ケニー・ドーハムのサイド作をレビューしていきます。
1940代から活躍してきたケニー・ドーハムは、サイド参加作でもかなりの数にのぼります。
このページでは56年までのサイド参加作から紹介しています。
新宿JAZZ談義の会:Kenny Dorham ケニー・ドーハムCDレビュー 目次
初期のドーハムが入ったサボイ録音をコンプリートに収録した盤で21曲も収録しているが、ドーハムのリーダー録音はない。40年代のビバップ録音は、パーカーをはじめ内容は悪くないが、音が悪い。ラスト4曲のみ56年録音でだ。セシル・ペイン盤「パターンズ・オブ・ジャズ」からで、ここだけは音がいい。(hand)
※「Blue In BeBop ブルース・イン・ビバップ」 ドーハム名義の編集盤ですが、 下記サヴォイ盤に分散収録されていたドーハムサイド参加の演奏を集めたものなので、サイド盤として取り扱いました。
Kenny Dorham(tp),Howard Bowe(tb),Sahib Shihab(as),Musa Kaleem(ts),Earnie Thompson(bs),Walter Bishop(p),Laverne Barker(b),Art Blakey(ds)
ブレイキーのバードランドでのモダンジャズ(ハードバップ)の夜明けの前夜という感じの4曲。残りはジェームス・ムーディで、ドーハムは入っていない。ビバップ時代のブレイキーやドーハムの演奏は、資料としては貴重だし、悪くないがあまり聞きたいとも思えない。(hand)
Kenny Dorham(tp),Tommy Turk(tb),Charlie Parker(as),Al Haig(p),Tommy Potter(b),Max Roach(ds),Carles Vydal(Per)
パーカーのヴァーブのオムニバス盤。前半がワンホーンの50年代の2セッションでスタンダードを演奏しているので、かなり聞きやすい。ドーハムは、後半の40年代のビバップの2セッションに登場。後半はやや音が悪いが何とか耐えられる(笑)。ソロだけ聞いていると後年のスタイルは既にほとんど完成している。(hand)
この盤は寄せ集め盤で、ワンホーン作やストリングス入りなどいろいろな録音が入っている。ヴァーブのパーカーは録音日など、わかりにくいが、ドーハム参加のセッションは49年4月~5月のB面の4曲。堂々たるソロをとるドーハムだ。(しげどん)
Max Roach(ds:1-3,5),Kenny Dorham(tp:1-3,5),James Moody(ts),Al Haig(p:1-3,5),Tommy Potter(b:1-3,5),
Art Simmons(p:4),Buddy Banks(b:4),Clarence Terry(ds:4)
ブレイキーの「ニュー・サウンズ」と似たような印象の盤。ドーハムとジェームス・ムーディの2管によるモダンジャズ前夜的な演奏だ。ブレイキーもローチも、この時期は同じビバップドラムなのでは似たように感じてしまうが、ローチの方がやはり多少うるさいと思う。仏ヴォーグのジャケはカッコいい。
J.J. Johnson(tb),Kenny Dorham(tp),Sonny Rollins(ts),John Lewis(p),Leonard Gaskin(b),Max Roach(ds),etc
J.J.ジョンソン、カイ・ウィンディング、ベニー・グリーンの3人のトロンボーン奏者の10インチをまとめた盤。ドーハムはJ.J.ジョンソンの4曲に参加。ドーハムやロリンズのソロも多少はあるが、基本的にはJ.J.のソロを聞く盤だ。ビバップから多少ハードバップが芽生えつつある時期の演奏だと思う。(hand)
三人のトロンボーン奏者のそれぞれのセッションをまとめたアルバムで、三人が共演しているわけではない。ドーハムはロリンズとともにJJ.Jhonsonのセッションに参加しており、なかなかの存在感あるソロを聴かせている。(しげどん)
Kenny Dorham(tp),Sonny Rollins(ts),Elmo Hope(p),Percy Heath,Art Blakey(ds)
ややビバップの名残りを感じるが、バラードは新しい感じがする。エルモ・ホープはバドのいとこだが、ソロがバドかと思うほど似ている。ラストのモンク参加曲「More Than You Know」は格調高い。(hand)
54年という録音を考えるとビバップの香りがするのは仕方がないが、新しいジャズに慣れた人には聴きにくいかも。私は好きだが。若々しさがあふれるロリンズに対し、ドーハムはすでに老成されたベテランのような味わいがある。(しげどん)
Kenny Dorham(tp),Cecil Payne(bs),Duke Jordan(p),Tommy Potter(b),Art Taylor(ds)
バリサクのセシル・ペインの初期盤。バリのパーカーを目指したのではないかと思う。大型楽器なので、仮に指ができたとしても、息は多少足りない気がする。ドーハムは、後半4曲に参加している。パーカーとも共演しているドーハムが、若手バッパーとして呼ばれたのだと思う。改めて聞くと、悪くない盤だ。(hand)
Kenny Doham(tp),Hank Mobley(ts),Horace Silver(p),Doug Watkins(b),Art Blakey(ds)
ドーハム,モブレー主体に聴くと面白いアルバムだと思う。ザ・プリーチャーに代表されるシルバー主体のアルバムとして評価されてきたが、正直なところこの曲を「心に染みる名曲」と思っている日本のジャズファンはほとんどいないと思う。確かに耳にはなじみやすい曲だが、アルフレッド・ライオンも「コーニーだ!」と評していたらしい。全曲がシルバーオリジナルなので彼の作曲中心に聴いてしまいそうだが、ドーハム,モブレーの共演アルバムとして、ソロを楽しむ視点で聴くとなかなか聴きごたえがあるのだ。(しげどん)
Kenny Doham(tp),Hank Mobley(ts),Horace Silver(p),Doug Watkins(b),Art Blakey(ds)
二人とも音楽監督的な素養もあり作曲にも才能があるのは明らかで、Vol.1はドーハムのマイナーズホリディ(→アフロ・キューバン),Vol.2はモブレーのアヴィーラアンドテキーラ(モブレー初リーダー作)と、それぞれのリーダー盤で演奏している名曲を熱演しており、聞き比べも楽しい。(しげどん)
JMの名盤中の名盤。「バードランドの夜」にはクリフォード・ブラウンがいた、「モーニン」にはリー・モーガンがいた。そしてこの盤には、私は好きだが大スターではないケニー・ドーハムがいる。ドーハムとハンク・モブレーがフロントを務めるこの盤。2人とも一流だと思うが世間の扱いは1.5流的な場合がほとんどだと思う。しかしながら、この盤はどう考えても一流だ。総合力の勝利といったところだろうか。ドーハムもモブレーも、そしてシルバーも、ダグ・ワトキンスもブレイキーもみんな若くて絶好調だ。シルバーとブレイキーの蜜月もあと半年ほどで終わってしまう前の絶妙にいいコンビネーションの時期を捉えた記録だと思う。スタンダードもいいが、ドーハムのオリジナル(マイナーズホリディ、プリンスアルバートなど)やモブレーのオリジナル(スポーティンクラウド、アヴィラ&テキーラなど)が曲も演奏もとてもカッコいい。シルバーのオリジナルがないのは別れの予兆かもしれない。アナログ時代のVol.1&2は各5曲だったが、CDで各3曲追加で全16曲のコンプリート盤となった。捨て曲なしの素晴らしい2枚だ(2枚組も別売もある。)。(hand)
Hank Mobley(ts),Kenny Dorham(tp),Walter Bishop(p),Doug Watkins(b),Art Taylor(ds)
軽やかなケニードーハムのトランペットと、出過ぎないアートテイラーの正確なドラミングに自然体で演奏するハンクモブレー。モブレーの演奏にはアートブレイキーよりテイラーのドラムの方がしっくり来る。少し荒削りな各員のソロワークもリアルで生々しくて、1956年当時のハードバップを肌で感じることのできる良いアルバムだ。(ショーン)
この作品はクインテットで統一感があり、演奏も聴きやすいハードバップセッションだ。特に企画に特徴があるわけではないが、モブレーやケニー・ドーハムのソロをシンプルに楽しめるなかなかの佳作だ。(しげどん)
Phil Woods,Gene Quill(as),Donald Byrd,Kenny Dorham(tp),Tommy Flanagan(p),Doug Watkins(b),Philly Joe Jones(ds)
フィル・ウッズとジーン・クィルの2アルト+ドーハムとドナルド・バードの2トランペットという、プレステッジ得意のジャムセッション的な盤。ウッズのサックスの音が野太い音で録られているのがいいと思う。切れ味の鋭いのがクィルだ。ドーハムとバードはJMの前後任の関係だが、音もスタイルも違うので聞き分けはしやすい。トミフラ、ワトキンス、フィリーというリズム隊もいいので、バッパーとしてのウッズを聞くための隠れ名盤かもしれない。(hand)
Conte Candoli,Kenny Dorham(tp),Phil Woods(as),Al Cohn(ts),Hank Jones(p),John Simmons(b),Kenny Clarke(ds)
バードランド・スターズと銘打った寄せ集めのライブ・ステージだ。ドーハムを含めて、誰がリーダーということはない。トランペットもコンテ・カンドリと2本だ。各人のソロは悪くはないと思うが、また聞きたいとも思わなかった。アナログ時代は、Vol.1と2の2枚に分かれていた。(hand)
Kenny Dorham(tp),Henry Coker(tb),Sahib Shihab(as),Joe Alexander(ts),Cecil Payne(bs),Tadd Dameron(p),John Simmons(b),Shadow Wilson(ds)
アレンジャー、ピアニストのタッド・ダメロンは、ファッツ・ナヴァロ、ブラウニーと録音を残し、マイルスらを率いてパリの音楽祭に参加するほどビッグ・ネームなのだが、日本ではあまり知られていない。そのダメロンが渡欧後にパリのフォンテーヌブローの森をイメージして作った曲を冒頭に置いた盤。全体にきれいな曲が多い。この盤では、ドーハムを重要なソロイストとして迎え、ドーハムも期待に応えている。(hand)
ビバップからの重要な作編曲者であるタッド・ダメロンの自身の作品集。ダメロンの作曲、アレンジは嫌味なく好きな曲が多い。タイトル曲はメンバーのソロがなく細かいところまでアレンジされた作品だが退屈せずに聴き通せる魅力がある。ほかも曲はジャズらしくいい曲が多いが5管編成なのでドーハムがフィーチャーされるのは2曲目のDeliriumだけで、そこでは比較的長いソロをとっている。(しげどん)
Matthew Gee(tb),Kenny Dorham(tp:6-8),Ernie Henry(as:1-5),Frank Foster(ts:6-8),Cecil Payne(bs:6-8),Joe Knight(p),John Simmons(6-8),Wilbur Ware(b:1-5),Art Taylor(ds)
トロンボーンのマシュー・ジーの唯一のリーダー盤。グリフィンとの共同リーダー盤のほか、サイドでもあまり見た記憶のない人だ。アナログA面の①〜④は、アーニー・ヘンリーとのカルテットでなかなかスリリングでいい感じだ。B面の⑤〜⑧は、ドーハムを含むビッグコンボで、マシューも中間派風になってしまい、モダンな感じが弱い。(hand)
Ernie Henry(as),Kenny Dorham(tp),Kenny Drew(p),Wilbur Ware(b),Art Taylor(ds)
改めて聞いて、いい盤だと思った。アーニー・ヘンリーとドーハムのコンビは相性がいい。ただ、同じコンビでのドーハム盤「2ホーンズ・2リズム」は、よりアグレッシブで私の愛聴盤だ。ヘンリーは、もっと盤を残して欲しかったが、31歳で亡くなっている。リバーサイドにリーダー盤3枚のみ。と言っても、3枚目「ラスト・コーラス」は、後半が他の2枚の別テイクだ。サイドも、ドーハムのほかには、モンク、マシュー・ジーとの各1枚以外は、ほとんどないと思う。(hand)
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