ロリンズ氏の長いキャリアの中での雲隠れ(一時的な引退)は有名で、順調にデビューした直後の54年(一度めの引退)、名声の絶頂にあった59年(二度目の引退)、さらに復帰後の69年(三度目の引退)と引退をしています。そのつど彼のスタイルは変化を見せ、進化していきます。
ここでは、ロリンズ前期のうち、57年から二度目の隠遁生活に入る直前の59年までの作品群を紹介していきます。
なお、ロリンズ氏は2018年の現在も健在ですが、高齢のためサックスはもう吹けないそうで、今は本当に引退をされています。(ロリンズ氏は1930年生まれです)
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タイトル下の日付は録音日です。 パーソネルも記載しています。
ソニー・ロリンズ CD主要作 レビュー 目次
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・ソニー・ロリンズ リーダー作 ② 1957年~1959年・・・このページ
・ソニー・ロリンズ リーダー作 ③ 中期(1) 1962年~1964年
・ソニー・ロリンズ リーダー作 ④ 中期(2) 1965年~1968年
・ソニー・ロリンズ リーダー作 ⑤ 後期(1) 1972年~1981年
・ソニー・ロリンズ リーダー作 ⑥ 後期(2) 1982年~1998年
1957年4月7日
Contemporary
おすすめ度
hand ★★★★☆
しげどん ★★★★☆
ショーン ★★★
Sonny Rollins(ts)、Ray Brown(b),Shelly Manne(ds)
昔は、西部を馬で歩くドラムのチャカポコで、好きになれない盤だった。今もチャカポコは好きとまでは言えないが、盤としては素晴らしい作品であることはわかる。(hand)
これも高校生の時に買った思い出のレコード。でも一曲目のタイトル「おいらは老カウボーイ」!?を聴いて、ジャズにシリアスさを求めていた若かりし私は納得がいかない気持ちだった。シェリー・マンのドラムスもユーモアが先行しすぎ(でもこのチャカポコの正確さ!さすがプロと感心もしたのだが・・・)。今聞くとようやくロリンズのソロの良さで納得できる作品。ラストのタイトル曲は間違いなく五つ星の名演。(しげどん)
1曲目のカウボーイソングのシェリー・マンのユニークなリズムから始まるソニーロリンズとしては、明るくポップな印象のアルバム。自己の音楽追求の一過程とも解されており、演奏的にはピアノレスのトリオでありながら、厚みも十分感じられるあたりは流石だ。しかしながら、やはりうまくウエストコーストのブルースを消化しきれていない中途半端感は否めない。(ショーン)
J.J. Johnson(tb)、Sonny Rollins(ts)、Horace Silver(p)、Paul Chambers(b),Art Blakey(ds)
生々しく迫力ある名盤。大御所が揃って技を競い合っており、聴いていて息を抜けない。特に3曲目のMisteriosoでは、何とセロニアスモンクとホレスシルバー、2人の天才ピアニストが共演!途中で交代して演奏しているらしい?!そんな事があり得るのか?よくセロニアスが「文句」を言わなかったものだ。このアルバムでのロリンズは、テナーを幅広い音域で縦横無尽に吹きまくり、迷いがなく好調な様子に見てとれる。アートブレイキーの勢いのあるドラミングに支えられて、J.J.ジョンソンのトロンボーン、ポールチェンバースのベースも好プレイを連発!凄い化学反応を起こしたアルバム。(ショーン)
アート・ブレイキーはなんて素晴らしいドラマーなのだ!と思える作品。1曲目から爆発的にジャズらしい乗りのある動きがある。モンクも素晴らしいので、聴きごたえある一枚。(しげどん)
J.J.は、2管の意味を理解して演奏している。そこにいることが必然と思わせる演奏だ。シルバーもノリがいい。ロリンズにはプレイキーが合っている。モンク参加の2曲も、違和感なく溶け込んでいる。(hand)
1957年6月11日、12日、19日
おすすめ度
hand ★★★
しげどん ★★★☆
ショーン ★★★☆
Sonny Rollins(ts)、Sonny Clark(p)、Percy Heath(b)、Roy Haynes(ds)
Paul Chambers(b)
東海岸録音ながら、ウェイアウトウエストの残り香を感じる。ピアノレスの成功体験を持ったからだと思う。ソニー・クラークの唯一の共演のダブル・ソニー盤ながら、リーダー盤に比べて、遠慮した演奏で、やや不満が残る。(hand)
スタンダードの扱い方はジャズ的で好きなタイプの演奏だ。ロリンズもソニー・クラークもいい感じで楽しめる。強い印象に残らないのは、曲数が多くて、盤として散漫な印象だからだと思う。(しげどん)
Sonny Rollins(ts)、Wilbur Ware(b)、Elvin Jones(ds)、Donald Bailey(b)、Pete LaRoca(ds)
素晴らしいライブの名盤。エルビン・ジョーンズとウィルバー・ウエアのワイルドなサポートに鼓舞されて、緻密なロリンズも熱気爆発。朝日のごとく・・は名演が多いが、これも多くのジャズファンに記憶されている名演の一つ。ソニームーンはアドリブの面白さも最高。ロリンズはドラマーとしてはブレイキーとエルビン・ジョーンズが合っているのでは?(しげどん)
ベースとドラムスから始まる名盤は多いが、この盤Old Devil Moonもそう。ベース、ドラムがこの盤を熱く盛り上げている。若い頃、初めて聞いて、あまりのカッコよさにすぐにお気に入りになった。Softly・・・この曲の最高名演の一つ。Sonny Moon…ロリンズ作のスタンダード化しているカッコいい曲。Tunisia・・・イントロから吹き始めるロリンズ。この荒々しさがイイ。ピート・ラロッカはこの曲だけだが、ソロも含めいいキレ味。I Can't Get・・・甘さを排した渋いバラードだ。(hand)
※一日の昼と夜のライブ録音から編集されていて、B面2のNight in Tunisiaだけが昼の部の演奏で、ベースがDonald Bailey,ドラムスがPete La Roca です。
その後未発表の音源が発掘され、第二集として発売。CDではコンプリート盤もでています。(下記)
おすすめ度
hand ★★★★★
正規盤6曲以外に収録順にプラス10曲、全16曲が入っている。元の6曲もロリンズのしゃべりで長くなっていたりする。最初2曲が昼の部でベースとドラムがドナルド・ベイリーとピート・ラロカ。他14曲はウィルバー・ウェアとエルビン・ジョーンスの夜の部から。正規盤の6曲と比べてしまうと多少間延びした部分もあるが素晴らしい一夜であったことに変わりはない。(hand)
1957年11月4日
Period
おすすめ度
hand ★★★
しげどん ★★★
Jimmy Cleveland(tb),Sonny Rollins(ts),Gil Coggins(p),Wendell Marshall(b),Kenny Dennis(ds)
ロリンズ3曲とサド・ジョーンズ3曲を組み合わせたマイナーレーベル、ピリオドからの盤。ロリンズはトロンボーンのジミー・クリーブランドとの2管。トロンボーンのせいにはしたくないが、ぼやけた印象の盤だ。①ソニー・ムーンはバンガードのように厳しく演奏してほしい曲だ。サド・ジョーンズは可もなく不可もなくという感じだ。(hand)
タイトルはロリンズのリーダー作のようだが、ロリンズの演奏は片面3曲だけでB面はサド・ジョーンズの寄せ集め盤という変な一枚。ピリオド社がギャラが払えずB面の録音が実現しなかったらしい。録音日を見ると、名作ビレッジバンガードライブの翌日なのでロリンズは好調さを維持していたはず。でもソロは悪くはないのだが、アレンジと曲が合っていないようなちぐはぐな印象だ。シンプルなカルテット編成でもっとロリンズに伸び伸びと吹かせたほうが良かったのでは?と思う。(しげどん)
1958年2月27日
Riverside
hand ★★★★☆
しげどん ★★★
ショーン ★★★★☆
Sonny Rollins(ts)、Oscar Pettiford(b)、Max Roach(ds)
同じリバーサイドのサウンドオブソニーより、こちらの方がまとまりがある。コンセプトアルバム⁈的な盤だからか?いずれにしても、バンガードの快調さと集中力がまだ保たれている。組曲というタイトルが、遠ざけられる原因となっている可能性はあるが、意外とオススメ盤であることが今回分かった。(hand)
1曲目からアルバムタイトルの長編作品の登場だが、マックスローチのドラミングが素晴らしく、邦題『自由組曲』らしい自由な感性と意外と飽きさせない展開がgoodだ。2曲目3曲目からは黒いロリンズを感じ、興味深く面白い。(ショーン)
1957.7.10.Sonny Rollins(ts),Henry Graimes(b),Charlie Wright(ds)
1957.7.11. Sonny Rollins(ts),Nat Adderley(cor),Clark Terry,Reunald Jones,Ernie Royal(tp),Billy Byers(tb) &Others
ブラス入り4曲とトリオ演奏4曲(1曲は無伴奏ソロ)を組み合わせたメトロジャズというマイナーレーベルの盤。その後ヴァーブから「ブラス・アンド・トリオ」として出たこともある。ブラスは、アーニー・ウィルキンスのアレンジと指揮で、トランペット、トロンボーン、チューバの7管がロリンズのバックとなりで、ロリンズが重要なソロイストとして活躍する形だ。ブラス入りは豪華だが、やはりロリンズはワンホーンが一番合う人だと思う。なので後半のトリオ演奏のほうがいいと思う。(hand)
Sonny Rollins(ts)、John Lewis(p)、Milt Jackson(vib)、Percy Heath(b)、Connie Kay(ds)
ジョンルイスの静かな感じから始まるが、ロリンズ 登場で活力がみなぎる。激しい演奏ではないが、今日のロリンズ は好調とわかる音色だ。ライムハウスブルースでは、指も舌も滑らかなロリンズ が聞かれる。ゆっくりのバラードも全くダレない。傑作だ。アナログ時代には、MJQのオマケ2曲と、テディ・エドワーズとのカプリングの4曲に分散され、1作品として聞くことができなかった。CD化して名盤だと改めて感じる盤。(hand)
ロリンズのテナーは、1ホーンとは思えないくらいの存在感と、中低域における厚みがある。ただライブらしい荒々しさに乏しく、もう少し破茶滅茶して欲しかった。惜しい!音質が極めて良く、ボリュームを上げて聴くと良いだろう。アルバムとしての完成度は高く、ロリンズが参加していない曲でのミルトジャクソン、テディエドワーズの演奏が特に素晴らしい。(ショーン)
※hand氏のコメントにあるこの作品の経緯に関して補足注釈
この日のライブ演奏は全10曲で、そのうちロリンズ参加は6曲。
アナログ時代の「SONNY ROLLINS AT MUSIC INN」は、そのうちの4曲と、ロリンズとは関係ない別の日のテディ・エドワーズ(ts)のセッション2曲と合わせていちまいのLPにしたものでした。これが上のデザインです。
残りの2曲はミルト・ジャクソンの契約上の理由から、アトランティック盤「MJQ AT MUSIC INN Guest Artist: SONNY ROLLINS」の一部として、ロリンズが参加していない4曲とともに発売されていました。これが下のデザインです。
画像(上)に貼ったリンクは、CDとしてその二枚を合体させたものなので、これではじめてこの日の演奏が通して聴けるようになったのは、hand氏のコメントの通りです。
hand ★★★☆
57,58年のトリオ演奏を中心としたアウトテイク集。①~⑤が「自由組曲」(全曲同一)、⑥~⑧、⑪が「ビッグ・ブラス」(トリオ演奏全曲同一)、⑨が「ミュージック・イン」、⑩、⑫が「サウンド・オブ・ソニー」、⑬が「ニュークス・タイム」だ。よくまあ集めたものだと感心する!(hand)
1958年9月22日
Blue Note
おすすめ度
hand ★★★☆
しげどん ★★★☆
ショーン ★★★★☆
Sonny Rollins(ts)、Wynton Kelly(p)、Doug Watkins(b)、Philly Joe Jones(ds)
ブルノート4000番台最初の作品としてオールスターキャストのリズムサポートを得て、名盤のお膳立てはバッチリ揃っていた。でもチューンナップのような曲をどう格好良く処理するかが腕の見せ所だが、ここではその見せ場がなく、平凡なテーマ解釈になってしまった。ワンダフル・ワンダフル、ネイムリー・ユーと両面ラスト曲が好演。名盤請負人の名わき役であるウイントン・ケリーをもっとイントロから前面に出して欲しかった。(しげどん)
いきなり前のめりのロリンズ!フィリー・ジョー・ジョーンズのドラムスに煽られてのことか?エキゾチックなフレーズと自由な間の取り方のロリンズ節全開の冴えた迫力のある演奏が聴ける名盤。ウィントンケリーの正攻法のコロコロピアノとしっかりとした音位のダグワトキンスのベースラインが、アルバムを引き締めている。(ショーン)
1958年10月20日~22日
Contemporary
おすすめ度
hand ★★★☆
しげどん ★★★★
ショーン ★★★★☆
Sonny Rollins(ts),Hampton Hawes(p),Barney Kessel(g),Victor Feldman(vib),Leroy Vinnegar(b),Shelly Manne(ds)
冒頭の I've told every little star・・・リンダ・スコットの歌がマツコの知らない世界のテーマになって一躍有名になった。でもこの盤でのアレンジのおちゃらけた感じが好きではなく、これでこのアルバムの印象が決まってしまっていた。いま改めてスピーカーにそれなりの音量で対峙すると、これはこれで大人のユーモアかなと思える。唄のあるアドリブを演ずる事ができるのがロリンズで、それを味わえる作品だと思い直している。ソロの構成力はさすがだ。(しげどん)
1曲目から印象的なフレーズで、楽しくスウィングしたロリンズを堪能できる。メンバーとしても、一流どころが揃ったソツの無い演奏集。ギターのバーニー・ケッセルが、ピリッと引き締めた大人感を演出していてとても心地良い。特にalone togetherでのロリンズとケッセルの絡みがなかなかイイ!その後に続くin the chapel in the moonlight のバラードは、ロリンズのセンチメンタリズム全開で、ギターもピアノも役どころを心得ていて、じっくり浸れる名演奏 に仕上がっている。全体を通して、安心して聴けるjazzアルバムだろう。(ショーン)
1959年3月
ESSENTIAL
hand ★★★★
Sonny Rollins(ts),Henry Grimes(b), Joe Harris, Kenny Clarke, Pete La Roca(ds)
59年3月のヨーロッパツアーの全貌が3枚組CDでコンプリート化された。これまでバラバラかつ重複していたので非常にありがたい。これまで出ていた盤は、「イン・ストックホルム」、「オレオ」、「スイス・ラジオ・デイズ」、「エックス・アン・プロヴァンス」、「ソニー・ムーン・フォー・トゥ」、「シックスティーズ・スタンダーズ」と6枚にも上る。Disc1前半はストックホルム録音で特に音がいい。82年にドラゴンからアナログ盤が出てディスク・ユニオンで買ったときはセント・トーマスのライブが聞けて感激したものだ。ロリンズは、58年10月に「コンテンポラリー・リーダーズ」を吹き込み、62年1月の「橋」まで雲隠れしていたとされるが、少なくとも59年3月にはヨーロッパで元気に演奏していたことは確かだ。演奏は全てピアノレス・トリオで、ベースは全てヘンリー・グライムス。ドラムは、ピート・ラロカがスウェーデン(一部ジョー・ハリス)、スイス、オランダとドイツ。ケニー・クラークがフランスだ。内容は、なぜ雲隠れ?というくらい素晴らしい。この盤で初出と思われるDisc2前半のスイス録音は少し音が悪いのが難点。 Disc3は、この日だけ演奏時間が3倍くらい長い。ケニー・クラークの提案だろうか?ドラムとの4バースが延々と行われる。3曲目になるとロリンズが疲れてきた気もする。ツアーの疲れか、長尺演奏でコード進行重視のアドリブに限界を感じたのかもしれない。この日の演奏が雲隠れの原因なのか?勘ぐり過ぎとは思うが。。。(hand)
ソニー・ロリンズ CD主要作 レビュー 目次
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・ソニー・ロリンズ リーダー作 ② 1957年~1959年・・・このページ
・ソニー・ロリンズ リーダー作 ③ 中期(1) 1962年~1964年
・ソニー・ロリンズ リーダー作 ④ 中期(2) 1965年~1968年
・ソニー・ロリンズ リーダー作 ⑤ 後期(1) 1972年~1981年
・ソニー・ロリンズ リーダー作 ⑥ 後期(2) 1982年~1998年
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