レッド・ガーランド全リーダー作 最終ページです。1978年から死の一年前のラストライブまでを紹介していきます。残念ながら未CD化や入手困難なものが多い時期ですが、オークションなどで探してみると比較的安価な出物があります。
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・Red Garland 全リーダー作 ① 1956年~57年
・Red Garland 全リーダー作 ② 1958年~59年
・Red Garland 全リーダー作 ③ 1960年~62年
・Red Garland 全リーダー作 ④ 1971年~78年
・Red Garland 全リーダー作 ⑤ 1978年以降 このページ
Disc1.②Red Garland(p), Charlie Scott(b), Walter Winn(ds)
④⑤⑥⑦Sadao Watanabe(as), Red Garland(p), Richard Davis(b), Roy Haynes(ds)
今の東京JAZZのようなイベントが1970年代に毎夏、今はなき大田区の田園コロシアムで行われていた。ガーランドの初来日が78年のこの時だ。トリオ演奏と渡辺貞夫を加えた演奏で、ハンク・ジョーンズのグレート・ジャズ・トリオ・プラス渡辺貞夫とセットで「ギャラクシー・オールスターズ・イン・トウキョウ・フィーチャリング・渡辺貞夫」として日本でビクターからCD2枚組で発売された(2枚目がハンク・ジョーンズ。ハンク・ジョーンズ分だけは、米OJCからもCD化されている。)
ガーランドが仮に多少不調であったとしても、ガーランドのトリオ、プラス・ナベサダの盤も分売してほしい。②ジャスト・イン・タイム、ガーランドがダラスから連れてきた無名のベース&ドラム、大舞台で驚いたかもしれないが、ガーランドらしい演奏を披露する。次からは開催側の指定か、重量級のリチャード・デイビスとロイ・ヘインズに交替し、ナベサダも加わり、パーカーやコルトレーン的な演奏になる。マッコイ・タイナーではないのだからガーランドには迷惑な話だ。とはいえ、帰国後にこのリズム隊と「イクイノックス」を吹き込んでいるので、重量級との共演は事前には気が進まなかったらしいが、あまりの日本での自身の人気に驚き、自信(笑)が出たのかもしれない。(hand)
1978年8月4~5日
Galaxy
※未CD化 画像のみ掲載
おすすめ度
hand ★★★★
Red Garland(p), Richard Davis(b), Roy Haynes(ds)
未CD化のギャラクシー盤の1枚。ライブアンダーでは、気乗りがしなかったとされる重量級のリチャード・デイビスとロイ・ヘインズとの吹込みだ。やってみたらよかったのか?それとも帰国後にギャラクシーに強制されたのか?のどちらかだと思う。いずれにしても、晩年の演奏の中では上位に入るいい演奏で本格復帰を印象付ける。復帰後のガーランドは、日本の過去の評論家の評価が低い。なぜか?指がもつれるなど好不調の波があるからか?でも、好調の盤もあるのだ。近年、「SWINGIN' ON THE KORNER」などの発掘盤がかなり人気があるということは、リスナー的にはいいものはいいし、多少不調でも聞きたいと思う人がいるということだ。ギャラクシー盤4枚が正規盤にもかかわらず未CD化というのは残念な状態だ。是非、CD化してほしい。(hand)
※未CD化 画像のみ掲載
1978年8月4~5日
Galaxy
おすすめ度
hand ★★★★
Red Garland(p), Kenny Burrell(g A1,B1,3), Ron Carter(b), Ben Riley(ds
未CD化のギャラクシー盤の1枚。決して内容は悪くない。ガーランドの前向きな姿勢を感じる。ケニー・バレルとの共演A1,B1,B3も、22年前の「リビジテッド」より上手くいっている。ただ、私はこの時期のロン・カーターのベースの音色があまり好きではない。アコースティック・ベースなのにアンプを通してエレベみたいな音になっているのだ。現在のロンは、いい音に戻っている。(hand)
※未CD化 画像のみ掲載
おすすめ度
hand ★★★★
(A-1): Red Garland(p), Kenny Burrell(g), Ron Carter(b), Ben Riley(ds)
(A-2): Red Garland(p), Ron Carter(b), Ben Riley(ds)
(A-3): Red Garland(p,vo), Kenny Burrell(g), Ron Carter(b)
(B-1): Julian Priester(tb), George Coleman(ts), Red Garland(p), Ron Carter(b), Ben Riley(ds)
(B-2)(B-3): Red Garland(p), Ron Carter(b), Ben Riley(ds)
未CD化のギャラクシー盤の1枚。ロン・カーター、ベン・ライリーのベースとドラムに、A1,3にギターのケニー・バレル、B1にトロンボーンのジュリアン・プリースターとテナーのジョージ・コールマンが加わる。80年代のバレルは都会的で渋い音色を聞かせる。A3のガーランドの歌はご愛嬌。プリースターとコールマンも、くつろいだブルースだが熱いソロを吹く。もしかすると、前盤「ステッピン・アウト」と次盤「ストライク・アップ・ザ・バンド」の落穂なのかもしれないが、ガーランドも落ち着いた大人のプレイで内容はいい。(hand)
1979年7月10~12日
Galaxy
※未CD化 画像のみ掲載
おすすめ度
hand ★★★★
(A-1)(A-2)(B-3): Julian Priester(tb), George Coleman(ts), Red Garland(p), Ron Carter(b), Ben Riley(ds)
(B-1): Julian Priester(tb), Red Garland(p), Ron Carter(b), Ben Riley(ds)
(B-2): George Coleman(ts), Red Garland(p), Ron Carter(b), Ben Riley(ds)
未CD化のギャラクシー盤の1枚。トロンボーンのジュリアン・プリースターとテナーのジョージ・コールマンを迎えた盤で、トリオ演奏は入っていない。プリースターもコールマンもソロイストとしていい演奏をしており、盤自体の印象はいい。ガーランドの強力なリーダーシップは感じないが、ソロイストとしていい演奏をしている。(hand)
Lou Donaldson(as⑤⑩), Red Garland(p), Jamil Nasser(b),Jimmy Cobb(ds)
日本人プロデューサーながら私の苦手なK氏ではなく爽やかな内容(笑)。久々に可愛らしくエレガントなガーランド。2曲にゲスト参加のルー・ドナルドソンも艶やかなアルト・ソロを聞かせる。ただ、全曲バラードというのは日本人だからだと思う。ミドル・テンポの⑨フー・キャンと、ルウドナの参加で飽きない作品になっている。(hand)
Red Garland(p), Jamil Nasser(b), Frank Gant(ds)
ケニー・ドリューの後期の超甘口盤を大量発売し、コアなジャズ・ファンが忌み嫌う日本人K氏のプロデュース作品。私も大苦手だ。ガーランドの不調に関係なく、日本人好みの曲を吹き込ませた盤として評判が悪い盤だ。実際に聞いてみてどうか?多分、②ミスティ、⑥ユビソあたりは、K氏の選曲だろう。ガーランドはこなしているだけに聞こえる。ミディアム・テンポの曲はまずまずの出来だが、ベースの音色も好ましくなく、おすすめ盤にはならない。K氏盤は、概してジャケも選曲も悪趣味だ。ただ、K氏もガーランドに関して言えば、キイストーンコーナー録音のライブ盤を大量に発売したことは賞賛に値する。(hand)
Red Garland(p), James Leary(b), Eddie Marshall(ds)
復帰してからのガーランドは、以前とは違った味わいを感じさせるように変化してきたと思うが、最終作品となったこのライブではさらに深みと情感が増しているように感じる。ラスト・ライブという先入観で聴いたせいもあるのだろうが、若かりし頃の小粋にスイングする魅力とは違った枯れた味わいがあり、リズムセクションもあまりアグレッシブではないので、リラックスして楽しんで弾いているように思える。味わい深い選曲もすばらしく、全曲が愛聴できるライブとして、ゆったりとスピーカーに対峙して聴きたい作品になっている。(しげどん)
グルービーなジェームス・リアティのベースワークとガーランドの余韻のあるピアノが夜を彩る。時に激しく盛り上がり、ライブ会場が盛り上がっている。(ショーン)
これがラストなのか?というくらいガーランドは元気で、翌年、亡くなるとは思えない。④ラブ・フォー・セールが特にいい。こういう演奏を発掘してCD化する日本人は素晴らしい。これらのライブは、録音年は違っても、すべてがサンフランシスコのキーストン・コーナーでの録音だ。ということは、71年復活時のMPSの2枚、77〜78年のギャラクシーの7枚以外は、発売レーベルは違っても、ほぼキーストンのオーナー、トッド・バルカンのおかげで残されたライブ録音である。バルカンは、故郷ダラスに引っ込んでいたガーランドを毎年1回シスコに招いてライブをしたとのこと。感謝だ。(hand)
Red Garland(p), James Leary(b), Eddie Marshall(ds)
軽やかな枯葉から始まるラストレコーディングのパートⅡ。Ⅰに比べると、ライブの高揚感とノリをより感じることができる。歌うようなガーランドのピアノは素晴らしい。アフリカンなドラミングも面白い。(ショーン)
ラスト・レコーディングとして本来は2枚組になるべき作品だったと思う。この時期のガーランドの情感たっぷりの味わいがあるが、選曲面では後半はやや落ち着きがなく、第1集にやや劣る。でも演奏の内容は素晴らしい。(しげどん)
①枯葉、復帰してからはライブで度々演奏するようになった曲。えっ、これがラスト録音?というくらい元気な演奏だと思う。エバンスやケリーの枯葉の名演と比肩する演奏とまでは言わないが、熱い演奏であることは間違いない。②インポッシブルも熱いバラード。この日の演奏は、捨て曲なしだ。ラストライブは、2枚組でなく、2枚別売だが、私はⅡがいいと思う。この1年後に60歳で心臓病で亡くなっているのが悔やまれる。2019年8月現在、復帰後の作品19枚中、CD化されている作品が15枚(ルー・ドナルドソンのリーダー盤は含まない。)、CD化されていない盤はギャラクシーの4枚。CD15枚のうちスタジオ録音が6枚、ライブが9枚。この8枚がキイストーン・コーナーでの録音で、2枚組を2枚と数えると全11枚になる。ガーランドの出来は11枚どれも特に悪いとは思えなかった。その中で、このラスト盤はオススメできる。※今回のガーランド全部聴き研究には、GAKOさんのHP「RED GARLANDの世界」が大変参考になりました。感謝します。(hand)
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・Red Garland 全リーダー作 ① 1956年~57年
・Red Garland 全リーダー作 ② 1958年~59年
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