このページではカーティス・フラーの初期のサイド作として1958年までを掲載しています。サイド参加もかなりの数にのぼり、人気がうかがえますし、コルトレーンのブルートレーンなどの歴史的な名盤に参加していますし、バド・パウエルとのワンホーンカルテットなども興味深い音源です。
新宿ジャズ談義の会:カーティス・フラー CDレビュー 目次
・カーティス・フラー サイド参加作 レビュー①・・・このページ
①~⑥:Paul Chambers(b),John Coltrane(ts),Kenny Drew(p),Philly Joe Jones(ds)
⑦~⑨:Paul Chambers(b),Curtis Fuller(tb),John Coltrane(ts),Pepper Adams(bs),Roland Alexander(p⑦only),Philly Joe Jones(ds)
フラー初録音は、ペッパー・アダムスとコルトレーンなどマイルスのメンバーと吹き込んだポール・チェンバースをリーダとするブローインセッション。曲はどうということのないブルースなど3曲だが、フラーのソロには勢いがある。(hand)
注※フラー参加の⑦~⑨はオリジナル盤には収録されていないので、通常のCDには収録されていない。ボーナストラックとして追加収録されているか確認が必要。(→アマゾンのリンクを貼ったものは、ボーナストラック入りのものです)
またアナログではブルーノートリイシューシリーズでも発売された事がある。
Paul Quinichette(ts),Curtis Fuller(tb:①~④),Sonny Red(as:①~④), John Jenkins(as:①&③~⑤) ,Mal Waldron(p),Doug Watkins(b),Ed Thigpen(ds)
フラーのセカンド録音は、中間派のポール・クィニシェットの目玉焼きジャケ盤。クィニシェットはレスター・ヤングを大統領としたときの副大統領バイス・プレスと呼ばれる人。あまり名誉ではないと思う。ただ、聞いていてもレスター的なスイングスタイルでモダンジャズをやってもなぁ、という印象なのだ。この盤も、当人以外は新進気鋭のモダン派ばかり。4曲中1曲がタイトル曲③サニーサイドのみスタンダードで、まるでレスターの盤に聞こえる。それ以外はマル・ウォルドロンのオリジナル3曲。この組合せが本人の意向かプロデューサーの意向か不明だが、本人が浮いていることは確かだ。フラーのプレイはやや硬めの音色だが、印象は悪くない。長尺のカリプソ④クーリプソのソロは素晴らしい。マルやアルトの2人もいいプレイをしている。(hand)
Clifford Jordan(ts),Lee Morgan(tp:2, 4 & 5),Curtis Fuller(tb1-4),
John Jenkins(as),Ray Bryant(p),Paul Chambers(b),Art Taylor(ds)
標準時なハードバップ盤。決め曲がないのが惜しいが、ジョーダンだけでなく、モーガン、フラーらメンバーは頑張っている。(hand)
メンバーは7人だがセプテットでの演奏は2曲だけ。ホーン奏者4名が1曲づつオリジナルを提供しているが、A面の2曲がなじみにくい曲なのに対し、B-1のフラー曲「Blue Shoes」が哀愁ある曲で、ソロの雰囲気もいい。B面から聴き始めたほうが名盤化したかもしれない。(しげどん)
ソニー・クラークの正規盤のクオリティは高い。クラークの中では名盤扱いされないこの盤も、よく聞けば隠れた名盤だ。クラークだけでなくフラーやアート・ファーマー、ハンク・モブレーもいい仕事をしている。(hand)
ソニー・クラークの粘りっけあるブルージーな味わいを最大に引き出すのが彼のオリジナル。アルフレッド・ライオンはそこをよくわかってアルバムを考えたと思うが当時は受けなかったようだ。スタンダードも悪くはないが、この時期のクラークは自分のオリジナルでの演奏が素晴らしいと思う。ハンク・モブレーも地味に頑張っている。(しげどん)
Bud Powell(p),Curtis Fuller(tb 6-8),Paul Chambers(b except4),Art Taylor(ds except4)
バドの有名なアメイジング・シリーズの第3作のアナログB面3曲CD⑥⑦⑧になぜかフラーがワンホーンでフィーチャーされた盤。フラーのワンホーンは珍しい。パウエルもフラーも及第点ではあるが、超素晴らしいまではいっていない。それにしても、②ブルー・パールを冒頭に持ってくれば、もっと人気盤になれた盤だと思う。①サム・ソウルは地味過ぎる。⑥アイダホのパウエルのソロはテイタム風でこれも珍しい。(hand)
A面はバドのオリジナル、B面はフラー入りのカルテットと企画としてはまとまっているが、要素としてはごった煮にしたような一枚。A面のBlue Pearlのようなヒット要因がありそうないい曲もある一方で、バッハ風のソロピアノなどパウエルの多面性が表現されていて、面白味はあるがまとまりはない印象もある。B面のフラーのトロンボーンもほのぼのとして良いが強いインパクトはない。パウエルという人の多面性を味わうには、聴き込むと面白味を感じる一枚だと思う。(しげどん)
Jimmy Smith(org),Lee Morgan(tp1, 3, 4 & 5),Curtis Fuller(tb3 & 4),George Coleman(as 3 & 4),Lou Donaldson(as 1, 2 & 5),Tina Brooks(t 1 & 5),Kenny Burrell(gr1, 4 & 5),Eddie McFadden(gr2 & 3),Donald Bailey(ds 2, 3 & 4),Art Blakey(ds1 & 5)
全4曲中後半2曲に参加。③ジャストフレンズは15分超の長尺でフラーのソロはラストで11分過ぎから3分近い長さで出来はまずまず。④のブルースは短いソロだが活気がある。同日録音の続編「ザ・サーモン」でもフラーのいいソロが聞かれる。(hand)
Jackie McLean(as)
1, 3-4:Mal Waldron(p),Arthur Phipps(b),Art Taylor(ds)
2, 5-6:Webster Young(tp),Curtis Fuller(tb),Gil Coggins(p),Paul Chambers(b),Louis Hayes(ds)
全6曲中3曲に参加。ウェブスター・ヤングのトランペットを含む3管の演奏。残る3曲のマクリーンのワンホーン演奏が素晴らしいと思っていたが、フラーを中心に聞いてみるとこの3曲も悪くない。⑥チェイシン・バードのマイルスのアー・リュー・チャ的なテーマはあまり好みではないが、この曲でのフラーのソロはいい。3曲とも、チェンバースのベースがよく鳴っている。同日のセッションはマクリーンの「ア・ロング・ドリンク・オブ・ブルース」の前半にタイトルとして、収録されていて、そこでのフラーも好調だ。(hand)
スタンダード中心にワンホーンで歌うマクリーンがあくまでも主人公の一枚で、そこがこのアルバムの魅力なのは間違いない。フラーが参加するセクステットの曲はあまり意識していなかったが、あらためて聴くとなかなかいいソロをとっている。編集の曲順などには正直言って疑問がある一枚だが、演奏はすばらしくマクリーンにとっても上位にランクされる作品だと思う。(しげどん)
John Jenkins(as),Donald Byrd(tp),Curtis Fuller(tb),Tommy Flanagan(p),Doug Watkins(b),Art Taylor(ds)
単なるブローイン・セッションかと思って聞くと、きちんとテーマアレンジも行われたハードバップの好盤だ。ジェンキンスはマクリーンを少しパーカー寄りにした音色でいいソロを聞かせる。バード、フラーも活躍する。(hand)
John Coltrane(ts),Lee Morgan(tp),Curtis Fuller(tb),Kenny Drew(p),Paul Chambers(b),Philly Joe Jones(ds)
ジャズ名盤の1枚。コルトレーンの唯一のブルーノートのリーダー盤。初期のコルトレーン 、モーガン、フラーの最上のプレイが入っていると言っても過言ではない。もしかすると、フラーのソロのナンバーワン盤はこの盤かもしれない。ドリュー、チェンバース、フィリーのリズム隊3人の出来もいい。(hand)
言わずもながの名盤。アナログA面の二曲は絶対的な名演。シンプルな「Blue Train」もいいけど、何か複雑だけど心地よい「Moments Notice」も魅力にあふれている。編曲は特別に凝っていないがモーガン、フラーのソロも最上で、何度も聴き返したくなる魅力にあふれている。(しげどん)
Sonny Clark(p),Donald Byrd(tp),Curtis Fuller(tb),John Coltrane(ts),Paul Chambers(b),Art Taylor(ds)
コルトレーン、ドナルド・バード、フラー入りのクラークの人気盤。「ブルー・トレイン」と同じく3管フロントだ。ただ、クラークにはバードよりも憂いのあるファーマーが合う気がする。(hand)
A面はスタンダード集で、コルトレーンの存在感が目立ってクラークのリーダー作のように聴こえない。でもこのアルバムはB面に魅力がある。彼のオリジナル二曲は、三管ながら共演者の味を引き出してクール・ストラッティンのように魅力的だ・・・ライオン氏は一作目の失敗(音楽的ではなくセールス面での)に凝りて妥協の上A面はスタンダード集にしたのでは?(しげどん)
Lou Donaldson(as),Donald Byrd(tp),Curtis Fuller(tb),Sonny Clark(p),Jamil Nasser(b),Art Taylor(ds)
バッパー時代のルー・ドナルドソンの本領発揮盤。素晴らしいメンバーに囲まれ、フラーもルー同様に熱い演奏を披露する。(hand)
3管による急速調のジャムセッション的な曲で始まるが、ルウドナさんのファンの私でもあまり好きになれなかった。ロケットのジャケデザインとジョージ・ジョイナーの煽り立てるようなベースラインが好きになれない要因だったかもしれない。メンバーのソロは決して悪い訳ではない。曲的にはB面のほうが好きかも。(しげどん)
John Coltrane(ts),Wilbur Harden(tp,flh),Curtis Fuller(tb),Tommy Flanagan(p#1),Howard Williams(p#2–4),Ali Jackson(b),Art Taylor(ds)
コルトレーン入りなので、CD化もされ、本人の人気はなくとも現在も発売されているのがこの人、ウィルバー・ハーデン。悪いトランペットとは思わないが、華がないのかもしれない。花形楽器のトランペッターに華がないのは痛い。コルトレーン入り2枚とトミフラ入りの「王様と私」の3枚のハーデン盤のうちの1枚。この盤で、フラーは3管の一角として活躍する。年に一度くらいターンテーブル(CDトレー)に乗せてもいい内容だと思う。(hand)
Blue Mitchell(tp),Curtis Fuller(tb),Johnny Griffin(ts),Wynton Kelly(p),Wilbur Ware(b),Philly Joe Jones(ds)
ブルー・ミッチェルのデビー盤。デビュー作からビッグというのは謙虚が好きな日本人には驚きだったと思う。サキコロもサックスの巨人だし、日米の自己認識の違いが出ている。昔、ジョニー・グリフィンを聞くためにこの盤を買い、一度聞いて棚に直行だった(笑)。今、聞くとなかなかいい。特にケリーのピアノがいい。ケリーは、ミッチェルの「ブルース・ムーズ」でも最高のサポートをしており、ミッチェルと相性がいいと思う。フラーは、三管の一角として張り切ってプレイしている。ただ、①ブルース・マーチはゴルソンの人気曲だが私が2番目に苦手な曲なのがつらいところ(苦笑)。(hand)
一曲目がいきなり「Blues March」。しかもダサいイントロで有名曲の二番煎じ?と思っていたら、なんとこれがこの曲の初演なのだそうだ。初演のインパクトよりその後のJM盤が有名になりすぎて損な役回りになった気の毒な作品だ。今となってはミッチェルのオリジナルを冒頭曲にしたほうがオーソドックスなハードバップ盤としてすんなり聴けそうだ。メンバーはBig6と自称するに恥じない一流どころが揃っていてグリフィン、フラー、ケリー共にいいソロが続くなかなかの好盤。(しげどん)
Benny Golson(ts),Curtis Fuller(tb),Barry Harris(p),Jymie Merritt(b),Philly Joe Jones(ds)
この時期のゴルソンは本当に元気で多作だ。2週間前にJMでブルーノートに「モーニン」、5日後には別レーベル(UA)に「フィラデルフィアンズ」を吹き込んでいる。この盤は、ゴルソンハーモニーがあまり強烈ではない通常なバードバップ盤だ。フラーは、重要なソロイストとして多くのソロをとっている。私の好みとしてはもう少しハードな曲のハードなソロが欲しい。ゴルソンはハードな曲はあまり好みではないのかもしれない。ジ・アザー・サイドがどんな側面なのか、聞いた限りではわからなかった。もしかして「モーニン」収録の④アー・ユー・リアルを違うメンバーで録音したからだろうか。(hand)
この盤には思い出がある。大阪のライブハウスでフラー&ゴルソン両氏の演奏を聴きに行った際に、サインをもらおうと持って行ったのが「ブルースエット」とこの盤だったのだ。まず最初にフラー氏に近づきサインをねだると親切なフラーさんは両盤にサイン(なんとカタカナ表記入り!)をしてくれた上に、いろいろ話しかけてくれてのだ。それはとても素晴らしい経験だったが私は二人のサインを貰いたかったのに、その会話の間にゴルソン氏は楽屋に戻ってしまった。結局現在私の所有するこのゴルソン氏のリーダーLPはフラー氏のサインだけが入っている。しかしこれを見るたびにカーティス・フラー氏の優しい親切な人柄を思い出す私の宝物である。私がゴルソン氏のサインをもらうのはそれから30年たった東京のブルーノートであった。おふたりとも現在でも健在なのは何よりもうれしい。(しげどん)
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