1959年、JMは音楽監督ベニー・ゴルソンが去り、ハンク・モブレーが音楽監督として再加入しファンキー度は多少下がりハードバップ路線に戻りますが、引き続き高水準作を残していきます。秋になるとティモンズはJMを一旦退団し、キャノンボール・クインテットに加入します。
・新宿ジャズ談義の会 :ボビー・ティモンズ CDレビュー 目次
Art Blakey(ds),
Lee Morgan(tp), Hank Mobley(ts), Bobby Timmons(p), Jymie Merritt(b)
2020年発掘された1959年3月正規スタジオ録音盤。58年の最後の2カ月在籍したゴルソンが抜け、モブレーが再加入した盤。改めて、冷静に聞いてみると、ファンキーという言葉がほとんど似合わない盤だ。モブレー曲①ヒップシッピィ・ブルースが、多少、ファンキーなフィーリングを持っているだけだ。ティモンズのソロも、以前のバド系で、クラークとケリーの真ん中辺りに立つ、王道ハードバップのピアノに戻っていて、ブロックコードのソロはない。唯一のティモンズ曲④クイック・トリックも特にファンキーな感じはない。ティモンズにもJMとしても、「モーニン」から「サンジェルマン」にかけての約2カ月限定のファンキーだった可能性がある。音楽監督だったゴルソンの指示だったのかもしれない。この後に、遅れて世界中で火がついたモーニンのブームで、世界各地の公演で、モーニンなどを再演し、ファンキーなピアノを再び弾くことにはなるのだが、ファンキーと無縁のモブレーが音楽監督に戻ったこの時期は、ファンキー色は薄まるのが普通だろう。以前、私は、「ジャズ・コーナー」のライブなどでも本当はモーニンも演奏していたのに発売時に盤に入れなかったのだろうと考えていたが、多分、この時期のJMには、ゴルソンとともに、ファンキーブームも去っていたと思うようになった。②クローズ・ユア・アイズはモーガンのアレンジだがモーダルな感じもして、次の時代を予見させる内容になっている。全6曲中4曲が既発の1カ月後の次作ライブ「ジャズ・コーナー」に収録されている。(hand)
Art Blakey(ds),
Lee Morgan(tp), Hank Mobley(ts), Bobby Timmons(p), Jymie Merritt(b)
発掘盤「ジャスト・クーリン」で最もファンキーだった冒頭曲モブレー曲①ヒップシッピィ・ブルースが、ファンキーに演奏される。ティモンズも、ブロックコードのソロを欧州ツアー以来弾いているが、ドラムとベースはほぼモーニン状態になっている。これ以外の曲では、ケリー&クラーク路線のハードバップのピアノだ。後付けで考えると、ブロックコードのソロは、スタジオ盤「モーニン」のタイトル曲①では2分のソロ終盤に20秒だけ(新発見の別テイクでは半分の1分と長め)、⑤ブルース・マーチのソロの半分の30秒、⑥カム・レインでは1分のソロで全面的に弾き、この直前の発掘盤「ジャスト・クーリン」では弾いていなかったので、ブロックコードだらけの欧州ツアーは、演奏を盛り立てるための手法としてスタジオ盤での奏法を拡大使用した可能性はあると思う。(hand)
Art Farmer, Lee Morgan, Ernie Royal(tp), Jimmy Cleaveland(tb), Curtis Fuller(tb), Julius Watkins(frh), Bobby Timmons(p:③), Percy Heath(b), Philly Joe Jones(ds), Others
タイトルどおりに、ブラスがシャウトするかと思うと、ゴルソンのアレンジなので、どちらかと言うと整然として美しいく進行する。なかなか楽しい盤ではあるが、ファーマーが控え目な性格なのか、リーダーがあまり目立つことはないのが残念なところ。ティモンズは、自作③モーニンのみ参加で、他の曲はピアノレス。③にソロはあるが、テーマはブラスが吹く。(hand)
Art Blakey(ds),
Lee Morgan(tp), Hank Mobley(ts), Bobby Timmons(p), Jymie Merritt(b)
モブレーが音楽監督で、ゆるい自由な環境となったJM。ゴルソン時代の名曲③モーニン以外は、メンバーは完全に自由にソロを吹いて(弾いて)いるようだ。ティモンズは、ファンキーピアノと言われているのを忘れたかのようにバド的なソロを楽しそうに弾いている。海賊録音らしく、音は今ひとつだが、楽しめる内容だと思う。もしかしたら、モブレーのモーニンが聞けるのはこの盤だけかもしれない。この盤で、モブレーは退団してしまう。「オランダ」との2in1盤にも収録されている。(hand)
Art Blakey(ds),
Lee Morgan(tp), Barney Wilen(ts、ss), Bobby Timmons(p), John Rodriguez, Tommy Lopez, Willie Rodriguez(perc), Jimmy Merritt (b)
仏映画「危険な関係」のサントラ。仏フォンタナ盤だが、録音はニューヨーク。仏テナーのバルネ・ウィランが参加している。「殺られる」と違い1曲ずつがきちんと演奏され、通常盤としても楽しめる。タイトルのデューク・ジョーダンの名曲、危険な関係のブルースがラテンなど色々な形で楽しめるのもいい。JMの他盤と比べてピアノが重用され、ティモンズのソロが多く聞かれる。(hand)
Kenny Burrell(gr),
Tina Brooks(ts), Bobby Timmons(p:①③④), Ben Tucker(b), Art Blakey(ds)
バレルのファイブ・スポットでのライブにオリジナル5曲中3曲に参加。残りはローランド・ハナが弾いている。コンプリートCDでは、落穂拾い盤の「スインギン」に貸し出していた3曲も収録して全8曲(ティモンズ:①②③④)となり、長い曲が多いので散漫な印象の盤になってしまった(コンプリート盤としての評価は、☆1つ下がる。)。やはりアルフレッド・ライオンが当初に出した5曲で聞くのが正解だと思う。ティモンズの進化が著しく、①バークス・ワークスではJM的な熱い演奏で、③レディ・ビー・グッドではティモンズ風ながらバド的に、④ラバー・マンではバラードながらティモンズらしい高速運指のいいソロが聞かれる。(2025年さらに6曲の未発表を加え全14曲コンプリート・マスターズ盤2枚組CDとなり、ティモンズが4→8曲、ハナが4→6曲となっている。)(hand)
Cannonball Adderley(as),
Nat Adderley(cor), Bobby Timmons(p), Sam Jones(b), Louis Hayes(ds)
キャノンボールのファンキー宣言盤。ファンクの卸商人とか、あまりいい意味でなく言われたキャノンボールだが、十分に上品なノリノリのジャズだと思う。 JMと並ぶ二大ファンキーバンドであるキャノンボール5に移ったティモンズ。キャノンボールのバンドをファンキー二大バンドとした立役者はティモンズと言えると思う。ティモンズ曲①ジス・ヒアが、JMのモーニン的な役割を果たしている。ただし、ファンキー曲のノリはJMとキャノンボールでは違うと思う。JMでは、シャッフルビート的だが、キャノンボールは普通の4ビートのままファンキーさが出ている。ブレイキーとルイス・ヘイズのドラムの違いが大きいのだろう。両バンドが演奏しているハイ・フライを聴き比べてみた。JMはスモーキーで粘りのある演奏。キャノンボールはカラッとして勢いがあり昼間のジャズ、まさにイン・サンフランシスコだ。共通のティモンズの雰囲気も全く違う。ティモンズは、キャノンボールでは、得意のブロックコードを多用していない。(hand)
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ジャズCD 15000枚所蔵しているモダンジャズマニアhand氏、高校生の頃からジャズにはまり40年以上聴き続けているアナログ&トラディショナル派のしげどん、元々はビートルズマニアだったのが二人に巻き込まれてジャズファンに染まったショーン氏。三人それぞれの視点でジャズを楽しく論じているページです。
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