ボサ盤でのサイドの全盛期が徐々に終了し、大物達に請われてサイド参加したジャズ盤が増えていきます。
・新宿ジャズ談義の会 :ケニー・バレル CDレビュー 目次
Terry Gibbs(vib), Kenny Burrell(gr), Sam Jones(b), Louis Hayes(ds)
テリー・ギブスのバイブは、いつ聞いても鉄琴ながら木琴的な響きを感じる。多分、エコーを多用していないのだろう。バレルは準主役として各曲でフィーチャーされる。ゆったりした曲では、70年代にファンタジー時代に聞かせるバレルのロマンチックな音色が出始めていると思う。(hand)
Stanley Turrentine(ts), Shirley Scott(org), Kenny Burrell(gr), Bob Cranshaw(b), Otis Finch(ds)
スタンリー・タレンタインと奥さんのシャーリー・スコットの共演盤にバレルが参加。オルガンよりもギターの目立ち度は低いと思うが、②ラブ・レター、③ザ・ハスラーでのバレルのソロは光っている。選曲のせいか、タレンタインはコテコテ度が下がり、ポップな感じがする。(hand)
1964.2.17
Prestige
画像のみ
おすすめ度
hand ★★★☆
Shirley Scott(org), Kenny Burrell(gr), Eddie Khan(b), Otis Finch(ds)
未CD化。内容はいいのになぜかCD化されていない。バレルは準主役のはずが、管がいないので主役級の活躍をする。シャーリー・スコットのオルガンは、ジミー・スミスのように濃厚ではないので、日本人にも取っ付きやすい、あまりブルージーさを感じない、あっさりした味付けだ。(hand)
Illinois Jacquet(ts,as④), Kenny Burrell(gr), Tommy Flanagan(p), Wendell Marshall(b), Ray Lucas(ds), Wille Rodriguez(perc)
イリノイ・ジャケーってこんなにノリのいいジャズもやるんだ?という感じで好印象。コンガとボンゴ入りのラテン度の高い4ビート演奏で、バレルも準主役として活躍する。トミフラのサポートも冴えている。toppe2さんのブログで、ジャケーがクリントン大統領のサックスの先生だったことを知った。アメリカでは、人間国宝級に扱われていたらしい。
Jimmy Heath(ts), Kenny Burrell(gr), Wynton Kelly(p), Paul Chambers(b), Albert Heath(ds)
ウィントン・ケリーの「イッツ・オールライト」からコンガを抜いて、テナーを加えたようなメンバーの盤。ポップなケリー盤に比べてジャズ的で勢いもあり好ましい。ヒースのテナーはキレイで良く鳴っている。アクのようなものがないのがヒースの人気が今一つだった原因だと思う。タイトル曲①は、ケリーのお気に入りになったのか、晩年までライブで何度も演奏している。マイルスも採用したヒースのオリジナル⑤ジンジャー・ブレッド・ボーイはカッコいい。盤全体にバレルもケリー同様に活躍する。(hand)
Stan Getz(ts), Astrud Gilberto(vo:④⑤⑦⑩),
Kenny Burrell(background gr:①–③,⑧), Gary Burton(vib),
Gene Cherico(b:①–③,⑤-⑧), Chuck Israels(b:④⑨⑩),
Joe Hunt(ds:④–⑦,⑨⑩), Helcio Milito(ds:①–③,⑧)
もしかするとバレルのリーダー盤も含めた全ての盤の中で一番売れた盤かもしれない。ゲッツのバンドに人気の出たアストラッド・ジルベルトのボーカルをフィーチャーした売れ筋盤なのだ。しかし、残念ながらバレルは全10曲中①②③⑧の4曲(②は不参加のように思われる。)にボサのリズムを刻むアコギ参加で、ソロはなしというもったいない使い方だ。この盤はメンバーも2組あり、相当編集されている感じなので、ソロもカットされているのかもしれない。コンプリート盤の発売があるといいと思う。デビューしたばかりのゲイリー・バートンのバイブがとても目立っている。後年のバートンは多少冷たい感じになるが、この時期はカラフルで温かみのある音色で盤のカラーを作っていて好感が持てる。(hand)
Chet Baker(flh,vo),
②,⑤,⑩-⑫:Bobby Scott(p.arr), Kenny Burrell(gr),
①,③④,⑥-⑨,⑬-⑮:Frank Strozier(as,fl), Phil Urso(ts,arr), Hal Galper(p,arr), Bob James(p), Michael Fleming(b), Charlie Rice(ds)
チェット盤にしては珍しいファンキージャズを感じるタイトル曲①から始まる。JMがやったら似合いそうな曲だ。ウォーキンと同じリチャード・カーペンターの曲だ。②ボーン・トゥ・ビー・ブルーはピアノとギターだけを伴ったチェットのボーカル。③ジス・イズ・ザ・シングで再びハードバッピッシュになる。という感じで、ハードバップとボーカルバラードが5曲ずつ入り混じって入った不思議な盤(+5のオマケあり。)。アナログ時であればAB面どちらかに固めた方がストレスが少なかったと思う。当然、私好みはハードバップサイドだ。バレルはボーカルの伴奏3曲(+1)のみ参加している。(hand)
Stanley Turrentine(ts), Herbie Hancock(p), Kenny Burrell(gr), Bob Cranshaw(b), Grady Tate(ds), Oliver Nelson(arr,cond)
+ Orchestra
オリバー・ネルソン指揮のジャズオーケストラをバックにタレンタインのソロがフィーチャーされるという内容の盤で悪くない。オーケストラにはクラーク・テリー、J.J.ジョンソン、フィル・ウッズなども入っているがアンサンブルに徹している。ハンコックは③リトル・シェリでソロがあるが、バレルはソロがない。(hand)
Jimmy Smith(org), Kenny Burrell(gr), Grady Tate(ds)
スミス、バレルにドラムのグラディ・テイトのトリオ盤。ジャケには、フィーチャリング・バレル&テイトと書いてあるが、スミスが大活躍で、バレルとテイトはやや控えめに感じる。同じヴァーブの翌66年のウエス・モンゴメリーとの「ダイナミック・デュオ」はタイトルどおりに2人が対等に活躍するので、バレルをもっと活用してほしかったとの思いが残る。ただ、偶数曲②④⑥では比較的バレルの活躍が見られるのは嬉しい。(hand)
Gary McFarland(arr,vib,vo), Bob Brookmeyer(tb), Sadao Watanabe(ts,fl), Spencer Sinatra(fl), Gábor Szabó, Kenny Burrell(gr), Joe Venuto, Willie Rodriguez(perc), Richard Davis, Bob Bushnell(b), Candido(bongo,conga), Grady Tate, Sol Gubin(ds)
ゲイリー・マクファーランドのボサ盤にゲスト参加。リードギターはバンドメンバーのカボール・ザボで、バレルは専らサイドでカッティングだ。我らが渡辺貞夫がフルートとなぜかテナーで参加している。盤を聞くと主旋律はポップな男性ボーカルのハミングなのだがライナー等ではそのことに全く触れていない。ウィキペディアにはファーランドのボーカルと記載されている。ジャズサイドからもボササイドからも特段好かれる内容とは私には思えないが、メロウなサウンドなので、クラブ系には人気盤のようだ。(hand)
Sylvia Syms(vo), Kenny Burrell, Bucky Pizzarelli(gr), Milt Hinton(b), Osie Johnson(ds), Willie Rodriguez(perc)
「ウィズ・バレル」というだけあって、イントロ、バッキング、ソロからエンディングまでと、バレルの活躍度は高い。シルビア・シムズの歌は、スキャットやアドリブはなく、サラッとした声で、丁寧に歌うタイプなので聞きやすい。(hand)
Johnny Hodges(as), Earl "Fatha" Hines(p,org), Kenny Burrell(gr), Richard Davis(b), Joe Marshall(ds)
スイング以前から活躍する2人の巨匠の共演盤にバレルが参加。フレディ・グリーン的になってしまうかと想像したが、2先輩が比較的モダンなプレイをしており、バレルも自分らしいプレイができている。(hand)
Sonny Rollins(ts), Oliver Nelson(arr, cond), J.J. Johnson, Jimmy Cleveland(tb), Phil Woods(as), Bob Ashton(ts), Danny Bank(bs), Roger Kellaway(p), Kenny Burrell(g), Walter Booker(b), Frankie Dunlop(ds)
この盤にバレルが入っていることを意識したことがなかった。ところが、ギターに着目して聞いてみると、なんと1曲目①アルフィのテーマの最初のソロがバレルだった。聞き込み不足を反省した。他の曲④トランジションでもいいソロが聞かれた。ロリンズ自身の音色が不完全燃焼に感じるのが残念な盤なのだが、アナログ盤を高級オーディオで聞けば違うのかもしれない。(hand)
Ed Thigpen(ds,voice), Clark Terry(tp,flh,vo), Herbie Hancock(p),
Kenny Burrell(gr),Ron Carter(b)
エド・シグペンの珍しいリーダー盤。クラーク・テリーのワンホーンだが、バレルが意外なほど前面に出て活躍する。シグペンってこんな多彩なプレイを聞かせるドラマーだった?というほど素晴らしいドラムだ。ハンコックは、当然のようにいい。タイトル曲③では、ロン・カーターもいいベースを聞かせてくれる。(hand)
Hubert Laws(fl,piccolo), Karl Porter(bassoon), Chick Corea(p), Kenny Burrell(gr), Ron Carter(b), Grady Tate(ds), Melba Moore(vo), Jimmy Owens(tp), Roland Hanna(harpsichord), Sam Brown(sitar), Chuck Rainey(el-b)
ヒューバート・ロウズの3作目。ヒューバートの多彩な音楽性を見せようとしたためか、総花的な作品となり、捉えどころがなくなっていると思う。ジャズ、フュージョン、サンバ、ボサ、クラシックまで何でもできます、みたいな盤に感じた。バレルはボサのサイドギター以外には目立たない。
(hand)
1969.12
Blue Note
おすすめ度
hand ★★★
Thad Jones/Mel Lewis Orchestra, Jeremy Steig(fl), Freddie Hubbard(tp), Jimmy McGriff(org), Kenny Burrell(gr), others
未CD化。ソニー・レスターがプロデュースしたオールスターのヨーロッパ・ツアーのドイツでの録音。10日間で英仏伊デンマークも回ったようだ。ブルーノートからのアナログ2枚組で、Voi.1となっているが、Vol.2は出ていないと思う。バレルは特にリーダーという訳ではないが、サド=メル楽団とバレルだけは、7曲で3回登場する。1B①グリーンスリーブスは、リチャード・デイビスとメル・ルイスとのトリオ。2A②ピープルはソロだ。バレルは好調そうだが、いずれもなぜかソロが短めなのが残念なところ。ラスト2B①フィナーレは全員の共演で、ここでのバレルのソロは長めで、しかも珍しくアグレッシブで、バレルらしくはないが、これはこれでカッコいい。(hand)
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