一曲目はテナーとバイブラフォンがあまりマッチしていない印象を受けた。すべて通して聴くとやはりテーマ部分からテナーを吹く曲の方が良く感じる。ミルトのソロももちろんいいのだが、モブレーの作品としては完全なワンホーンカルテットでやって欲しかった。この作品も曲は全部モブレーのオリジナルだ。(しげどん)
軽快なreunionからスタートする本盤は、ホレスシルバーのリズミカルなピアノとミルトジャクソンのメロディアスなヴィブラフォンに支えられたハンクモブレーが、肩の力を抜いた柔らかな演奏を披露しており、耳に心地よく響く。(ショーン)
Hank Mobley(ts),Art Farmer(tp),Horace Silver(p),Doug Watkins(b),Art Blakey(ds)
モブレー作のカッコいい曲①ファンクインディープフリーズから始まる。モブレー作の2大名曲の一つだと思う。ただ、リーダーのモブレーは、あまり目立たない。ソロも、トランペット、ピアノ、ベースの次だ。ソロ内容は、悪くないのだが、いかんせん録音も含めて地味過ぎる。それ以外は、ブローイン・ハード・バップ・セッション。アート・ファーマーがリーダーと言われれば、そう聞こえる曲も多い(hand)
ようやくモブレーのリーダー作らしくなってきた作品だが、まだモブレーは控えめ。このアルバムも全曲がモブレーのオリジナルだが印象は渋い。リズムセクションは彼にフィットする初代ジャズメッセンジャーズであり、モブレーはブレイキーとシルバーのバックで自分らしくソロを展開する。(しげどん)
5曲目のFin de L'affaireの気だるいテナーが印象的。スモーキーな情景、世界観を上手く表現していて浸れる。ただ残りの曲が弱い。さらりと聞き流してしまいそうで、特徴に乏しいという評価だろうか?(ショーン)
Donald Byrd(tp),Hank Mobley(ts),John Jenkins(as),Bobby Timmons(p),Wilbur Ware(b),Philly Joe Jones(ds)
原文ライナーにはブローイング・セッションという説明がある通りブルーノートらしいセッションであり、それを仕切ったのがモブレーだった。そこで全面的にでしゃばらないところがモブレーらしく歯がゆいところでもある。B面はスタンダード集だが、これが意外とぱっとしない。後年の作品中のスタンダードような味があればもっと名盤化したのにと思うのだが・・
それにしてもこの時期のハンク・モブレーのアルバムタイトルはハンク、ハンクモブレー、ハンクモブレークインテットなどとテキトーすぎるので、検索に苦労する。(しげどん)
ジョン・ジェンキンスとドナルド・バードの活躍で、想像どおり、モブレーはかすみがちだ。掘り出しものを期待したが、演奏はまずまずなのに、選曲がパッとしない。(hand)
Hank Mobley(ts),Curtis Porter(as),Bill Hardman(tp),Sonny Clark(p),Paul Chambers(b),Art Taylor(ds)
Mighty Moe&Joeのファンキーなノリでテンポ良く始まり、続くFalling in Love with Love、Bag's Grooveともモブレーとソニー・クラークの息の合った絡みが心地良い。メロディラインが美しく、無駄な音が無く、シンプルに構成されているので、聴いていて本当に心が休まる。名盤だ!(ショーン)
このアルバムは異色作。タイトルは「ハンク・モブレー」だが、「カーティス・ポーター」と言えるような内容。冒頭曲はいきなりポーターのオリジナルで彼のアルトが炸裂。モブレーのリーダー作なのに珍しく彼のオリジナルは1曲だけ。それくらいポーターが作曲と演奏に燃えている。ポーターはアルトだけでなくテナーでもモブレーと容易に区別できる強烈な個性で、スピーカー対峙で聴くとツバがかかって来るようだとなんかの本で読んだ記憶がある。JBLでオリジナル盤を聴きたくなる気持ちがわかるブルーノート1500番台を象徴するようなマニアックな一枚。ソニー・クラークも熱演。(しげどん)
カーティス・ポーターという、この盤以外であまり聞かれない珍しいアルトとビル・ハードマンが活躍する。モブレーも比較的元気でいい。バグス・グルーブも楽しい。(hand)
Kenny Dorham(tp),Hank Mobley(ts),Sonny Clark(p),Jimmy Rowser(b),Art Taylor(ds)
ケニー・ドーハムが好調だ。初代JMのフロントとソニー・クラークのトリオの組合せで、悪い盤となる確率は低い。(hand)
ソニー・クラークの存在で有名な発掘盤。もちろん内容はオーソドックスなジャズで演奏内容も悪くはない。(しげどん)
※このアルバムはオクラ入りしていた発掘音源で、日本で東芝EMIのジ・アザー・サイド・オブ・Blue Note1500シリーズとして「Hank Mobley Quintet Featuring Sonny Clark」のタイトルで発売され、後年CD化の際に、発掘者マイケル・カクスーナが「カーテン・コール」と名付けて再発売されたものです。
Hank Mobley(ts),Art Farmer(tp),Pepper Adams(bs),Sonny Clark(p),Paul Chambers(b),Philly Joe Jones(ds)
モブレーが全盛期に差し掛かりつつあることを示す傑作盤。まずはB面最後のイースト・オブ・ブルックリンから聴いて欲しい。哀愁に満ちたテーマから彼のソロがスタートするあたりの語り口は、モブレー節全開で泣かせる。ほかのトラックもいいが、いつもどおりのスロースタートぶりなのだ。クラークも好演だしアダムスのバリトンもいいアクセントだ。(しげどん)
モブレーは、62年は録音がなく、63年以降の盤は、海賊ライブ以外は基本的にジャズロック盤で、好きになれない。未発盤は、モーダルだったり、4ビートだったり、売れないと判断されたのだと思うが、正規盤に比べて悪いものではない。61年以前の未発盤は「カーテン・コール」(57)、本盤(57)、「アナザー・ワークアウト」(61)の3枚の従来型のハードバップ盤で、未発理由が不明な良盤ばかりだ。本盤は、ソニー・クラークの「クール・ストラッティン」からマクリーンがモブレーに変わり、バリサクが加わる形なので、悪い盤のわけがない。(hand)
表題曲は、いかにもモブレーらしい曲。アダムスのグリグリとしたバリトンが面白い効果を加えており、テナー、トランペットとの一体感もある。続くDarn That Dreamは一転してバラード。モブレーの哀愁漂うテナーに、ミュートされたファーマーのトランペットが雰囲気を助長しており、素晴らしい出来。特に曲の最後でブレイクしてのモブレーのソロは聴き応え十分。(ショーン)
新宿ジャズ談義の会:ハンク・モブレー CDレビュー 目次
・ハンク・モブレー 主要リーダー作 1 1957年まで・・・このページ