このページでは、マクリーンのブルーノート移籍後の作品を紹介しています。ブルーノートとの契約では、自分の意図通りの録音をさせてもらえる環境になり、前向きな意欲作が増えていきますが、それを前進ととらえて評価するかどうかは好みの問題もあるようで、このページでの評価も、一般的な評価とかなり食い違っていると思います。
しかしハードバップというスタイルが終わりつつある時代でも、基本的にはマクリーンは商業主義的な妥協はせずに、真摯にジャズに向き合ってきた人だとつくづく思います。
ブルーノート時代は一作づつの意図が明確にバラエティに富んでいます。またこのページでの評価が低い盤の中にも、一般的には名盤といわれている作品もあり、フリー・ジャズへの傾倒だけでなく、様々な姿のマクリーンが味わえますから、ぜひ好みの盤を見つけてください。
ジャッキー・マクリーンの主要作品 CD レビュー 目次
→ジャッキー・マクリーンの主要リーダー作1 (Prestige時代)へ
→ジャッキー・マクリーンの主要リーダー作2(Blue Note前半 Let Freedom Ringなど) ・・・このページ
→ジャッキー・マクリーンの主要リーダー作 3(Blue Note後半 It's Time など)へ
→ジャッキー・マクリーンの主要リーダー作 4(Steeple Chase時代)へ
→ジャッキー・マクリーンの主要リーダー作 5(最後期 ルネとの共演など)へ
→ジャッキー・マクリーンのサイド参加作 1 (51年~57年 直立猿人など)へ
→ジャッキー・マクリーンのサイド参加作 2(57年~59年 Cool Struttin' など)へ
Jackie McLean(as),
59年1月18日:Donld Byrd(tp),Sonny Clark(p),Paul Chambers(b),Philly Joe Jones(ds)
60年9月1日:Blue Mitchell(tp),Tine Brooks(ts),Kenny Drew(p),Paul Chambers(b),Art Taylor(ds)
B面冒頭のAppointment in Ghana は、後期ハードバップの名曲にして名演の人気曲だ。全体的にもB面のセクステットの演奏のほうが曲調とソロがマッチしていて出来栄えが良い。A面はブルーノート移籍後の初録音で3曲ともマクリーンのオリジナル。冒頭の曲Quadrangleは抽象的なテイストを意図していたのか、従来の直情的なソロからの脱却を模索しているように感じる。(しげどん)
ブルーノートに移り、作風が急変する。②Blues Innなどには旧来の臭いがは残るが、それ以外はどこかが違う。何だろう?基本的にアップテンポになり、マクリーンが早口になって、血圧が上がった感じのプレイになっている。トランペットが、バード、ハードマン、ウェブスターから、ハバード、ミッチェルなど新主流派的な温かみのない無機的な音色、ソロ内容になっている。ドラムがテイラーからヒギンズに変わり前乗り、シンバル多用のこちらも無機的な感じになっている。わかりやすいのがスタンダードの扱いで、スタンダードをスタンダードらしく演奏することがなくなる。スケール感は広がった感じがある。ソニー・クラークは不調とされているが、この無機的な感じにアレルギーを感じていたのではないかとも思う。後半のケニー・ドリューはうまく合わせているが、マクリーンとの相性は微妙。(hand)
Donld Byrd(tp),Jackie Mclean(as),Walter Davis Jr.(p),Paul Chambers(b),Pete LaRoca(ds)
ブルーノート移籍後の最初のリリース作。ハードバップ的な要素を残しながら、新しいテイストも取り入れており、なんといってもプレスティジのいきあたりばったりの編集から、きちんと一枚の作品にしようとした企画性を感じる。マクリーンのソロは水準的なレベルを維持している。(しげどん)
あまり好きになれない新主流派的なテーマから始まる。マクリーンのソロは悪くない。ドナルド・バード、ウォルター・ビショップJr.も新主流派っぽい。ラロカが特に新主流派的なプレイだ。全体的にそんな雰囲気の盤。(hand)
1959年5月2日:Donld Byrd(tp),Jackie Mclean(as),Walter Davis Jr.(p),Paul Chambers(b),Pete Laroca(ds)
1963年2月11日:Donald Byrd(tp),Jackie McLean(as),Herbie Hancock(p),Butch Warren(b),Tonny Williams(ds)
未発盤なのにやけにカッコいい盤だ。未発理由が想像できない。内容が新し過ぎたのかもしれない。ハンコックのピアノもいい。真ん中に挟まったニューソイルからの曲はいい内容だが、なぜここに4年前の演奏を挟むかは疑問だ。(hand)
一曲だけNew Soilのセッションの残りだが、それ以外の63年2月のセッション。レット・フリーダムリングやワンステップビヨンドのような話題作を次々と出していた時期だ。バード、ハンコックといったすごいメンバーのセッションで、内容もよく、なぜお蔵入りしたのか理解に苦しむが、この当時の作品は肩に力が入った課題作が多く、普通のジャズとして後回しにされたのだろう。ブルーノート前期を代表するような好演だ。(しげどん)
Jackie Mclean(as),Walter Bishop(p),Jimmy Garrison(b),Art Taylor(ds)
マクリーンのスタンダード集の集大成で、ワンホーンでスタンダードを歌うマクリーンの最高作。ブルーノート時代ではもっとも保守的な一枚かもしれない。プレスティジ時代もスタンダードの良い演奏があったが、ばらばらに分散収録されている。それに対しこの作品はブルーノートらしい企画性がはっきりしていて、アルバム単位での完成度の高さを感じる。(しげどん)
クセのない演奏で、その名の通り気持ち良くスイングできるアルバム。ジャッキーマクリーンの演奏はうっかりするとウトウトして、不本意ながら上下にスイングしてしまうくらいだ(笑)ショーン的にはもう少し崩れたり、スリリングな演奏が好きだが、所謂ジャズをしっかり体感できるアルバムだろう。1ホーンカルテットとしてのマクリーンが頑張ってブローし続け、特にふわっと漂うような高音キーが特徴的だ。(ショーン)
曲がスタンダードになり、ドラムがアート・テイラーに戻り、久々にホッとするサウンドだ。でも、私には、プレスティッジのマクリーンのほうが、ストレートで、こねくり回した感じがなくて、いいと思う。(hand)
Blue Mitchell(tp),Jackie McLean(as),Walter Bishop(p),Paul Chambers(b),Art Taylor(ds)
前作のおかげか、少し揺り戻しがあり、マクリーンらしさが戻り、ホッとできる内容だ。マクリーンは好調。(hand)
ブルーノートらしい企画性があり新しいテイストを出そうと試みている感じの作品。プレスティジ時代はジャムセッション風で「テキト~」な感じのブルースがマクリーンの直情的なソロを引き出していた感があったが、それはなくなっている。でもソロはこの段階ではまだ従来のマクリーンらしさは失われていない。名脇役でリーダー作の少ないビショップのピアノトリオも貴重品。(しげどん)
このアルバムも一定レベル以上の演奏が揃ったアルバムだ。ブルーミッチェルのトランペットが、ポイントゲッターとして効果的に働いているが、ウォルタービショップJr.のピアノは前に出ないところがあり、やや物足りない。特に3曲目の don't blame me が控えめ過ぎて残念だ。condition blue 以降の後半3曲は、マクリーンもノリノリの演奏で、覚醒した素晴らしいキレが感じられる。(ショーン)
Freddie Hubbard(tp),Jackie Mclean(as),Kenny Drew(p),Doug Watkins(b),Pete LaRoca(ds)
ミディアムからスローテンポのブルースはマクリーンにとって格好の素材。冒頭の長めの曲以外は彼にあった曲調だと思う。なんとなく聴きなおしたくなる気持ちのよい一枚だ。(しげどん)
Drew's BluesとCool Greenはいいが、ハバードが張り切ると、新主流派になり過ぎてしまい、ドリューでは抑えきれない。(hand)
Tommy Turrentine(tp),Jackie Mclean(as),Sonny Clark(p),Butch Warren(b),Billy Higgins(ds)
ソニー・クラークとトミー・タレンタインのおかげで、新主流派的なビリー・ヒギンズが張り切っても、行き過ぎず、踏み止まっている。(hand)
過渡期の作品だが、ハードバップ好きなファンにとっても聴きやすい作品。マクリーンは新しいスタイルに向かっているが、ソニー・クラークやトミー・タレンタインの曲はもろにハード・バップ・テイストなので、それに乗るとマクリーンもハードバップらしさ全開に戻る。クラークは次作リーピン アンド ローピンに肉薄する良さだ。一曲目のFive Will Get You Ten はセロニアス・モンクにヒントをもらった(というよりそのままもらったに近い?)クラークの曲で、そう聞くとモンクらしさがある面白い曲調。(しげどん)
マクリーンのアルトとトミー・タレンタインのトランペット、ソニークラークのピアノとの相性は良さそう。特に2曲目の subdued は、夜空で輝く星たちの様な個性に満ちた美しさがあり、素晴らしい演奏だ。(ショーン)
Jackie McLean(as),Walter Davis(p),Herbie Lewis(b),Billy Higgins(ds)
まず何よりも曲がいい。バド・パウエルのオリジナル・バラードも含めて、4曲が統一感を持って入っている。新主流派的なトランペットのいないマクリーンのワンホーンが全力で勝負していること、ウォルター・デイビスが多分最高にメロディアスなプレイをしていることなど、プラス要素が満載だ。唯一の難点は、1曲目の組曲的な曲が長くて重たいので、日常聞きには向かないことか⁈(hand)
ワンホーンによって直情的に訴えかけてくるマクリーン。プレスティジ時代とは完全に一線を画しているが無機質な感じではなくむしろエモーショナルな力強さがある。一曲目のメロネエは、正直言って曲自体はあまりぴんと来ずに深く愛聴してこなかったが、あらためて聴くと、ソロの力強さの迫力はすごいと思う。(しげどん)
壮大なドラマの始まりの様なイントロテーマのmelody for melomaeは、この後の素晴らしい演奏会を期待させる。限界まで絞り出す様なマクリーンのアルトの高音は迫力に満ち、明らかに一皮剥けた印象だ。リズムパートの無味乾燥なところがまたこの曲を盛り上げる要素として大きく寄与していて、モダンジャズでもフリージャズでもない芸術作品に仕上がっている。Walter Davisのどことなくクラシカルなピアノが素晴らしい!(ショーン)
Kenny Dorham(tp),Jackie Mclean(as),Sonny Clark(p),Butch Warren(b),Billy Higgins(ds)
発掘盤だがこれもなぜお蔵入りになったのかわからないほどいい出来栄え。この前後の盤と比較して違うのは実験的なチャレンジがないオーソドックスな一枚だということ。だから普通のハードバップとして充分楽しめる作品になっている。ソニー・クラークの参加も貴重で、クラーク色の強い一枚と言えるかもしれない。(しげどん)
レコード番号まで決まりながら発売されなかったBN有名盤2枚の1枚(もう1枚はソニー・クラーク)。録音はレットフリーダムリングの3ヶ月後ながら、内容はジャッキーズバッグとレットフリーダムリングの中間的な感じに後戻りしている。演奏は悪くはないが、発売してもヒットするとは思えないので、お蔵入りしたのであろう。アルフレッド・ライオンは、この時期のケニー・ドーハムとソニー・クラークをあまり評価していなかったのではないか?ドーハムはジョーヘンの「ページ・ワン」以降の新主流派的な盤から再評価し、クラークは再評価しないまま終わった。この時期のBN盤は、新主流派、ジャズ・ロック、ファンキー&ソウルフルのいずれかでないと発売されなかったのだと思う。売れなければ会社が立ち行かなくなるのだから仕方なかったのかもしれない。今、聞けるのだからそれはそれで感謝だ!。(hand)
Jackie Mclean (as),Sonny Clark(p),Butch Warren(b),Art Taylor(ds)
当たり前だが、この時期のマクリーンの音がしている。プレスティッジとの違いは、ソロがより理性的な感じになったことと、ドラムのアート・テイラーの4ビートがやや前乗りな感じになったことではないかと思う。マクリーンとソニー・クラークの最後の共演盤で、共同リーダー盤と言ってもいいくらい、クラークも活躍する。マクリーンもクラークもソロが好調で泣ける。なのに、なぜ発売されなかったのか?革新的な「レット・フリーダム・リング」の後に、こんな普通の盤を発売できなかったのだと思う。(hand)
正規盤だけ聴くと、レット・フリーダム→ワンステップ・ビヨンド→デステネイション・アウトとどんどん前進していた当時のマクリーンだが、お蔵になった作品ジャッキー・マクリーン・クインテットや本作品などはハードバップテイストが残る素晴らしい作。しかもいずれも日本で初発売という事で、日本人の感性にあったハードバップ盤なのだろう。レット・フリーダム・・・以前のブルーノート盤が好きな私のような保守的なファン向きな作品。ジャケットはキングから初発の時の赤いデザインがカッコよかったけど再発時の東芝盤(というより米国盤)は情けないくらいダサイな・・・(しげどん)
Jackie McLean(as),Grachan Moncur(tb),Bobby Hutcherson(vib),Eddie Khan(b),Anthony Williams(ds)
ピアノが抜けて、初めてトロンボーンとバイブが加わっている。マクリーンのフリーキーなトーンが増え、バイブのメタリックなサウンドからかアウト・トゥ・ランチの苦手な雰囲気になっている。トニー・ウィリアムスのデビュー録音らしいが感興はない。トロンボーンは前衛的なプレイになりにくい楽器というのが救いになっている(笑)(hand)
タイトル通りマクリーンのソロはさらに完全に新時代へと一歩踏み出した感があり、プレスティジ時代からは大きく変貌していることが明確になった一枚。曲目だけでなく演奏も強烈に力強い作品なので前進的な姿勢を評価する向きには高評価の作品かもしれない。(しげどん)
Jackie Mclean(as),Grachan Moncur Ⅲ(tb),Bobby Hutcherson(vib),Larry Ridley(b),Roy Haynes(ds)
モンカー&ハッチャーソンとの二作めは、グラチャンモンカー色がより強くなって難解な曲が増えた。そのせいかソロの勢いがそがれているいる感じがする。そこが気になって何度も聴く気になれない盤だ。(しげどん)
引き続き、バイブ入りの無機質な雰囲気はあるが、マクリーンのソロは、フリーキートーンもなくなり聞きやすくなる。ドラムがロイ・ヘインズなのも、前作よりは落ち着いて聞ける理由だと思う。(hand)
ジャッキー・マクリーンの主要作品 CD レビュー 目次
→ジャッキー・マクリーンの主要リーダー作1 (Prestige時代)へ
→ジャッキー・マクリーンの主要リーダー作2(Blue Note前半 Let Freedom Ringなど) ・・・このページ
→ジャッキー・マクリーンの主要リーダー作 3(Blue Note後半 It's Time など)へ
→ジャッキー・マクリーンの主要リーダー作 4(Steeple Chase時代)へ
→ジャッキー・マクリーンの主要リーダー作 5(最後期 ルネとの共演など)へ
→ジャッキー・マクリーンのサイド参加作 1 (51年~57年 直立猿人など)へ
→ジャッキー・マクリーンのサイド参加作 2(57年~59年 Cool Struttin' など)へ