・新宿ジャズ談義の会 :ジョン ルイス CDレビュー 目次
1960年代前半は、ルイスがサードストリーム・ミュージックに没入した時期と言えると思います。日本では(アメリカでも?)、あまり人気のない時期と思いますが、オーケストラU.S.A.やサントラ盤などルイス自身は精力的に活動したと思います。この後は、MJQ活動に専念したためか、しばらくはリーダー録音がなくなります。
1961.3.27
Atlantic
おすすめ度
hand ★★★
John Lewis(cond,arr),
Unidentified large orchestra
ルイスによって書かれたバレエ音楽のサードストリーム盤。組曲になっていて、作曲、編曲、指揮がルイスで、オーケストラのメンバーは不明だ。大編成のオーケストラだが、曲が比較的ポップで明るく、サードストリーム特有の聞きにくさは割と少ないと思う。ただ、オーボエのソロはあまりジャジーではない。(hand)
John Lewis(p),
Bobby Jaspar(fl,ts), Renè Thomas(gr), Giovanni Tommaso(b:Pizzicato), Joszef Paradi(b:Arco), Buster Smith(ds),
Quartetto Di Milano:Giulio Franzetti, Enzo Porta(vln), Tito Riccardi(viola), Alfredo Riccardi(cello)
ルイスのコンボ+弦楽四重奏という構成。ボビー・ジャスパーのフルートとルネ・トーマのギターが目立っている。ジャスパーのフルートは「ケリー・ブルー」などでは私好みだが、ここではあまりジャジーにならないように軽く吹いている感じだ。ルイス自身のピアノは意外にもジャジーに感じる。(hand)
John Lewis(p), Svend Asmussen(vln), Jimmy Woode(b), Sture Kallin(ds)
ルイスのピアノトリオとデンマーク人のバイオリンのスヴェンド・アスミュッセンのストックホルムでの共演録音。アスミュッセンは、日本盤はあまり出ていないが、ヨーロッパでの録音は多数あるようだ。ただ、あまりCD化はされていない感じだと思う。日本では、このルイスとの共演盤だけが有名で日本盤も出ている。ほぼルイス曲だが、オーネットの⑤ロンリー・ウーマン、が印象的だ。⑥ジャンゴ、をスピードを上げて演奏したのも面白く、アナログB面に当たる⑥⑦⑧が曲も良いので楽しめる。ルイスのピアノも可憐な響きを聞かせ、ジミー・ウッドの太いベースもいい。(hand)
1–6:John Lewis(p:1,3–6), Albert Mangelsdorff(tb), Karl-Theodor Geier(b), Silvije Glojnaric(ds)
7:Zagreb Jazz Quartet:Bosko Petrovic(vib), Davor Kajfes(p), Miljenko Prohaska(b), Silvije Glojnaric(ds)
ルイスのピアノトリオ+アルバート・マンゲルスドルフのトロンボーンという構成。②枯葉、はルイス抜き。⑦オーナメンツ、のみはドラムだけが共通のザグレブ・ジャズ・カルテットの演奏。モダントロンボーンのワンホーン盤としてかなりの名盤に位置付けられると思う。真面目系のマンゲルスドルフの影響か、ルイスもいつものくつろぎ系のピアノではなく、緊張感のある演奏をしており、これはこれで好感だ。(hand)
アルバート・マンゲルスドルフのトロンボーンが中心で、ドイツのミュージシャンにジョン・ルイスが客演した感じである。マンゲルスドルフのトロンボーンはオーソドックスで聴きやすく、悪くはないが、ジョン・ルイスの作品としては特筆すべきものは感じなかった。(しげどん)
軽快かつ爽やかなJohn Lewisのピアノプレイと時に優しく時に強くリードするAlbert Mangelsdorffのトロンボーンが、なんとも良い雰囲気を醸しており、思わず心がホッとする。少しスケールを外して緊張感を与えるAlbertが、真面目なJohnの演奏に彩りを与えていて、心地良く聴き続けられる大人なjazzとして完成した。(ショーン)
John Lewis(p), Gunther Schuller(cond)
Phil Woods(as,cl), Eric Dolphy(fl,as:4-9,13-18), Leo Wright(fl:1-3,10-12), Jim Hall(gr), Connie Kay(ds) 他
ルイスがガンサー・シュラーとサード・ストリーム・ミュージックを演奏するために結成したオーケストラU.S.A.のデビュー盤。モダンジャズのアルト奏者の中で私が考えるオーソドックスなプレイで最も上手いフィル・ウッズとフリーキーなプレイが最も上手いエリック・ドルフィーが参加している(実際には、キャノンボールが抜群に上手かったらしい。)。ウッズは①②で、ドルフィーは④マイルサイン、⑦ドニーのテーマ、で素晴らしいソロを聞かせている。ルイスのピアノは全体にはあまり目立たず、⑤⑥など曲によりフィーチャーされる程度だ。(hand)
ジョン・ルイスによるオーケストラ作品。現代音楽的な要素もあるか、それほど難解ではない。でも編曲が利きすぎていて、映画音楽的な感じがする瞬間もある。彼はクラシック的な現代音楽も、映画音楽もこなしている人なので、音楽的な完成度は高い作品だと思うが、ジャズ的には私好みではない。エリック・ドルフィ、フィル・ウッズといった一流のソロも聴かれ、彼ららしい個性も発揮しているので、その場面はジャズ的に楽しめるのかもしれない。(しげどん)
1963
Columbia
おすすめ度
hand ★★★
John Lewis(p), Gunther Schuller, Harold Farberman(cond)
Coleman Hawkins(ts), Skitch Henderson(narration) 他
ルイスが音楽監督とピアノも弾いたオーケストラU.S.A.の第2作。特徴はタイトル曲①が18分超の組曲であること、同曲のみだがジャズの旅を語るナレーターがいること、旧世代のコールマン・ホーキンスが③ポートレート・オブ・コールマン・ホーキンス、⑤デューク・ベイ、でフィーチャーされること、前作に参加したドルフィーの亡くなった日の録音、などの特性を持つ盤だが、残念ながら未CD化だ。鑑賞音楽にナレーションたっぷりというのは妨げでしかないというのが私の考えだが、後半②〜⑤はオーケストラもジャズビッグバンド的で、比較的短い曲ながらもいい出来なのは救いだ。②シルバー、では珍しく快活に、④インティマ、ではベイシー風にブルージーに弾くルイスのピアノも聞ける。④のジェローム・リチャードソンのアルトもいい。前半だけであれば評価は☆になってしまうが、後半は★★★★くらいに素晴らしい。(hand)
John Lewis(p:1-3),Nick Travis(tp:1-3), Mike Zwerin(b-tp), Thad Jones(cor:4-10), Eric Dolphy(as,fl,b-cl:1-3), Jerome Richardson(as,fl,b-cl:4-10),Jimmy Raney(gr:4-10), Richard Davis(b), Connie Kay(ds)
オーケストラU.S.A. のピックアップメンバー6人によるクルト・ワイル集。録音が64年1月10日①-③と65年6月1日で、ルイスは前半3曲のみに参加し好調そうだ。この間の64年6月29日にエリック・ドルフィーは亡くなっているので前半3曲にのみ参加し、③では激しいソロを吹いている。ただ、全体に活躍するのがこの録音のリーダー格で参加しているあまり上手くないベース・トランペットのマイク・ズワーリンで、全体の印象はあまりいいとは言えない。タイトル曲④ではドルフィーに代わってジェローム・リチャードソンが意外に頑張っている。(hand)
John Lewis(arr:①), Harold Farberman(cond) 他
オーケストラU.S.A.の作品も4枚目となりジャズコンボ+クラシックオーケストラという形態も地に着いてきた感じがする。ジェローム・リチャードソンのがオーケストラをバックにフィル・ウッズ?と思わせるような艶やかなアルトを吹く。ルイスはアレンジャーとして①のみ参加で、全体としてのディレクターのようだ。ピアノはディック・カッツが弾いている。後半はジャズ的なソロも減り、現代音楽のようでつらい内容だ。オーケストラU.S.A.としてはこれが現時点ではラスト盤になる。(hand)
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