シルバーのサイドマンとしての最初期の活動は、クリフォード・ブラウンを擁したアート・ブレイキー・クインテットが代表的ですが、この他にも、マイルス・デイビスの「ウォーキン」や「バグス・グルーブ」後半など、早くから素晴らしい活躍を見せていました。
Vol.1:8-15,Vol.2:1-6
Stan Getz(ts), Horace Silver(p), Joe Callaway(b), Walter Bolden(ds)
Vol.2:7-11:
Stan Getz(ts), Horace Silver(p), Jimmy Raney(g), Leonard Gaskin(b), Roy Haynes(ds)
レンジが狭く音の輪郭がはっきりしないこの盤。だがしかし、特にVol.1冒頭のオン・ジ・アラモが気に入りよく聞いた。改めて聞いても、しみじみ感の漂ういい演奏だと思う。若きゲッツがあえて若さ溢れさせず肩の力が抜けたクールな演奏だ。シルバーやデューク・ジョーダンなどバッパーが入っているが、皆エレガントなピアノを弾いていて、個性的過ぎない。(hand)
この作品はスタン・ゲッツの最高傑作の部類に入る名盤だ。2枚組LPとして発売されたのは今から40年以上前になるが、当初は馴染みやすいものではなかった。ジャズ聴き始めの頃はスタン・ゲッツはロリンズやコルトレーンに比べて難しいと感じたものだ。が、今ではソロの緻密な完成度に聴き惚れてしまい、無条件にいい演奏だと思える好きな演奏になっている。ホレス・シルバーの甘さを抑えて硬質なピアノが実に良くマッチしている。(しげどん)
①-④:Kai Winding(tb), Don Elliott(mellophone), Sonny Stitt(as,ts), Sid Cooper(ts,piccolo), George Berg(bs), Horace Silver(p), Charles Mingus(b), Don Lamond(ds), Johnny Richards(arr,cond)
スティットのルースト第1作の10インチ盤。自らビッグ・バンドを率いたり、ケントン楽団にアレンジを提供したジョニー・リチャーズのアレンジするオーケストラをバッグにスティットがアルトとテナーを気持ち良さそうに吹いた盤。シルバーは前半の4曲に参加。トロンボーンのカイ・ウィンディングのソロは確認したが、シルバーのピアノはほとんど目立たない。CDのおまけは、東芝EMI盤は「ハイハット・クラブ」が入り、フレッシュサウンド盤は「ペン・オブ・クインシー」が入っている。(hand)
Howard McGhee(tp), Gigi Gryce(as,fl), Tal Farlow(gr), Horace Silver(p), Percy Heath(b), Walter Bolden(ds)
ブルーノートの10インチ盤。セクステットの編成は意外にもジジ・グライスの珍しいフルートとタル・ファーロウのギターから始まる。グライスは別曲では当然アルトも吹く。ブルーノートのマギーの10インチなので、バリバリのビバップ盤かと思うと、モダンな感じの演奏だ。53年のマギーはビバップを卒業し、かなり新しいところにいたのだと思う。シルバーも新しさに貢献している。CDはギターのタル・ファーロウとの2in1盤「ハワード・マギーVol.2/タル・ファーロウ・カルテット」で出ている。(hand)
Al Cohn(ts),
①②⑤⑥:Nick Travis(tp), Horace Silver(p), Curly Russell (b), Max Roach (ds)
ピアニストがシルバーとジョージ・ウォーリントンの2つのセッションからなる盤。アル・コーンは私の中ではズート・シムズと双子の兄弟のようなテナー。2人ともレスター・ヤング直系でモダンというよりも中間派だと思う。アルのほうが音色が微妙に粗い感じか。なので、このセッションも中間派的だが、アルのいないイントロやシルバーのソロではモダンな感じになる。(hand)
Clifford Brown(tp),Lou Donarldson(as),Horace Silver(p),Curley Russel(b),Art Blakey(ds)
ハードバップの夜明けを記録した1枚。ライブなのに、しかも夜明けからこんなに完成度の高いモダンジャズだ。特にルー・ドナルドソンをその後のブルージー&ファンキーなアルトと思って聞くと、あまりのバッパー振りに驚く。ブラウン以上にこの盤では主役級の活躍だ。アート・ブレイキーの扇動のおかげだと思う。ただ、当然のごとく、ブラウンは素晴らしい。最近のCDは、頭のMCとの間に切れ目を入れ、スプリット・キックを2曲目にしてくれたので、繰り返して聞くためのハードルが下がってありがたい。メモリアルのストックホルム・スイートニンとこの曲が、私のブラウンの二大愛聴曲だからだ。(hand)
ジャズライブの楽しさ、熱気、が無条件で味わえる傑作レコード。ブラウニー、ルウドナ、ホレス・シルバーの最高のソロを記録した54年とは思えない良好な録音がライブ録音として最高の臨場感を作り出している。ぜひアナログで、大音量で聴いて 、ジャズに酔いしれてほしい。ピーウィーマーキットの司会とブレイキーの曲名紹介は、この夜のドラマを演出する ために意図的に記録され、この夜はa nightではなくジャズ史に残るthe nightになったのはご存知の通り。世界中のジャズファンはアルフレッド・ライオン様に感謝するしかありません。(しげどん)
1-4:Henry Durant(ts), Horace Silver(p), Percy Heath (b), Art Blakey(ds)
「コンプリート・オン・エマーシー」の日本盤LPとCDでしか聞けないと思われる54年3月24日録音の貴重な4曲。米盤は同ジャケだがこのセッションが入っていない。ブレイキー、シルバー、パーシー・ヒースに名前を聞いたことのないテナーのヘンリー・デュラントを含むカルテット。テナーはちょい中間派的で音色はホーキンスのようだが悪くない。ブレイキーとデュラントの共作2曲とスタンダード2曲なので、ブレイキーとデュラントの双頭リーダーセッションではないかと思う。シルバーは脇役に徹している感じだが、④オン・ザ・ルーフでのソロは後年とほとんど変わらないシルバーらしさがもう出ている。(hand)
A①②B①②:Phil Urso(ts), Bob Brookmeyer(vtb), Horace Silver(p), Percy Heath(b), Kenny Clarke(ds)
リーダー作の少ないフィル・アーソのサボイ盤に全13曲中4曲にシルバーが参加。アナログAB面の冒頭に置かれた各2曲のフィル・アーソ=ボブ・ブルックマイヤー5の演奏で、なかなかいい演奏だ。アーソは強烈な個性はないが、スタン・ゲッツの「ルースト」に似た雰囲気を感じた。シルバーもシルバーらしいゴツゴツした感じのいいソロを各曲で聞かせる。フレッシュサウンドからCD化され、アーソの録音を年代順に収録した「The Philosophy of Urso/Phil Urso's 1953-1959 Sessionns」が出ている。(hand)