1959年以降、死の直前まで、クラークは多くの録音をこなしています。
この時期の演奏を続けて聴くと、好調不調の波がかなりでてきたように感じることもあります。しかし多くの傑作をサポートしつつ、何か新しい転換期に向けた変化を感じさせる作品もあり、つくづく早すぎる死が惜しまれます。
このページでは1959年から絶作まで、ほとんどすべてのサイド参加作をレビューしています。
ソニー・クラーク ディスク・レビュー 目次
・ソニー・クラークのサイド参加作 1 ・・1955年~56年
・ソニー・クラークのサイド参加作 2 ・・・1956年~57年
・ソニー・クラークのサイド参加作 3 ・・・1957年~59年
・ソニー・クラークのサイド参加作 4 ・・・1959年~62年 ・・・このページ
59年1月18日:Donld Byrd(tp),Sonny Clark(p),Paul Chambers(b),Philly Joe Jones(ds)
この作品はB面が有名曲もあり名盤視されてきた。A面で参加しているクラークは不調だったと言われているが、本当はどうなのか?これは聴いてみてもらうしかない。B面の名盤目的で聴いてもらい、クラークがどうなのか?をA面で確認するだけでも面白い価値がある一枚ではないか。(しげどん)
ブルーノートに移り、作風が急変する。②Blues Innなどは、ソロには旧来の臭いがは残るがどこかが違う。何だろう?基本的にアップテンポになり、マクリーンが早口になって、血圧が上がった感じのプレイになっている。トランペットが、バード、ハードマン、ウェブスターから、ハバード、ミッチェルなど新主流派的な温かみのない無機的な音色、ソロ内容になっている。ドラムがテイラーからヒギンズに変わり前乗り、シンバル多用のこちらも無機的な感じになっている。ソニー・クラークは不調とされているが、この無機的な感じにアレルギーを感じていたのではないかとも思う。後半のケニー・ドリューはうまく合わせているが、マクリーンとの相性は微妙。(hand)
Philly Joe Jones(ds),Blue Mitchell(tp),Julian Priester(tb),Bill Barron(ts),Sonny Clark(p),Jimmy Garrison(b)
御大フィリー・ジョーのショー・ケースなので、長いドラムソロだけでなく、ピアノまで披露。ソニー・クラークは二曲だけに参加しているが、クラークらしさのあるソロだ。(しげどん)
ソニー・クラークの参加は、全9曲中②⑨の2曲のみで、どちらもソロは短い。(hand)
Stanley Turrentine(ts),Sonny Clark(p),George Duvivier(b),Max Roach(ds)
トミフラ、クラークのピアノに、ジョージ・デュビビエのベース、ローチのドラムという、今から思えば超豪華なリズム隊によるスタンレー・タレンタインのデビュー盤。スタンレーのテナーはアメリカでは人気があるようだが、日本人の琴線には触れてこない気がする。ケニー・バレルの「ミッドナイト・ブルー」以外ではあまりいいと思ったことがない。クラークは元気に弾いているが、クラーク向きの憂いのある曲がない。(hand)
スタン・タレンタインのデビュー作にして人気盤。とにかく黒っぽいゴリゴリした彼のテナーが主役。ピアノは全7曲中4曲がソニー・クラークで、軽やかにメロディアスなトミー・フラナガンと、ブルージーなソニー・クラークを聞き比べられる。クラークはやはりクラークらしく、タレンタインのようなテナーにもよくマッチしている。(しげどん)
Bennie Green(tb),Jimmy Forrest(ts),Sonny Clark(p),George Tucker(b),Al Dreares(ds),Joe Gorgas(bongo)
お気楽で明るい感じが好きになれない。CDの曲表示はめちゃくちゃで、ブルーマイナーがクールストラッティンになっていて、クールストラッティンはイッツタイムとなっている。ソニークラークのオリジナル2曲は、名演の別バージョンとして貴重ではある。(hand)
ベニー・グリーンの中間派的なユーモラスな感じは好きだが、コンガが参加しているためか、前作&前々作に比べるとブルージーな感じがなく、コクがない軽い一枚になってしまっている。あの「クール・ストラッティン」もなんだか薄っぺらい感じで、もっとドスッとした重たいブルースフィーリングでやって欲しかった。(しげどん)
Tommy Turrentine(tp),Jackie Mclean(as),Sonny Clark(p),Butch Warren(b),Billy Higgins(ds)
ソニー・クラークとトミー・タレンタインのおかげで、新主流派的なビリー・ヒギンズが張り切っても、行き過ぎず、踏み止まっている。(hand)
過渡期の作品だが、ハードバップ好きなファンにとっても聴きやすい作品。マクリーンは新しいスタイルに向かっているが、ソニー・クラークやトミー・タレンタインの曲はもろにハード・バップ・テイストなので、それに乗るとマクリーンもハードバップらしさ全開に戻る。クラークは次作リーピン アンド ローピンに肉薄する良さだ。一曲目のFive Will Get You Ten はセロニアス・モンクにヒントをもらった(というよりそのままもらったに近い?)クラークの曲で、そう聞くとモンクらしさがある面白い曲調。(しげどん)
マクリーンのアルトとトミー・タレンタインのトランペット、ソニークラークのピアノとの相性は良さそう。特に2曲目の subdued は、夜空で輝く星たちの様な個性に満ちた美しさがあり、素晴らしい演奏だ。(ショーン)
Grant Green(g),Sonny Clark(p),Sam Jones(b),Louis Hayes(ds)
グラント・グリーンとソニー・クラークの未発表録音のセッションである。
最初は「オレオ」「グッデンズ・コーナー」という2枚のLPでキングの世界初登場シリーズで発売され、その後「ナイジェリア」というタイトルで別音源がブルーノートLTシリーズで発売された。これらの録音はその後コンプリートカルテット・ウィズ・ソニー・クラークという二枚組CDになっているので、これを入手すれば上記3枚の音源がすべて聴ける。
いずれもシンプルなカルテット編成で、グラント・グリーンのソロも充分聴けるし、クラークの円熟期といえるソロもたっぷり聴けるが、特別なアレンジもなく、アルバムとしてはやや雑な印象だ。(しげどん)
(Gooden's Corner)1979年に世界初登場シリーズとして発売された盤だが、その時は買わなかった。CDの音源は持っていたが聞いた記憶はない。正直なところ今まで一度もグラント・グリーンのギターをいいと思ったことがない。今回、ソニー・クラーク絡みで4枚のリーダー盤を聞いたが、どれもあまりピンと来なかった。④ムーン・リバーのような名曲はBGMに聞こえてしまう。⑤タイトル曲は、比較的いいと思った。ラスト⑥トゥー・フォー・ワンも、マイルスのソー・ホワット的なモーダルないい感じの曲だと思う。(hand)
(Nigeria)未発表シリーズとして1982年に発売されたアナログ2枚の1枚。オレオを買ってガッカリして、こちらは買う気になれなかった盤。改めて聞いても感興はなかった。世間で言われる黒っぽくて、ブルージーでみたいなところは、あまり感じないが、シングル・トーン一筋に職人的に弾き続ける人だということは今回、理解した。(hand)
(Oleo)1982年、未発表シリーズのアナログ盤で聞いて、ガッカリした盤。ソニー・クラークつながりで買って失敗したと思った。ウエス、バレルと聞き進み、3人目にグラント・グリーンを聞き、黒人系はそこで止まってしまった。私的に第三のギタリストは、ジム・ホールだ。ジョー・パスは近年になって第四になった。バーニー・ケッセル、タル・ファーロウもあまり得意ではない。さて、本盤、久しぶりに聞いてみてどうか?シングル・トーンで延々と弾き続けるソロは、やはり盛り上がりやドラマチックなものが生まれにくいと思う。クラークのソロは、悪くないので、私的には、グリーンとこんなに大量に吹き込むなら、少しは他の人と吹き込んで欲しかった。(hand)
Ike Quebeck(ts),Sonny Clark(p),Milt Hinton(b),Art Blakey(ds)
A面がベニー・グリーンとスタンリー・タレンタインが参加したセクステットで、B面がケベックのワンホーンカルテットから構成されているが、それぞれのテイストは全く異なる。カルテットの演奏はすべてケベックらしいスローバラードだが、セクステットのものはグリーン、タレンタインのファンキーパワーが加わって真っ黒いノリの曲が続き、クラークもまけじと粘っこいテイストで応戦している。 この作品はブルーノートによくある番号まで決まっていながらオクラ入りした作品で、セクステットのセッションだけがLTシリーズの「コンゴ・ラメント」というタイトルで発売されたことがある。現在のCD「イージー・リビング」はカルテットのセッションも含んだ完全8曲入り。(しげどん)
ギリギリ、ジャズの範疇に踏み止まっている感じの1曲目から始まる。スタンリー・タレンタインの師匠と言われるケベックだが、これまで聞いた中で一番似ている気がした。⑥タイトル曲は、いい感じだ。(hand)
Grant Green(g),Ike Quebec(ts),Sonny Clark(p),Sam Jones(b),Louis Hayes(ds)
あまり得意ではないグラント・グリーンだが、4枚続けて聞いたら、だいぶ耳が慣れてきた(笑)。この金属的なギターの音色にハマる人もいるかもしれないなーと少しは思えるようにはなってきた。1985年の発掘盤だが、発掘時の記憶はない。「オレオ」を聞いて、関心がなくなったのだと思う。4枚目の本盤は、後日のセッションで、テナーのケベックも入り飽きにくい。(hand)
アイク・ケベックはベン・ウエブスターのようにスローものが得意で、彼の熱演がグラント・グリーンの一本調子になりがちなソロに変化を与えて、この一枚はなかなか味わい深い作品になっている。グラント・グリーンとアイク・ケベックのコテコテ両頭リーダーを適切にサポートするクラークの姿が素晴らしい。(しげどん)
Don Wilkerson(ts),Grant Green(g),Sonny Clark(p),Butch Warren(b),Billy Higgins(ds)
ほとんどジャズから逸脱しているが、かってロンドンのディスコではやったヒット作品なので、ソウル系の音楽が好きな人には受けるのかもしれない。「デム・タンバリンズ」という曲がそれなので、興味がある方は聴いてください。このコテコテ感は、ジャズファンは引いてしまうだろうが、グラント・グリーンもクラークもこのコテコテ感に楽しんで付き合っているのかもしれない。(しげどん)
これがジャズとは思えない。ブルースなのか何なのかわからない。テナーの音もバイオリンみたいで好みではない。グラント・グリーンは楽しそうだが、クラークは好きでやってるのか仕事だから弾いているのかわからなかった。(hand)
Dexter Gordon(ts),Dave Burns(tp),Sonny Clark(p),Ron Carter(b),Philly Joe Jones(ds)
三つのセッションからの寄せ集めの発掘盤だが、デックスさんらしいアルバムとして聴ける一枚。タイトル曲はクラークは参加しておらず「デクスター・コーリング」時の残り曲だが、なぜこれがお蔵入りになったのかよくわからない。後は中間派サー・チャールス・トンプソンがピアノをつとめた3曲と、ソニー・クラークがピアノの3曲で、名作「GO」の二カ月前の録音だけあって、高水準のソロだ。(しげどん)
3つのセッションの寄せ集めだが、発掘してくれたマイケル・カスクーナに感謝したくなるいいセッションばかり。①ランドスライドは、「デクスター・コーリング」の余り曲。時間以外に外した理由はないと思われるいい演奏。コーリングのCDにプラス1として入れたはいいが、アナログ時にタイトルにしてしまったため、こちらからも外せなくなったのだと思う。②〜④は珍しい中間派のサー・チャールズ・トンプソンとの共演。トンプソンがモダンもうまいことが分かる。⑤〜⑦のソニー・クラーク入りのラスト3曲は、ハンコックの「テイキン・オフ」の1か月後、名盤「GO」の2か月前の録音で、ゴードンも絶好調だと思う。(hand)
ワンホーンカルテットでは屈指の名盤では?なんといっても1曲目のチーズケーキ、2曲目のI Guessと続けて聴くと、そのインパクトと哀感に落涙しそうになる名演。(しげどん)
スインギーでスピード感のある曲から、ゆったりとしたバラードまでいずれも素晴らしく、出色の出来が揃うデックスの名盤だ!1曲目から印象に残るフレーズで、一瞬にして引き込まれる。全ての方にオススメ出来る。(ショーン)
曲も音色も最高の状態でデックスを捉えた作品かもしれない。麻薬禍がなく50年代に元気に活躍してたら、西海岸でなく東にいたらというタラレバ的にはその頃に最高作が生まれた可能性があるが、運命はそうではなかったので、やはりこれを勧めたいと思う。(hand)
ロリンズのようなカリプソに挑戦、4曲めのクラークのソロ、曲はイマイチでもソロは最高、ラスト曲も同様。全体に選曲がイマイチで残念。曲が良ければ、好調クラークも同じで最高クラスだったかも。(hand)
マンボの香りがする1曲目が面白い。こんな曲も作ることができるデクスターさんは偉い!2曲目もビリーホリデーの唄う歌詞を考えながら聴くと心に響く。このアルバム、勢いはあまり感じられないが、自信に満ち溢れ成熟したデクスターゴードンを聴くことができる。(ショーン)
※この作品は、名作 GO の二日後に、ソニー・クラーク(P)、ブッチ・ウォーレン(b)、ビリー・ヒギンス(d)という同一メンバーで吹き込まれました。デクスター・ゴードンの渡欧前最後の作品です。
Jackie Mclean (as),Sonny Clark(p),Butch Warren(b),Art Taylor(ds)
当たり前だが、この時期のマクリーンの音がしている。プレスティッジとの違いは、ソロがより理性的な感じになったことと、ドラムのアート・テイラーの4ビートがやや前乗りな感じになったことではないかと思う。マクリーンとソニー・クラークの最後の共演盤で、共同リーダー盤と言ってもいいくらい、クラークも活躍する。マクリーンもクラークもソロが好調で泣ける。なのに、なぜ発売されなかったのか?革新的な「レット・フリーダム・リング」の後に、こんな普通の盤を発売できなかったのだと思う。(hand)
正規盤だけ聴くと、レット・フリーダム→ワンステップ・ビヨンド→デステネイション・アウトとどんどん前進していた当時のマクリーンだが、お蔵になった作品ジャッキー・マクリーン・クインテットや本作品などはハードバップテイストが残る素晴らしい作。しかもいずれも日本で初発売という事で、日本人の感性にあったハードバップ盤なのだろう。レット・フリーダム・・・以前のブルーノート盤が好きな私のような保守的なファン向きな作品。ジャケットはキングから初発の時の赤いデザインがカッコよかったけど再発時の東芝盤(というより米国盤)は情けないくらいダサイな・・・(しげどん)
クラーク・テリーは、一応、モダンとされているが、エリントンの経験もあるなどスタイル的には中間派だと思う。そんなテリーとホーキンスのセッション。ソニー・クラークはホーキンスの④コンフェッシン⑤ジャストユー・ジャストミーに参加。クラークのライブの正式録音は珍しいが、④はホーキンスのソロでフェイドアウトし、⑤は16分近い長尺でクラークも3分近いソロをとるのだが、選曲のせいか、らしさをあまり出していない。そもそも、コスタのメモリアルでなぜテリーとホーキンスなのか?よくわからない人選だ。(hand)
タイトル通りエディ・コスタ事故死の後の追悼コンサートで、クラーク・テリーとコールマン・ホーキンスという両巨頭の演奏がカップリング。クラークは後半のホーキンスのセットで活躍している。ジャズライブとしては悪くないできだが、この作品をわざわざ買う人は、クラークマニアしかいないと思う。(しげどん)
Stanley Turrentine(ts),Tommy Turrentine(tp),Kenny Burrell(g),Sonny Clark(p),Butch Warren(b),Al Harewood(ds)
オルガンとの演奏などアーシーさをウリにしてきたタレンタインだが、この頃になると都会的な洗練も身につけてきて、日本人にも聞きやすくなっている。特にこの盤は、ギターのケニー・バレルの都会的でブルーな音色の効果が大きい。ソニー・クラークは「クール・ストラッティン」をピークに下降気味に評されることが多いが、最後まで発展していたと思う。この盤が現在、最後の録音とされるが、クラーク節に加え、知的な雰囲気のフレーズが入ってきていて最後まで進化していたと思う。トランペットはあまり必要性を感じない。(hand)
死の三か月弱前の録音で、ソニー・クラークの絶作である。コテコテ感も充分だが、60年代的なテイストもある。もっと発展形のクラークを聴きたかったと思わせる一枚。(しげどん)
ソニー・クラーク ディスク・レビュー 目次
・ソニー・クラークのサイド参加作 1 ・・1955年~56年
・ソニー・クラークのサイド参加作 2 ・・・1956年~57年
・ソニー・クラークのサイド参加作 3 ・・・1957年~59年