レッド・ガーランドのCDレビューの2ページ目として、1958年~1959年をレビューしていきます。
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・Red Garland 全リーダー作 ① 1956年~57年
・Red Garland 全リーダー作 ② 1958年~59年・・・このページ
・Red Garland 全リーダー作 ③ 1960年~62年
・Red Garland 全リーダー作 ④ 1971年以降
・Red Garland 全リーダー作 ⑤ 1977年以降
Red Garland(p),Paul Chambers(b),Art Taylor(ds)
1958年に入り、マイルスやコルトレーンとの録音が最盛期を迎えた時期のトリオ録音。発表は1970年とやや遅い。ガーランドがプレスティッジの録音に引っ張りだこだった時期で、ソロも堂々として自信を感じる。トリオだが長尺で全5曲。アナログA面にあたる最初2曲のチェンバースのアルコソロは、正直ちょい飽きる。後半B面にあたる3曲はテンポも良く楽しめる。(hand)
ガーランドの全盛期のピアノトリオ盤。小気味よくスィングする軽やかなタッチはガーランドらしく、気持ちよく聴いてしまうが、一方では耳になじみ良すぎて、さらっと聞き流してしまいそうなアルバムだ。ポール・チェンバースのアルコソロは元気が良すぎて味わいに欠けるが、逆にそこが耳にひっかかるアクセントになった感じだ。(しげどん)
Red Garland(p),Paul Chambers(b),Art Taylor(ds),Ray Barretto(conga)
トリオにレイ・バレットのコンガを加えてラテン・ジャズに挑戦した企画盤かと思いきや、①ガレスピー作のタイトル曲マンテカだけは、「マンテーーーカ」の掛け声も入り、かなりアフロ・キューバンな味付けだが、②以降は、いつものトリオの演奏にコンガが加わっただけという感じで、ラテン感も弱く、逆に普段聞き用のコンガ入りでくつろいだピアノトリオとして楽しめる。CDおまけの⑥ポートレイト・オブ・ジェニーはコンガなしで、1974年にプレスティッジ25周年の2枚組LPが初出でなかなかいい演奏だ。(hand)
タイトル曲はラテンテイストの曲だが、ほかの曲は名曲唄モノのスタンダード。聴きなれたスタンダードをいつものガーランドらしさで演奏しているが、普通のピアノトリオだとマンネリになった危険性があったかも知れないが、コンガがいいアクセントになっていて、面白味のあるピアノジャズになっている。(しげどん)
Red Garland(p),Paul Chambers(b),Art Taylor(ds)
「マンテカ」の2カ月後に、バレットを含めて12曲が録音された。そのうちコンガ抜きで録音された4曲が1963発表のこの盤になった。ジャケも地味であまり注目されない盤だが悪くない。持っていて損のない盤だ。特に②スーンが好印象だ。コンガ入り7曲は、「Rediscovered Masters Vol. 1」に、1曲は未発表のまま。(hand)
落ち着いたガーランドの魅力が味わえるなかなかの佳作トリオ盤。ガーランドはマイルスクインテットの印象が強すぎるが、このあたりからより情感が味わえるスタイルに進化してきていると思う。逆にそれがカクテルピアノなどと言われてあまり評価されていないのだが、充分に愛聴に耐える作品だ。(しげどん)
Red Garland(p),Paul Chambers(b),Art Tatlor(ds),Ray Barretto(conga)
「マンテカ」、「ロホ」とコンガ入りの2枚あるが、実はもう1枚その間に吹き込んでいた盤。1977年に2枚組LPの1枚目として発表されたが、CD化でVol. 1となった。個性的な「マンテカ」よりも聞きやすい盤だと思う。ジャケもタイトルもよろしくないが、コンガ入り3枚の中で一番オススメだと思う。特に④ア・ティスケット、ア・タスケット、は聞いていても楽しい、元はハンカチ落としゲームの遊び歌らしい。ディスコグラフィと違い、この曲と⑥春の如く、はコンガの音は聞こえない気がする。ラスト⑦イースト・オブ・ザ・サン、もいい。(hand)
コンガのもつ軽快さはそのままで、決して軽薄にはながれていない。味わえるピアノジャズだ。ジャケットとタイトルが編集盤のような印象で、しかもコンガ入りと聴いて、残念ながら食指が伸びない一枚かもしれないが、内容はなかなか聴かせる一枚である。(しげどん)
コンガとブラシワークの両方はくどくなる気がする。全体に埃っぽくなるので、もう少しガーランドのピアノで引き締めて欲しいところ。コンガは、使い方次第でとても効果的に、世界観を創り出せる楽器だが、常に叩き続けるのはどうなのか?逆に世界観を壊してはしないだろうか?(ショーン)
Red Garland(p),George Joyner(b),Charlie Pership(ds),Ray Barretto(conga)
コンガ入り3回目のラストの録音となり、コンガとの関係もこなれてきた気がする。聞いていても、スッと入っていける。①ロホ、のみは、コンガが強調されアフロな雰囲気はあるものの、「マンテカ」ほどではない。ラスト⑥Mr.ワンダフルは、「ライブ」、「Rediscovered Masters Vol. 2」でもバラードで演奏されるが、この盤のような軽快な演奏のほうがいいと思う。②はコンガ抜きと思われる。(hand)
リラックスしたピアノトリオ盤であり、コンガは入っているがむしろそれがいい感じのアクセントになっている。コテコテのコンガ入りラテンテイストではないので、受け入れられやすい気持ちのいい演奏だ。逆にイージーリズニング的と揶揄されそうだが、ガーランドのピアノはあくまでもジャズっぽさは失っていないのだ。(しげどん)
Red Garland(p),Paul Chambers(b),Art Taylor(ds)
トリオとしての快作で、比較的スローな曲調でまとめられた一枚。ガーランドのトリオ盤に特に駄作はないのだが、この一枚は出来栄えもよく、さらにゆったりとしたテンポのイメージで印象づけられた、リラックスして聴くには良い作品だと思う。ムーズヴィルという傍系レーベルのジャケデザインは魅力に欠け、見落とされていた盤かもしれない。(しげどん)
I'll never Stop Loving Youの零れ落ちるピアノのバラード、続くAnd the Angels Singの軽快なノリと多彩な演奏を見せるガーランドトリオ。 スタンダードは特に聴きやすく心地良い。 (ショーン)
ムーズビルというプレスティッジの傍系レーベルから発売された盤。傍系レーベルはどんな時に使うのかよくわからない。本格的にプレスティッジとはいえない二流盤なのか?演奏は見劣りはしないと思う。チェンバースはアルコを使わず、ピチカートが強靭に感じる。あまり知られぬスタンダード4曲と何気ない渋いオリジナル・ブルース2曲を丁寧に演奏するガーランド・トリオは、初心者向きではないかもしれないが、いい盤ではある。(hand)
Red Garland(p),Paul Chambers(b),Art Taylor(ds)
面白いコンセプトのアルバムだが、決して薄っぺらくは無く、聴き応えのあるしっかりとした演奏だ。Summertime〜Stormy Weatherのアートテイラーのブラシワークはまるで夏の夕立の様で、風景が目に浮かぶ。またSpring will be a little late this year、Winter Wonderlandの軽快さもいい。ただ全体を通して、若干ガーランドのコードは雑な感じがして、少し気になる。(ショーン)
天気・天候がタイトルだが、季節の曲も入っている。アメリカでは、概念が分かれていないのかもしれない。企画ものを得意としないガーランドだが、単に曲タイトルだけにこだわった企画なので特段の考えはいらなかったのだと思う。いい曲といいテンポの演奏で、気持ちいい仕上がりになっている。(hand)
スタンダードをガーランドらしく軽快な曲調で演奏した無条件で楽しめるアルバムだ。陰影や深みに欠ける感じはするが、そもそもガーランドの魅力は洒落た軽快なタッチにこそあると言えるので、大人の作品としてそこを楽しむべき作品。(しげどん)
Red Garland(p),Sam Jones(b),Art Taylor(ds)
ブルース集というガーランドらしくない素材のために、却ってガーランドらしい作品になっている。彼が演じるとブルースも重苦しいものではなく、明るく軽やかな感じになるのが驚きで、ジャズはやはり個性の音楽なんだとつくづく感じる。はじけ方がイマイチだったCジャムブルースよりも、ガーランドらしさがよくでたこれらのブルース曲のほうが彼の個性がよく発揮されていて、楽しく聴けるアルバムだと思う。(しげどん)
ブルージーでないガーランドにブルース特集盤を作らせてはいけない。曲がブルースでも、ガーランドが弾くとブルースに聞こえないのだ。ガーランドに泥臭さを期待してはいけない。いつものガーランドのコロコロピアノが気持ちいい快適盤に仕上がっている。ベースがサム・ジョーンズに変わっており、多少新鮮な気はする。この盤、もし、ブルース盤としての評価を求められたらDランクかもしれない!(hand)
1959年8月12日 Red Garland(p),Doug Watkins(b),Specks Wright(ds)
1961年3月16日 Richard Williams(tp),Oliver Nelson(as,ts),Red Garland(p),Peck Morrison(b),Charlie Persip(ds) Prestige
コールマン・ホーキンスとの録音時のトリオ録音と、「ソウル・バーニン」のクインテットの残りからなる盤。①〜④トリオ演奏は、まずまずの内容。③Mr.ワンダフルは、「ライブ!」でもバラードで演奏されるが、軽快なほうがいい。④サテン・ドールはCD追加された10分近い快演。ハニー・サックル・ローズをアドリブで引用するのはお決まりのようだ。後半⑤〜⑦は、サックスのオリバー・ネルソンとトランペットのリチャード・ウィリアムスを迎えたクインテット。「ブルースの真実」で知られるネルソンとの共演で、さすがにブルージーな仕上がりになっている。(hand)
残り物の寄せ集め盤だが、好調な時期だけに悪くない出来で、特に前半のトリオは粒ぞろいの演奏だ。(しげどん)
Red Garland(p),Jimmy Rowser(b),Specs Wright(ds)
ニューヨークのプレリュードクラブでのライブ。80年代、吉祥寺にあったファミリーというジャズ喫茶で聞き、お気に入りとなった。マイルスの「クッキン」や「リラクシン」を聞いてガーランドを気に入り、評論家の勧めに従って「グルービー」を聞き、1曲目のCジャムブルースの単調さにがっかりしていたところを、ガーランド嫌いにならないようにしてくれた盤だ。4枚のLPに分散されていた同日ライブだが、現在は3枚組コンプリートCDもある。①サテンドールで始まり、ガーランドの特徴である珠を転がすようなエレガントなシングルトーンと豪華なブロックコードのどちらもが楽しめる。②パーディドも絶好調の勢いを感じる。④バイ・バイ・ブラックバードはガーランド参加のマイルスの「ラウンド・ミッドナイト」で有名な曲だが、この盤も名演だ。⑧ワン・オクロック・ジャンプ。ガーランドは、エリントンもベイシーも大好きなのだと思う。(hand)
ある程度ジャズを聴いた人ならみんな知っているスタンダードがほとんど。ゆったりした曲調が多いが、それをライブで粋にスィングさせるガーランド。こんな場面に居合わせたら最高にノリノリになるだろうという楽しめる盤だ。(しげどん)
ガーランドというアーティストは、演奏のレベルが安定しており、このライブ盤も例外でない。(ショーン)
※この日のライブは 「At The Prelude」「Lil Darlin'」「Live!」「Satin Doll」という4枚のアルバムに分散収録されていたが、現在はそのままのカタチでのCDは入手困難です。
CDとして発売されている「Streching Out」「at The Prelude」が各2枚づつの音源をまとめたものなので、それぞれについて次項にコメントしています。
また、「Satin Doll」には、別日のスタジオ録音も合わせて収録されています。
Preludeのライブ音源は下記Complete盤(CD3枚組:下記)で入手可能ですが、これには「Satin Doll」に収録されたスタジオ録音の音源は収録されていません。
アマゾンなどの掲載情報では収録曲がわかりにくいので、購入の際の参考にしてください。
※「Satin Doll」は18で紹介した59年10月2日のライブと19で紹介しているエディ・ロックジョー・デイビスとのセッションの同一日の録音のスタジオトリオ演奏が収録されています。
また、「Lil Darlin」はすべて59年10月2日のライブ音源です。
現在はこの2枚が合体した「Streching Out」というタイトルのこのCDが入手しやすいようです。
1959年8月12日 Red Garland(p),Doug Watkins(b),Specs Wright(ds)
1959年10月2日 Jimmy Rowser(b) Replaces Watkins
1959年12月11日 Red Garland(p),Sam Jones(b),Art Taylor(ds)
※アナログ盤デザイン
(画像のみ)
サテンドールなど冒頭3曲はテナーのエディ・ロックジョー・デイビスとの共演盤と同時録音のトリオ録音だ。B面2曲がプレリュード・クラブのライブ。A面スタジオ、B面ライブ、という残り物感たっぷりで、ジャケも顔写真に文字だけの、期待させない盤の作り。なのに、聞いてみると素晴らしい内容。①サテンドールは、プレリュードの同曲と双璧をなすと言っていい出来。この時期のガーランド、本当に調子良さそうで、演奏に張りがある。後半④⑤のライブも決して残り物ではない素晴らしさだ。(hand)
1959年10月2日
Red Garland(p),Jimmy Rowser(b),Specks Wright(ds)
これもまた好内容盤だと思う。ステイタスというプレスティッジの傍系レーベルから出された盤。①タイトル曲のリル・ダーリン、ニール・ヘフティ作曲のカウント・ベイシーで有名な曲。この曲、約10分なのだが、始まるとすぐ一旦止まって再開する。これがコンプリート盤では、約30秒のフォールス・スタート(失敗)と約9分30秒の本編に分けられている。元のアナログは聞いたことはないが、10分超の時間表示なので、つながっていたのだと思う。これが失敗なのか?演出なのか微妙だが、失敗説が有力な気はする。本編の演奏はいい感じだ。その他3曲も素晴らしく、なぜ傍系レーベルに追いやられたのかわからない。(hand)
このCDは、at the Prelude と Live!と題された二枚をまとめています。
Preludeのライブをコンプリートにまとめた盤ではありません。ややこしいですがアマゾンのサイトではそのような説明が全くないので、気をつけてください。
オリジナルバージョンの「at the Prelude」に関しては、上記にコメントしてあります。
Preludeのコメントは、上記を参照ください。
※アナログ盤デザイン(画像のみ)
⑤Mr.ワンダフルは、私の好きな曲で、「ロホ」でも演奏されている。ここではバラードで演奏されるが、ロホ時のようにミドルの方が合うと思う。ちなみに日本の吉岡秀晃のこの曲の演奏は最高だ。それにしても、この日のライブは、捨て曲なしのクォリティの高い演奏ばかりだ。ガーランドは、マイルスがアーマッド・ジャマルの代わりに雇ったという話があるが、演奏面でジャマルやエロール・ガーナーの影響を感じる。相関図ではバド・パウエルの影響下にいることになっているが、どちらかというと、エリントンやベイシーなどスイング時代のバンドリーダーのピアノ演奏の影響もプレリュードの4枚を聞いて感じた。(hand)
小気味良いリズムとテンポで、ストレス無く快適に音を感じることができる。欲を言えば、やや単調にも聞こえる部分があり、ショーン的には、もっとライブ感溢れる激しさが欲しいところだ。最後のMr.Wonderfulのバラードはいい。(ショーン)
Eddie "Lockjaw" Davis(ts),Red Garland(p),Sam Jones(b),Art Taylor(ds)
ガーランドトリオ+エディ・ロックジョー・デイビスのタイトルだが、ロックジョーが入っているのは、8曲中3曲のみ。ロックジョーは、ガーランドの記念すべき初録音時のリーダーとされている。レア音源で、聴いた人は少ないらしい(※下記コメント参照)。その時に刷り込まれたのか、ガーランドはこの手のワイルド系テナーが好みのようだ。アーネット・コブもそうだし、ホーキンスもどちらかといえば荒々しい。それがガーランドと合うかといえば、私はそう思えない。この盤は、ムーズビルのVOL.1として出ているが、特段の感動はない。ベン・ウェブスターとかであって欲しかった。ロックジョーのバトル相手のジョニー・グリフィンもいいと思う。2人ともレーベルが違うから難しいとは思うが。(hand)
※2022年3月、HP掲示板に久保さまから書込み・ご案内をいただき、ガーランドの初録音源を聞くことができました。
「Tenors Wild And Mild/Eddie "Lockjaw" Davis」(1947又は48年)という10インチLP全8曲の中のB③Ravin' At The Havenに1曲だけガーランドが参加していて、ロックジョーの激しいテナーのバックで負けじと重低音の激しいピアノが聞こえる。これがガーランド?!と思って聞いていると、だんだんそう思えてくる(笑)不思議な音源で、目には目を、ではないが、ワイルドなテナーにはワイルドなピアノを、ということで、この初期の時代はロックジョーと相性のいいピアノを弾いていたことが分かった。(hand)
エディ・ロックジョーのワンホーンカルテットは3曲だけだが、ガーランドのこのようなワンホーンでの演奏はなかなか味があって良いと思う。ホーン奏者のサポートというより、カルテットの中のピアノソロというバランスがいい感じだ。トリオ録音がやたらと多いガーランドだが、マイルスクインテットの演奏が素晴らしいのは衆目の一致するところだし、もっとほかのホーン奏者でのカルテット演奏を残してくれたらもっと名盤化する作品が生まれたかもと思わずにいられない。(しげどん)
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・Red Garland 全リーダー作 ② 1958年~59年・・・このページ
・Red Garland 全リーダー作 ③ 1960年~62年
・Red Garland 全リーダー作 ④ 1971年以降
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