Sonny Rollins ソニー・ロリンズ 主要作品CDディスクガイド:リーダー作編3(中期1)1962年から1964年まで

このページでは、二度目の雲隠れからの復帰第一作である「橋」から、三度目の引退になる「イーストブロードウエィ・ランダウン」の頃までを中期ロリンズとして、ここではその前半を紹介していきます。

「橋」とはこの雲隠れ中にこっそりサックスの練習をしていたウィリアムズバーグ橋の事で、有名なエピソードです。


中期の最後の正規作品となる66年の「イースト・ブロードウエィ・ランダウン」までは、賛否凹凸あるものの変化に富んだ作品が続きます。しかしこの作品以降レコーディングからは遠ざかり、ライブなどは行っていたものの69年以降三度引退し、72年まで沈黙します。


またこの時期は多くの非正規盤(海賊盤)でのライブ音源が存在しており、hand氏の研究による力作レビューもあわせて掲載しておりますので、ぜひご覧ください!




The Bridge/Sonny Rollins   橋/ソニー・ロリンズ

1962年1月30日 (B2), 2月13日 (A2,A3,B3), 2月14日 (A1,B1).

RCA

おすすめ度

hand      ★★★★

しげどん ★★★★

Sonny Rollins(ts),Jim Hall(g), Bob Cranshaw(b),Ben Riley, H. T. Saunders(ds)

橋の上で猛練習して復活したロリンズ。想像と違い落ち着いた演奏

4年ぶりのスタジオ録音は、こんな盤だったろうか?全く記憶がない。聞いたのは25年前で★★★と評価してしまい込んでいた。橋の上で猛練習して復活したロリンズということで、荒々しい演奏を期待して聞いたのだと思う。①ウィズアウトアソングは、始まりにふさわしい雰囲気だが、荒々しさはない。⑤ゴッドブレスは枯淡の境地のような演奏でなかなかいい。荒々しいロリンズもいいが、肩の力が多少抜けたロリンズもいい。タイトル曲⑥橋は、激しいが逆にあまりいいと思えない。ただ、全体としては、落ち着いたいい盤だと思う。やはりCDは、一度聞いていいと思わなくても保存しておくと自分の耳が変わる場合がある(当然、変わらない盤が多いが。)。(hand)

再復活の第一弾だが、あまり変わらない歌心あるロリンズらしい演奏そのままの味わいだ。ピアノレスの編成は少し変わった感じがあるが、特に前進的な変化ではなく、より成熟した境地だろうか。再出発の変化に期待すると逆に意外な感じだが、普通にロリンズらしい佳作だと思う。(しげどん)



What’s New/Sonny Rollins   ホワッツ・ニュー(ドント・ストップ・ザ・カーニバル)/ソニー・ロリンズ

1962年4月5日,25日,26日,5月14日

RCA

おすすめ度

hand  ★★★★

Sonny Rollins(ts),Jim Hall(g),Bob Cranshaw(b), Candido Camero(conga),Ben Riley (ds),Dennis Charles, Franck Charles, Willie Rodriguez(perc)

前作「橋」の落ち着いた雰囲気とは一転しカリブの血を感じる熱い盤

復活盤である前作「橋」とは全く趣の違う復活第2作の本作。カリブの血が流れるというロリンズ。セント・トーマスが典型的な代表曲だ。その流れを汲んだ新曲が①ドント・ストップ・ザ・カーニバルで、後期にも何度も演奏される曲となった。コンガも入りカリブの雰囲気を持つカリプソ曲が多く入っている。ラスト⑥ジャンゴゾは、アフロキューバンなカッコいい曲だ。全体をラテンなトーンで統一した新盤。この後もフリーに近づいたり色々と悩むロリンズだが、80年代にはこの路線が重要な路線となる。その意味では重要な盤だ。「ホワッツ・ニュー」というタイトルにもかかわらず同曲は入っていない。盤のイメージは同曲のしっとりしたイメージとは全く違う。日本タイトルの「ドント・ストップ・ザ・カーニバル」のほうがあっているのは事実だが、原題と関係ない日本タイトルを勝手につけるのは混乱のもとになるのでよくないと思う(今は日本タイトルも「」となったようだ。)(hand)

※調べてみると、米盤にはなんとドント・ストップ・ザ・カーニバルが入っていない5曲の盤がある。当初、この曲が入らずアナログ発売され、日英ではイフエヴァーと差し替えて5曲で発売されたようだ。今は本国でも6曲入りのCDになっている。ただし、ドント・ストップ・ザ・カーニバルが冒頭に入る日本盤CDと異なり2曲目に入っている。なぜ最初に入らなかったかは、調べたがわからなかった。シングルヒットでも狙ったのだろうか。



Our Man in Jazz/Sonny Rollins アワ・マン・イン・ジャズ/ソニー・ロリンズ

1962年7月27日~30日

RCA

おすすめ度

hand  ★★★★☆

Sonny Rollins(ts),Don Cherry(cor),Bob Cranshaw(b),Henry Grimes(b 4-6),Billy Higgins(ds)

ドン・チェリーと組んでオーネット・コールマンになろうとしたロリンズ?!歌心が邪魔してフリーになりきることはできなかったが、おかげで聞きやすい。

ロリンズがドン・チェリーと組んでフリーに挑戦した復活後3枚目にあたる盤。ベースはボブ・クランショウ、ドラムはビリー・ヒギンズで、オーネット・コールマン本人の代わりにロリンズが入ったオーネットのバンドに近い。復活後は1枚ごとにカラーが変わっている。バリバリのフリーになったロリンズを想像して聞くと、全体としては時代に合った普通のモダンジャズだ。①オレオは、25分超の長尺。フリーキーなトーンを吹くことはあるが、フリージャズとは思わない。新鮮で聴きやすいと思った。チェリーも今聞くと、特段フリーには聞こえない。バックが、4ビートだからかもしれない。ロリンズはこの後半年以上をチェリーと行動を共にすることになる。63年1月にはこのメンバーで渡欧して各地での演奏記録が残っている(ベースは、ヘンリー・グライムスに変わる。)。普通のモダン・ジャズとして各地で受け入れられたのだと思う。(hand)



Complete Live at the Village Gate 1962/Sonny Rollins

1962年7月27~30日  bootleg

おすすめ度

 

hand  ★★★★☆

Sonny Rollins(ts),Don Cherry(cor),Bob Cranshaw(b),Billy Higgins(ds)

「アワ・マン・イン・ジャズ」の本テイク+アウトテイク集。4枚組×2=8枚。膨大だが演奏は素晴らしい。

「アワ・マン・イン・ジャズ」の本テイク+アウトテイク。62年7月27〜30日の4日間の記録。私が買ったのはレーベルも不明な4枚組がVol.1と2に分かれていた8枚のCD-R盤。現在では海賊レーベルではあるがSOLARから6枚組に編集されて「コンプリート・ライブ・アット・ザ・ヴィレッジ・ゲイト1962」として発売されている(1曲カットされている気がする。)。フリーっぽいものから、50年代とあまり変わらぬオーソドックスなものまで、モダンジャズとして十分楽しめる内容だと思う。ただし、8枚は膨大だ。(hand)



New York 1962.Stockholm 1963/Sonny Rollins:Don Cherry

①~③1962年8月7日

④~⑥1963年1月17日

⑦1963年1月28日

RLR

おすすめ度

hand   ★★★☆

Don Cherry(cor),Sonny Rollins(ts),Bob Cranshaw(b①~③),Henry Grimes(b④~⑦),Billy Higgins(ds)

「アワ・マン・イン・ジャズ」の1週間後のニューヨークのライブと半年後のヨーロッパライブ海賊盤

①②③ヴィレッジ・ゲイトの約1週間後62年8月7日のニューヨークのイーストリバーパークのアンピシアターでのライブ。ビリー・ヒギンズが元気でマックス・ローチのような叩き方をする場面もあり、クリフォード・ブラウンが生きていたら、こんなローチ=ブラウンになっていたかも?と思わせる。④⑤⑥63年1月17日のストックホルムのライブ、⑦1月28日のローマのライブを収録。オーネット系のミュージシャンとの共演を重ねることで、ヨーロッパでは語法としてはかなりフリーに近づいたと思う。ただ、この盤は、チェリー共演盤では一番音が悪い。(hand)



The Complete 1963 Copenhagen Concert/Sonny Rollins

CD1,2①~②1963年1月15日

CD2③~⑤1966年11月12日  

JAZZ LIPS

おすすめ度

hand   ★★★★

Sonny Rollins(ts),CD1,2①~②Don Cherry(cor),Henry Grimes(b),Billy Higgins(ds),CD2③~⑤Jimmy Merritt(b),Max Roach(ds)

「アワ・マン・イン・ジャズ」の半年後のヨーロッパツアーでのコペンハーゲン録音と66年唯一と思われるオーストリアでの海賊盤

ドン・チェリーとの63年1月15日コペンハーゲンのライブ。こちらはCD2枚組中の1枚半で分量が多い。音質が少し悪いが、演奏はかなり熱くて好ましい。フリーに近づこうとしたこと自体はあまり成功したとはいえないロリンズだと思うが。2②オレオは一連のチェリーとの共演の中で一番フリーに近づいた演奏だと思う。CD2後半③④⑤は、マックス・ローチとのオーストリア、グラーツでの66年11月12日の海賊録音。ベースはJMでモーニンを録音したジミー・メリット。③ラブウォークドイン、⑤ポインシアナはバンドスタンド海賊盤「ヨーロピアン・コンサート」、④ラバーはバンドスタンド盤「ポートレート・オブ・マックス」に分散収録されていたのがまとまってよかった。66年の録音は今のところ多分これ以外になく貴重だ。テナーはよく鳴っていて、不調は感じられない。(hand)



The Complete 1963 Paris Concert/Sonny Rollins

1963年1月19日

GAMBIT

おすすめ度

hand   ★★★★

Don Cherry(cor),Sonny Rollins(ts),Henry Grimes(b),Billy Higgins(ds)

「アワ・マン・イン・ジャズ」の半年後のヨーロッパツアーのパリ録音海賊盤

ドン・チェリーとの63年1月19日パリのライブ。「アワ・マン」から半年が経ち、かなりこなれてきた気がする。チェリーのトランペットがよく鳴っている。海賊盤だが音も内容もかなりいい。(hand)



Complete 1963 Stuttgart Concert

①~④1963年1月29日⑤1958年7月7日

⑥~⑦1965年10月30日

RLR

おすすめ度

hand   ★★★☆

Don Cherry(cor),Sonny Rollins(ts),Henry Grimes(b),Billy Higgins(ds)

「アワ・マン・イン・ジャズ」の半年後のヨーロッパツアーのストットガルト録音、58年ニューポートジャズフェス、65年ベルリンの海賊盤

①~④ドン・チェリーとの63年1月29日ストットガルトでのコンサートライブで音はやや悪い。①52丁目は短い。②グリーンドルフィンは、65年になるとしばしば取り上げられ、不完全燃焼になりがちな曲だが、この時期は熱く18分超演奏している。③ソニームーンは22分超の長尺。あまりフリー寄りでないオーソドックスなソロ。④オレオは、4分台の短い演奏で初出。⑤幸せになりたいは、58年7月7日ニューポート、絶頂期の貴重な音源。想像どおり音が悪い。ヘンリー・グライムスとロイ・ヘインズのトリオ。⑥オレオ、⑦ソニーズブルースは65年10月30日の西ベルリンでのライブ。これは既出のバンドスタンド盤「ヨーロピアン・コンサート」に入っていた。音はいい。ミルト・ジャクソン、ケニー・ドリュー、パーシー・ヒース、アート・ブレイキーというオールスターだ。好不調の波を感じないミルト、好不調の波のあるロリンズ、ロリンズにしては珍しいオールスターだが、過去に共演したメンバーなので、かなりいい感じで演奏していると思う。 (hand)



3 in Jazz/Gary Burton/Sonny Rollins/Clark Terry  スリー・イン・ジャズ

1963年2月14日,20日,3月11日

RCA

おすすめ度

hand  ★★★☆

Gary Burton Quartet:Gary Burton(vib),Jack Sheldon(tp),Monty Budwig (b)

Vernel Fournier(ds)

Sonny Rollins & Co.:Sonny Rollins(ts),Don Cherry(cor),Henry Grimes(b),Billy Higgins(ds)

Clark Terry Quintet:Clark Terry(tp, flh),Hank Jones(p),Milt Hinton(b),Osie Johnson(ds),Kenny Burrell(g),Willie Rodriguez(bongos, conga)

RCA所属3アーチストの組合せ盤。ロリンズは、ドン・チェリーとはこの盤でお別れとなる。

当時のRCA所属3アーチストの組み合わせ盤で、特段編集の意図はなさそうだが全体に曲が短くショーケース的な盤なのだろう。ロリンズは③④⑨の3曲、売り出し中のゲイリー・バートンが①②⑦⑧の4曲、ベテランのクラーク・テリーが⑤⑥⑩⑪の4曲でロリンズだけ少ない(涙)。他の2人が2分台の曲なのにロリンズが3分台だからかもしれない。62年夏からドン・チェリーと組んで、海賊ではあるが数々のライブを残してきたが、このスタジオ録音で最後となる。フリーにかなり近づいたものの歌を得意とするロリンズは、結局、踏み止まり、前向きな評価としては、ソロの語法が広がるという効果はあったと思う。(hand)



Together At Newport 1963/Sonny Rollins & Coleman Hawkins

①~④1963年7月7日⑤~⑦1963年2月11日

 JAZZ ON JAZZ 

おすすめ度

hand   ★★★☆

①~④Sonny Rollins(ts),Coleman Hawkins(ts ③④only),Paul Bley(p),Henry Grimes(b),Roy McCurdy(ds),

⑤~⑦McCoy Tyner(p),Walter Booker(b),Mickey Roker(ds) 

「ソニー・ミーツ・ホーク」の直前のニューポート・ジャズフェスの海賊盤

正規盤「ソニー・ミーツ・ホーク」の直前のニューポート・ジャズフェスの非公式録音。これがきっかけで公式録音「ソニー・ミーツ・ホーク」につながったらしい。チェリーと別れたらホーキンス?!というくらい、聞く側には違和感のあるプロジェクトだが、聞いてみるとチェリーとの延長線上にある内容であることがわかる。特にポール・ブレイの加入でフリーな雰囲気は継続し、そこに巨匠ホーキンスがうまく紛れ込んだ感じだ。誰が考えてもホーキンスとブレイが合うとは思えないが、それぞれがマイペースで演奏してもそれなりの結果が出るのがジャズという音楽のすごいところだ。これが直後の正規録音「ソニー・ミーツ・ホーク」では、フリーっぽさが減少し、よりオーソドックスなジャズになってしまうのは不思議だし、残念だ。日本盤(S.J.S.)は、ニューポートのロリンズとホーキンスのみだが、輸入盤(JAZZ ON JAZZ)では、おまけとしてロリンズとマッコイ・タイナーの共演が収録されている。コルトレーン・カルテットのテナーがロリンズに代わった激しい演奏を期待すると裏切られる。ロリンズは63年ながらインパルス期のような気の抜けた音がするし、タイナーの音はやや後方で聞こえる感じの録音だ。録音ももう少しマシであってほしかった。日本盤はオマケなしで正解かもしれないが、やはり一応は確認したいのがファンの心理だ。(hand)



Sonny Meets Hawk/Sonny Rollins & Coleman Hawkins  ソニー・ミーツ・ホーク/ソニー・ロリンズ&コールマン・ホーキンス

1963年7月15,18日

RCA

おすすめ度

hand  ★★★

Sonny Rollins,Coleman Hawkins(ts),Paul Bley(p),Bob Cranshaw, Henry Grimes(b),Roy McCurdy(ds)

テナーの父・巨人コールマン・ホーキンスとの共演盤。スイングの巨人とモダンの巨人の協調が聞かれる。

RCAに移ってから、一作毎に傾向の違う盤を出しているロリンズ。4作目は、先輩巨人コールマン・ホーキンスとの共演だ。ドン・チェリーとの共演を経て、歌物を歌物らしく演奏することの素晴らしさを再認識したのだろうか?ロリンズのフレーズにフリーっぽいところはあるが全体には穏やかな聞きやすいセッションで、私としてはもう少し激しい部分があったほうがいい。ラスト⑥アット・マッキーズが唯一激しさのある曲だ。2巨人の共演は、火花も激突もなければあまり融合もない。あえて言えば協調か?ポール・ブレイも含むリズム隊がもっとフロントを刺激して欲しかった。(hand)



TOKYO 1963/Sonny Rollins

①~⑤1963年9月19日

⑥~⑦1956年10月10日

RLR

おすすめ度

hand   ★★★☆

①~④Reshid Kmal Ali(tp),Sonny Rollins(ts),Paul Bley(p),Henry Grimes(b),Roy McCurdy(ds),Betty Carter(vo(②③only)、⑤伏見哲夫(tp),Sonny Rollins(ts),宮沢昭(ts),前田憲男(p),滝本達郎(b),猪俣猛(ds),Betty Carter(vo(②③only)、⑥~⑦Kenny Dorham(tp),Sonny Rollins(ts),Ray Bryant(p),George Morrow(b),Max Roach(ds)

「ソニー・ミーツ・ホーク」直後の来日公演の海賊盤

①〜④が「ソニー・ミーツ・ホーク」の翌月の日本公演の海賊録音。ポール・ブレイを中心としたリズム隊はそのままに、ホークの代わりにラシッド・カマル・アリのトランペットが入っている。コルトレーンと共演するドラムのラシッド・アリとは別人と思われる。チェリーよりはアグレッシブかもしれない。ロリンズは、チェリーとの共演の路線をまだ走っている。②③にはベティ・カーターのボーカルが入る。⑤はロリンズと日本人ミュージシャンとの共演。⑥⑦は少し古く56年10月10日のケニー・ドーハム入りのローチ5のカフェボヘミアのライブ。(hand)



Now’s The Time/Sonny Rollins   ナウズ・ザ・タイム/ソニー・ロリンズ

1964年1月20日,2月14日,18日,4月14日

RCA

おすすめ度

hand     ★★☆

しげどん ★★★

Sonny Rollins(ts),Thad Jones(cor),Herbie Hancock(p),Ron Carter(b),Bob Cranshaw(b),Roy McCurdy(ds)

新進気鋭のハービー・ハンコックとの共演盤。大手RCAの編集方針か?ジャズファンが喜ぶ内容にはならなかった。ハンコックのソロは素晴らしい。

RCA第5作にて新進気鋭のハンコックとの共演盤だ。それにしても、なぜ64年にパーカーのブルース①ナウズザタイムなのだろう?ビバップに新解釈なのだろうか?ハンコックのソロは新しいが、ロリンズ自身はそれほど新しい感じがしない。RCAという大手が良くないのだと思う。このメンバーでブルーノートに吹き込んでいれば、新主流派的な名盤ができていたのかもしれない。特にこの盤は、短い曲やフェイドアウト曲が多く、ジャズファンの気持ちがわからない人が作った気がする。プロデューサーはジョージ・アヴァキャンで、スイング時代に活躍した人だ。録音もなんだかバランスが悪く、ドラムのロイ・マッカーディの音が派手で落ち着かない。とはいえ④52番街のはちゃめちゃさは嫌いではない。(hand)

こういう企画にプロデューサーとミュージシャンはどのようにかかわるんだろうか?一曲の長さは極端に短いわけではないのに、なんだかバラバラの印象で、録音前のウォーミングアップを聞いているような感じがするのはなぜだろうか? 有名曲のオンパレードだが、選曲もとにかくヒット曲を集めただけでアルバムとしてのまとまりを感じない。(しげどん)



After The Bridge/Sonny Rollins アフター・ザ・ブリッジ/ソニー・ロリンズ

1964年1月20日,

2月14日,

6月11日,

7月2日

RCA

おすすめ度

hand   ★★★

Thad Jones(cor),Sonny Rollins(ts),Herbie Hancock(p),Bob Cranshaw(b),Ron Carter(b),Roy McCurdy(ds),Jim Hall(g),David Izenzon(b),Teddy Smith(b),Stu Martin(ds),Mickey Roker(ds)

「ナウズ・ザ・タイム」と「ザ・スタンダード」のアウトテイク集で、長い演奏が多く好感度が高い。

64年1月と7月のセッション「ナウズ・ザ・タイム」と「ザ・スタンダード」のアウトテイク集で82年に日本でのみアナログ2枚組で発売され、スイングジャーナル選定ゴールドディスクになっていた。1①52番街は、約15分間ロリンズが吹きまくる。正規2枚が短い曲のあっさりした演奏ばかりなので、「ナウズ・ザ・タイム」で一番はじけていた52番街の3倍以上長く熱い演奏は歓迎だ。2枚の正規盤よりも、ロリンズが自分の音をリスナーに届けようとする気持ちが伝わってくる。私には正規2枚よりも愛着が湧く。ただ、ゴールドディスクは疑問だ。(hand)



The Standard/Sonny Rollins  ザ・スタンダード/ソニー・ロリンズ

1964年6月11日,23日,24日,7月2日,9日

RCA

おすすめ度

hand     ★★☆

しげどん ★★

Sonny Rollins(ts),Herbie Hancock(p),Jim Hall(g),David Izenzon,Teddy Smith,Bob Cranshaw(b),Stu Martin,Mickey Roker(ds)

前作「ナウズ・ザ・タイム」に引き続くハンコックとの共演盤。スタンダードは聞かれるが、ファンが喜ぶ内容とは思われない。

RCA正規第6作でラスト盤。前作「ナウズ・ザ・タイム」と同傾向の盤。というのも、一連のセッションからの分散収録だからだ。プレステッジやブルーノートでロリンズ贔屓になった人にとって前作やこの盤はどんな印象なのだろうか?多分、嫌いにはなりたくないが、好きにもなれない、というのが正直なところと推測する。その原因は、コアなジャズファンの趣味や嗜好のわからないRCAという大手レーベルの制作・編集・録音からジャケデザインまで含めて全てにあると思う。大手でもコロンビアのようにマイルスを上手く売り出した会社もあるのでロリンズの不運の一つだと思う。その証拠に65年はヨーロッパの海賊ライブが多数あるが、どれもロリンズ自身は充実していることだ。ただ、RCAに続くインパルスの正規2枚はスタジオもライブも充実していない。(hand)

一曲目の力強いロリンズのトーンを聞いて期待するが、その期待はすぐに裏切られる。ジャズファンはスタンダードをなぞるだけではない名人の解釈に期待するのだが、この盤では、スタンダードをなぞっただけで、しかもソロもエンジンがかかる前に終わってしまう。(しげどん)