ジェンキンス、ジョーダンとの共同リーダー盤から始まるティモンズのリーダー盤の前期は、ジャズ・メッセンジャーズ、キャノンボールでのファンキーピアニストとして急に名を成すこととなった時期です。リーダー盤では、ファンキー路線を求めるプロデューサーと自分らしさの発現のせめぎ合いを感じる初期から徐々にバド系の本領を発揮して行った時期にあたると思います。
・新宿ジャズ談義の会 :ボビー・ティモンズ CDレビュー 目次
John Jenkins(as), Clifford Jordan(ts), Bobby Timmons(p),
Wilbur Ware(b), Dannie Richmond(ds)
アルトのジェンキンス、テナーのジョーダンとともに、ティモンズが共同リーダーとしてクレジットされた盤。3人がバンドを組んで活動したのではなく、プレスティジ得意のジャムセッション的な録音だと思う。リーダー格は多分ジェンキンスで、2曲提供している。ジョーダンは1曲で、ティモンズはない。共同盤なので、ティモンズのソロも十分に聞かれるが、ソニー・クラーク的なバド系の感じが強い初期のティモンズのピアノだ。ジェンキンスは、マクリーンより生まれは4か月早いが、演奏はマクリーンの弟分のようだ。60年代にミンガスのメンバーとなってから人気の出たジョーダン、そしてJMでこの後、人気者となるティモンズと、素晴らしいメンバーの素晴らしい演奏ではあるが、何かが足りない。盤としてのプロデュースと、キラーチューンがないことかと思う。(hand)
おそらくこの時点ではこのメンバーの知名度はそれほどなかったのではと推測する。プレスティジは若手有望株として三人の名前を列記。一人ではインパクトに欠けると思ったからか?内容は悪くない水準的なハード・バップで、アレンジがややウエストコースト的な知的なサウンドを感じる部分もある。ティモンズ、ジェンキンスは、後年のような強い個性は感じられない。 (しげどん)
Bobby Timmons(p),
Sam Jones(b), Jimmy Cobb(ds)
ティモンズの二大バンドでのヒット曲を収録した初リーダー盤。満を持して、というか、やっと録音された感のあるティモンズのファースト・リーダー盤。キャノンボール時代の縁と思われるリバーサイドから。デビューから4年目、初録音から既に30枚以上サイド参加している。ピアノ大好きの日本だったら、もっと早く録音されたと思うが、リーダー盤が出たのは兎にも角にもめでたいことだ。JM、キャノンボールという二大人気ファンキーバンドの立役者の1人となったティモンズのファンキー色たっぷりの盤になっているかと思うと、JM曲②&キャノンボール曲①⑥以外はあまりファンキーではない。3曲のファンキー曲も、スタジオ盤なのでライブ時ほど熱量が高くなく、冷静なファンキーさだ。得意とされるブロックコードも、思ったほど多用していない。やはり、「サンジェルマン」等での場の盛り上げのために過剰気味に使ったのだろう。タイトル曲①はフェイドアウトされ不満要素が残る。②モーニンや⑥ダット・デアは、熱いライブを聞いた耳には冷静な演奏に聞こえてしまう。JMでも演奏したソロ曲③やソロによる導入部が長めのバラード⑤⑦は全くファンキーではなくロマンチックだ。④パーティ・イズ・オーバーやJMでも演奏した⑧カム・レインはスインギーだ。⑨ジョイ・ライドはビバップ。アナログ時代であれば、A面をファンキー、B面をそれ以外などにできたと思うが、そうもなっていないので、ティモンズ贔屓の私でも、正直、中途半端感が残ってしまう。(hand)
ジャズ・メッセンジャーズで名を挙げたティモンズの名曲集というか、ヒット曲集であり、彼のリーダー盤では一番売れた人気盤だと思う。ディス・ヒア、モーニン、ダット・デアというヒット曲をAB面の初めに配した、ティモンズのピアノを聴こうとする向きには入りやすい作品だが、これらの名曲はメッセンジャーズやキャノンボール盤での彼のソロのほうが素晴らしいのは仕方がない。後半のスタンダード曲はオーソドックスな演奏で悪くはないが、アルバムとしてはオリジナル曲の印象だけが残ってしまうのは惜しい気がする。 (しげどん)
静かに落ち着いた雰囲気が底辺に漂う演奏。ボビーティモンズのピアノは軽快でありながらもさらりと哀愁を感じさせるものがある。シンプルなトリオの魅力を感じることができる盤だ。 (ショーン)
Lee Morgan(tp), Frank Strozier(as), Wayne Shorter(ts), Bobby Timmons(p),
Bob Cranshaw(b), Louis Hayes(ds:1,2,6,7), Albert Heath(ds:3–5,8)
フロントにモーガン&ショーターにフランク・ストロジャーを加えた盤。ファン・ハウス盤CDでは、ショーター3曲、モーガンとティモンズが1曲ずつ。ただ、別テイク3曲入りの最新のブルー・ムーン盤では、③ファット・レディの作曲者が、ティモンズからショーターに変わっている。この盤のみで演奏されている曲なのでデータからの判別は難しいが、ティモンズっぽい曲ではなく、ショーター曲のような気もするので、新CDが正しいのかもしれないがわからない。いずれにしても、ショーターがセッション・リーダー的な立場なのだろう。全5曲とも演奏はいいが、特段いいと思える曲がないのは残念なところ。(hand)
Bobby Timmons(p),
Sam Jones(b), Jimmy Cobb(ds), Blue Mitchell(tp)
JMからブレイキー、キャノンボールからサム・ジョーンズ、そして、ホレス・シルバー5に在籍中で、ティモンズとはサム・ジョーンズ盤「ソウル・ソサエティ」で共演したミッチェルがワンホーンで参加(④⑧は休み)。JMの同日録音の2枚「チュニジア」と「ライク・サムワン・イン・ラブ」と重なった時期に吹き込まれている。JMが音楽監督ショーターの下で、新曲を中心に徐々にモーダル度が強まる中で、それに乗れない、又は乗りたくないティモンズが、従来のスタイルを曲げずに、その延長線上にイキイキとした演奏を繰り広げた盤だと思う。JMの「チュニジア」にティモンズが提供した②ソー・タイアドのトリオ版などのファンキー系曲と、情感たっぷりのバラード曲⑥などがバランスよく配置され、初リーダー作で感じた両者間の不統一さが消えて、全体がティモンズのカラーにうまく染まった盤だと思う。ただ、同じリバーサイドで2週後録音のミッチェルの名盤「ブルーズ・ムード」を期待すると、少し及ばないと思う。タイトル曲①のワルツにあまり魅力を感じないので、②ソー・タイアドのテーマをティモンズではなくミッチェルが全面に吹き、冒頭曲にしていれば、もっと人気盤になった気がする。(hand)
ティモンズのオリジナル作品は、彼らしいファンキーなテイストだが、全体的には、ブルー・ミッチェルの上品でさわやかな印象が残る一枚だった。作品としては悪くないが、ティモンズの作品というより、ブルー・ミッチェルの良さがよく出た印象が残った。 (しげどん)
ブルーミッチェルのトランペットはややミュート気味で優しく、ボビーティモンズのピアノとの相性も良い。少し単調ではあるものの、アルバム全体で心地良いときを感じさせてくれる。 (ショーン)
Bobby Timmons(p),
Sam Jones(b), Jimmy Cobb(ds)
JMのお蔵入りとなった大量のモーダル録音の合間に録音されたリーダー第3作。モードが嫌い(苦手?)と言われるティモンズの溜まりに溜まったものを吐き出した盤ではないかと思う。音楽監督ショーターの音楽に違和感があるティモンズは、大好きなバド、クラーク、ケリーらの流れに連なる自らのスタイルで、JMと関係のないデビュー盤と同じサム・ジョーンズ、そしてジミー・コブを迎えて、元気に弾きまくっている。コブは、当時は地味(ジミー)とされていたが意外とうるさめに叩いていてフィリーのようなので、ティモンズ版「ケリー・アット・ミッドナイト」のような威勢の良さもある。自作3曲①(この盤のみ)③ア・リトル・ビジー(JM「ウィッチ・ドクター」にも収録)、⑤プリティ・メモリー(ナット・アダレイ「ワーク・ソング」にも収録)と②⑧は、ハードボイルドで真面目なピアニストの側面が聞かれ、ジャケやタイトルの陽気でお気楽な感じとは異なる。バラード④⑥もしっとりというよりも粒だっている。スインギーな⑦もあり、バランスのとれた好内容の盤だと思う。しばしば、ピアニストの系譜図で、シルバーの流れのファンキーピアニストとされるが、本人的には、もっとよく聞いてから決めてよ、と言いたかった気がする。フィニアスやホーズとも近い面があると思う。(hand)
オリジナル曲とスタンダードがバランスよく配置されていて、一枚のアルバムとしてまとまっている。Pretty Memoryはナット・アダレイのリバーサイド盤「Work Song」にも収録されていた印象深い名曲。それ以外のオリジナルも、ティモンズらしい個性がよく出ている。このようなアルバムを聞くと、モーニンの人みたいにその印象だけが強すぎるので逆に損をしているのではと思ってしまう。ピアニストとしてのティモンズは、コテコテ一本張りではなく、アーシーな感じの中に哀愁を感じるリリカルな一面も強く持っていると感じる。 (しげどん)
ジミーコブのドラムスが力強く、ノリ良く演奏が進む。サムジョーンズのベースラインもメロディアスで、ボビーティモンズを盛り上げていて、パワーのあるアルバムに仕上がっている。リーダーのボビーティモンズが他の2人に押されている印象すらあり、自由でチームワークの良さを感じる素晴らしい演奏だ。 (ショーン)
Bobby Timmons(p),
Ron Carter(b), Albert Heath(ds)
リーダー第4作。JMでの大量録音とお別れし、独立後の初録音となる。これ以降は、一部サイド盤はあるものの、亡くなるまでリーダー録音がメインとなる。ジャズ演奏録音が多分最多数の名曲①枯葉から始まる。ティモンズが、トレードマークとされるブロックコードをJMの「サンジェルマン」以外でここまで多用したのはこの曲くらいではないかと思う。枯葉は、今思うとベタな選曲だが、この時点で考えると名演の仲間入りを目指した挑戦的な選曲とも言える。結果は、金銀銅のベスト3には至っていないと思うが、ベスト10には入れてよいと思う。JMでも演奏した自作②ソー・タイアドはスピード感がありカッコいい。バラード③、スインギーな⑤⑧、ファンキーな⑥⑦、その他も気合い十分なティモンズと、太い音色でこれをサポートするロン。当時は新人だが⑨ソフトリーではフィーチャーされる。そして、アルバート・ヒースも参加した万全の布陣の名盤だ。全作を聞いた後に再度聞いたところ、これがラスト・ファンキー盤、ブロックコード多用盤のように思う。これ以降、バドらの原点回帰と、60年代的なポップな要素等が加わるとともに、ブロックコードの使用度は低下していく。(hand)
ライブ盤だが、ティモンズの個性が良くでた作品だと思う。スタンダードでの彼らしい個性が、初期の頃に比べて大きく出されていて、So Tiredのようなオリジナルも、メッセンジャーズでの演奏とは違った味があるし、スタンダードも彼らしいアーシーなテイストがよく出ている。傑作ライブだ。 (しげどん)
ボビーティモンズのピアノとロンカーターのベースがシンクロしたしっかりとしたリズムに乗った演奏が素晴らしい。時に激しく時に優しく、ボビーは鍵盤を叩き、メリハリのある好演奏となっている。スタジオ録音では真面目な印象のティモンズだが、ライブの方が数段素晴らしい! (ショーン)
1961.10.31 & 11.1
Riverside
おすすめ度
hand ★★
Blue Mitchell, Ernie Royal(tp:3,8), Clark Terry(tp,flh:1,2,4-7), Julius Watkins(French Horn), George Dorsey(as), Jimmy Heath(ts), Arthur Clarke(bs), Bobby Timmons(p), Ron Carter(b), Albert Heath(ds),
Ernie Wilkins(arr:2,5,7), Jimmy Heath(arr:1,4,6), Melba Liston(arr:3,8)
未CD化盤かと思ってLPを購入してしまったが、ジュニア・マンス盤とカプリングされCD化されていた。CD化してほしいかと言えば微妙な盤だと思う。ジミー・ヒース、ブルー・ミッチェルにティモンズも入ったリバーサイドのオールスター盤で演奏は悪くはない。しかし、この「キーン」というミュージカルは曲が今ひとつな気がして残念だ。(hand)
Bobby Timmons(p),
Sam Jones(b), Roy McCurdy(ds)
リーダー第5作。これ以降、亡くなるまで13作全てがリーダー録音となる。と言っても、残り12年間という短くて残念で貴重な期間がスタートする。62年はこれ1作のみ。なんとなく気合いを感じるタイトル曲的な①スウィーテスト・サウンズから始まる。硬派なピアノで、ソウルフルとは感じなかった。ソロも3曲あり、ソロピアノが苦手と言われるティモンズのソロも悪くないと言いたい。ただ、この盤はトリオ曲に特に気合を感じる。サム・ジョーンズはティモンズ在団時からキャノンボールにいたが、ジョーンズの退団後に入れ替わるようにキャノンボールに加入し、ファンク時代を支えたドラムのロイ・マッカーディがこのトリオ演奏をハードにドライブさせているように感じる。時代は違うがキャノンボールのリズム隊3人の名演だ。(hand)
全体的にバランスがよくとれた好盤。You,d Be So…,Alone Together,など、スタンダードは甘さに流れすぎず、がっしり弾いているが、適度に哀愁も感じるいい雰囲気で、ゴスペル感のあるオリジナルも、コテコテではない趣味のいい感じ。SweetでSoulfulというタイトル通りの内容だった。 (しげどん)
いきなりスピードに乗ったボビーティモンズの鍵盤捌きと正確なリズム隊。心地良い音の流れを感じる。まるで語りかるようなピアノの調べは、彼の真骨頂だろう。後半のピアノソロは、やや間延びする印象も。 (ショーン)
Bobby Timmons(p),
Sam Jones(b:1,2,5,7), Ron Carter(b:3,4,6), Connie Kay(ds)
リーダー第6作。63年はこれ1作のみ。ベースはロン・カーター③④⑥とサム・ジョーンズ①②⑤⑦、ドラムはコニー・ケイ。前作「スイート・アンド・ソウルフル・サウンズ」のような気合いは感じないが、親しみやすく聞きやすい盤だと思う。ジャケのような暗いイメージはない。ティモンズのピアノ自体は、プロデューサーの意向なのか?幾分、他のリーダー盤よりファンキーに感じる。私の好きな曲、トム・マッキントッシュの讃美歌的なバラード②(ウィズ)マリス・タワーズ・ノンがファンキーになり悪くはないのだが少し残念(トミフラ盤「バラッズ・アンド・ブルース」が素晴らしい)。ドラムがハードにドライブするロイ・マッカーディとパーカッション的な要素を得意とするコニー・ケイの違いで盤の色合いも変わったのだと思う。ケイもMJQ時ほど室内楽的ではなく、かなりハードに叩いていて、⑤ザ・シット・インはよくドライブしている。⑥ネイムリー・ユーは明るくロマンチックだ。いつの時点での発言かはわからないが、ティモンズ自身では最高作と言っていたようだ。(hand)
ティモンズがファンキー一辺倒ではないピアニストであることを証明するような趣味の良いピアノトリオ盤。冒頭からスタンダード曲で、哀愁を感じる演奏が続き、いい感じだ。彼のオリジナル曲はあえてその後に演奏されるが、ファンキータッチで彼らしくもあるが、あまりアーシーな感じはなく、いい雰囲気で、The Sit-in なんかは名曲だと思う。ティモンズの個性も出しながら、情緒あるピアノを聞かせるなかなかの傑作盤。 (しげどん)
都会的な雰囲気の漂う大人な演奏。トリオとは思えない厚みを感じる。ボビーティモンズのプレイはとても軽やかで自由でありながら、どこか既定路線感もあり、安心して聴くことができる。良い意味でBGM的なアルバムだ。 (ショーン)
・新宿ジャズ談義の会 :ボビー・ティモンズ CDレビュー 目次
ジャズCD 15000枚所蔵しているモダンジャズマニアhand氏、高校生の頃からジャズにはまり40年以上聴き続けているアナログ&トラディショナル派のしげどん、元々はビートルズマニアだったのが二人に巻き込まれてジャズファンに染まったショーン氏。三人それぞれの視点でジャズを楽しく論じているページです。
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